Feb. Week 1, 2013
★ Business & Friendship


こんにちは、長年の愛読者で、CJなど良いお買い物も沢山させていただいております。
私も是非、秋山さんにアドバイスを頂きたくて、メールしています。

実は私も、細々ながらインターネットで健康食品の通販をしています。 もう6年くらいになります。
ところが、昨年9月の初め頃だったでしょうか、突然 お友達の1人が、「私も通販を始めたいので 何をどうやって始めたら良いか」?と訊いて来ました。 自分で通販をやろうとしている割には、あまりにも何も知らないので、電話やEメールで 何度もいろいろなことを教えてあげました。
でもその後、 友達からは連絡が無くなって、どうしたかな とは時々思っていたのですが、 別の友達から彼女の通販のサイトの立ち上げのニュースを聞きました。 あんなに手取り足取り面倒を見てあげたのに、いざサイトがスタートした時には 何も言ってくれないので、 ちょっと不満を感じましたが、友達から送られてきた 彼女のサイトのリンクをクリックして唖然としました。
売っている商品が、殆ど私のサイトで売られている商品と同じなのです。 しかもちょっとだけお値段が安くなっています。

その直後から、私の通販の売り上げが大きく減りました。 最初は、今まで私から健康食品を買ってくれていた友達が、開店の”御祝儀”と称して、 友達のサイトからオーダーをしているのは承知だったので、あまり気にしていませんでした。 でも、その後も 彼女のサイトの方が安いという理由で、これまで私の通販で買ってくれたいた友達が、 彼女のサイトでばかり お買い物をしています。
聞けば、彼女は サイトの商品のお試しパーティーなどを 開いていて、 その場で お友達に かなりの割引で品物を売っているといいます。 もちろん 私はライバルに当たるので、パーティーへのお誘いは全く来ません。
友達は、私から買うのを止めたのを悪いとは思ってくれているようなのですが、 「もうちょっとお安ければ、あなたから買うのに」と言われた時は、値引きを請求されているような思いさえしました。 でもこれ以上値引きをしたら、私はやっていけません。

彼女のサイトのデザインは、私と彼女の共通の友達がしていて、 サイトでは 別の共通の友達が作っているビーズのアクセサリーを売っていたりして、 彼女の方がお友達ネットワークを使っているせいか、周りは私のサイトより 彼女のサイトを応援したがっているように思えます。
年末にも、友達の通販がスタートしてからの初めてのクリスマスということで、 皆が集まってパーティーをしたことを知らされましたが、 やはり私にはお誘いは無しで、通販のライバルとしてだけでなくて、 友達として外されている感じがします。

私は、売り上げが落ち込んだだけでなく、お友達が買ってくれる分を見込んで仕入れた商品が まだ在庫にあって、期限切れを心配している有り様で、 本当に情けない気持です。
ビジネスのやり方が分からない友達を助けてあげたのに、通販と友達関係の両方で、 こんな目にあうとは思いませんでした。
私が手取り足取り 教えてあげたのが間違いだったのでしょうか。 これから、友達とどうやって付き合って行って良いのかも分かりませんし、 どうやったら お値段をこれ以上引くこと無しに、彼女から買い物をするようになってしまった友達を、 再びお客として取り戻せるのかも分かりません。
お忙しいとは思うのですが、アドバイスをいただけら嬉しいです。



−K −






メールを拝見した限りでは、Kさんの通販のビジネスは、お友達からの売り上げにとても依存していたように思います。
私の経験から言えるのは、”ビジネスにおける友達” というのは パートナーでも、お客様でも、商品の仕入先でも、 非常に難しい存在であるということです。
友達というのは、個人的な関係が絡むので、純粋にビジネスだけの取引や、お金と物のやり取りだけに徹することが難しくなります。 ですから、よほど上手くやらない限りは、人間関係がこじれるのは非常に良くあることです。
したがって、新たに通販を始めたお友達にしても、 最初は華々しくビジネスをスタートしているかもしれませんが、顧客の中心がお友達である場合は、 近い将来、 今のKさんと同じような問題を抱えても、全く不思議ではありません。

小売のビジネスをしている人が、常々こぼしているのが、 友人に対して ディスカウントをして、利益を削って品物を提供しているのに、 友達だという甘えから、 無理な交換や、急ぎの注文など、普通のお客様が絶対に言わないような、わがままを押し付けられるケースが多いということです。
でも、 もし売る側が 友達にディスカウント無しの小売価格で 品物を販売すれば、 陰で ”ケチ”扱いをされたり、ネガティブな意味合いを込めて ”しっかりお金を取っていく” 等と言われることは、決して珍しくありません。

