By Yuko Ishihara ![]()
パリジェンヌは 時に 「バカンスで輝くために生きている」とも言われるけれど、実際彼女達が目標としているのは、
”1年中 バカンスから戻ったばかり” のように見えること。
だからメイクも、よく日に焼けた、健康的なブロンズ肌を強調するようなセクシーなものを好みます。
日本では世代を超えて、白く澄んだ美しい肌が美とされ、ホワイトニングに励む女性が圧倒的に多いですが、 フランスでも以前は日本同様、白い肌が美しいとされてようです。でも、バカンス法 という法律の制定をきっかけに、 ”ブロンズ肌がラグジュアリアスで美しい” という流れに急速にシフトして言った と言われています。 フランスで最初にバカンス法が制定されたのは、今からなんと60年前。ナチス台頭による不安が社会に満ち、世界恐慌の名残で 深刻な不況に陥っていた1936年のことです。当時のレオン・ブルム政権が採用した政策は、「国民にバカンスを奨励する」法律で、 週休40時間、年間15日の有給休暇を与える内容。そして1956年には有給休暇法が改定され、その日数は3週間に拡大されました。 この3週間の有給休暇が全ての『 国民の権利 』 になった時、ブロンズ肌は新たな富の象徴、つまりバカンスで 南フランス等のリゾートに出掛けて日光浴できる富裕層の証となり、パリジェンヌのあらたな美の基準となっていったのです。 (貧富の差が日本よりも大きいフランスでは休暇があってもバカンスに行けない層が存在しているのです。)
でも、ふと考えれば日本における美白嗜好も元をただせば、富の象徴。日に焼けた肌は労働階級に属することの証である一方で、
白肌は、かつて日本の文豪たちが表現したように 『大きな邸宅の奥の奥、もう全く外の光が届かなくなった様な』(谷崎潤一郎・陰影礼賛より引用)、 『陰影の世界』 (谷崎潤一郎・陰影礼賛より引用)に住む裕福な階級の女性、
深窓の令嬢の証だったことを思うと、日本でも 海外でも、裕福に見えることが ”美の基準” となってきたことは人間心理を垣間見るようで興味深い点です。さて、以下の表はセフォラのフランスにおける2005年度のヒット商品ランキング。 フランスでは、小麦色の肌が圧倒的に支持される実態を背景に、コスメティックの世界でも、 日焼けメークを美しく仕上げる 「ブロンザー」が 人気商品の上位を占めています。 特に ブロンジング・パウダーの人気の火付け役と言えるゲラン (写真左) は、 例年のように、3色が揃ってトップ10にランク・インしています。
ブロンズ肌がパリジェンヌの美の基本だとすれば、ここ数年新たに 「美しさの条件」に仲間入りをしているのが ”ふっくらした厚みのある唇” 。アンジュリーナ・ジョリーのような唇になりたいと、唇をボリュームアップさせる美容整形がお金持ちの奥様方の間で数年前から流行っていた パリ。 それが、安価で 安全に、そしてメイクアップ感覚で唇をボリューム・アップさせるリップグロス=リップ・プランパーが アメリカからフランスへと輸入されるようになったのが2年前のこと。以来、一大トレンドを形成しています。 この傾向を反映して、3つのリップ・プランパーが新たにトップ11入り。 2005年を通して、リップ・プランパーは フランス国内のセフォラでのメイク売り上げの5%を占めるまでに急成長。ことに リップ・フュージョン(写真右)は 発売から僅か3ヶ月で11位に ランク・インする注目株です。 リップ・プランパーは5年前にアメリカで誕生し、アメリカでは大ヒット・アイテムとして毎年のように売り上げを伸ばしてきました。 今日では唇を膨らませながら 保湿もする スキンケアの発想が グロスの役割と共存する第2世代の商品も登場しています。 ちなみにフランスでは、今のところ、唯一 セフォラ(大手化粧品小売チェーン)でのみリップ・プランパーが購入可能ということもあり、 セフォラはますますコスメのトレンドセッターとしての地位を確かなものとしています。 Spa Lunch at SPA ST. JAMES ![]() さて、今回は1779年にマリーアントワネットも訪れたという旧ノアイユ公爵邸、17世紀の居心地のいい4星ホテル・サン・ジェームス&アルバニーの スパ・サン・ジェームスをご紹介します。
