Mar. Week 2, 2013
★ Friends With Business Mind


「CUBE NY」はお洒落で素敵な内容なので、9年前から欠かさず見ています?
秋山さんの豊富な人生経験からくるアドバイスが満載のこちらのコーナーも、毎回「なるほど?」と感心しながら拝読しております。
どうか、私の相談にものって頂けると大変有難く思います。

今、某ネットワーク・ビジネスをしている友人との付き合い方に悩んでいます。
そのビジネスはMLM(マルチ)と言われる分野で、生活必需品を扱っている会社です。 友人は、数年前から本格的にそのビジネスを始め、今や年収1?2千万に達する程になりました。 以前からバイタリティーがあり、人を説得する力がある女性だったので、そのような仕事に向いていたのだと思います。

案の定、私も誘われ続けています。
と言っても、「ビジネスとしてやらない?」という誘い方ではなく、「凄く良い物ばかりよ」と色々な製品の良さをアピールし、買わせようとする感じです。 私も良質な生活品には興味があるため、「へー、そうなの」と一応話は聞きます。 彼女も健康そうでイキイキと見えますし…。
うんざりしない程度にアピールされ続けていますが、私は買っていません。 というのは、幾つかの商品をくれたので使ってみましたが、悪くはないけれど、特別良かったという感想は持てなかったからです。
また、MLMという業態(自分の下に付いた会員が商品を購入すると、幾らかのお金が自分に入ってくるシステム)が私は苦手で…。 冷静に判断しても、かなりの悪評があるようです。 (そのため、彼らのFacebookやブログには、その会社名は一切出さない人が多いです)

それに、友人がそのビジネスや商品に心酔していて、高位の人達(年収が数千万?数億の人)を神のように尊敬する様も、何だかおかしいように感じます。 最近 私に「会ってみない?」と紹介する人も、必ず同じビジネス仲間です。「自分を取り込もうとしているのかしら…」と感じてしまいます。
ネットワーク・ビジネスでは、セミナーやパーティが頻繁に行われていて、それに誘われることもあります。 私はランチ会やちょっとした集まりに参加したことがあります。
そこには高位の人もいて、商品の素晴らしさを沢山アピールされました。 悪い言い方ですが、明らかに断るのが苦手な、カモにされるような人達も来ていました。(その後、会員になった人もいるようでした)

友人はこのビジネスの影響で、かなり性分が変わったような気がします。
元から上昇志向が強く、成功する事やお金を増やす事に熱心でしたが、ここ数年で更にそれが強力になりました。 そのためか、変な自慢が増え、セレブの如く振る舞うようになりました。弱者を取り込もうとする姿には、嫌悪感を感じることもあります。
私は彼女とは親友ではないけれど、良い性格のところもありますし、楽しい事を一緒に経験してきた歴史もあって、これからも会いたい気持ちはあります。 ただ、お伝えしたような状況下で ストレスなく楽しく付き合うというのは、もう難しいかなとも感じています。
よく「洗脳されてるから、フェードアウトしていった方が良い」とか、「ハッキリ嫌だと言った方が良い」等と聞きますが、秋山さんだったらどのように思われますか?
彼女達のように、そのビジネスや商品に惚れ込んでいる人にとっては、ハッキリ断られると、「センスのない人だ」とか、 「親切で薦めてるのに無下にされた」と、自らを否定されたように本気で感じるらしいので、困っています。
また、同じビジネスで彼女を介して知り合った方がいて、仲良くできそうな雰囲気なのですが、高位の人ほど人生がその色に染まってしまっているので、 やはり私も会員にならないと、そのうち 付き合いがキツくなってしまうでしょうか?

とりとめのない文面で申し訳ございませんが、良い方法や考え方がありましたら、是非ご見解をお聞かせ下さい。
どうぞ宜しくお願い致します。

−F −






私はニューヨークに住み始めてから、アメリカ人でMLM(マルチ)のビジネスをしている人には1人も出会ったことが無くて、 何故か 日本でも、ニューヨークでも、私が過去に出会ったこの手のビジネスをしている人は、 皆日本人です。
MLMビジネスは、 なかなか「No」と言えなくて、薦められるままに物を買ってしまう人や、 友人付き合いの一環で何となく物を買い続ける人、人に乗せられ易く、薦められた物の良さを鵜呑みにする人を 相手にしなければ成功しないので、 日本人はそのターゲットに ピッタリなのかも知れません。

私も過去に、久々に再会した元友人に”パーティー”といって招待されて出掛けてみたら、ビジネスの売りつけパーティーだったことがあります。 その場に来ていたのは、日本人が殆どだったと思いますが、そこで物を買わされた人は 帰り道に 「せっかく招待してくれたので、悪いと思ったから・・・」といかにも日本的な購入理由を語っていました。
ニューヨークに長い人は、やはり「No」がはっきり言える人が多いようで、そういう人たちはショッピング・パーティーというコンセプトをそっちのけにして、 喋っていました。 買っていた人は、ニューヨークに来て間もなくて 友達が必要な日本人、オファーを断れない性格の人、主催者と仲良が良いので、 買ってあげる義理があるという人たちでした。

