Apr. Week 3 2017
★ "Did I Miss a Chance of Lifetime?"
私は一生のチャンスを逃してしまったのでしょうか?



Akiyama Yokoさま、
初めまして。
私はあるキャリアを夢見てこれまで一生懸命勉強をしてきて、その勉強にもかなりのお金を注いできました。 ですが、競争が激しい世界なので なかなかチャンスが巡ってこなくて、違う仕事をしながら生計を立てている状態が 続いていました。 だんだんお金が苦しくなってきて、将来のことを考えるて不安になっていた時に、 本来やりたい仕事とはちょっと違うものの、キャリアに繋がるかもしれないというアルバイトのお誘いを受けました。 そのお給料もびっくりするほど高いものでしたが、その場で即答して、その日のうちにアルバイトに行かなければならないのが条件で、 その日の後の予定を調整しようとしたのですが、どうしても出来ずに結局その話を断ってしまいました。 そのアルバイトの話をくれた人には私の連絡先を渡しておきましたが、 その後は連絡が来ませんし、わざわざ私に連絡をしなくても、その条件に飛びつく人は沢山居ると思うことを考えると 悔しくてたまりませんし、自分の生活を切り詰める今の状態を思うと、何故病気になったとウソをついてでも アルバイトの仕事を受けなかったのか、自分の機転の利かなさに情けなくなる思いです。

このことを仕事の先輩に愚痴っていた時に、このコーナーに相談してAkiyamaさんのアドバイスを受けるように勧められました。 最初は半信半疑だったのですが、バックナンバーを読んでいるうちに秋山さんと秋山さんのアドバイスのファンになってしまい、 是非私もご相談したいと思ってこのメールを書くことにしました。
どうしたら今の情けない気持ちや後悔の気持ちを取り去ることが出来るでしょうか。 そして今後同じような状況になった時に、目先の予定に捉われずに自分のための決断が出来るようになるでしょうか。
何かアドバイスをして頂きたいです。よろしくお願いします。
これからもこのコーナー、頑張って下さい。

- R -





RさんからのEメールを拝読して、私が真っ先に思い出したのが 「上手い話はあやしい話」という格言。 そして次に思い出したのが、私がニューヨークに来たばかりの頃に遭遇した ある犯罪の手口についてでした。

その犯罪の手口がどんなものであったかというと、 ある日交差点に立ち止まっていたところ、黒人女性が寄って来て 私に紙切れを見せて、そこに日本語で書いてある住所を読んで欲しいといと言ってきました。 その紙に書かれていたのは、どう見ても日本語に似せて書いただけの楽書きのようなもので、 その女性によれば、彼女のオフィスにやってきたゲストに、 彼女が手に持っていた封筒をその紙に書かれた住所に送付して欲しいと頼まれたとのこと。 でもそのゲストに連絡を取ることは不可能なので、もし住所が分からないのであれば、 封筒の中身をどうしたら良いか分からないと説明されました。 するともう1人別の黒人女性が現れて、私の目からはどう見ても彼女らがグルであるとしか思えませんでしたが、 2人はお互いに初対面を装っている様子が凄く不自然に見受けられたのは今でもはっきり覚えている事です。

そうするうちに、私に声を掛けてきた女性が持っている封筒を開けて、目を丸くしながら もう1人の黒人女性と私に見せたのが中に入っていたお札の束。 そして2人の黒人女性は 「このお金どうするの?」、「送り先が分からなかったら、自分が着服しても文句は言われない」 等といって、「お金を分けましょうよ、私の車がすぐ傍に停めてあるから、その中で分けましょう」と言って、 ただ通りがかっただけの私に大金をシェアする誘いをしてきました。
私はその2人の黒人女性の様子を既にあやしいと思っていた上に、2人の様子が空々しい演技に思えたので、 その誘いを断って交差点を渡り切ったところで振り向くと、 2人が私のことを睨みつけながら、いかにも最初から仲間同士であったという雰囲気でヒソヒソ喋っていたので、 これが何かの犯罪だったという確信を持ちました。

