May. Week 2, 2014
★ Fake VIP Treatment !?
友人の誘い: 好意?それとも故意?


こんにちは。10年以上アメリカに暮らしていて、いつもキューブさんで、何処よりも早くて、正確でトレンディな情報を読むのを楽しみにしている読者です。 お買い物も何度もさせて頂いていますし、Yokoさんが書いているセクションは、毎週必ず読んでいます。
このコーナーは、いつも皆さんの悩み事を読んでは、いろいろ大変なご様子を感じたり、それに的確にお答えしている Yokoさんを尊敬したりの連続です。
私も何かが起こったら、ご相談をしてみたいと思っていたのですが、本当に先日、不愉快で自分で消化できないことが起こってしまいました。 他の方からのご相談もあってお忙しいと思いますが、お時間がある時にアドバイスをしていただけたら光栄です。

実は、学生時代から長く付き合いがある友達が本を出版することになって、かなり有名なショップで出版イベントをすることになりました。
私のところにもEメールの招待状が送付されてきて、私たちの共通の友達に皆声をかけているけれど、私にも是非来て欲しいと言ってくれて、 「来てくれたらVIPルームにアクセスできるようにするから、そこでシャンパンとチョコレートをふるまうことになっているので、 久しぶりにおしゃべりしましょう!」 というような内容が書いてありました。
彼女の説明によれば、そのイベントに参加するには、まず会場になるショップのウェブサイトからチケットを購入しなければならないそうで、 「チケットを買ったら、人数の調整があるので必ず連絡して欲しい」と言っていて、 チケット代は戻ってくるという内容でした。
ですから、私はお友達が参加する場合は無料にしてくれるのだと思って、チケットを買って、でもそのままだとシャンパンとチョコレートを ただ食いするみたいで悪いので、出版のお祝いのブーケを持参して VIPルームに通されても恥ずかしくない服装で出掛けました。

ところが行ってみたら、会場になったショップは3階の一角が友達の出版パーティーのために確保されて、 そこに入るにはチケットが必要なのですが、VIPルームなどなくて、パーティーのエリアに入った人は、 全員が同じように ウェイターが運んで来たシャンパン・グラスを手にとって、 チョコレートのトレーをもったウェイターが回ってきたら、そこからチョコレートを摘んで、というような お店のショッピング・イベントみたいなノリです。
しかも、友達は遠くから手を振って、「来てくれてありがとう」と言ったきり、しばらく近寄って来ませんでしたが、 私がお祝いのブーケを持っているのを見て、それを受け取るだけのために挨拶にきたような、短い会話をして、 すぐに別の人たちとのお喋りに興じて、「久しぶりにおしゃべりしましょう」どころではありませんでした。 やがて司会者の人が現れて、友達とイベント参加者との間でQ&Aセッションが始まりました。 それで、鈍い私がやっと悟ったのが、「友達が言っていたVIPルームでのシャンパンとチョコレートを味わいながらの おしゃべりはコレだったのか!」ということでした。

それだけでも、かなり友達として軽く扱われたという感じでしたが、 その後直ぐに判明したのが、チケット代がお金で払い戻されるのではなく、彼女の出版する本代になっているということで、 差額は会場になっているショップの商品券として使えるというのが、「払い戻される」という意味でした。
私は、そもそもお祝いに友達の本を買ってあげるつもりではいましたが、でもこんな騙されたような形で 買わされているとは知らなかったので、とても気分を害しました。

その場で久しぶりに会った別の友達には、「こんなイベントは 本を買わされるだけなんだから、お花なんて持ってきちゃ駄目よ」 と、まるで私が世間知らずのように言われましたが、友達からもらったEメールは まるで私を特別な友達と思って、優遇するから来て欲しいというような文面でした。
本を出版した友達と私は、本当に長い付き合いで、ここ数年は会う回数が減っていましたが、 特別扱いしてもらっても罰は当たらないような親しい仲だったと思います。
でもその出版イベントに来ていた他の人に対する態度に比べると、 私は冷遇されていたという感じで、それも心に引っかかっていることの1つです。 そのイベントから戻って、気を取り直して友達に「忙しそうで、あまり話せなかったので、また今度ゆっくり会いましょう」と メールをして、改めて出版おめでとうのメッセージも書いたのですが、 その後、何の連絡もありませんでした。
そうするうちに友達として利用されたという思いが高まってきて、どうしても納得が行かず、 招待状のメールもイベントの出席者を増やすために、半分騙すような意図で送ってきたのでは?と 思うようになったので、「VIPルームなんて無かったし、チケット代も戻ってくるというのは、 本代とギフトカードになるだけで騙された気分だ」と、不満な気持ちをメールしてしまいました。
そうしたらそれには返事が来て、友達はイベントの詳細については知らなくて、 イベントを企画した出版社に言われたとおりのことを私に伝えたまでで、 チケット代については、「私がそんな勘違いをしていたなんて・・・」と言っていて、 同じメールを何十人にも送ったけれど、そんな文句を言ってきたのは私だけと言われました。

