Fall & Winter 2007 Paris Collection
2007年 秋冬 Paris コレクション・レビュー!!



On The Runway, What's New For The Season?


オスカー授賞式の翌日からスタートした2007年秋冬シーズンのパリ・コレクション。
ニューヨーク、ミラノのコレクションがメディアに不評だった後に行われたコレクションは、 今回もファッション・キャピタルとしてのパリの実力を見せ付けるもので、 クリエイティビティ、オリジナリティ、マーケッタビリティともに、「やはりパリが一番!」 と実感したプレスやバイヤーは多かった。

さて、今シーズンと言えば、ニューヨーク、ロンドン、ミラノのコレクションから明確になってきたトレンドとして、 シークィン素材のカムバック、ビッグ・シルエットというのがあるけれど、これはパリでも顕著に見られていたもの。 トレンドカラーのブラック、ブルー、レッド、イエローも他の都市と同様、また レイヤリング・コーディネートも引き続きの傾向となっている。

今シーズンのパリのベスト・コレクションと言えたのはクリスチャン・ディオール。 そのクリエーションの美しさは群を抜いていた印象。 加えて、ジャン・ポール・ゴルティエ、ランヴァンなどもプレスやバイヤーに絶賛されていたコレクション。
また最も話題を集めていたのは、ゴールデン・グローブやオスカーでリース・ウィザースプーンにドレスを提供し、 一躍評判を高めたニナ・リッチのコレクション。オリヴィエ・ティスケンスがどんなデザインを見せるかには、 誰もが注目していたと言っても過言ではないほど。

以下、そんなパリ・コレクションから主だったデザイナーを紹介します。
(写真左:2点ともクリスチャン・ディオール)












写真上左より
ジャン・ポール・ゴルティエ :
2シーズン前のアレクサンダー・マックィーンのようなタータン・チェックのシリーズで幕を開けたコレクションは、 エッジーでクリエイティブでありながら、マ−ケッタビリティを感じさせるとして大好評。 中でも写真上のコートは多くのメディアがフィーチャーした1枚。

エマニュエル・ウンガロ :
ペーター・デュンダがデザインするエマニュエル・ウンガロの今シーズンは、シークィンを用いたドレスとビッグ・シルエットの デイタイム・ジャケット&コートが目立っていたけれど、ことにシークィンのドレスはナイト・クラブに頻繁に出掛けるという彼の 夜遊びドレスのヴィジョンが感じられるもの。

クリスチャン・ディオール :
ブランド生誕60周年を飾るに相応しいコレクションであると同時に、今シーズンのパリのベスト・コレクションといわれたのが クリスチャン・ディオール。先シーズンのプレーンなコレクションから打って変わってドラマティックかつ ウルトラ・ゴージャスに 仕上がった作品の数々は、同時にクラフトマン・シップと素材の優秀さを感じさせるもの。 プレタポルテでありながら、クチュール級のクリエーションを見せていました。

ジャンバティスタ・ヴァリ :
モダン・デザインのパイオニアであるル・コルビュジエ(Le Corbusier) 、レンブランド、そしてメキシコの女優、マリア・フェリックスに インスピレーションを受けたという今シーズン。一見バラバラに思えるコンセプトが 1つ1つの作品の背景に感じられていたコレクション。

ドリス・ヴァン・ノッテン :
シーズンのトレンドに関係なく 独自のテイストを貫くドリス・ヴァン・ノッテン。今シーズンはブラック+グレーの無地のカラー・コーディネートが 多く、彼の持ち味である異素材をバランス良く組み合わせたコーディネートは控えめであったけれど、 シックに纏まっていたコレクション。







写真上左より
イブ・サン・ローラン :
デザイナー、ステファノ・ピラーティ自身がそのルックスからか、バイヤーやプレスうけが非常に良いため、常に 高い評価を獲得するイブ・サンローラン。今シーズンはシルエットは大きめであるけれど、作品自体はかなりロウ・キーに仕上げられていて、 そこがまた評価されていた。

ヴェロニク・ブランクィーノ :
新しい感覚のボリュームを表現したかったというデザイナーの言葉通り、肩は小さめで、そこから緩やかに広がるシェイプでありながら、 トラペーズと呼ぶには細身というシルエットが多かったコレクション。興味深いコーディネートも何点も見られ、 ここ数年でベストと言えるコレクション。

