Fall & Winter 2008 Paris Collection
2008年秋冬 Paris コレクション・レビュー!!
2月末に行われた 2008年秋冬 Paris コレクション。
あまり好評ではなかったミラノ・コレクションの後とあって、今シーズンもバイヤーやプレスからは総じて高い評価を受けていたのが
パリ・コレクションである。
ランウェイの傾向としては、シルエットは上半身を小さく纏め、下半身にボリュームを持たせるシルエットが
新しいトレンドとして受け入れられており、多くのデザイナーが肩パットを使った、タイトでシャープなシルエットの上半身のラインを
クリエイトしていたのが印象的。
このシルエットを代表する存在と言えるのが、80年代に一世を風靡したティエリー・ミュグレーや、クロード・モンタナであるけれど、
彼らの作品を彷彿させる構築的なシルエットや素材の切り替えが非常に目立ったシーズンである。
カラーはブラックが大々的にカムバックしていると同時に、レッドや深いブルー、パープルなどジュエル・トーンも引き続きの人気。
アクセサリーでは 昨年はあまり人気が無かったネックレス、それも大ぶりのものが多数登場しており、
何重ものレイヤーで、ジャラジャラとアクセサライズする例も数多く見られていたもの。
更に、シューズは引き続きアクセサリーのキー・ポイントとなっており、個性的で服の一部になっているようなブーツや、
ストラップのデザインがひとひねりされたパンプスなど、アウトフィットの大切な仕上げの部分を担っているのがシューズである。
それと同時に今シーズン目立っていたのはファー使い。
ミンク、セーブル、シアリングなどが有効に用いられたアウトフィットが多く、使用面積よりも
その贅沢なディテールが強調されたものが多かったのが特徴となっている。
またクロコダイルなどのエキゾティック・スキンを用いるラグジュリアス傾向も引き続きで、
今シーズンもスーツやジャケットなどを手掛ける一流ブランドが目立っている。
ブランドとして高い評価を得ていたのは、バレンシアガ、ランヴァン、ドリス・ヴァン・ノッテンなどで、
いずれもプレスとバイヤーを同時に喜ばせていたコレクション。
さらに、イヴ・サン・ローランでは、デザイナーのステファノ・ピラッティがそれまで彼を評価しなかった人々までもを
絶賛させる作品を見せていたけれど、こうした一部のいかにもパリらしいクリエーションが見られた反面、
記憶に残らない、商業的にも難しいコレクションが見られていたのもまた事実。
ここでは、2008年秋冬シーズンの Paris コレクションの中で、バイヤーやプレスから高い評価を得ていた
Top 10ブランド と共に、その他のデザイナーのコレクションをご紹介します。
(写真右:ドリス・ヴァン・ノッテン、 写真左:ランヴァン)
バレンシアガ
オープニングで見せたブラック・ドレスのシリーズが、ありとあらゆるメディアにフィーチャーされ、
ただでさえ黒が多かった今シーズンの「ベスト・ブラック・ドレス!」と賞賛されていたのが、ニコラ・ゲスキエールがデザインするバレンシアガ。
春夏シーズンの構築的なフラワー・ドレスやスーツよりも、カラーやシルエットが遥かにトーン・ダウンして、シャープでエッジーながらも
コマーシャル性が高まったといわれたコレクション。
アレクサンダー・マックィーン
毎回シアトリカルなショーを展開するアレクサンダー・マックィーン。
ビジネス的にどの程度売れるかは別として、コスチュームとして 「美しくも ドリーミー」と表現されたコレクションを展開し、
その芸術性が評価を獲得。特に中央のデコラティブなジャケットとシフォン・ドレスのコーディネートは、
メディアがこぞってフィーチャーした作品。
ドリス・ヴァン・ノッテン
ここ数シーズン、乗りに乗っているという印象のドリス・ヴァン・ノッテン。
異素材をパンツ、チュニック、ジャケットなどでレイヤーにしたコーディネートは、そのシルエットとカラー・バランスが
絶妙。今シーズンはかつてのミッソー二を思わせる作品が目立っていた。
ランヴァン
今シーズンのベスト・コレクションの1つに挙げられているのがランヴァン。
カラー・パレットはブラックを中心に、女性ならば誰もが着てみたくなるようなデリケートなディテールと
美しいシルエットが際立っていたコレクション。
アクセサリー使いも優秀。
イヴ・サン・ローラン
同じく今シーズンのベスト・コレクションに挙げられていたのが、イヴ・サン・ローラン。
ボブ・ヘアにダークなリップスティックのモデルが着用していたのは、モダンで構築的かつシックなパンツ・スーツやドレスの数々。
デザイナー、ステファノ・ピラーティが初めて彼らしい持ち味を存分に発揮したと言われる ブレイクスルー・コレクション。
二ナ・リッチ
オリヴィエ・ティスケンスがデザインする3シーズン目の二ナ・リッチは、カラー・パレットで
メディアやバイヤーをうならせたコレクション。
ブラックが多かった今回のパリであるけれど、微妙なウォーター・カラー・パレットで 美しいカラー・レイヤーを見せた
彼のコレクションは、スタイリストやファッション関係者が自ら着用したくなるようなコーディネートに溢れていた。
ジヴァンシー
このところ急速に評価と人気を上げているのがリカルド・ティッシがデザインするジヴァンシー。
ミニマリズムやデカダンスを感じさせる彼の持ち味であるものの、そのスタイルを好む欧米の若いソーシャライトが増えている。
また同ブランドの人気を高めているのは その個性的なシューズやバッグのコレクション。
前回人気を集めたグラディエーター・ブーツやサンダルのアレンジ・バージョンが今シーズンもランウェイに登場し、
服と同様に大きな注目を集めていた。