それ以降もその元友人からは 健康ジュースを買わないか?とか、様々なオファーが来ていましたが、私は1回で懲りたので、 初めのうちは断りのメールを出していましたが、そのうち返事も出さなくなり、やがて彼女からの連絡も来なくなりました。 ”元友人” とここで書いたのは、今は全く交友関係が無くなってしまっためです。
彼女とは以来、一切ダイレクトなコンタクトはありませんでしたが、悪い噂は人づてで随分聞きました。 「金の亡者」とか、「人を利用して生きている」、「友情とビジネスをごちゃ混ぜにしている」といった指摘の他に、 「ずるい」、「意地汚い」という悪口まで、私の耳に入ってきました。
彼女の悪口を聞くようになったのは、私が彼女のパーティーに出掛けてから 2〜3年後くらいだったかと思います。

今、彼女がどうしているかは分かりませんが、どんなに人が良くて、「No」と言えない友人を相手にしていても、 そうした人達とて、頭脳もプライドのある大人ですから、自分が 多かれ少なかれ 利用されていることくらいは理解しています。
私が知る限り、長くそれに付き合わされた人ほど、怒りやフラストレーションが貯まっているのか、自分のことをビジネスで利用した人のことを、 悪く言います。最初は控えめに文句を言っているのですが、悪口を言い出したら止まらなくなる光景を何度も見て来ました。 そうなる前に、いくらでも利用されるのを止めるチョイスがあっても、言うなりにお金を払い続けた自分は気の毒な犠牲者で、 利用してきた友達ばかりを悪く言う例もありましたが、そんな状況だと冷静な周囲は 「どっちもどっち」的な見方をしていたのが実情です。

MLMビジネスをしている人との関係が難しいのは、 そのビジネスにカルト宗教的な洗脳力があるためです。
MLMビジネスをして、成功している人の多くは、Fさんもメールに書いてくださったように、製品に惚れこんでいて、 それを友人に広めることが慈善事業のような気持で行なっています。 したがって 良い製品を周囲に紹介すれば、喜んでもらえる、 製品を紹介するイベントで、参加者をお友達に紹介して、交友関係を広げてもらえる。 それによって自分にも精神的、金銭的な恩恵がもたらされるという、素晴らしい 生き甲斐のある仕事と信じて 行なっている場合が殆どです。
なので親身になって話を聞いて、必要そうなプロダクトを薦めてきますし、「その人を良くしてあげよう」、 「その人を助けてあげたい」 という気持が、「私が使ってみて凄く良かったから、貴方にも絶対良いはず」 というセールス行為に繋がっていきます。

見方を変えれば、人間というのは本来は善良な生き物ですから、「友人をカモにして儲ける」というビジネスだったら、 それに自信とプライドを持って 続けられる人は、そうそう存在しません。
友達に物を売りつけて、お金を儲けているという罪悪感が少しでもあれば、MLMが成功しないことは 業者側も心得ていますから、「人を幸せにする慈善事業」のようにトレーニング・プログラムを組んで、 「それによって自分と周囲がどんなに幸せになっているか」を事あるごとにアピールして、ビジネスに参加する人たちの モチヴェーションを煽ります。
人間という生き物は 自分が正しいと思うもの、幸福だと信じるものには心を開くだけに、そうしたものには洗脳され易いのです。 したがって、その価値観を否定されると、むきになったり、相手を見下したり、怒りを露わにさえします。

私の日本に住む別の”元友人”は、そのビジネスと友情をゴチャ混ぜにする姿勢もさることながら、そうした感情的な態度で 周囲から嫌われてしまいました。 その元友人と私がニューヨークで知り合った時は、彼女はMLMビジネスはしておらず、彼女が日本に帰国してから 始めたのが そのビジネスでした。
たまたま一時帰国することになり、以前NYに居た友人仲間とランチをすることになった際、 ”元友人”も誘って見ては?と提案したところ、幹事役の友達に 直ぐに却下されてしまいました。 理由は「MLMを始めてから、人が変わってしまった」ためで、誰も彼女には会いたがらないとのこと。
最初は、義理で買ってあげていた友達も、新しい商品の購入を断ったところ 「この私がこれだけ親身に薦めてあげているんだから、 友達だったら使ってみようと思うべき」とお説教されただけでなく、 「大体あなたは、見る目が無いからボーイフレンド1つを取っても、失敗しているのよ」とまで言われて、 完全に頭に来てしまったようでした。