ステラ・マッカートニー :
今シーズンもトラペーズ・シェイプを中心に、ゆったりしたシルエットで、秀作を見せたステラ・マッカートニー。 シルエットは大きめでも、痩せて見える作品の数々は、コーディネートのバランスの良さに由来すると評価されている。

セリーヌ :
幅広のベルトでウエストをマークするコーディネートが中心だったコレクション。 モデルが全員、顎の下でバンドでとめるハンチングを被って登場していたけれど、これが無い方が ベターのアウトフィットが多かっただけに残念なプレゼンテーションがなされていた。

バルマン :
クリストフ・デカルニンがデザインするバルマンの今シーズンは、マイクロ・ミニにプラットフォーム・ショート・ブーツ、 もしくはローライズ・ベルボトムのパンツをカジュアルなトップとワイドなベルトで着こなすようなゴーゴー・ファッションが中心。
メディアやバイヤーの間ではイブニングやカクテル・ドレスではない、アフター・ファイブウェアと捉えられていた。







写真上左より
ルイ・ヴィトン :
マーク・ジェイコブスがルイ・ヴィトンのデザイナーに就任して今年で10年目。ここ数シーズン、彼自身のコレクションの方が、 ルイ・ヴィトンでのクリエイティビティに勝っているけれど、今シーズンもヴィトンのコレクションはマーク自身のコレクションのコンセプトを マイルドに、フランスっぽく表現したという印象。服がシンプルな分、見る側の目は次々とモデルが手に持って登場するバッグや、 殆どのアウトフィットにコーディネートされていたゴールド・バックルのベルトの方に行きがちではあったけれど、 服であれ、バッグであれ購買欲をそそるコレクションであることは誰もが認めるところ。

ミュウ・ミュウ :
メンズ&ウーマンズのミックスのショーは、バック・ドロップが真っ赤にライトアップされていたので、レッドやピンクのアイテムが登場すると 美しく映えるセッティングとなっていた。作品の1部は90年代後半のプラダの作品を彷彿させるものだった。

ソニア・リキエル :
同ブランドの持ち味である帽子やタイツまでを1色で纏める モノ・カラー・コーディネートのアウトフィットが今シーズンも多かったけれど、 後半のオーガンジーを用いたカクテル・ドレスは不出来。やはり前半で見せたニットのシリーズに同ブランドの持ち味が全て生かされていた。

フセイン・シャラヤン :
ボーダーのファブリックのシリーズで幕を開けたコレクションであるけれど、 日本のよろいのようなアイテムも見られて、ボーダー=カジュアルというコンセプトとは異なるもの。 エンバイロメント・コンシャスなコンセプトが背景にあると言われるけれど、ショーを見ている分には それはあまり伝わらなかったもの。

クロエ :
クロエを現在にまで導いたフィービー・フィロがデザイナーのポジションを去って以来、彼女の下で働いていたデザイン・チームに よってクリエイトされてきたクロエ・コレクションであるけれど、新任デザイナーにパウロ・メリム・アンデルッソンを迎えた 初めてのコレクション。
マルタン・マルジェリアのアシスタントとしてファッション界に入り、マルニから引き抜かれたパウロがクリエイトするのは、 ヴィンテージ・テイストのフィービー・フィロのクロエ・ラインに比べてクリーンで若々しいもの。 でも、彼の力量をジャッジするには時期尚早との声が圧倒的。







写真上左より
アレクサンダー・マックィーン :
先シーズン、プレスやバイヤーがため息もので見つめる クリエイティブかつ美しいコレクションをみせた アレクサンダー・マックィーンであるけれど、今シーズンはジャン・ポール・ゴルチェの作品を見紛うようなスタイルが多く、 全体的に着こなしが難しいバイヤー泣かせのコレクションに仕上がっていた。

ジョン・ガリアーノ :
過去数シーズン、あまりアピーリングとは言えないコレクションを展開してきたガリアーノであるけれど、 今シーズンはディオールのコレクションで見せた冴えを、自身のコレクションにも反映させたと評判。 近年では最も好評のコレクションとなっていた。

