Mar. Week 3, 2016
★ Why I Always Have Anxiety?
何故、気付くといつも不安を感じているのでしょうか?


秋山曜子さま、
初めまして。キューブさんのウェブサイトと、曜子さんのコラムは長年愛読しています。 キャッチ・オブ・ザ・ウィーク も好きですが、このコーナーで皆さんのお悩みを的確に分析して、 明解なアドバイスをされいるのを読むと、気分が晴れたり、学んだりすることが多く、 いつも決して欠かさずに読んでいます。
私も迷った挙句、アドバイスをいただきたいと思ってメールをしています。よろしくお願いします。

私は、気が弱いというか、気が小さいところがあって、気付くといつも不安を感じています。 不安の原因は様々で、取るに足りないものも多いです。 でもそんな小さなことが 心に引っかかって不安の原因になって、 いつも何らかの不安を抱えているので、しばらく心から幸せだと思ったことがありません。
職場の人間関係や、仕事の内容について不安になることもあれば、 友達関係や、人に頼まれごとをされて不安になったり、 家族のことや、これから自分がどうなっていくのかなど、 ひっきりなしに 何かに不安を抱えています。 人に連絡をして、返事が来ないとそれも不安の原因になりますし、やらなければならないことが 沢山ある時も、それをやることを考えると不安になって、どこから手を付けて良いか分からなくなることがあります。
これを友だちに話すと 「うつ病になりかけてるんじゃない?」と無責任な診断をされたり、 「要するにストレスでしょ?」などと相手にしてもらえないことが多いのですが、 いろいろな事を心配したり、不安に感じているせいで、夜もあまりよく眠れなくて、 ベッドに横になってからもずっと悶々と考えてしまうことが少なくありません。
通勤電車のなかでも、不安に思うことを考えてしまうことが多くて、 本当なら楽しいはずの友だちとの食事の時などにも、 会話のちょっとしたことから、不安を思い出してしまうことあります。

曜子さんだったら、こんな不安な気持ちへの対処について何かアドバイスを下さるかもしれないと思って ご相談しました。 他のもっと深刻な悩みを抱えている方と比べると、お恥かしいような問題ですが でも私の中では 重要になりつつあるので、お時間があったらアドバイスをよろしくお願いします。
これからもずっとキューブさんのウェブサイトとこのコーナーを続けてください。 応援しています。 - S -




最初にSさんのメールを拝読した私のリアクションは、これは私がアドバイスするべきご質問ではないのでは というものでした。 というのも メールに書かれていた内容が アメリカ社会で増えている、アングザエティ・ディスオーダー(直訳すると不安障害)に 似ていたためでした。
でも改めて頂いたメールを読み直して感じたのが、Sさんの不安がある精神的な要因から来ているということでした。 それは英語でいう ”Self-doubt / セルフ・ダウト”、 すなわち自分自身やその能力、自分の強さや自分の運など、自分に関して自信が持てず、疑う気持ちがある状態です。 「仕事が時間以内にこなせるか?」、「自分が知らない間に友だちに嫌われているのではないか?」、 「家族に自分の暮らしぶりを批判されるのではないか?」、「自分の言った事で職場の仲間や上司の機嫌を損ねていないか?」、 という疑いの気持ちが常に不安を生み出すので、1つの問題が去っても、新しい事が起こったり、面倒な事が控えている度に 不安が生じて、モグラ叩きゲームのように 叩いても、叩いても収まってくれることがありません。

そうした不安な状態というのは Sさんが「夜も寝付けない」とメールに書いてくださった通り、 健康状態にも悪影響を与えます。 睡眠が浅く、短くなることで ストレス・ホルモンが出易くなりますし、ストレスは代謝能力をスローダウンさせる一方で、 食欲を煽る、もしくは減退させます。 当然のことながら、そうした状況は集中力や、記憶力にも影響を与えますので、 楽しいはずの時間に仕事や人間関係の不安が割り込んできたり、仕事をしようという時に集中できず、時間だけが過ぎていく状況を生み出します。 うっかりしたミスや物忘れで 二度手間が増えて、 時間とエネルギーを無駄に消耗することになります。