その”元友人”も、前述の”元友人”も、MLMのビジネスにはピッタリなキャラクターで、情熱的で、押しが強いものの、気配りが出来て、 言葉で人を魅了できる話術もありました。 もし私がMLMのビジネスをしていたら、真っ先にリクルートするタイプなので、MLMで儲けている人が放っておくはずが無いのも納得のキャラクターだったのです。
したがって、MLMにドップリ浸かって、人が変わるほどにサクセスを収めることが出来る人には、そもそも人間的な魅力があると思いますし、 前述のように、そのビジネス・マインドの根底で、ドライビング・フォース(駆り立てる活力)になっているのは善意なのです。
過去に過ごした楽しい時間もさることながら、そうした人間的な魅力も、Fさんが 今もそのお友達と交友関係を続けたいと思われる要因になっているものとお察しします。

でも人間というのは、長い人生の中でいろいろな局面を迎えます。
私は母が占い師なので、人の人生を長い目で見ることを母から学びましたが、 そんな人生の中には、カルト宗教やMLMのようなものに洗脳され易い時期、一時的に本来の自分とは異なる行動を取ったり、 価値観が変わってしまう時期というのがあるのです。その局面はもちろんFさんにも訪れるものと思います。
そうした局面を迎えている相手に、以前と同じ付き合いを望むことは出来ません。 それを望んで、以前と同じようにお付き合いをしようとすれば、Fさんがストレスを感じるだけでなく、時に傷ついたり、誤解を受けることもでてくると思います。

でも、だからといって交友関係を一切絶ってしまう必要もありません、
距離を置いて、友人関係を維持していれば、いつかその局面が去って お友達が以前の自分自身を取り戻す時がやってきますから、 そうすれば以前のような友人関係に戻れると思います。
それまでは、 「友達とはお金をやり取りするような仲になりたくない」というようなシンプルな理由で、 お友達のビジネスとは一線を引く姿勢を取ることをお勧めします。 お断りの理由は、シンプルで一貫したものが一番です。事態を丸く収めようとして、余計なことを言えば 言うほど、嫌われる原因になったり、 矛盾を指摘されたりします。 「あの人は、こういうポリシーの人」と思って、あっさり諦めてもらえる理由を掲げて、 どんなに誘われても その主張を曲げないのが、一番ご本人のストレスにならず、簡単に断れる方法です。
そうやって、ビジネスに巻き込まれないようにしながら、距離や時間を置いて、ストレスの無いお付き合いを心掛けてみてください。

「私も会員にならないと、そのうち 付き合いがキツくなってしまうでしょうか?」と メールのご質問にあったのですが、これについては Fさんが 「お友達になりたいのか?、会員になりたいのか?」を自問されてみてください。
友達は会員ではありませんし、会員は友達でもありません。 会員にならなければ 友達になれない人は、最初から友達ではありません。逆に会員同士だからといって 友達になれる訳でもないのです。

本当の友情は、距離や時間が離れても生き残ります。
それ以外はどんなに努力しても、時間やお金を使っても 離れて行く場合が非常に多いですし、 無理のある交友関係は、続けようと努力すればするほど、結果的に心に傷を残したり、ストレスや競争心をもたらす仲にしかなりません。
本当の友情は、無理をせずに維持できる関係で、お互いを信頼し、尊敬し合える関係です。 だからこそ一緒に居て、心を開いて 楽しい時間を過ごすことが出来ると同時に、 その友情から 心の支えや豊かさを得ることが出来ます。
なので、無理をしなければ付き合えないという友達、付き合えない状況にある友達を深追いするのは、賢明とは言えません。

私は、日頃は外交的で、毎晩のように友達とワイワイ時間を過ごして、フェイスブックに2000人もフレンドが居るのに、 定期的に落ち込んでは「自分には本当の友達は1人も居ない」と 泣いている人物を知っていますが、彼を見ていると、”友達は 量より質” を思い知らされます。

Fさんには、MLMのお友達との距離を置いたお付き合いと同時に、ご自分のために違う世界を広げてみることをお薦めします。 Fさんご自身が、何か新しいものに興味を持って活き活きと生活することが出来れば、 お友達の行動も気にならなくなると思いますし、お友達がビジネスをし難い存在になることができます。
MLMのビジネスでは、”乗り気でない人”、”疑心暗鬼の人”、”単に買いたがらない人”は お客になる可能性がある未来の収入源ですが、”全く興味、関心が無い人”というのは、 アプローチしても仕方ない存在なのです。
なので、MLMをしているお友達から来るストレスや、その友人関係について考えていた時間を、 何か別の物に向けて、心豊かに過ごすことを心掛けてみてください。

人は、悩み事や問題があると、何度も同じ所を 同じように突っついて、解決策を模索しますが、 答えは全く違うところにあったりします。
したがって、どんな時でも視野を広く持つということが とても大切である ことを、ご自分に言い聞かせて下さいね。


Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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