ヨージ・ヤマモト :
ブラックをカラー・パレットのメインにして、ありとあらゆるレイヤー・コーディネートを見せたコレクションはその評価も上々。 スタイルの受け入れ易さが、バイヤーに特に好評だったコレクション。

クリスチャン・ラクロア :
ブルーにライトアップされたランウェイ上で、ブラック&グレーが中心のアウトフィットを見せたコレクション。 カクテル・ドレスの代わりに、トップ+ベルト+ショート丈のバルーン・スカート+タイツ+ブーツというコーディネートが多数登場していた。

コスチューム・ナショナル :
ダークなライティングの中で、ブラックのアウトフィット中心のフォトグラファー泣かせのコレクションを見せたコスチューム・ナショナル。 コンセプトはユニフォームとドレスの融合。これを受けて、ドレスのディテールではたすき掛けのようにクロスしたストラップが目立っており、 ガンベルトやハーネスのような雰囲気を演出していた。







写真上左より
アクリス :
多くのモデルが タートルネックを 顎をカバーするほどまでに伸ばして登場していたコレクション。 スイスのアーキテクトがインスピレーションというだけあって、今シーズンはクリーンでシルエットの美しい作品で纏められていた。

ランヴァン :
スタイルを進化させるためにも、ブランドの原点であるジャンヌ・ランバン自身のスケッチに戻ったというデザイナーのアルベル・エルベ。 袖や襟のカットにマニアックまでのリサーチをしたという今シーズンは、独特のレトロ・モダン的ドレスが中心。 写真や遠目では分かり難いものの、ブラックのコートやドレスにジェット・ブラックのクリスタルを縫い付けるなど、ディテールにも 妙を見せたコレクション。ブラック中心のカラー・パレットに時折盛り込まれていたパープルのアイテムが、人々の脳裏に 刻み付けられていた。

マルタン・グラン :
ホワイト、グレー、ブラックのカラー・パレットに効果的にコバルト・ブルーを盛り込んだコレクション。 未だ、ブランドのシグニチャーとなるスタイルの打ち出しは見られないものの、確実に進化していると評価されているブランド。

コレット・ディニガン :
出産と育児のために過去数シーズン、コレクションをお休みしていたオーストラリアのデザイナー、コレット・ディニガンの カムバックと言えたのが今シーズン。ミニ丈のスカートにニー・ハイブーツやニー・ハイソックスを合わせた若々しいコーディネートが 目立っていたものの、スタイリングの打ち出しとしてはかなり弱い印象。

アンドリュー・ゲン :
今シーズンからアクセサリーに続いて、バッグのコレクションが正式に始動したアンドリュー・ゲン。 このため、バッグとビーズ使いをマッチさせたドレスが何点か登場しており、それらがバイヤーからは好評となっていた。







写真上左より
アン・ドゥムルメステール : :
今シーズンもブラック&ホワイトで、メンズ&ウーマンズのコレクションを展開したアン・ドゥムルメステール。 パンツ・ルックのレイヤー・コーディネートに興味深いシルエットが幾つも登場していた。

リック・オーウェン :
毛足が長いためにダイビングのフィンのように見えるブーツをモデルがこぞって履いていて、 その足元と、細長いコクーン・シルエットのアウトフィットが奇妙なバランスを見せていたコレクション。

ニナ・リッチ :
今シーズン最も話題と期待を集めていたのが二ナ・リッチのコレクション。ロシャスのブランド閉鎖によって 職を追われたオリヴィエ・ティスケンスが新天地でどのような作品を見せるか?には誰もが興味を持っていたけれど、 その”予告編” としてロシャスを今年の授賞式シーズンに3回着用したのがリース・ウィザースプーン。 彼女のドレスがいずれも大好評を博したために、新生ニナリッチへの期待はさらに高まっていたけれど、 結果的にはリースが着用したようなコマーシャル性のあるニナ・リッチを期待した人々には今ひとつ、 オリヴィエ・ティスケンスの本来のクリエーションを好む人にとっては期待通りという仕上がりになっていた。
すなわちコレクション全体のトーンはエッジーかつ、ややダークなもの。それでもクリエイティヴィティという点では ファッション界の逸材、オリヴィエ・ティスケンスの持ち味が発揮された興味深いものになっていた。

