80th Academy Awards Behind the Scene Episode
第80回 アカデミー賞授賞式、7つの裏話&エピソード



オスカー史上最低の視聴率!


今年のオスカーは、蓋を開けてみれば 史上最低の視聴率で、視聴者数は3200万人。 昨年の4000万人から20%もダウンしており、この数字は ジェニファー・ハドソンやケリー・クラークソンを生み出した アメリカの人気 No.1 リアリティTV 「アメリカン・アイドル」の今年のシーズン・プレミアが記録した3300万人を 下回るものとなっている。
アカデミー賞80周年という記念すべき年にも関わらず、視聴率が大幅にダウンしてしまった原因として指摘されるのが、 今年はインディペンデント映画のノミネーションが目立ち、 「タイタニック」や「ロード・オブ・ザ・リングスのようなメガ・ヒット映画がなかったということ。 実際、オスカーはこうしたメガ・ヒット作や、10部門以上にノミネートされるような圧倒的な候補作品がある方が、 視聴率が高いのは過去の歴史が示す通りなのである。
更にもう1つの理由として挙げられるのが、脚本家組合のストライキのせいで、授賞式シーズン全体が地味なものになってしまったことで、 オスカーにしても2週間前までは行われるか、行われないかがはっきりしていなかったような状態。 このためホストのジョン・スチュアートによるオープニング・モノローグのジョークにしても、通常ならば2ヶ月ほどかけて準備が行われるところが、 わずか2週間のスピード作業で脚本が書かれたせいか、中途半端であまり笑いを誘えないものだったことが指摘されている。
さらに授賞式を見ていた人々からは 「例年よりも更に長く感じられた」という不評の声が寄せられており、 「途中まで見ていたけれど、チャンネルを変えてしまった」という視聴者も多かったことが伝えられている。




ゴールドが最高値をつけた今年の オスカー像のお値段!

ゴールドが上がり続けている昨今。オスカー直前にはゴールド価格が1オンス(約29グラム)で 950ドル(10万円)以上を付けていたけれど、 アカデミー賞受賞者に贈られる オスカー像は18Kゴールド製ではなく、18Kゴールド・メッキ。 重さにして 8.5パウンド(約4キロ)もあるこの像の金属部分はピューター(鉛の合金)で、これに銅、ニッケル、シルバーをレイヤーでメッキして、 最後に18Kゴールドのメッキを施すという仕上げがされているのがオスカー像。
では、このオスカー像の1体当たりのお値段はどのくらいかと言えば、意外に安いと言えば 安いけれど、トロフィーとしては非常に高額な500ドル(約5万4000円)。
もちろん、このオスカー像も有名俳優が受賞したもので、それが何らかの理由でクリスティーズやサザビーズなどのオークションにかけられた場合には、 軽く100倍以上のお値段が付くのは、容易に予想できるところ。
ちなみに、もしこのオスカー像を本物のゴールドで制作したとするとそのお値段は 1200万円以上という とんでもないお値段。 なので、オスカー像がメッキであっても決して責められないけれど、 それでもゴールドの値上がりが激しかったために、 昨年は1体 400ドルで制作出来たオスカー像のお値段が、今年は25%もアップしてしまったとのこと。
従って その分、授賞式のコストもアップしてしまった訳だけれど、そんな年に視聴率の方は20%もダウンしてしまったのは、何とも悲しい現実!




ビデオ・クリップの謎と問題点

今年はオスカーの80周年ということで、過去のオスカーの名場面クリップが数多く登場していたけれど、 このビデオ・クリップ集が翌日になってから物議をかもす結果となっている。
というのも、オスカー史上初の黒人ホストであり、初の女性ホストとなったウーピー・ゴールドバーグのクリップが登場しなかったため。 ウーピー・ゴールドバーグは、その後2回ホストを勤め、黒人女性で初のホストであるだけでなく、女性でも、黒人でも 2回以上オスカーをホストしているのは、彼女だけ。 その彼女を、オスカーの歴史を振り返るクリップで登場させなかったということで、ウーピー・ゴールドバーグ自身も気分を損ねていたと言われ、 これについてはアカデミー側もあっさりその非を認めている。
とは言っても、ウーピー・ゴールドバーグの姿は、 過去の受賞者を振り返るビデオの中では、 彼女が映画「ゴースト」で助演女優賞を受賞した際のクリップが、 登場しており、ホストとしては無視されたものの、受賞者としてはきちんとフィーチャーされていたもの。
オスカーのプロデューサー、ギル・ケイツは「 ウーピー・ゴールドバーグに個人的に電話をして謝罪する」とコメントしていたけれど、 彼の説明によれば、名場面のクリップは決してホストにフォーカスを当てたものでは無かったとのこと。 また過去のホストでは 彼女だけでなく、スティーブ・マーティンの姿も含まれていなかったことを指摘し、彼女を意図的に クリップからはずしたわけではないことを説明している。

