May. Week 3, 2013
★ Friends Hierarchy


秋山さんのコラムを10年以上読み続けているファンです。
このコーナーも、とても勉強になるので、過去のバックナンバーをしょっちゅう読み返しています。 いつも納得のアドバイスをされている秋山さんが外国に暮らして、いろいろな経験をされただけでなく、 その経験から様々なものを学びとって今日に至っている様子が 手に取るように分かります。 コラムでも、大胆な切り口や、発想を転換させたご意見をいつも感心しながら読んで来ましたが、 このコーナーは、日常の中の問題に当てはまる解決策や割り切り方が学べるので、更新をとても楽しみにしています。
このコーナーのお礼のメールを出そうとずっと思っていたのですが、この機会に ご相談もお願いしたいと思ってメールをしました。

ご相談したいのは、お友達付き合いをしている女性のことです。
彼女はとても社交的で、直ぐに人と友達になる、それもとても親しくなる特技があるのですが、 その理由は彼女が褒め上手だからなのです。 彼女は とにかく会う人、会う人、褒めまくって、相手を良い気分にさせて 仲良くなってしまう達人なのです。
それだけではなく 陽気に振舞っているので、 いつも話題の中心ですし、パーティーやレストランでのディナーも 彼女が皆に声を掛けることが多くて、表面的には皆に好かれています。
でも、だんだんと 彼女が誰の事でも、何でも褒めるので、褒められても嬉しくなくなるだけでなく、 大したことでなくても褒めまくる彼女が鼻についてきてしまいます。 中には、大したことでもないのに白々しいほどに褒められて、居心地が悪い思いをする人もいます。

最大の問題は、 彼女本人も 心から褒めている訳ではないので、彼女が 心の中では相手を馬鹿にしているような様子が、 付き合いが長くなるにつれて、皮肉っぽく褒め言葉に現れるので、言われた側も徐々にカツンと来ることが多くなってきてしまいます。
知り合ったばかりの頃は、彼女の褒め言葉が本当にそう思っているように取れますし、その言葉に気分が良くなってしまう人も多いのですが、 ある程度相手と親しくなると、徐々褒め言葉の中に見下すような意味合いが含まれるようになってくるのです。

例えば彼女より太っている女性が、ちょっとタイトなドレスをあまり見場が良くない状態で着ていた時に、 「私も、もうちょっとグラマラスな体型だったら ドレスがこんな風にタイトに着れるのに・・・」と言って その女性を居心地悪くさせたり、 別の友達が、クロエの服を来ていた時に それがブランド物の服だと分からなかったようで、 「xxxxさんが着ると素敵だけれど、私がこういう格好をすると、凄く安っぽく見えちゃう」といって、言われた友達は後からこっそり「安っぽい服で悪かったわね!」と 文句を言っていました。
別の友達に 男の子の赤ちゃんが生まれた時にも、あまり可愛いと絶賛するタイプのお顔ではなかったのは事実なのですが、 「男の子は顔より頭よ! あなたとご主人の子供だったら、きっと頭が良いわよ。ところで、ご主人って何処の大学だったっけ?」と、 褒めているのか、馬鹿にしているのか分からないような事を 明るい口調で言います。

でも、誰にでもそういう態度になる訳ではなくて、彼女が一目置いているセレブ系の友達等に対しては、 初対面の時と変わらないような 巧妙なお世辞を言いますし、 そういう友達の誕生日とか、出産祝いには、とっても高いプレゼントをします。
皆がビックリすると「いつも、お世話になっているから・・・」と言い訳しますが、 実際には、彼女の方がいつも 一目置いている友達の面倒を見てあげているだけです。
それに比べると、私を含む 殆どの友達は、褒め言葉のトゲで どんどん馬鹿にされてきているような印象を持ち始めています。 ですが 友達の内心はどうあれ、彼女は褒め言葉として言っているので、 言われた側は苦笑いで流すしかありません。
その友達は、交際範囲も広いですし、特に出会ったばかりの人には親切にしますので、 今も人気者に見えますが、付き合いが長くなってきた友達の間では、そんな褒め言葉に隠された彼女の本音を感じ取って、 彼女を良く言わない人も出てきています。 彼女は、一度見下した友達については、その人がどんなに彼女に良くしても お礼のメールもしないなど、 明らかに差別をしていて、そんな様子からも だんだん彼女が本当は どんな人なんだか、分からなくなってきています。

私も、昨年末頃までは彼女と上手くやっていて、彼女を陰で悪く言う人のことは無視していたのですが、 だんだん私にも、皮肉混じりの褒め言葉を言うようになってきて、私が大して役に立つ友達や自慢になる友達でもないので、 見下すような態度を取り始めたと 感じるようになりました。
このままだと、どんどん彼女の交友関係の外側にはじき出されて、 友達として扱われなくなるような気がします。 でも共通の友達が多いので、気まずい仲にはなりたくありません。
こういう友達とは、どういう付き合いをしていったら良いのでしょうか。

