Jan. Week 4, 2015
★ Should My Friend's Enemies Be My Enemies, Too?
友達が嫌う 友達とは 仲良くしてはいけないのでしょうか?


秋山曜子さま、
このコーナーで相談を寄せられる皆さんと同じく、私もキューブ・ニューヨークのサイトを読み続けています。
特にこのコーナーや、キャッチ・オブ・ザ・ウィークを読むと、筋道が通っていて、正確に分析して、それをはっきりと名言する女性が 日本人でもいらっしゃることをとても嬉しく、心強く感じます。
私も曜子さんの強さや、凛とした態度を見習いたいと思うのですが、なかなか難しいことばかりです。
このメールを差し上げたのも、曜子さんだったらどう対処されるかを伺いたいと思ってのことです。 もし、ご迷惑でなければご回答いただけると助かります。

私はある外国に暮らしています。外国に住んでいると、どうしても仲良くなるのは日本人同士ですので、 日本人女性のグループに属している感じになっています。 そのグループのリーダー的な女性をAさんとすると、 私とAさんは 共通の知り合いが多いので、自然と仲良くなった間柄です。
そのAさんが少し前に、それまで表面的には仲良くしてきたBさんと ある噂がきっかけで、完全な敵対関係になってしまいました。 それ以降はAさんの自宅のブランチに招待されて Bさんの悪口大会になったり、 Bさんの親友が主催したイベントに、AとAさんの仲良しが明らかに招待されていないなど、 敵対関係が悪化するようなことが続いていて、 Aさんやその友達からは、Bさんの悪口についての電話やメールを何度も貰いました。
その中には、 私が元彼に利用されていたことを、 Bさんが 恋愛の悪い例として 皆に話していたことも含まれていましたが、 それはBさんだけでなく、日本人の友達の殆どが 私のいないところで噂していたことでした。

Bさんは、確かに人間的には ちょっと おせっかいだったり、プライバシーを尊重しない、おしゃべりなところもあるのですが、 私が日本から来たばかりの時に いろいろな人を紹介してくれたり、 現地のいろいろな事を教えてくれたりして、私は恩を感じている人です。
それと 私は1年ほど前からBさんの誘いで、あるサークルに加わっていて、その活動の度にBさんと顔を合わせますが、 Bさんは 私がAさんの友達と知っていても、特に私に対する態度を変えてくることもありません。

ですが、そんな私のどっちつかずの態度はAさんには面白くないようで、 先日Aさんに呼び出されて、何故AさんがBさんと絶交することになったかを 細かく説明されて、 「それでも貴方がBさんと友達で居たいのなら、私はもう貴方が信用できない」と言われてしまいました。
確かに、その話では BさんがAさんについて 酷いことを言って、その噂が広まって、Aさんが迷惑を被っているのですが、 Bさんだけが責められるべきではないと私は感じました。 それに、Aさんの話は 全て人から聞いた話をつなぎ合わせたもので、本当にBさんがそう言ったのか分からないという感じです。 もしBさんがその噂を流したとしても、それが周囲からの情報で、ずっと悪い内容になっているようにも受け取れました。

Aさんは、以前から表向きはBさんと上手くやっていたものの、お互いにリーダー核なこともあって、 ライバル意識のようなものを持っていたこともあり、その噂がきっかけでBさんに対する 敵対心を強烈にしています。 もし私がこのままBさんと普通にお付き合いを続ければ 私のことも敵扱いするように思いますし、実際に脅しとはいいませんが、それをほのめかすことを言われました。
Aさんと仲が良い人からも 「まだBさんと仲良くしているの? 」、「あの人には気をつけた方が良いわよ。Aさんの話、聞いたでしょ?」などと、言われます。
私は年齢がほぼ同じなこともあって、Aさんのグループの人と 頻繁に食事に行ったりするのは確かです。 だからと言ってBさんとのお付き合いを止めたら、Bさんが気分を害すと思いますし、私はBさんに何も悪いことはされていません。 それどころか、お世話になった経験があるので、一方的にAさんの肩を持つ気にもなれません。

何だか、子供のグループの争いのようでみっともないと思うのですが、日本人社会は狭いこともあって 身の振り方に困っています。 どうしたら、双方と波風を立てずにお付き合いを続けられるか、アドバイスをしていただけたらと思います。 よろしくお願いします。

−S−





私がSさんのメールを読んで、まず思い出したのがマーク・トゥウェインの “It takes your enemy and your friend, working together, to hurt you to the heart: the one to slander you and the other to get the news to you.” (人を傷つけるためには、敵と味方(=友達)が共同戦線を張っているもの。敵はあらぬ噂を流し、味方はそれを伝えてくる)という語録でした。
職場でも、Sさんが属していらっしゃる海外の日本人社会でも、狭い人間関係のサークルで起こりがちなのが、 表向きに仲良くしていても、裏では 何を言われているか分からない という状況です。 私もかなり以前に、ニューヨークの日本人社会で Sさんと同様の経験をしたことがありますが、 こうしたことが起こるのは、当事者間の問題もさることながら、周囲の雑音も大きな要因の1つになっています。