さらに同様の指摘がされていたのが、過去1年に亡くなったハリウッドの俳優&映画関係者の追悼ビデオに、1月15日にヘロインとモルヒネの過剰摂取で死亡した 俳優のブラッド・レンフロが 含まれていなかったということ。
ブラッド・レンフロが出演した最も有名な映画は、ジョン・グリシャム原作で、トミー・リー・ジョーンズ、スーザン・サランドンらと共演した1994年公開作品 「クライアント (依頼人)」(写真右)。 同作品の初の映画出演で、子役として成功を収めた後は、26本の映画とTVに出演するものの、 キャリアは下降線を辿る一方で、結局は 多くの 売れなくなったハリウッド俳優同様、ドラッグに手を染めて、25歳という短い生涯を終えている。 彼の死は、追悼クリップの最後に登場したヒース・レジャーの死亡の1週間前であったけれど、 ブラッド・レンフロが登場しなかったことについて、プロデューサー側は 「全てのハリウッド関係者をクリップにフィーチャーする訳ではない」と説明している。
さらにもう1人、追悼クリップからもれていたのが、押しも押されもしないスターで、「ジョーズ 」や「オール・ザット・ジャズ」といった 名作を含む87本の映画に出演し、ガンで亡くなったロイ・シャイダー。 彼については、フィーチャーされなかった理由は追悼クリップの期間が 2007年2月1日〜2008年1月31日までに亡くなったハリウッド関係者を対象としていたためで、 来年のオスカーで放映される追悼クリップには含まれることが説明されています。




オスカー史上初の2度目のスピーチは何故可能になったか?

今回のオスカーのスピーチで 話題になった事の1つに、主題歌賞を受賞したペアの1人、マルケタ・イングロヴァが 喋りだそうとした途端に音楽が始まって、番組がCMに入ってしまい、彼女がスピーチをするチャンスを逸してしまったものの、 その後、再びホストのジョン・スチュアートの紹介で、2度めのスピーチのチャンスを与えられたということ。
オスカーでは、複数の受賞者が居た場合、2人目以降のスピーチで音楽が始まって、 いわゆる「巻きが入る」という状況になるのは決して珍しくないもの。 またヒラリー・スワンクなどは、「ボーイズ・ドント・クライ」で彼女にとって最初のオスカーを受賞した際、 当時夫だったチャッド・ロウに感謝をするのを忘れて、マイクロフォンに戻ったものの、音楽が始まってしまったために 追加のスピーチを諦めたことがあった。
今までのオスカーでは2度目や追加のスピーチのチャンスを与えられた例は無かった訳だけれど、 マケルタの場合、何故特例が出たかといえば、オスカーのディレクター、ギル・ケイツがステージの様子を確認せずに キュー・サイン (この場合、音楽をスタートさせるサイン)をコンダクターであるビル・コンティに出してしまったため。 ギル・ケイツはマケルタのパートナーであり、主題歌の共同作曲者であるグレン・ハンサードのスピーチが終わった時点で、 スピーチが終了したと思い込んでしまったとのことで、マケルタのスピーチが音楽によってカットされてしまったのは、 決して時間を節約するための措置ではなかったと説明している。
後味の悪い スピーチ・エンディングを気の毒に持ったケイツの指示で、マケルタはバック・ステージに戻った途端に、 もう一度ステージに戻ってスピーチを終わらせるようにと 言われたという。
お陰ではるばるチェコからやってきた19歳のマケルタは、1分近くに渡ってスピーチをすることが出来たけれど、 2人のパフォーマンスは、今回のオスカーの主題歌賞の中では 作品としては最も地味ながらも、会場のオーディエンスに最もアピールしていたもの。 また彼らの映画そのものを評価する声も多く、マケルタに2度目のスピーチ・チャンスを与えたのは、 総じて大好評を博していた。
ちなみに、過去に音楽が始まっても喋り続けて、遂には演奏をストップさせてしまったのが、「ジェリー・マグワイア」で助演男優賞を 受賞したキューバ・グディング・ジュニア。彼のスピーチの様子は、80周年の回顧シーンの中でも紹介されていたけれど、 音楽が始まっても、ありとあらゆる人々に 「アイ・ラブ・ユー」と叫び続けて、最後には音楽を止めただけでなく、 会場全体をスタンディング・オーベーションにしてしまったという オスカー史上に残るスピーチでした。




