Apr. Week 1, 2015
★ You're Too Agreeable!
日米の国民性の違い! 日本人は協調性があり過ぎ?


2年近くアメリカに住んでいる留学生です。
日本にいた頃からキューブ・ニューヨークが大好きで、アメリカ留学を決めたのもキューブさんの影響が大きかったと思っています。 特にYokoさんのコラムは欠かさずに読んでいます。
是非Yokoさんのアドバイスを頂きたくてメールをしました。

つい最近、3ヶ月くらい付き合っていたアメリカ人ボーイフレンドと別れてしまいました。 彼は私にとっての2人めのアメリカ人ボーイフレンドだったんですが、最初のボーイフレンドにも、 2人めのボーイフレンドにも、私はいつも同じことを言われていました。
それが、「You're Too Agreeable!/ ユーアー・トゥー・アグリーアブル」という台詞で、 最初に言われた時は、「アグリーアブル」っていう言葉を知らなかったので、調べたのですが、 「協調性がある」とか、「ナイス」とか、「快い」というような意味なので、 褒めてもらっているのかと思っていました。
それでも、最初の彼が段々と文句を言うようなかんじで「ユーアー・トゥー・アグリーアブル」というようになったのは 少し気になっていましたが、だからといって どうする事も出来ないと思っていました。

やがて、その彼氏と別れて 2人目のボーイフレンドと付き合いだしてからも、「ユーアー・トゥー・アグリーアブル」という 台詞を言われたので、2人が面識が無いだけに、同じことを言われて ちょっと驚いてしまいました。 2人目の彼には「どうして私のことアグリーアブルっていうの?」と訊いてみたのですが、 私は、映画を観に行く時も、食事をする時も、チョイスがあると 必ず「私はどっちでもOK。アナタの好きな方にして」といって、 自分の好みをはっきり言わないとか、会話をしていてもニコニコしながら相槌ばかり打って、全然自分の意見を言おうとしないといわれました。

その2人目の彼と別れることになった時には、私が何かの感想を聞かれると、「Very Good」とか「Nice」とか、 肯定的なことしか言わないけれど、特にエキサイトして褒める訳でもないので、本当にそう思っているのか、何が好きで、嫌いなのか、 全然分からないと言われて、「僕はもっと、意見や好みを はっきり打ち出して、自分にチャレンジしてくるような女性でないと 魅力を感じない」と言われてしまいました。

彼に言われて気付いたのは、確かに日本の社会では協調性が求められて、人に合わせることが大切だったので、 あまり自分の好みや考えをはっきり言わず、波風を立てずに 表面的に丸く収めるように努めて来ました。 ですから、それをアメリカに来てからも 知らず知らずのうちに続けているのだということに気が付きました。
彼にもそう説明したら、「まず自分の問題を認めるのが第一歩だから、それを自覚したのは良いことだよ」と言われて、 日本の国民性がまるで人間性の問題であるかのように扱われてしまいました。

私も、アメリカに来ていろいろな人種の人に会いましたが、確かに日本人は人に合わせる”和”を重んじる国民性で、 それで損をしているところもあれば、逆にそれが国民性の良さみたいに受け止めてもらえているところがあると思っています。 そう思いながらも、自分の意見をはっきり言って、それが受け入れてもらえるアメリカ社会というのも、 凄くうらやましく思います。いくら周囲に合わせる努力を知らず知らずのうちにしていても、何も感じないとか、考えていないのではありませんから、 自分の意見をはっきり言って、それが受け入れてもらえたら、どんなに良いだろうと思います。
でもやろうとしても、自分ではそれができません。自分の日本人としてのDNAの中に組み込まれているのではないかと思うほどです。

あと、映画や食事については、よほど嫌いなものでない限りは どちらが良いかと訊かれても、本当にどちらでも良い場合が殆どです。 私はどっちでも良いから、相手が好きな方にしてあげたいと思って、どっちでもOKと答えていただけなので、 そんなことで 人柄までジャッジされていたなんて、思っても見ませんでした。
でも友達にも時々「You're Too Nice」と言われることがあったりして、 アメリカ社会では自分は暮らしていけないのかな?と自信を喪失してしまう時があります。 だからと言って、自分の意見をはっきり言い過ぎて 日本に戻った時に人間関係をこじらせるようなキャラになりたくないとも思っています。
アメリカ人に「ユーアー・トゥー・アグリーアブル」とか、「ユー・アー・トゥー・ナイス」とか言われない程度に アメリカナイズされた日本人になるためには、どうしたら良いのでしょうか?
是非アドバイスをいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

−N−





このご質問で まず最初にクリアにするべきだと思うのは、Nさんがお友達から「ユー・アー・トゥー・ナイス」と言われることと、 ボーイフレンドから「ユーアー・トゥー・アグリーアブル」と言われることは、意味が異なるということです。
私自身を振り返っても、例えば友人が度々自分に親切にしてくれる場合、もしくは誰かにとても親切にしている様子を見た場合には、 「You're Too Nice!」と 言う場合は少なくありません。日本語にしてみたら、「貴方って、親切過ぎ!」みたいなニュアンスなので、 これについては褒め言葉と解して良いと思います。 もし「You're Too Nice!」と批判めいた口調で言われた場合には、「親切にする価値が無い人に対して親切にしている」、もしくは 「腹を立てて然るべき状況で、相手に良くしすぎている」という意味になりますが、私は別にそれが悪いとは思いません。
ですので、「ユー・アー・トゥー・ナイス」とお友達に言われることについては、深く考える必要は無いと思いますし、 ご相談いただいた本題とは異なることだと判断します。

