May Week 2 2017
★ "Organizing Japanese Way"
"日本式オーガナイズがアメリカでウケた理由"



秋山 曜子様
こんにちは。cubeNYのHPはおそららく1997年か98年頃から読んでいる、本当に大好きなHPです。 今までこんなに長く一つのHPをみたことがないので、キューブさんは長い間お気に入りのHPです。

今回お尋ねしたいのは、アメリカの片づけ事情と片づけコンサルタントの近藤麻里恵さんが、 米TIME誌「世界で最も影響力のある100人」に選ばれたほど何故アメリカでもこれほど人気があるのか、です。 私は今までこんまりさんに特に関心がなく、ニュースで米TIME誌の件を知った時も 「なんで日本の片づけ人が選出されるんだろう?」くらいにしか思っていませんでした。

ですが、よく「部屋の状態はその人の心の状態」ともいわれます。 私は昨年、以前大掛かりに要らないものは処分したはずなのに気がついたらかなり増えてる!と、 自分のその状況に愕然としました。何か効率の良い片づけ方法がないかとネットで検索したところ、 近藤麻里恵さんのこんまりメソッドを知りました。ネットで書いてある通り、「ときめき」を基準に洋服から始めたところ、 すぐにこんまりメソッドの効果を感じ、もっと真剣に本を読んでみたく「人生がときめく片づけの魔法」を買い“片づけ祭り”を開催しました。 常に整理しているつもりでも、驚くほどのファッションアイテムや本類、なんとなく小物や雑貨などがたくさん、 ずっと持っていた思い出の品など、今までの人生で一番の片づけをしました。
こんまりさんの本は世界の30を超える国で翻訳出版されておりますが、 アメリカでは「The Life-Changing Magic of Tidying Up」という題名で 米Amazonでもベストセラーになっています。 私が思うのは、アメリカにも元々、たくさんの片づけメソッドの本はあるはずなのに、 何故、アメリカで近藤麻里恵さんの片づけはあれほどまでに受け入れられたのでしょうか。
アメリカの片づけ事情も含めて秋山さんのお考えもお伺いしたくメールをお送りいたします。
よろしくお願いいたします。

- M -





私が最初に近藤麻里恵さんとその著書について知ったのは、ニューヨーク・タイムズ紙が そのスタイル・セクションで彼女について取り上げた記事で、 それが掲載されたのは、 Time誌が 2015年度版の"The 100 Most Influential People(最も影響力のある100人)" に 村上春樹氏と共に日本人として近藤麻里恵さんを選出した少し後だったように記憶しています。
私の友人で近藤麻里恵さんの著書を読んで片付けを実践した女性も、そのNYタイムズ紙の記事を読んで 著書に興味を持ったと言っていたので、 タイム誌よりもニューヨーク・タイムズ紙の方が彼女の知名度を大きく高めるのに役立ったメディアだと思います。 それほどニューヨーク・タイムズ紙の方が全米においても影響力は絶大なのです。

近藤麻里恵さんはニューヨークの紀伊国屋書店のような日本の書店ではなく、 バーンズ&ノーブルズというアメリカのブック・チェーンで著書のサイン会が行われた極めて珍しい日本人著者です。
Mさんは「アメリカにも元々、たくさんの片づけメソッドの本はあるはずなのに、 何故、アメリカで近藤麻里恵さんの片づけはあれほどまでに受け入れられたのでしょうか?」というご質問を下さったのですが、 アメリカには、片付けを含めて掃除を行う業者、ライフスタイルに合わせてクローゼットをカスタム・デザインする会社、 オーガナイズ(片付け)のエクスパートは存在していますが、 片付けに関する著書は「殆どない」と言えるほどに少ないのです。
というのはアメリカでは片付けやオーガナイズというのは、マーサ・スチュワート・リヴィング誌や オプラ・ウィンフリーの月刊誌「O(オー)」、グッド・ハウスキーピング誌のような 雑誌に掲載されるネタであったり、朝のバラエティ・ショーのセグメントで取り上げられる話題と見なされていたのに加えて、 「片付けの本を読む時間があったら、とっくに片付けている」というようないかにもアメリカ的な考えも このカテゴリーの本が出てこなかった原因とも言われます。 ですから近藤麻里恵さんの著書のサクセスは、そんなニッチを上手く突いた部分も大きかったと思います。

アメリカは基本的に日本よりも住居が広く、ウォークイン・クローゼットに下着からTシャツまでを吊る人が少なくないので、 そんな住宅事情の違いのせいで近藤麻里恵さんのメソッドがそのまま100%活用できる訳ではないことは、 2015年当時、ご本人もアメリカのメディアのインタビューで認めていらしたのを覚えています。 それでもアメリカ人にとって近藤麻里恵さんの本が興味深かったのは、それまでのオーガナイズのエキスパートの助言では 物を捨てたり、処分して 減らすことは奨励しても、どういう基準で捨てたり、処分するものを選ぶべきなのかまでを 教えてくれることが無かったことが1つ。 そして捨てたり、処分したりする物に対する 後ろ髪を引かれるような思いを 断ち切るためのポジティブなフィロソフィーを説いていたことも興味深かったのだと思います。
同書のブックレビューの中には、「物を処分する基準を持って、処分に際しての罪悪感や 名残惜しい気持ちの整理の仕方を学んだ」というものがありましたが、確かに オーガナイズ&片付けのコンセプトを精神面にまでストレッチしたというのは 新鮮なコンセプトとして受け入れられたと思います。
ですので、近藤麻里恵さんの著書がアマゾンの”禅”のカテゴリーにもランクインしていたのは納得できるところです。

