Fashion Week in PARIS
世界のバイヤーが集まる パリのファッション・ウイーク

By Mami Kanki



夏のバカンスが明けて、9月に入ると同時に 世界中からパリに集まってくるのが ファッション業界の人々。
これはアパレル、アクセサリー小物、インテリア雑貨等の大規模な見本市に加えて、素材の展示会、プレタポルテのファッション・ショー、 そして受注のためのショールームの開催が行われるためで、これは10月の中旬まで続くもの。 パリのホテルは、 このファッション・ウィークの時期がハイ・シーズンと言われ、一年のうちで予約を取るのが最も困難になるので、 一般の旅行者の場合、この時期を外して予定を立てるのが賢明と言えるでしょう。

ここでは、アパレルとアクセサリー小物の2007年春夏シーズン見本市にスポットを当てて、 バイヤー達のファッション・ウィークをご紹介します。



先ず9月初旬、パリの南、ポルト・ド・ヴェルサイユにある会場で行われる見本市。
敷地内には8棟ほどの会場が設置され、合同展が行われています。

その中の ”PRET A PORTER PARIS / プレタポルテ・パリ” は流行を踏まえつつも ベーシックなアパレルを扱うもの。
会場で目を引いたのは、”EXPO TOKYOITE / エクスポ・トーキョーイット” と題して、ブランドファッションを着せたブライス・ドール (Blythe Doll) を展示したブース。 ブライス・ドールは 昨今パリのデザイナーやファッション関係者の間で、コレクターとまでは行かないものの、 趣味でいくつか 買い集めている人が増えてきています。





もう1つの見本市、” WHO’S NEXT / フーズ・ネクスト” は ストリート系ファッションの先端を行くブランドを集めたもの。
通常、こうした見本市は、会場が広すぎて 目的の展示だけを効率良く回るのが難しいものだけれど、 今回の ”フーズ・ネクスト” は、 会場を以下の5つのセクションに分けて構成。

  • FAST / ファスト : 都会的なライン

  • FACE / フェイス : デニムもの

  • FRESH / フレッシュ : 新しいもの

  • FAME / フェイム : クリエーターもの

  • PRIVATE / プライベート : 有名ブランド・コレクション






”フーズ・ネクスト”では、それぞれのセクションで フロアのカラーを変えることによって、バイヤー達が目的別に会場内を回りやすく工夫されていました。

また、同じ会場内で ”PREMIERE CLASSE / プルミエール・クラス” というアクセサリー、シューズ、バッグなどの ファッション小物の見本市も開催されていて、アパレルと一緒に小物を買い付けることができるようになっているのも、 バイヤーにとっては非常に有り難い点。


さて、写真右は 会場内で見られたデモンストレーションの様子。
即興でモデルに着せたTシャツをハサミでカット。そして、切れ端をキュキュッと 結んで デザインTシャツが完成というもの。


写真左は、 数年前からトレンドの どくろのモチーフ。ことに どくろスカーフは シエナ・ミラーや二コル・リッチー等のセレブリティが ジーンズに通してベルトのように身に付けたり、バッグに結んだりしていたけれど、今シーズンも引き続き アクセサリーやスカーフなどで どくろモチーフは健在。
フェミニンなメーカーでも 同モチーフを手掛けているところが目立っていた一方で、アクセサリーにはかなりの高額品も登場していました。




そして、10月に入ると 開催されるのが2度目の見本市。
会場となるパリの中心、チュイルリー公園内には、テントが特設されて、9月に行われた先述の2つの見本市、 ”プレタポルテ・パリ” と ”フーズ・ネクスト” から それぞれ独立した”ATMOSPHERE / アトモスフェール” ”PREMIERE CLASSE / プルミエール・クラス”、これに ”PARIS SUR MODE / パリ・シュール・モード ” が加わって 3つの展示会場を形成します。



9月、10月の両方の見本市に参加するブランドもあれば、10月のみに出展するブランドもあるけれど、 一般的には9月の見本市の来場者はバイヤーが多く、10月はプレタポルテ・コレクションが行われるためか エディターが多いと言われるもの。
でも今回は、10月の見本市でも 各ブースにバイヤーの姿が多く、ひっきりなしに発注が行われていました。

写真左は、発注の風景。 バイヤー達の鋭い 視線が飛び交う、少し緊張のひと時。人気のブースでは 熱気でムンムンしています。






写真右は、”プルミエール・クラス” 内で行われていた 『イタリア製品について』 という ちょっとした展示。
最近 日本でも人気で、私も大好きなブランド、” IL BISONTE / イル・ビソンテ ” も紹介されており、 鮮やかな皮使いに しばし足を止めて見入ってしまいます。







またチュイルリー公園の会場からほど近いホテル、 Cercle Republicain / セルクル・レピュブリカンン と Hotel Regina / ホテル・レジーナ で行われていたのは、” WORKSHOP / ワークショップ ” というネーミングの見本市。
規模は大きくはないものの、一方はアクセサリーとドレス系のアパレルが少量、もう一方はカジュアル系アクセサリー小物とアパレルが バランス良く揃った構成。

