Mar. Week 4, 2013
★ No Appreciation


友達に教えてもらって、このサイトを知りました。
以来、ずっと読み続けて、ファッションやビューティーだけでなく、人生についてもいろいろ勉強させて頂いています。 いつも、秋山さんのコラムを感心しながら読ませて頂いているので、信頼してご相談に乗っていただきたいと思ってメールをしています。

私が過去2年ほど仲良くしているのが、5歳年下の女性なのです。
友達というより、先輩・後輩のような仲で、私が彼女にファッションから、恋愛を含む 人間関係までいろいろアドバイスをしてあげるような感じですが、 気が合うので、一緒に出かけて、話し込むことが とても多くて、過去2年近くの間、私が最も長く時間を過ごした友達かもしれません。
でも友達というには、あまりに私の持ち出しが多い仲ではあります。 彼女が友達の結婚式に着ていく ドレス選びに私が付き合ったり、私は以前出かけたことがある有名レストランに、彼女が行きたがるので 連れて行ってあげたり、彼女のために何かをすることが多いのです。
私の方が年上なこともあるのですが、職種の関係で収入はずっと多くて、彼女は未だ将来何がしたいか分からないこともあって、 お給料が安い仕事をしています。なので、いつもお金に困っていて、 一緒に出かけると、私が払ってあげるケースが殆どです。

そうなってしまったのは、私が彼女が失業中に知り合ったためで、「仕事が見つかるまでは、私が払ってあげる」と 言っていたら、仕事が見つかってからもそれが続いてしまい、今では2人で出掛けると、私が払って当たり前という感じです。 私が年上で、収入が多いので、本人は悪いとは思っていないようなのです。
彼女が低収入でもやっていけるのは、他にも年上の男性(彼氏ではない人)が彼女にしょっちゅうご馳走してくれたり、 お芝居を観に連れて行ってくれたりしているためで、収入が低くても 周りに 助けてもらうのが上手いですし、それを特に悪いとか、迷惑を掛けているとは思わずに、サラッと面倒を見てもらって、本人はケロッとしているという感じです。

でも、私は彼女よりは収入は多くても、振り返ってみると かなりのお金を彼女の食事代に払ってきたので、 そろそろそういう関係ではなくて、普通に自分が食べたものは自分で払うような間柄になりたいと思って、 あえて高いレストランには行かないようにしてきましたが、一向に自分が払おうという気配は見せてくれません。
私は、彼女のためにクリスマス、誕生日にはプレゼントもあげていますが、 私の誕生日やクリスマスに彼女に何かしてもらったことはありません。
金銭的なことだけでなく、彼女のためにはいろいろ親切にしてきて、友達に頼んで 彼女が行きたがっていたコンサートのチケットを 取ってあげたり、お医者さんを紹介してあげて、治療費を安くしてもらったり、 朝早くから並ばなければならない申し込みに彼女の替わりに並んであげたり、 ”尽くしている”といっても過言でもないくらいに、彼女に良くして来ました。
彼女の生活そのものも、私と知り合ってから随分改善されたと思います。

彼女もそれなりに喜んで、口で「ありがとう」、「助かった」程度のお礼は言ってくれますが、それだけです。 朝から彼女のために行列した時も、後からやってきた彼女と、申し込みを済ませた後 スターバックスで休憩していたのですが、 そんな時のコーヒー代さえ、私に払わせたのには、内心 唖然としてしまいました。
私に早起きをさせて、並ばせておいて、コーヒー代まで私に払わせるのかと・・・。
それだけでなく、時々彼女とは共通の友達と一緒に出かけるのですが、その会話の中で、 私のお金で払ってあげた有名レストランのディナーを、まるで自分のお金で出掛けたように話していたりします。

そんなこんなで、だんだん彼女に対する不満がつのってきていたところに、最近彼女に 新しくボーイフレンドが出来ました。 それは歓迎すべきことなのですが、彼氏は 彼女と同じくらい貧乏なのだそうで、彼の食事代を時々彼女が払っているというのです。
昨年のクリスマスや、2月の彼の誕生日にも、結構な金額のプレゼントを彼にしていて、 そんなお金があるのなら、どうしてこれまで 彼女に凄く良くしてきた私にコーヒー1杯、自分のお金で払うことが出来ないのかと、 情けなくなってしまいました。