チュイルリー公園から数歩、オペラ・サントノレのビジネス街からも程近い、パリでも指折りの賑やかな通り、リヴォリ通りに面した4星ホテル、
サン・ジェームス&アルバニー・ホテルには、パリでもっとも美しいといわれるプールを配したスパ・サン・ジェームスがあります。同スパは、4ツ星ホテル内というところがポイントで、5ツ星ホテルですれ違うような、超ファッショナブルなカップルが利用するようなスパではなく、 宿泊客や付近で働くエリートたちが利用するという、品があって、『本当のパリ らしいスパ』という雰囲気になっています。 こちらでトリートメントを受ける際には、少し早めに行って、名物のプールとハマムを満喫するのが絶対にお薦め。 サン・ジェームスのプールはオゾンで浄水をしているため、塩素を含まず、肌に優しいプールです。15 X 3 メートルという小ぶりなサイズですが、 スパ自体、人数制限がされているため 毎回貸しきり気分が味わえます。 プールサイドの床にはアルドワーズという石が贅沢に敷き詰められ、壁に映るのは間接照明で彩られたプールの水面反射。 青い光が立ち込める ほの暗いプールでゆっくり泳いでいると、だんだんと身体の芯からリラックスしてくることが実感できます。 ハマム(蒸し風呂)とプールを 2〜3回 行き来すると、もう身体はトリートメントを受ける準備が万端になるはずです。 さて、このスパを有名にしたのが1区のホテル内にあるという好立地条件をいかした「スパ・ランチ」コース(150ユーロ)。 これは30分のフェイス・マッサージ、30分のボディーマッサージとバー・サン・ジェームスでのランチを組み合わせたパッケージで、 ボディ・マッサージは、女性にはPayot、男性には YHI vitamin の、体質、肌の状態に合わせたハーバル・マッサージ・オイルを使用 して行われます。 バー・サン・ジェームスは、エリートたちがアフター・ファイブに立ち寄る人気のスポットであるけれど、こうした付近の一流企業で働く エリート層が2時間の昼休みを活かして、「スパ・ランチ」を利用し始めたことから、口コミでこのパッケージが人気を集めることになりました。 ![]() そのほかにも、「スパ・リラクサシオン」(200ユーロ / ボディ・マッサージ60分、フェイス・トリートメント75分、バー・サン・ジェームスでのランチ)、 「ソワレ・スパ」(105ユーロ / レストラン・ノアイユでのフルコース・ディナー+30分のマッサージ) という、主に宿泊客に人気の2つのコースも 用意されているけれど、私のお勧めは、やはりスパランチ。 限られた時間で、身体の内側からリフレッシュできるトリートメントを受けて、普段なら会社のカフェテリアや近所のカフェで さっとランチを済ませて仕事に戻るところを、特別に時間をとって 真昼から身体に良いことをするという優越感がたまらないパッケージです。 すっきりと、綺麗になって午後から改めて出社というのは、昼休みが比較的長く取れるフランスならではのストレス発散法であるけれど、 これはとても気分が良いもの。 フェイス&ボディ、それぞれ30分のマッサージは、優しく、ゆっくりと、しかし確実に 顔、首、肩、胸、お腹、腰周り、そして手足の凝りを 順々にほぐしていってくれるもの。 そもそもフランスでは、エステティシエンヌになるためには国家資格が必要なので、彼女たちのテクニックは 国によって保障済みとっても過言ではないけれど、スパ・サン・ジェームスでは10年以上の経験がある ベテランのエステティシエンヌが働いているため、そのマッサージはしっかりした技能を感じさせるもの。 美容大国フランスでの、美容労働人口の層の厚さを感じさせてくれる、優雅でありながら正確なマッサージです。 ゆっくりと静かな空間で、柔らかなエステティシエンヌの手でしっかりと人肌に温められたハーバル・オイルでマッサージを受けていると、リラックスを通り越して、眠ってしまう人も少なく無いとのこと。