ルイ・ヴィトン
ブルゾン・シルエットにこだわったマーク・ジェイコブスのコレクション同様、
上半身を小さく、下半身にボリュームを持たせたシルエットが多数登場していたのがルイ・ヴィトンのコレクション。
80年代のクロード・モンタナやコム・デ・ギャルソンを彷彿させる作品が目立っていた。
ジャン・ポール・ゴルティエ
今シーズン、ゼブラ・プリントやフェイク・タイガー・スキン、本物のクロコダイルやセーブル・ファーなどをの素材を用いた
シックなアニマル・コレクションを展開したのが、ジャン・ポール・ゴルティエ。
殆どのアウトフィットがコートやジャケット、パーカとコーディネートされているというアウター中心で組み立てられた
コレクションで、様々なファー使いでラグジュリーが演出されていた。
クリスチャン・ディオール
モデルが全員、ビッグヘア&大きな目を強調したメークで登場したクリスチャン・ディオールのショーは、
デザイナーのジョン・ガリアーノ曰く「60年代のスタイルを意識したもの」。
ミンクやチンチラをボーダーに切り替えたクラシックなスタイルのコートや、ディオールの往年のルックを
再現したような千鳥格子のスーツなどが見られたコレクションで、
派手さを適度に抑えた作品が目立っていた。スカートは殆どが膝丈。
その他のコレクション・・・
写真上左より
シャネル :
かつてトレンド・セッターであったシャネルではあるものの、昨今ではトレンドに関係なく シャネルらしさだけが追求される
コレクションになって久しい状況。それがマンネリ化した印象が強かった今シーズンは、あまり見るべき作品も無い
物足りないコレクションに仕上がっている。
リック・オーウェン :
ほぼ全てのアウトフィットで、レザー・ブーツとジッパー・アクセントがキーになっていたコレクション。
カシミアやレザーのパッチ・ワーク、ニットのように軽く仕上げたシアード・ミンクのデコレーションなど、
新しいテクニックも数多く見られたコレクション。
エマニュエル・ウンガロ :
2001年にエマニュエル・ウンガロが引退して以来、ブランド・アイデンティティに苦しむと同時に、後継者デザイナーの手腕が
発揮されていない状況が続いている同ブランド。
今シーズンも、中途半端でインパクトに欠くアウトフィットが目立っていた。
ステラ・マッカートニー :
今シーズンもオフショルダーのセーター・ドレスや、スウィング・コートなど、ステラ・マッカートニーらしいアイテムが登場したコレクション。
特別に新しい印象は無いものの、彼女のラインを好む人々を満足させるのには十分なコレクション。
セリーヌ :
デザイナー、イヴァナ・オマズィックがクリエイトするセリーヌは、今シーズン多く見られる80年代のモンタナ、ミュグレーの
スタイルを彷彿させるコレクション。上半身をスリムに絞って、下半身にボリュームを持たせたシルエットや、
モダン・レトロなレイヤーが目立っていた。
写真上左より
ソニア・リキエル :
”ニットの女王”と呼ばれるデザイナーがいつものように展開したコレクション。
今シーズンは カラフルな色調に纏めたボーダーニットが目立っていた。
エルメス :
ジャケットやコートと共に、モデルが持って現れるバッグに注目が集まったコレクション。
太めのストラップで肩から斜め掛けにしたケリーの改訂版、”ジプシー”がモダンで新しい印象。
ジャンバティスタ・ヴァリ :
モダンなドレスアップ・クローズをクリエイトするジャンバティスタ・ヴァリ。
シーズンを追うごとに評価を高めているデザイナー。
クリスチャン・ラクロア :
装飾はいつもシーズンよりも大人しい印象であったけれど、それがかえってバイヤーには好評だったコレクション。
ミュウ・ミュウ :
今シーズンは全てがスポーティー・アイテム。ランウェイを歩くモデルのイニシャルを各作品の胸元にあしらって、
パーカ・スーツやジャンプ・スーツ、ドレスなどをカジュアルにクリエイト。
ヴァレンティノ :
ブランドの創設者でありデザイナーのヴァレンティノ・ガラヴァーニが今年1月のクチュール・コレクションで引退し、
それを引き継いだのがアレッサンドラ・ファッシネッティ。
エレガントさはそのままに、クラシックさを抑える代わりにモダンさを加え、ブランドの若返りが図られている印象。
未だ後継者の実力を語るには時期尚早という印象。
写真上左より
クロエ :
フィービー・フィロが去った後の、ブランド・アイデンティティが未だに中途半端なイメージのクロエ。
でも今シーズンは徐々に方向性が見えてきたという印象を与えたコレクション。
アンドリュー・ゲン :
殆どの作品がブラックで、細身のパンツ・ルックを中心に展開されたコレクション。
ファー使いや刺繍のデコレーションなどのディテールがクチュール的な印象を与えており、
エンディングのイブニング・ガウンもフェミニンに仕上がっていた。
ジョン・ガリアーノ :
相変わらずモデルが奇妙なメークで登場し、そちらのインパクトで服のプレゼンテーションも
奇妙な印象に終始していたコレクション。
アン・ドゥムルメステール :
モンゴリアン・ラムや紫色に ペイントした シアリング等、カジュアルなファーを効果的にスタイリッシュに用いた
作品が目を引いていたと共に、好評を博していたコレクション。
ヴィクター&ロルフ :
モデルが顔に「NO」というペイントをして登場したり、服に 「No」、「Dream」 といったメッセージがあしらわれた作品が
多数登場した今シーズン。それ以外の 落ち着いた印象のコート等に秀作が見られていた。
Photo: Style.com
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