最初は「見返りを期待して、親切にしている訳ではないから」と自分に言い聞かせていました。 でも、彼氏が出来てからの彼女のお金の使い方を見ていると、本当に今までの自分が馬鹿らしく 思えてしまって、悔しさも込み上げてきます。
彼女の性格は好きですし、良いところも沢山あるのですが、私が何をしてあげても、当たり前だと思って、口先で「ありがとう」と言えば それで片付くと思っているところは、どうしても納得できません。
だからと言って 「彼女に私のためにプレゼントを買って欲しい」と言っている訳ではありません。 自分でも、彼女に何をして欲しいのか分からない感じですが、食事くらいは割り勘にしたいとは思っています。
秋山さんにお聞きしたいのは、これをはっきり本人に言うべきなのかということです。 見返りを期待して親切にしてきたのではないですが、これは酷すぎると思っています。 でも本人は言っても分からないと思うし、自分で悟ることがあるとも思えません。
この不平等な関係を思うと、友達関係が続けられないようにも思えています。 支離滅裂な訴えに読めるかも知れませんが、お知恵を授けて頂けると嬉しいです。

−Y −






文面を拝見して、Yさんが年下のお友達のために とても良くしてきたことは手に取るように理解できる次第です。
また、いくら見返りを期待していなくても、してあげた好意に対して、いつも口先で 「ありがとう」だけでは、 報われない気持になっていくのも当然だと思います。

残念ながら世の中には、人がどんなに親切にしてあげても、それを有り難いと思わなかったり、大したことだと考えなかったり、 一言お礼を言えば十分だと思っていたり、もしくは 自分のために人がそのくらいのことをしてくれるのは当たり前だと 思い込んでいる人が居るものです。 恐らくその年下の女性も、そんな1人だったのだと思います。
こうした人々が、そんな「恩知らずな人間」になってしまった過程は、 往々にして成長期に 愛情を掛けられて育っていない、周囲に良くしてもらったことが無い ことが原因です。 人間は、愛情を掛けられてたり、人の好意を受けることによって、その有り難味や感謝の気持を学んだり、 自分が他の人に対して 同じように親切にする幸せ、人を幸せに出来る幸せを 身につけていくものです。

メールから拝見した限りでは、その年下の女性も 人格が形成される大切な成長期に、 与えられたり、注がれたりする愛情が無かった分、 人を利用したり、上手く立ち回ることで、必要なものを手に入れる生き方を身につけたのではないかと思います。
こうした成長期を過ごして、何となく上手くやってきた人というのは、それなりに世渡り上手ですし、 ルックスが良い等、人に良くしてもらえるだけの魅力がある人間である場合が多いのです。 でも 人を利用したり、 どんなに良くしてもらっても 感謝の心を示さない という姿勢を続けていれば、やがては 人が離れていってしまいますから、一見チヤホヤされているように見えても、 親友と呼べる友達が居ない、心を許せる友達が居ないという、孤独な思いをしている場合が多いのも事実です。

また、感謝の気持が足りない人というのは、自分が人に対して本当に親切にした事が無い人が多いのです。
ですから人に親切にするというのが、そう簡単ではないことも分かりませんし、親切にした人が 何をしたら報われるのかも分かっていません。
Yさんは、 「彼女に私のためにプレゼントを買って欲しい訳ではないけれど、彼女に何をして欲しいのか分からない」と メールに書いていらっしゃいましたが、Yさんが心の中で望んでいるのは、 口先だけではない、本当の感謝の気持を お友達が示してくれることなのです。

Yさんが連れて行ってあげたレストランの話を 共通のお友達としている時に、もし年下のお友達が 「Yさんが連れて行ってくれたから、初めて行ったけれど、凄く美味しかった」とYさんの顔を立てたり、 感謝の気持を示すようなコメントをすれば、Yさんの好意は それで報われるのです。
誕生日やクリスマスのプレゼントにしても、彼女が それを使う度に「凄く使い易くて、本当に重宝しているの。ありがとう。」 などと、飽くこと無く 感謝の気持を見せてくれれば、Yさんは また張り切ってバースデーやクリスマスに プレゼントを贈ろうと思ったはずなのです。