Sさんのケースで言えば、Aさんがあらぬ噂話でBさんに腹を立てている様子を見て、 Aさんの周囲が Bさんを更に悪者にするために、Bさんが特に悪気が無くしたこと、言ったことを、 わざと湾曲させてAさんにフィードバックするという状況です。 そうしたフィードバックを聞かされたAさんは、更にBさんに腹を立てることになりますが、それは同時にAさんが 深層心理で聞きたがっている 「今まで自分が知らなかったこと」、「自分の背後で起こっていたこと」でもあるのです。
当然のことながら、フィードバックをした側は、それを聞いて驚いたり、腹を立てたりするAさんが 自分を信頼して、 自分の情報に感謝する様子を気分良く受け止めることになります。 そしてAさんと、仲良くなった気分、理解しあったような気分を味わうと同時に、 Aさんが その時に語っていたことを、別の友人に「新しい情報」としてフィードバックをするのも常です。

また ある程度の知恵に長けて、自分を守るため、自分を有利にするために噂話を使っている常習犯というのは、 まことしやかに 聞いた人が頭に来るような話をでっち上げては、その人の怒りやフラストレーションの矛先を 難無く自分が敵と見なす人に向けて、 自分は信頼できる友人として振舞ってしまうものです。
狭いサークルに、このような噂話を好む人、情報を操作しては 常に上手く立ち回る人が居ると、 誰もが疑心暗鬼になって、自分が周囲から取り残されないように、自分が周囲から嫌われないようにと 神経を尖らせることになります。 また「誰が自分のことを何て言ったか」を逐一気にしたり、それに腹を立てたり、「誰と誰が何時何処で何のために会っていて、どうして自分がそれに呼ばれなかったのか?」 などを凄く気にするようになったりもします。

確実に言えるのは、こうした噂話に翻弄されて、あっちに付いたり、こっちに付いたりする人というのは、 人間的には悪い人では無いかもしれませんが、友達として心から信頼できる人では無いということです。 友人の人格は自分が本人と接した印象や自分とその人との関係でジャッジするべきものであって、 噂話は「転ばぬ先の杖」のアドバイス的に受け止めることはあっても、それによって人を判断したり、付き合い方を決めるというのは あまりに乱暴だと思います。
ですので、Sさんが 「Bさんに何も悪いことはされていない上に、以前お世話になったので、噂を鵜呑みにして Bさんを避けたり、嫌ったりするお気持ちになれない」とおっしゃるのはごもっともだと思いますし、 それは極めて正しい考えだとも思います。

私の経験では、Sさんが 「AさんとBさんの両方と仲良くしているのが気に入らない」という理由から、Sさんを仲間はずれにしたいと言う人、 Sさんが誰と仲良くするべきかを指示したり、強制するような人との交友関係は続ける価値はありません。 こうした人々はどんなに交友関係を続けようと努力しても、やがては離れていきます。 また無理にお付き合いを続けたところで、今回のような問題が浮上するたびにSさんがストレスを貯めることになります。 ですからSさんが、どちらにも付かないという考えを貫いて、毅然とした態度でいらっしゃることが一番大切なのです。

でも、こうした狭いサークルのいざこざというのは、一度飽和状態に達すると 思わぬ方向に展開することも珍しくありません。
私がかつてニューヨークで目の当たりにした状況は、それまで噂を自在に操っていた 中心的存在の女性のことを、ある時をきっかけに 皆が陰で嫌い始めたということでした。 普通だったら何でもないはずのことが、大きないざこざに発展する理由は、常にその女性が 内容を勝手にアレンジした噂話として振り巻いては、 周囲を翻弄するからだということに、サークルの中のメンバーが気付き始めた というよりも、気付いていても それまでは口にしなかったことを、 徐々に本人の居ないところで確認し合うようになりました。

英語には、「The Enemy of my Enemy is my Friend」、すなわち「自分の敵の敵は友達」という言い回しがありますが、 これは言い得て妙で、それまで仲がこじれていた者同士が、共通の敵に気付くと 復縁したり、突如味方同士になることは珍しくありません。
周囲がどんな状況にあっても、トラブルに火種を提供するようなことを言う人はやがて信頼を失いますが、 人の誤解を解いたり、人間関係の潤滑油のように振舞える人というのは、 常に友情に恵まれるものです。

いずれにしても 少し時間が経過すれば、Aさん側の怒りのほとぼりも冷めるかと思います。 一度、怒りのほとぼりが冷めてきたら、噂話に翻弄される人より、 Sさんの方が 遥かにまともで、友達として信用と信頼に値することは、Aさんのグループの人にとっても理解出来るようになるはずです。
もちろん世の中には陰湿な人も少なくありませんが、もしそういう人たちと、今回のことがきっかけで縁が切れることがあれば、 それはそれで ラッキーだと思うべきです。

交友関係は、良い友達に沢山恵まれるに越したことはありませんが、質と量のどちらかを選ぶとすれば、 選ぶべきは質です。 噂や人づてに聞いた話で、直ぐに敵に回るような友達が100人居るより、自分を心から信頼 してくれる友達が5人居るほうが 遥かに心豊かな人生が生きられるものです。
自分に不必要な友人を失うことを恐れず、今回のことをきっかけに、誰が本当に信頼できる友達なのかを 見極めて頂くのが良いと思います。
人というのは、見ていないようでも 良く周囲を観察していて、表面的に周囲に合わせている人でも 頭の中ではどう思っているかは分からないものです。
自分をしっかり持って、常に自分が信じる通りに、裏表の無い行動を取ることが、人の信頼と、信頼できる友達を引き付ける鍵ですので、 是非 このまま頑張って実践してくださいね。

Yoko Akiyama



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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。




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