優しく エステティシエンヌに声を掛けてもらって目を覚まし、ゆっくりと身体を起こして、 完全に ” スイッチ Off ” された 身体を ” On ”に・・・。 芯から休まった身体に、新たなエネルギーが沸いて来るのが感じられる瞬間です。 仕事で疲れてしまった時に、特に効果的なこのスパ・ランチで 1時間強、優雅にマッサージを受けた後は、 一階のゴージャスなバーでのランチが待っています。食事はアントレ、メイン、デザートの3コースにコーヒーという軽めのもの。 さらにフランス流の自分を磨くお勧め法としては、女の友達や同僚と一緒ではなく、1人でスパ&素敵なバーでの食事を楽しむということ。 「1人でホテルのバーで食事なんて、何て寂しい!」と思われるかもしれないけれど、これこそが人に見られる良い特訓になります。 (特に ホテル・サン・ジェームスは男性利用客が多いので見られ甲斐がある場所です。) 背筋をピンと伸ばして、マッサージを受けたての血色の良い顔に口紅をのせ、ビシッとスーツを着て、程良い緊張感を持ちながら食事をする・・・。 ホテルの従業員はもちろん、レストランのギャルソン、そして特に他の食事をする人たちを観察し、観察される練習を重ねることによって、 本当にフランス的な、『強み』のある魅力のある女性になる修行が出来るのでは、 と 私は思っています。 旅行でパリに来られる方も、パリで働く方も、一度 リラックスと緊張の合間を行く スパ・ランチに挑戦されてはいかがでしょうか ? Spa Saint James 202, rue de Rivoli, 75001 Paris(メトロTuileries) Tel :01 44 58 43 77 http://www.hotel-saintjamesalbany.com Open : 月曜 9時〜21時30分、 火〜金曜 7時30分〜21時30分、 土〜日曜 9時〜20時。 16歳以下はウィークデイは19時、週末は18時まで利用可。 要予約。付属のフィットネス・センターは1日100ユーロで使用可。その他、専属のプロフェッショナルと一緒にスパとトレーニングを組み合わせた カスタム・コースも利用が可能です。御希望の場合は直接問い合わせを。 お薦めめコース: スパ・ランチ (150ユーロ) コース内容
(ちなみに、スパではメイクを落としてマッサージを受けることになるので、トリートメント後のメークをするため準備、そして換えの下着をお忘れなく。) パリには、スパ・サン・ジェームス以外にも、スパを利用した後に、ランチやティータイム、もしくはバーで ドリンクが楽しめるホテルは幾つもあるけれど、ここでは特にファッショナブルな人々に人気のホテルを2軒ご紹介しておきます。 ![]() パーシング・ホールは、シャンゼリゼ、アベニュー・モンテーニュ、アベニュー・ジョルジュ・サンクが囲む ”ゴールデン・トライアングル” の ほぼ中心に位置するラグジュアリアスでプライベートなホテル。 ショッピングに便利な上に、近隣にはパリで最もファッショナブルなナイト・クラブの数々もあるので、メジャーなホテルに飽きてしまった人には 是非滞在をお薦めしたいスポットです。 パリジャン、パリジェンヌは同ホテルをビジネスやプライベートの会食、ディナー前後のドリンク、またちょっとしたレセプションなどに 利用していて、パリ中のBeautiful Peopleが集まって来るホテルと言っても過言ではないのがこのパーシング・ホール。 スパは、Talika / タリカ のサロンが入っていて、私邸のリヴィング・ルームのような雰囲気の中で、 フェイシャルやマッサージを受けられるエクスクルーシブな空間。フィットネス・センターの利用はホテル・ゲストのみの利用となっています。 ![]() レストランは、アンドレ・プットマンが内装を手掛けた現代的なインテリアが素敵。食事には当たり外れがあるけれど、ピープル・ウォッチングにはぴったりです。またインティメートでリラックスした雰囲気のラウンジにはDJが入っていて、 午前2時まで、ドリンクや軽食を楽しむことが出来ます。 独特なのカラー・ライティングやデコレーション・マテリアルが、デリケートでソフトでありながら、エキサイティングな空間を演出する 同ホテルはシックにスタイリッシュに装って出掛けるのことをお薦めします。 Hotel Pershing Hall 49, rue Pierre Charron 75008 Paris (メトロ・Charles de Gaulle- Etoile) Tel: 01 58 36 58 36 http://www.pershinghall.com/ ![]()