見本市各会場では、それぞれにデコレーションが施されているけれど、ここ”ワークショップ” のデコレーションはシックでモダンなイメージ。(写真右)
白を基調に高い天井を生かした照明使いで、バイヤーの中には会場の写真を撮っていく人も少なくないようです。





ここでの目玉の企画は、日本でもお馴染みのブランド、”BENSIMON / ベンシモン” の Tennis / テニス というネーミングのスニーカーの 25周年記念のコレクション。
ジャン・ポール・ゴルチェ、ヴァレンティノ、クローディ・ピエルロ、APC、キャシャレル等、数々のデザイナーが手掛けた ”tennis シューズ” の アニヴァーサリー・エディションが発表されていました。







一方、パリ市内の3つの会場に分けて行われる見本市、” TRANOI / トラノイ ” は、 Bourse de Commerce / ブース・ド・コメルス 、 Palais de la Bourse / パレ・ド・ラ・ブース、 Montaigne / モンテーニュ の 3つのロケーションが それぞれが少し離れているため、送迎バスが用意されています。


右はシャンゼリゼから近い モンテーニュの会場。 他と比べるとラグジュアリアスなな印象で、参加ブランドも高級感のあるものが多くなっているけれど、 この先、アヴェニュー・モンテーニュは ご存知の通り、シャネルやヴィトンなどブランド店が軒を連ねる高級ショッピング・エリア。






以前サントノレ界隈で開催されていた見本市、 ” RENDEZ-VOUS FEMME / ランデヴー・ファム” は、 数シーズン前から 会場を 10区にある ”Le Tapis Rouge / ル・タピ・ルージュ” に移動。 他の見本市会場と少し離れるため多少不便ではあるものの、ここではエッジの効いた若いデザイナーの作品が多く見られるので、 ベーシックな物を扱わないショップのバイヤーたちには特に注目されています。
ここではフランスのブランドは少なく、アメリカ、イギリス、ドイツなど外国のメーカーが多く集まっていて、 今シーズンからは、 ”ル・タピ・ルージュ” の他に、近隣の”Passage du Desir / パサージュ・デュ・デジール” にも会場を増やす盛況ぶりです。





右は”ル・タピ・ルージュ” の内装。他にはない独特の演出と雰囲気になっています。



その中から1つ、イギリスのブランドで アイルランド人とドイツ人のカップルがデザイナー (写真左) の、 ” OSTWALD HELGASON / オズワルド・ヘルガソン ” をご紹介。
独特のオリジナル・プリントが印象的で、2007年春夏のテーマは Diaghilevの バレエ ”Sheherazade / ”にインスピレーションを得た 20世紀初頭のインドがイメージ。
アイテムではオーバーサイズのシャツやローライズのパンツ、素材ではトラディショネルなプリント、シルクやシフォンの使い方に 注目してもらいたいとのこと。
より詳細は、 彼らのホーム・ページ http://www.ostwaldhelgason.comでご覧になっていただけます。


ざっと レディースの見本市を回っただけでも これだけの数。
また、プレタポルテのランウェイ・ショーを見て 発注するバイヤーは それぞれのブランドのショールームとアポイントメントを取って、 連日ハシゴで買い付けをすることになります。

さらに、これら以外にも見本市よりも小規模な合同展等も 行われているので、全て回ろうとするのは大変な時間と労力を要すること。 メーカーやブランド側にしてみれば、プレスやバイヤーが集まるこの時期に商品を展示しなければならないし、 バイヤー側にしてみれば、これだけ沢山の商品を1度に見て、買い付けられる場所は無い訳ですから、 この時期のパリに、売る側、買う側、そして報道する側を含めたファッション関係者が 世界中から集まって来るのは 当然と言えば当然のこと。

でも一度パリ入りすれば、過密スケジュールをこなすために走り回らなければならないから、こうした人々が ”ファッションの都” パリをどの程度エンジョイしているかは微妙なところ・・・。 実際のところ、「一度で良いから仕事以外でパリに行ってみたい」 と思っているファッション関係者は非常に多いのです。







最後に、バイヤーの間で密かなお楽しみとなっている(?) お土産をご紹介。
左はトラノイで入場の際配られるバッグ 右は[SHOWROOM] こちらは会場全体にナチュラルなブランドが多くここにもその雰囲気が感じられる。 この時期、パリのあちこちで これらのお土産バッグをさげた人々を見かけることになります。


こうして 世界からファッション関係者が集まるファッション・ウィークもひとまず終了・・・。
次回は2月からのスタートとなります。



執筆者プロフィール: 神吉 まみ
日本で、ニット・メーカーで働いた後、1999年に渡仏。以来パリ在住。
フリーランスで、パターン・メイキングを始めとする服飾業に従事。パリコレの サポート等もこなしながら、現在に至る。