アメリカ人の片付けについて言えば、前述のようにアメリカの方が家が広いので、 クローゼットは勿論のこと、キッチンや子供の部屋に至るまで、収納スペースに余裕があるのは言うまでもないことです。 都市部を除いては完璧な車社会ですので、今ではオンラインでもオーダーが可能ですが、車でストアに出掛けて、 日用品から食料までを纏めて買い込んで、食材はパントリーに、日用品はストアレージ・スペースにストックしておく他、 日曜大工道具から、ガーデニングのグッズ、スキーやサーフィン、サイクリングなどのスポーツ・イクイプメントなど、 その収納のカテゴリーも、家族のライフスタイルを反映して多岐に渡っています。
このため片付け&オーガナイズについても、そのやり方が多岐に及ぶ訳ですが、 やはり最もオーガナイズが必要なのは衣類、すなわちクローゼットで、これは先進国では共通の状況だと思います。

私が見ていて国籍に無関係に共通だと思うのは、一時的に片付けやオーガナイズに対するやる気が高まって、 一気に掃除をして物を捨てる人、そしてその後は物を買わないポリシーをトライするような人の方が、 そのポリシーの糸がプツンと切れたり、時間が経過すると、 元通りの状況に戻ってしまうことです。 それよりも使った物をきちんと元の場所に戻して、時間がある時に定期的に掃除や収納の見直しをする人の方が 常にきちんとしていて、必要な物、自分が楽しめる物は購入しても、無駄になるものは買っていない様子が見受けられます。 これは恐らく後者の方が 片付けが日常の習慣として身に付いて、きちんとした状態で生活することがライフスタイルの一部になっている分、 自分の持ち物や頻繁に使うものについての正確な情報が頭に入っているからのように思います。
同様のことはドラスティックなダイエットをする人ほど、やがては体重が元に戻ってしまう一方で、常に健康的な食生活をしている人は、 自分の身体に何が良いかを理解して、フィットした体型を安定して保っているのと同じように思います。

ショッピングについて言えば、無駄遣いをしないと決めて 新しい物を増やすことを拒んでしまうと、 いつも同じ物ばかりに囲まれているうちに 「流れの無い水は腐る」という状況に陥って、 どんなに部屋が片付いていても、退屈で張りの無い生活と人生になってしまいます。
また、禁欲的で物を買うのを控えている人ほど いざお金を使おうとする時は 実用的でも似合わない服、 便利に見えてそうでないもの、機能的であっても持っている姿があまり感心できないもの、 健康に良いと言われて実際には効果が無いもの等を選ぶ傾向があるよう見受けられます。 ですから無駄遣いはいけませんが、ある程度人間らしい消費活動を続ける方が、 ショッピングにおける”カン”や嗅覚が保てる分、結果的に生きたお金の使い方をしているというのが 私の観察の結果です。

そもそも人間というのは生活をリフレッシュするために、定期的に何か新しい物を取り入れることが大切です。 それは新しいスキンケアやサプリかもしれませんし、新しい服やバッグかもしれませんし、新しいエクササイズであったり、 新しい人間関係であるかもしれませんが、そうした新しい物を受け入れるためには、 それを収納する場所や自分のスケジュール、そして何より自分自身がオーガナイズされていなければ十分に活用することは出来ません。
ニューヨークのように大金持ちの家でもクローゼット・スペースが限られている街では、 リッチな女性達は新しい服を買うためのクローゼット・スペースを確保するために服をリセールで売りに出します。 すなわち新しいものを受け入れるために不必要な物を処分する訳で、 私自身も片付けやオーガナイズというのは、単にきちんと気持ち良く過ごすためのものではなく、 自分に必要で有益な物をより使い易い環境にして、不要な物を処分して 新しいものを受け入れるために 行うアクティビティだと思ってます。

Mさんが「部屋の状態はその人の心の状態」という言葉をメールに引用していらっしゃいましたが、 部屋が片付いている人というのは 往々にして自分のスケジュールや職場環境もオーガナイズされていますし、 身なりやメークなどもちゃんとしているもので、 そうしたきちんとした人にとっては、それが心の状態という一時的なものではなくパーソナリティ、すなわち人間性になっていて、 そうした人々にとっては きちんとしていない状況は耐えられない苦痛であったりします。
世の中を見回すと、やはり朝早く起きて、エネルギーがあるうちに仕事をどんどんこなして、時間に遅れず、 環境も生活もオーガナイズしている人達ほどサクセスを収めていますので、 結局のところオーガナイズやきちんとした片付けは 部屋だけでなく、ライフスタイル全般で行うべきということなのだと思います。

Yoko Akiyama

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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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