この手口は当時のNYの日本人に対して行われていた手段だったようで、 その後、日本人女性が私と同じ状況に遭遇したことを話しているのを耳にしました。 でもその時の女性は労せずして大金を手に入れるチャンスを逃した悔しいエピソードとして その話をしていて、それによれば当時の彼女は英語が良く分からなかったので、 大金を分けようという誘いの意味が分からなかったとのことでした。 彼女は私が全く同じ手口の女性2人組に遭遇したことを話したことで、 初めてそれが日本人女性をターゲットにした何らかの犯罪であることを悟ったようでした。

この話にはさらに後日談があって、私がこの時のことを もう何年も前の「キャッチ・オブ・ザ・ウィーク」のコラムに書いたところ、 読者の方からメールを頂戴しました。その方は黒人女性達に誘われるまま、お金を分けるために車に乗ってしまったとのことで、 具体的に何が起こったかについての説明はありませんでしたが、「あの時の恐ろしさを思い出すと、今でも身の毛がよだちます」、 「あんな誘いに騙された悔しさと悲しさで一杯です」と、読むだけでその時のことが 心の傷になっている様子が窺える文面でした。
その読者の方は「あの時は留学したばかりで、お金に困っていたので大金を見せられて判断が狂ってしまいました」と、当時の 状況を説明して下さったのですが、黒人女性の2人組は まさにそのために封筒に見せ金を用意して 犯罪に及んでいたのだと思います。

いずれにしても私がここでRさんに申し上げたいのは、お金でもキャリアのチャンスでも、 自分が最も欲しているもの、それを手に入れようとして苦労してきたものが いとも簡単に手に入るという誘いや取引は、最初からあやしいと思ってかかるべきなのです。
Rさんのアルバイトの話は 私がメールを拝見した限りでは、そんな「上手くてあやしい話」にしか思えませんでしたので、 都合がつかずRさんがその話を断ることになったのは、ご自身が機転が利かなかったのではなく、 「天のお守りがあった」と解釈して、ラッキーだったと考えるべきです。
人を欺いて利用しようという人ほど 魅力的な話を持ち掛けてくるものですが、 実際の世の中にはそんな上手い話は存在しないものなのです。 Rさんが逃したチャンスを悔しがる気持ちを引きずっていたら、次に同じような「上手くてあやしい話」が来た時に、 それをしっかり見極めることなく 飛びついてしまうリスクがあると思います。

また人を欺く意図がある人ほど、チャンスを掴もうとしない慎重さや、 決断が出来ない優柔不断さを責めて決断を急がせる傾向にあります。 私の知り合いには人生のお説教をされて、その通りだと思って決心したせいで、 キャリアや投資で騙された人が居ますが、それは騙す側の常套手段なのです。
こうした一見うまい話、出来過ぎのようなシナリオというのは、 散々苦労をした人、一生懸命努力をしている人が、「そろそろ自分にも運がむいて来ても良い頃」と 思う時期に舞い込んでくるものです。 それだけに 舞い込んだ話や誘いが自分に巡ってきたチャンスだと思い込みたい気持ちが、 真実を見極める力を鈍らせてしまって、後から振り返ると自分でも「どうしてあの時、あんな決断をしてしまったんだろう?」、 「どうしてあんなウソに騙されたんだろう?」と思う話を信じたり、誘いに乗ってしまうものなのです。
そんな上手い話に実際に騙された時の後悔は、チャンスを逃したと思い込む後悔とは比べものにならないことは、 前述の黒人女性2人組の手口を経験した2人の女性のリアクションからも想像がつくかと思いますが、 実際に上手い話に騙されてしまった場合には、金銭その他のダメージを伴うケースが多々あるものです。
ですから今後は「上手い話ほど疑って掛かるべき」ということを教訓にすると同時に、 一見大変で、不利な状況からもチャンスが生まれて来ることを信じて頑張って下さい。

Yoko Akiyama

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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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