アフター・パーティーでは・・・

例年、オスカーでは授賞式もさることながら、翌日の明け方まで続く アフター・パーティーが多いに話題になるもの。 でも、今年は授賞式のオープニング・モノローグでジョン・スチュアートが語っていた通り、オスカーのアフター・パーティーとしては最大規模で、 最も多くのハリウッド・セレブリティが顔を揃える ヴァニティ・フェア誌がホストするパーティーが 脚本家組合のストライキが長引いて、授賞式が行えない可能性があることを理由に早々とキャンセルを表明。 そして各映画スタジオもパーティーを縮小化したり、キャンセルしてしまったのだった。
ちなみに、ヴァニティ・フェアのパーティーは毎年 レストラン、モートンズで行われ、 前半はオスカーのウォッチ・パーティー、そしてオスカーが終了し、その後に行われるガバナーズ・ボウル(カリフォルニア州知事が主催する オスカーのアフター・ディナー・パーティー、現在はアーノルド・シュワルツネッガー州知事の主催。)が終わる頃から、 授賞式に列席していたセレブリティや映画関係者がやってくる他、オスカーの授賞式に招待されなかったセレブリティも、 数多く姿を見せることで知られるイベント。 なので、会場外にはパパラッツィが陣取っているのはもちろんだけれど、ハリウッド・セレブリティにとっては、 自分を滅多にお目に掛かれないようなプロデューサーや映画監督に売り込む絶好の機会であったり、 滅多に会えない俳優仲間や、映画関係者と親睦を深めて 将来のビジネスにつなげるための貴重な社交場。
またパパラッツィにとっては、思わぬセレブリティ同士が友達だったり、 意気投合している姿などをカメラに収められる絶好のチャンス。 それだけに、このヴァニティ・フェアのパーティーが行われなかったのは、今年のオスカーを一層地味な印象にしていたのだった。
ヴァニティ・フェア以外にオスカー・ナイトに大々的なパーティーを行うことで知られているのが、エルトン・ジョンがホストをするエイズ・チャリティのパーティー。 今年はヴァニティ・フェアのパーティーが中止になったせいで、こちらのパーティーが例年に無い混み具合であったことがレポートされているけれど、 通常ならば、この2つのパーティーに加えて、映画会社がそれぞれにパーティーを行うため、 セレブリティ達はリムジンで複数の会場を移動して、明け方までパーティーを楽しむのが恒例の行事。
でも、今年はパーティーの数が激減したということで、間際になってからシンガーのプリンスや、マドンナが招待客を200人程度に絞った、 スーパー・エクスクルーシブなパーティーを行っていたことも伝えられている。 ちなみに、こうしたパーティーは招待客リストに載っていない人が入れないのはもちろんのこと。 でもジュリア・ロバーツやジョージ・クルー二のようなハリウッドのスター中のスターがふらりと立ち寄った場合は、 文句無しに入場できるとのこと。 ハリウッドで まだそれほど顔が売れていない俳優などの場合は、パブリシストを通じて招待状をリクエストするところから始まるそうで、 今年のエルトン・ジョンのパーティーのように、参加希望者が殺到した場合には、招待状のリクエストが断わられるケースも出ていたとのこと。
もちろんこうしたパーティーには映画スタジオのエグゼクティブ、スポンサー企業のエグゼクティブ、ファッション・デザイナーなど、 セレブリティ以外にも様々な人々が招待されているもの。 それだけに一度会場入りしてしまえば、どんなセレブリティとも気軽に一緒に写真撮影に応じてもらえるというのが、 ノンセレブリティでパーティーに参加する人々にとっての最大の利点と言われています。
(写真右でケイト・ブランシェットの妊娠中のお腹に手を当てているのは、彼女と「ロード・オブ・ザ・リングス」で共演したヴィーゴ・モンテンセン)