私は、その返事を受け取って、いかにも特別な友達みたいなふりをしたメールが他の何十人にも 送られていたということで、ショックを受けてしまいました。 私は、友達にとってもうその程度の存在になってしまったということなのでしょうか。 これからどうやってその彼女と付き合っていったら良いのでしょうか。 教えていただけたらと思います。

このメールを書いている最中に、別の友達でイベントに行かなかった人から「彼女の出版パーティーに行ったら、 シャンパンとチョコレート味わえる上に、お店のギフト・カードがタダでもらえるのだと思っていた」という メールが来ました。ですから、勘違いしたのは私だけではなかったのだと思います。

−M−





私の友達や知人でも本を出版した人が何人か居ますが、昨今は著者の買取枠が 出版の条件になっているケースも少なくないようで、中にはかなりアグレッシブなセールスを展開してくる人も居ます。
でもMさんのお友達のケースは、有名なショップでパーティーが開催されたのですから、ある程度 メジャーな出版だったものと思います。 メジャーな出版の場合、パブリシストが付いて ブック・ストアだけでなく、本の内容と関連が深いカテゴリーのショップや、 昨今ではスパ・リゾートやブック・クラブをツアーするなど、プロモーション・イベントを幾つも企画している ケースが殆どです。
そういった場合、確かにお友達がおっしゃる通り 著者はイベントの詳細についてあまり知らされていなくて、 当日に段取りを知らされるというケースは少なくありません。 また出版社側は、イベントの出席者を増やして イベントで販売する著書の数を増やそうとするので、 大勢の人々に送付しているインヴィテーション(招待状)をいかにも 少数の人々にエクスクルーシブに送付しているような印象を持たせる手法は、決して珍しくないというより、 むしろ常套手段といえるものです。

私の親しい友達も、2年ほど前に本を出版しましたが、その際に友人のEメール・リストをパブリシストから要求されたとのことで、 社交家な私の友達は、1200人程度の友達のEメール・リストを渡したそうですが、 その全員に同じ文面で、本を販売しているアマゾン・ドット・コムのページへのリンクを含む Eメールが送付されたとのことで、彼女の友達の一部はそれで気分を害したようだったと話していました。
ですから、Mさんのお友達のケースでも、お友達はEメール・アドレスをパブリシストに渡しただけで、 送られたEメールはパブリシストのフォーム・レター(定型レター)をアレンジしたものだったのかもしれません。 マーケティング手段として、著者個人の交友関係を利用するパブリシストやプロモーターは決して少なくありませんので、 Mさんが欺かれたような気分になったと感じたアプローチは、本の出版に限らず、様々な分野で行われているものです。

そうしたプロモーショナル・キャンペーンのシステムの中に組み込まれてしまうと、 本人が細かいことをコントロールすることはとても難しいようですし、著書のプロモーション中というのは、 かなり多忙なので、Mさんが出したEメールに直ぐに返事が来なくても、仕方が無いように思われます。
さらに、出版イベントでは既に友情が確立されている以前から親しいお友達よりも、昨今知り合ったばかりで 自分のキャリアに役立ちそうな人々を優先して時間を割いて、自分を売り込むのは 私の目から見ればビジネスの理に適ったことのように思います。
ですので、本の出版イベントというビジネス・オケージョンに、Mさんとお友達の友情という パーソナルなレベルの問題を持ち込むのは適切ではないように思います。
本の出版というビジネスの中で、Mさんとお友達の友情をジャッジしたり、 その時に受けたネガティブ・イメージを引きずってお友達に対して気まずくなるというのは、 何よりもMさん自身にとってプラスにはならないというのが私の意見です。

かく言う私は、とても親しい友人が本を出版した場合は、最初の1冊はご祝儀で買ってあげることにしていますが、 2冊目以降は、私自身があまり本を読むのが好きでないこともあって、買わない主義にしています。 また本を買ってあげるという事自体がご祝儀というのがアメリカの一般的な概念なので、 特にそれ以上のお祝いもしない場合が殆どです。
私の友達の中には、「知り合いが出版する本を買っていたらきりが無い」という理由で 一切買わない主義の人も居ますが、 一度決めた主義を貫いている分には、友人の本を買っても、買わなくても人間関係には特に影響しないようです。
ですので もし今後、Mさんの別のお友達が本を出版することになった場合、 Mさんの中でしっかりポリシーを持って、本の出版があくまでお友達にとってビジネスであり、 「友達だから・・・」という気持さえ持たなければ、どんな ”勧誘メール”が来ても 私情が絡まない対応が出来るように思います。
昨今はEブックを含めて、本を出版する人が増えているので、早いうちこ自分のポリシーを決めて、 それを交友関係の中で明らかにしておくと、今後こうした思いをせずに済むかと思う次第です。

Yoko Akiyama



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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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