世の中の多くの人々は、Yさん同様、見返りを期待して 人に親切にしている訳ではありません。 自分の親切によって、相手が喜んでくれて、幸せを感じて、感謝の気持を返してくれる、そのエクスチェンジのためにやっているのです。
ニューヨーク・エリアがハリケーン・サンディで大被害を受けた直後は、ニューヨーカーがこぞって 週末にボランティアをしていましたが、 こうした人々は ハリケーンで全てを失った人たちから 見返りを 期待していた訳ではありません。 何日掛るか分からないような 泥で埋まった家の清掃作業を、見ず知らずの人たちが手伝ってくれたお蔭で、あっと言う間に片付いた 様子を見て、涙を流して 感謝する被災者の姿に、これまで味わったことが無いような ”人を助けられる幸福感、満足感” を覚えて、 毎週のようにボランティアに参加していたニューヨーカーが沢山居たのです。
したがって、親切のお返しというのは お金が一銭も無くても出来ますし、言葉だけでも十分なのです。 親切にされた側の言葉に、心からの喜びや感謝がこもっていれば、親切にした側を 逆にハッピーにしたり、満足感、 時に達成感を与えることが出来ますし、それは金品のお礼やお返しより ずっとパワフルなものでもあるのです。

メールで頂いたご相談で、もし1つ、Yさんに落ち度があるとすれば、年下のお友達に感謝の気持が欠落していることを知りつつ、 ずっと一方的な親切を続けて、相手がそれを当たり前と思う状況を作ってしまったことかもしれません。
人間というのは、慣れると鈍化する生き物ですから、年下のお友達は いつも食事代を支払って下さる Yさんのことより、 予期せずしてディナーを払ってくれた別の人に対して、もっと感謝の気持を抱いているはずです。 金品が絡む親切というのは、頻度が高くなると、 受取る側の感謝の気持がどんどん希薄になって行きます。 それは年下のお友達のように、親切が分からない人なら尚のことです。

Yさんがメールで指摘されている通り、恐らくお友達には言っても分からないでしょうし、言われて分かるくらいだったら、 それまでに学んでいたことでしょう。したがって、何か文句を言えば、 Yさんが何らかの見返りを期待していると 曲解することは十分あり得ると思います。
ですから、お友達のために早朝から行列した時に、コーヒー代さえYさんに払わせたことで、唖然としてしまったのならば、 やはり それ以降は、年下のお友達がそういう人なのだと割り切ったお付き合いをした方が、遥かにYさんのストレスにならないのです。

友情関係というのは、フェアで対等な関係、お互いに尊敬と信頼が出来る関係でなければ、真の友情として 長続きしないというのが、私が常に思うことです。
人生の中でめぐり会う人の中には、一時的に長く時間を過ごして、 とても近しい友人同士になった気がする人が何人も存在するかと思いますが、もし無理をしている部分や、 不満に思っている部分があれば、やがては疎遠になっていく場合が殆どです。

Yさんは、年下のお友達が基本的に好きで、良いところもあるとお考えな訳ですから、 その良い部分のみで 彼女と付き合えるようにして、 Yさんにとって無理や不満を感じる部分を排除しなければなりません。
そのためには、まず「これから、お金を貯めなければならないから」など、ごくシンプルな理由をつけて、 今後、食事代を割り勘にする というポリシーを打ち出すのがファースト・ステップです。 もしそれ以降、お友達が会いたがらなくなったら、自分はお財布代わりに利用されていたものと 割り切ってしまった方が良いかもしれません。
芽生えない友情を期待して、精神的に煩わされるよりも、割り切ってしまった方が、 この先、またそのお友達に対して 必要以上に親切にしてしまいそうになった時に、ブレーキが掛ることと思います。

もちろん、Yさんが やってあげた方が良いと判断した親切をしてあげるのは構いません。 それをする場合は、お友達のためでなく 自分のためにしているのだと思って、感謝の言葉や気持が返って来なくても、 それは ”織り込み済み” と思って やってあげてください。

最後に、感謝の心が無く、日頃からは周囲を利用している人に限って、恋愛においては上手く立ち回れないことは多いのです。 もちろん相手が一方的に自分のことを好きな場合は、利用の対象にしてしまうだけですが、 本人が本当に相手を好きになってしまった場合は、逆に利用されたり、相手を好きになり過ぎて、感情が空回りしてしまう場合が殆どです。
というのは 前述のようにこのタイプの人は、 友達がやがて離れていってしまうために 孤独な思いをしている場合が多いので、 自分が好きだと思う人が現れると、必要以上に思いが高まったり、相手に良くしたり、相手に近付こうとします。 その結果、最初に盛り上がることはあっても、結局は その関係が長続きしないケースが多いようです。

長続きするカップルというのは、”恋愛感情よりも 友情で結ばれている” と言いますから、 やはり友達に感謝の気持を持てない人が、恋愛では上手く行くという事は無いようです。


Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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