今年のオスカー・カップル


オスカーでは、これまで噂だけで交際が伝えられていたようなセレブリティ・カップルが初めて一緒にレッドカーペット上を歩いたり、 アフター・パーティーで 思わぬセレブリティ同士がカップルとして現れたりすることは決して珍しくは無いもの。
それだけに、パパラッツィはそちらの方のスキャンダル・フォトの撮影も狙っていると言われるけれど、 今年オスカーのアフター・パーティーでのサプライズ・カップルとなっていたのが ショーン・ペンとモデルのぺトラ・ニューコヴァ。 ショーン・ペンは昨年、長年連れ添った妻で女優のロビン・ライト・ペンとの離婚を明らかにしたばかり。 その彼が、シンガーのジェームス・ブラントと昨年初めに別れたぺトラ・ニューコヴァと連れ添って登場し、 パーティーの間中、ずっと親密そうにしていた様子は 翌日のゴシップ・メディアで大きく報じられていたのだった。

その一方で、以前から交際が伝えられていたものの、一緒にレッド・カーペット上を歩かなかったのは、 助演男優賞を獲得したハヴィエル・バルデムと 昨年 主演女優賞にノミネートされていたぺネロピー・クルーズ。 これはハヴィエルが母親をエスコートしてレッド・カーペット上を歩いていたためで、ぺネロピーはレッド・カーペット上にはソロで登場している。 しかし、アフター・パーティーでは2人の2ショットがしっかりスナップされた他、レッド・カーペット上のシャネルからヴィンテージ・ヴェルサーチのドレスに着替えた ぺネロピーがハヴィエルの母親と連れ添って パーティー会場入りするところもスナップされており、2人の交際の親密さをレポートするメディアもあったけれど、 ハヴィエルの母親は、彼の受賞スピーチにもあったようにスペイン語しか話せず、ぺネロピーはスペイン語がペラペラということもあり、 少なくとも2人にとって コミュニケーションの問題が無かったのは事実といったところ。




史上初!ラジー・アワードとアカデミー・アワードの両方にノミネートされた作品は・・・

毎年、オスカーの直前に発表されるのがラジー・アワードこと、ゴールデン・ラズベリー・アワード。 その年のワースト・ムービー、ワースト・アクター&アクトレスを選び出すのがラジー・アワードであるけれど、 史上始めて、この双方にノミネートされるという快挙(?)を果たしたのがエディー・マーフィー主演の 「ノービット (邦題:マッド・ファット・ワイフ)」。
オスカーのホスト、ジョン・スチュアートも 「ノービット」がノミネートされたことを 授賞式開始後のモノローグで指摘し、 「オスカーは通常この手の駄作は無視する傾向があるのに・・・」と言って笑いを誘っていたけれど、 その「ノービッド」がオスカーでノミネートされたのは、映画内容とは全く無関係のメークアップ部門。 結局この部門は「ラ・ヴィ・アン・ローズ」が受賞したので、ノービッドは無冠。
でもラジー・アワードの方では、主演のエディー・マーフィーがワースト助演女優賞、ワースト助演男優賞、ワースト主演男優賞という、 演技部門3部門を独占。ちなみにエディー・マーフィーが昨年、「ドリームガールズ」で助演男優部門で最有力視されていたにもかかわらず、 賞を逃したのは 「オスカーの投票締め切り直前にこの作品が封切られたため」と言われており、 ハリウッド関係者にも極めて評判が悪く、興行成績も最悪だった作品。
それでも「ノービット」は、ワースト・ムービー(最悪映画賞)を逃しており、これを抑えて今年の同部門を受賞したのが、 リンジー・ローハン主演の「アイ・ノー・フー・キルド・ミー」。 同作品はリンジー・ローハンのキャリアがどん底をつけた象徴とも言われる駄作中の駄作で、ラジー・アワードを受賞する以前に、 多くの映画評論家から今年のワースト・ムービーに選ばれていた作品。興行成績も惨憺たるものだった。
もちろん、リンジー・ローハンは、ワースト主演女優賞に選ばれているけれど、彼女はこの映画で双子を演じており、 彼女が演じた双子の双方がワースト主演女優賞を獲得したために、 ワースト主演女優賞のダブル受賞 という史上初の屈辱を受けている。
同作品は リンジーのダブル受賞を含む8部門を総なめにして、 ラジー・アワードの最多受賞の記録を塗り替えているけれど、この受賞者に与えられるラジー・アワードの トロフィーは、 ラズベリーの形をしたプラスティック・トロフィーにゴールドのスプレーを吹き付けたもの。 お値段はオスカー像の約100分の1で、4ドル98セントとなっている。


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