日本でもすっかりお馴染みのプラザ・アテネホテル。ファッショナブルな高級ホテルとして、また「セックス・アンド・ザ・シティ」や映画「恋愛適齢期」等に登場したことでも お馴染みの同ホテルは、シェフ、アラン・デュカスのミシュラン3つ星レストラン、”アラン・デュカス・オー・プラザ・アテネ”が入っていることでも 知られています。 レストランほどには知られていない同ホテルのスパは、 プラザ・アテネ・フィットネス・センターの中のプログラムとして運営されており、指圧、タイ、カリフォルニア、スウィディッシュの4種類のマッサージに加えて、ソルト&オイル・スクラブと海藻のボディ・パックを組み合わせたトリートメントが1時間で135ユーロ、全てのスキンタイプに行えるディープ・クレンジング、ディープ・モイスチャーライジング&リフティング・フェイシャルが1時間で150〜250ユーロ、ハンド・トリートメントを含めたマニキュアが110ユーロ、ペディキュアが120ユーロ、その他ワックスも行っています。 ホテルの宿泊費同様、スパの価格も一流になっているけれど、その分 優雅な空間の中で、ハイエンドのサービスとトリートメントが受けられます。 ![]() スパ・トリートメントの後にアラン・デュカスでランチやディナーも パリの思い出には悪くはないけれど、 どうしても割高感が否めないのがアラン・デュカスの問題。 プラザ・アテネではむしろ、春夏シーズンだったら中庭のLa Cour Jardin / ラ・クール・ジャルダン、そして美味しいデザートがお目当てであれば La Galerie des Gobelins / ラ・ギャルリー・デ・ゴブランで シェフ・パティシエのChristophe Michalak / クリストフ・ミシャラックがクリエイトする 見目美しい絶品デザートを味わうのが良いでしょう。 クリストフ・ミシャラックは、フォーションやラデュレ等で修行を積み、2005年度のワールド・ペストリー・チャンピオンシップに輝くスター・パティシエ。ことに プロフィトロール・プラザ (ヴァニラ・アイスの入ったシューにチョコレートを掛けたもの。ほのかにショウガとレモンの香りがする大人のデザート)は、彼のシグニチャーになっています。 ラ・ギャルリー・デ・ゴブランは、朝食、ランチ、ドリンクやカクテルにも利用することが可能ですが、 ディナー前後のカクテルを味わうのであれば、是非出掛けてみたいのがパトリック・ジュアンがデザインを担当した同ホテルのバー。 ここでのお薦めはパティシエがレシピをデザインしたというピナ・コラーダのカクテル。 パリで最もシックなホテルに相応しく、客層もリッチでシックなので、エレガントな気分に浸りながら ピープル・ウォッチングを堪能することが出来ます。 Bar & Restaurant Plaza-Athenee Hotel Plaza-Athenee 25 ave Montaigne 75008 Paris Tel: 01 53 67 65 00 レストラン、バーは共に無休。レストランのランチは12時〜14時45分、ディナーは19時〜23時30分。) バーは午前2時まで営業 http://www.plaza-athenee-paris.com/ バカンス法についての引用 バカンス法とは ― 三菱総合研究所・地域経営研究センターレポート『観光立国政策こそ景気回復の妙策』 より http://rpc.mri.co.jp/05_jouhou/051_keisai/0511_note/0236.html 執筆者プロフィール 2003年よりパリ在住。慶應義塾大学SFC、パリ政治学院卒業・マーケティング修士課程終了。 現在へレナ・ルビンスタイン・インターナショナル勤務。スキンケアの商品開発を担当。 |