そんな負の連鎖的な状況が続くと、本当にアングザエティ・ディスオーダーになってしまう場合もありますが、 それを食い止めるためには 自分への疑いを払拭して 自分に自信を取り戻さなければなりません。
自信というものは、私の見解では2通りの身に付け方があります。 1つは達成感を積み重ねることによって身に付ける方法。 もう1つは苦境を乗り越えることによって身に付ける方法ですが、 どちらの自信の方が いざという時に自分を救ってくれるかと言えば後者です。
私は、ニューヨークに来てからというもの、辛いことが起こる度にそれをしっかり日記に書きとめてきましたが、 それは後から読み返すことによって、「あれを乗り越えたのだから これくらいのことは大丈夫」という気持ちになることができました。 逆に達成感によって身に付く自信というのは、一度その達成から遠ざかると「今の自分には、多分あんなことは出来ない」という 疑いの原因になってしまうケースもあります。

”苦境を乗り越える”というと 大変なタスクのように思えますが、精神面で しなければならない事はたった1つです。 それは「自分は大丈夫」と言い聞かせて、それを信じることです。 Sさんがこれまで不安に思って、夜も寝られず 悩まされた問題を振り返ってみて下さい。 その最悪のシナリオを想定したとしても、Sさんが死んでしまうこともなければ、一文無しになることもなく、知り合い全員から嫌われることもないはずです。
Sさんを不安にする状況は、Sさんがご自身でメールに ”取るに足りないものも多いです”と書いていらっしゃる通り、 深刻に捉えるべきでないものが殆どなはずです。 Sさんは、それよりも もっと大変なことを過去に何度も乗り越えて来ているはずですので、 本来なら それらは恐れたり、不安に思う必要が無いことなのです。 毎日の小さな不安材料が Sさんの人生を台無しにすることなど 決してありません。
そう考えて 不安が襲ってきても「自分は大丈夫」という しっかりした気持ちで それをブロックする習慣さえ付ければ、 自分の中にひっきりなしに不安を生み出す状況から解き放たれるはずです。

人間はそんなに弱い生き物ではありませんし、女性なら尚のことです。 自分が弱いと思っている人、Sさんのように気が小さいと思っている人は 自分の強さに気付いていないだけです。 一般に 人間的に強いと言われる人は、強く生まれたとか、強くなったというよりも、自分の中の強さを引き出した人です。 すなわち、強さは誰にでも備わっているのですから、Sさんもご自分を弱い人間だと思い込んで、 その強さを閉じ込めてしまおうとはせずに、、「自分はこんな事くらいでは どうにもならないくらいに強いから大丈夫」 と言い聞かせて、不安を払拭してください。

私の考えでは、人生をポジティブに生きるか、ネガティブに生きるかは、自分を信じるか、疑うかです。 自分を信じれば、周囲の信頼する人との間に友情や愛情が育ちますし、 それらが精神の安定基盤になるので、気持ちにゆとりや豊かさが生まれて、 人にも優しくなれるのです。
自分を疑えば、自分の能力、周囲の人や状況にも疑いの目を向けることになりますので、 信頼関係が育たず、常に不安定で心の安らぎを得ることができません。 自分が嫌われているのでは?、利用されているのでは?という詮索に神経を擦り減らしますし、 中には敵だと疑う人間を排除しようとして 余計なエネルギーや時間を使う人も居ます。

生きている限り トラブルに見舞われたり、不安に感じることは防げませんが、 そんな荒波の防波堤になってくれるのが 「自分は大丈夫」と信じる気持ちです。
Sさんも、ご自分のこれまでの不安や苦境を振り返ってみると、状況は異なっても それらが全て 弱音を吐いてしまう自分、トラブルに押し潰されそうになる自分、 諦めたり 負けてしまいそうになる自分との戦いだということに気付くことと思います。
ですからこの機会に ご自分を信じて 疑わず、 細かい不安に動じる事無く、大きなトラブルに見舞われた場合には それを乗り越えていける強さをご自分の中から見出して頂きたいと思います。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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