さて、ボーイフレンドから「ユーアー・トゥー・アグリーアブル」と言われたことについてですが、Nさんもメールに書いて下さったように、 通常は「アグリーアブル」と言えばポジティブな言葉です。 でもポジティブなことも、それが過度になると人の神経を逆撫でしたり、逆に欠点として捉えられることがあることは容易に理解して頂けるかと思います。
アメリカ人が、自分のガールフレンドやボーイフレンドを 「You're Too Agreeable / ユーアー・トゥー・アグリーアブル」と批判する場合、 それには一般的に以下のような意味合いを含むと考えられます。


Nさんの場合、ボーイフレンドが実際におっしゃったように、一番最後の意味で言われていた部分が大きいかと解釈されますが、 アメリカ社会では自分の考えを持たない人、自分の考えや好みを表に出さない人というのは、あまり信頼されない存在であることは確かです。 というのは何を考えているか分からないからです。

Nさんは「あまり自分の好みや考えをはっきり言わず、波風を立てずに 表面的に丸く収めるように努めて来ました」と ご自分で認めていらっしゃいましたが、 アメリカ生活が長くなった私がここで不思議に思うのは、ご自分の好みや考えをはっきり言うことが、果たして波風を立てたり、 物事が丸く収まらない原因になってしまうのか?ということです。 もちろんその言い方が悪かったり、自分の考えや好みを押し付けようとするような態度であれば、顰蹙を買ったり、 批判を受けたりすることがあるかも知れません。 でも私は周囲に合わせるだけで 言いたい事も言わず、自分の好みや人間性を周囲に悟られずに生きるよりも、 自分の考えや好みをはっきり言って、自分の人間性を理解してもらった上で、交友関係や仕事関係などの 人との関わりを築いていくべきだと思っています。

そうやって、好きなものを好きと言って、好きな人に好きだという気持ちを伝えて、好きな人と物に囲まれて生きる一方で、 苦手な人や物との関わりをミニマムにしていく方が、 人生は遥かにシンプルで楽になります。自分が苦手な人間は、相手も自分を苦手にしているのが常ですので、 職場や社交の場でそうした人物と関わらなければならないケースでは、できる限りその接点を減らして、滞りなく済ませる方が、 無理に上手くやっていこうと努力するよりも お互いのためなのです。

もちろん、嫌いな人に対して「嫌いだ」などという必要はありませんが、 「好きな人に好きと言わない」、「好きなものを好きと言わない」、「自分の意見や好みをはっきり言わない」 というのは、どんな人間関係にも不完全燃焼をもたらします。
そもそも人と会話をしていて楽しいのは、それぞれが異なる見解や意見を持っているからで、そうした異なる視野から学ぶこと、悟ること、 違う物の見方や考え方が出来るようになることは多いのです。 本当は何を考えているか分からない人と、表面的な会話をしていても、何も学べませんし、興味深くも、楽しくもありません。 こうした会話は苦痛になることさえあります。

また私は 欠点はあっても 裏表が無い方が、人間として高潔だと 常日頃から思っていて、 一緒に居る人物に合わせて 言う事がクルクル変わる人は、信用できないと考えています。 こういう人は ある時は味方のふりをしていても、突然敵になったりするので、心を許すことが出来ません。 これは、日本人でも、アメリカ人でも、国籍を問わず同様だと思います。
確かに日本人は、自分の好みや 文句を言わず、我慢したり、人に合わせてしまう人が多いですが、そういった人がアメリカに来ると、 さりげなく自分の好みやリクエストを通してしまうアメリカ人の会話術から学ぶことが非常に多いようです。 ですので、”国民性の違い”などと 国境線を引くような考えを改めて、 自分を知ってもらうための自己主張をアメリカ人の会話術から学んでみるのはとても良いことだと思います。

Nさんが、アメリカのどちらに留学していらっしゃるかは分かりませんが、ニューヨークに関しては、 人間性について「Nice is not good enough in NY」と言われるのを良く耳にします。 人間性がナイスであることは大切であるけれど、ニューヨークではそれに加えてプラス・アルファの部分、 すなわち何らかのエッジが無いと、したたかなニューヨーカーに利用されるだけになってしまいます。
そういうエッジというのは、お寿司のワサビのようなもので、美味しさの中にピリッとした味わいがあるから、 ヤミツキになるというのは人間性も同じなのです。 Nさんは、そんなワサビにあたる部分を既にお持ちでありながら、これまではそれをあえて押さえていらしたかとお察ししますが、 これからはそういう部分をご自分の魅力としてアピールする術を身につけていただきたいと思います。 そうすることによって、アメリカ人からも 日本人からも、魅力的で、興味深いと思ってもらえるキャラクターになれるのは確実です。
例えば 訊かれたチョイスについて、本当にどちらでも良いと思っていたとしても、単に「どちらでもOK!」と答えてしまうよりも、 どういう理由でどちらでも良いと思っているかを、ユーモアやユニークな思考を交えて説明するだけで 好みは打ち出せなくても パーソナリティは十分アピールできるのです。

「周囲と同じ考えや意見を持っているから好き」といってくれる人はまず居ませんが、「人と違う考え方や意見を持っているから面白い」と 言ってくれるは沢山います。そうした人間性の面白みは、何処の国や街に暮らしていても、周囲の反感を買わずにアピールすることが可能です。
周囲に合わせて、自分の良さも悪さも押さえ込んでいたら、一生 「One of Many / 大勢の中の1人」に過ぎませんが、 自分をアピールする術を学んで、魅力を打ち出せば、「One and Only / ワン・アンド・オンリー」になれるのです。
ですので、これから出会う男性には、「There is no one like you!/君みたいな人は他に居ない!」と言わせるように頑張ってください。

Yoko Akiyama



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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。




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