その一方で 友達から買い物をしようという人は、 「ディスカウントがもらえて、何かと融通を利かせてもらえる」 という理由から、友達から物を購入するケースが殆どです。 もちろん、中には 「同じお金を払うなら、お友達に儲けさせてあげたい」とか、「友達からの方が、安心して物が買える」 などと考える人も居ますが、基本的に買う側は、たとえ割引を貰って、金銭的には自分が得をしていても、 「自分の友達だから 買ってあげている」という意識を多かれ 少なかれ 持っています。
そんな売る側と、買う側の 意識のズレ というのは、時に様々な形で問題や感情のこじれ をもたらすものです。

買う側にしてみれば、同じ品物を友達から買うのであれば、安く売っている友達から買うというのは、 当然のことなのかもしれません。 でも、「もうちょっとお安ければ、あなたから買うのに」というのは、”ディスカウントのたかり” のようなもので、 お友達同士の会話とは思えません。
Kさんも お友達に対して、 これまでディスカウントを提供していたものとお察ししますが、 「これ以上、利益を削ったら やっていけません」と おっしゃるほどに 低利益のビジネスをしていたのであれば、これを機会に そんなやり方を改めるべきだと思います。
Kさんのビジネスは、生活協同組合ではないのですから、知り合いのコミュニティのために安く商品を提供するという 姿勢を改めて、定価を支払って物を買って下さるお客様の獲得に切り替えるのが現状の打開策だと言えます。

以前はKさんからお買い物をしていたお友達が、新たに通販をスタートしたお友達からばかり ショッピングをするようになったという背景には、ひょっとしたら 過去6年のビジネスの間に、お友達が 前述のような 金品のやりとりに 感情が絡んだ、何らかの 不満や問題を感じていたということが あるのかも知れません。 でも、それはKさんが悪いのではなく、一般のお客様との間であれば、全く問題にならない事であったりするのです。
私の考えでは、「友達との関係を大切に保って行きたい」と いう場合、金銭が絡まない関係で居るのが一番の得策です。
お金の貸借や、物の売買など、お金が絡むことは、交友関係に好影響をもたらすことは、まずありません。 ですから、ここで 「お友達=ビジネス顧客」 という関係を解消するのは、 Kさんの交友関係にとっても、良いことと判断するべきなのです。

ビジネスの見地からしても、例えば ニューヨークのデパート、サックス・フィフス・アベニューは、かつて商品を大量に仕入れて、 シーズンの半ばからセールをして赤字になっていましたが、その後、仕入れを減らして、商品の殆どを定価で 販売し、セール品を減らすことによってビジネスを立て直していました。 このことからも分かるように、利益を落として あくせく売るより、売れるユニット数は減っても、定価でビジネスをする方が 遥かに効率が良いのです。
したがって、”ディスカウントしなければ買ってくれない お友達顧客” を深追いする価値は無いと言えます。

お友達が新しく始めた通販とて、Kさんのビジネスより価格を落としているということは、 特殊な仕入れルートでもない限りは、Kさんよりも さらに利益を削っていると考えられます。
おそらく お友達が利益を削って、割引率を上げているのは、まだビジネスの経験が浅く、 通販を行なうのに どの程度の費用が掛るかを 分かっていないためだと思います。 私もビジネスをスタートした当初は、税金、人件費、クレジット・カードのプロセス・フィー等が 頭で描いているより ずっと額が大きいのにビックリして、 儲けているつもりでも、儲かっていないのを思い知らされた時期がありました。
ビジネスというのは、たとえ趣味で始めたとしても、事前に思い描いた以上のお金と労力が掛ります。 従って、新たにビジネスをスタートしたお友達にしても、その目的が何であれ、 利益が上がらなければ、やがて疲れて、遣り甲斐が見出せずに、 仕事に飽きてしまうと思います。

お友達に、 ビジネスのスタートの仕方を教えて差し上げたことについては、 ある程度まで教えてあげるのは、友達として間違っていなかったと思います。 でも、「何度もEメールや電話で・・・」というのは、少々親切過ぎたかもしれません。
今となっては、「敵に塩を送ってしまった」と後悔していらっしゃるかも知れませんが、私が知る限り、 自分が努力せずに、人にやり方を教わってスタートしたビジネスというのは、 大体3年以内で潰れています。
ビジネスは、立ち上げるより続けることの方がずっと難しいのは、既に6年通販を続けていらした Kさんでしたら、既にご承知のことと思います。 ビジネスは 人に教わりながら、見よう見真似で立ち上げることは出来ますが、続けて行くには それなりの熱意や 目的意識、運、ビジネスの才能等、様々なものが必要になってきます。

したがって、ビジネスをスタートしたばかりで、今は楽しそうにやっているお友達のことは、 もうお考えにならずに、ご自身の新しい顧客発掘を目指して頂きたいというのが私のアドバイスです。
ここで頑張ることによって、今の問題が Kさんのビジネスにとって 好結果をもたらすターニング・ポイントになると思いますし、 お友達とのお付き合いにしても、”通販の顧客” という関係が無くなった方が、 今後ずっと良好になるものと思います。

一見、不運と思われる状況から、幸運を切り開く人は多いのです。
なので、発想を転換させて頑張ってください。


Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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