アントニオ・べラルディ :
2シーズン前のタイトなシルエットに比べると、今シーズンはゆったりした女性の身体に優しい シルエットが中心。デイタイムはブラック、イヴニングやカクテル・ドレスはホワイトで纏めたコレクション。

ソフィア・ココサラキ :
ミニ丈のスカートやドレスに・ブラック・オペークのストッキングを合わせるアウトフィットが圧倒的に多かったコレクション。 シルク・サテンのプリーツ素材を用いて、スカルプチャーのように仕上げたドレスやスカートが印象的だった。







写真上左より
ジヴァンシー :
惨憺たるデビュー・シーズンから今年で4シーズン目。バイヤーやプレスの間では、その進歩と 徐々に発揮してきた持ち味が評価されているのが、リカルド・ティッシュがデザインするジヴァンシー。 今シーズンはブラック、もしくはブラウンにゴールドのボタンやスタッズをあしらったミリタリー・ファッションを展開していた。

ヴァレンティノ :
今年のオスカーでは、セレブリティに提供したドレスが 不評であったヴァレンティノ。 それを反映してか、イヴニング・ガウンには冴えが無かった今シーズンであるけれど、 ファーを用いたデイタイムのコートやアンサンブル、カクテル・ドレスはエレガントでゴージャス!

エリー・サーブ :
ビヨンセのお気に入りとして知られるエリー・サーブ。ブラックのシークィン、レザー、レース、サテン、オーガンジーなどを 組み合わせて、魅力的なカクテル・ドレスをクリエイトしていたのがランウェイの目玉。

エルメス :
ブラック・レザーのバイカー・ルックでスタートしたコレクションは、ホースバック・ライディング・ルックや、 ツイードのイングリッシュ・カントリー・ルック、タキシード・スーツ、レザー・ジャケットを羽織ったシフォンのイヴニング・ドレスという、 まるでラルフ・ローレンのショーのような構成を見せていた。
これぞエルメスと言えた部分は贅沢にクロコダイルを使ったスーツやコート。そしてアクセサリーではケリーバッグの真ん中を くり抜いたようなマフ(写真上)が大きな話題になっていた。

カール・ラガーフェルド :
例年通り、殆どがブラックのレイヤー・ファッションを見せたラガーフェルド。かつてならアヴァンギャルド(前衛的)と呼ばれたであろう これらのアウトフィットであるけれど、今日では逆にちょっと時代遅れな印象。







写真上左より
コム・デ・ギャルソン :
常に時代をリードしたアイデアを見せるコム・デ・ギャルソンであるけれど、 今シーズンはモデルがミッキー・マウスを彷彿させるような黒い耳のついた帽子をついて登場し、 子供用のドレスをフロントに縫いつけたようなアウトフィットから始まって、手が4本あるように見える 手袋を縫いつけたジャケットやスカートなど、他のデザイナーのイマジネーションを遥かに超越した作品を見せていた。

バレンシアガ :
メタル・レギンス等の宇宙的なファッションで賛否両論だった先シーズンから一転して、今シーズンのバレンシアガは 東ヨーロッパのフォークロア、モロッコ&アフリカン・プリント、パレスティニアン・スカーフなどマルチ・エスニックなエッセンスを ブリティッシュ・トラッド、ストリート・カジュアルにミックスしたもの。 オープニングに登場したライディング・パンツや後半に登場したアディダスのように3本のサイドラインが入ったパンツは、 ファッション・エディター達がこぞって愛用しそうなアイテム。

ヴィクター&ロルフ :
今シーズンは、作品よりもそのプレゼンテーションに、人々の関心もデザイナーの関心も注がれていたコレクション。 モデルやその着用しているアウトフィットを干すように吊るしたプレゼンテーションは服のシルエットを分かり難くしていたもの。 過密スケジュールでショーを見せられているプレスにとっては、風変わりで面白いプレゼンテーションであったけれど、 バイヤーにとってはショールームに買い付けに行くまで作品の実態が掴めない不便なものだった。

シャネル :
このところ少々スランプ気味のシャネル。今シーズンはいかにもシャネルらしいツイードのアイテムと、「これがシャネル?」と言いたくなるような プレーンなコーディネートに混ざって、メンズが数点登場していた。 往々にして出来が良い作品には新しさが無く、新しい試みは不出来という仕上がり。







Photo: Style.com