是非 秋山さんのお知恵を 拝借したいと思ってメールをしています。
他の方からの もっと深刻なご相談もあるかと思いますが、お答えいただけたら光栄です。

−C−






メールを拝見した限りでは、Cさんのお友達は 交友関係を広げるため、人に好かれるために 人一倍の努力をする 「ソーシャル・パラノイア」 のように思います。
このお友達は、人に好かれるため、交友関係を広げるために、「人を褒める」という行為がいかに有効であるかを熟知して、 それをオールマイティにずっと使い続けてきたと思われます。ですから、恐らく 今となっては人を褒めずに会話をする事の方が 難しくなっているかもしれません。
でもCさんが指摘されていたように、本当に称賛に値すると思っている訳でではなく、このお友達にとって 人を褒めるということは、 人と親しくなるための手段、人に好感を持ってもらうための社交手段ですから、 「相手の外観、実力、能力等を認めて、評価する」という 称賛の本来の意味合いが欠落した褒め言葉になっているのは 無理も無いことと思います。
その結果、最初は褒められて喜んでいた人でも、徐々に彼女が誰のことでも同じように褒める様子を観て 「あんな程度のことを、 こんなに大袈裟に褒めるなんて・・・」と呆れて、自分への褒め言葉がだんだん白々しく感じられてくるのは、ごく自然の成り行きです。
また、徐々に遠慮の無い関係になってくれば、知り合った当初のように 気を遣ったお世辞ばかりを言っていられなくなりますから、 日頃から言い続けている褒め言葉の中に、本音が介入してきて、かえってトゲのあるコメントになって来ているのだと思います。

私も以前、Cさんのお友達のように人のことを褒めまくる人、人付き合いに必要以上に努力する人に遭遇したことがありますが、 同じ社交的な性格でも、自然に自分らしく振舞って、人気と注目を集められるタイプと比べると大きな違いがありました。
先天的に人気や注目を集める魅力を持っている人というのは、第一印象で相手を引きつけて、相手の方から自分に寄って来るので、 努力することなく 人間関係が広がっていきます。 また、社交全般にナチュラルな自信を持っていますので、人が自分のことをどう思っているかは 細かく気にしません。 もちろん周囲から ジェラシーを受ける場合もありますが、それでも人気や注目を集める存在であることに揺ぎ無いのがこのタイプです。

一方、人付き合いに必要以上に努力をすることによって人間関係を広げるソーシャル・パラノイア系の人は、 第一印象は 必ずしも良いとは言えません。不自然に明るく振舞ったり、無理に愛想良くする姿が ”トゥー・マッチ”だという印象を与えることもありますし、 押しの強さで 人を誘ったり、過度に面倒見を良くして 近付こうとする場合も少なくありません。 人を褒めまくって 気分良くさせることも、その努力の一端です。
そうした努力をしながら交友関係を広げているだけに、周囲はそれを見て 「あそこまでは出来ない!」と感心したり、 「そんなに誰にでも良くしなくても・・・」と呆れることはあっても、ジェラシーを抱くことは無いようです。
さらにソーシャル・パラノイアは、友達が自分をどう思っているかを非常に気にするので、 誰かが自分の悪口を言っていたと人づてに聞いたりすれば、それが誰かを突き止めようとしたり、 ダメージ・コントロールの根回しに躍起になったりもします。

ソーシャル・パラノイアは、言ってみれば人間関係の 収集癖のようなものですから、 コイン収集家や、切手収集家のように、「集めているもの=友達&交友関係」 を出来るだけ沢山 手に入れようとしますが、 一度手に入れるとその価値によって、ランク付けをして、扱い方を変えるのが通常です。
収集家が、希少価値で、高い価格で売れるものを特別な収納棚に入れて、何処ででも手に入る物や、 高く売れない物を 纏めて適当に収納するのと同様、 人に自慢できる友達、役に立つ友達は大切にしますが、 その他大勢には、それなりの気遣いや 友情しか示しません。
要するに、交友関係に独自のヒエラルキーを持っていて、そのレベルに合わせた扱いをしているといっても過言ではないのです。

ヒエラルキーの頂点に近い友人は、どんなにその人を邪険にしても、利用しても、大切に扱ってもらえる反面、 ボトムに近い人は、どんなにその人に尽くしても、全く良い扱いをしてもらえません。
したがって、お互いを信頼したり、支え合うというような本来の友情のコンセプトはソーシャル・パラノイアには通じません。 自分を良く見せてくれる友達、役に立ってくれる友達が沢山欲しいだけなのです。
なので長くお付き合いを続けていても、このタイプとは 良い友達になれることはありませんし、 自分が交友関係のヒエラルキーの低レベルにどんどん下がって行って、馬鹿にされたような思いをしながらも、努力してお友達付き合いをするというのは、 Cさんご本人のプライドのためにも、お薦めできることではありません。

そのお友達とは、共通の友人が沢山いらっしゃるとのことですので、出来れば上手くやって行きたいというお気持は良く理解出来ます。
もし、彼女のようなソーシャル・パラノイアに好かれたいと思う場合には、彼女に良くして、その交際関係のヒエラルキーを上ろうとするのではなく、 彼女が一目置く友達、もしくは彼女の交友ヒエラルキーの高いポジションに居る人に好かれるのが一番なのです。 彼女本人に働きかけても、一度見下されてしまったら そこから上っていくのは、よほどの事が無い限りは難しいですが、 Cさんが 彼女にとって仲良くしたい友達と親しくしている場合には、パーティーでもディナーでも、Cさんにお声がかかるはずです。 この手段は、彼女本人とは距離を置いた方が 有効です。
すなわち お友達が Cさんの存在を、彼女が一目置く友人たちを通じて 見直してくれるのが 一番の得策なのです。 前述のように ソーシャル・パラノイアは人間関係を 自分の好き嫌いや、友達として合う、合わないでジャッジするのではなく、 自分を良く見せてくれる友達か?、自分に役に立つ友達か?でジャッジしますので、 本人にそう思われる存在になれば、大して仲良くしたり、気を遣ったりしなくても、問題なくお誘いを受けるくらいの関係でいられます。
ソーシャル・パラノイアとは 本当の友達になることはほぼ不可能なので、その程度の関係で居るのが一番と 言えるかと思います。

無駄な人間関係に費やす時間というのは、本当に無駄にしかなりませんので、Cさんの貴重なお時間は 別の大切なお友達との時間や、ご自身を高めるために使っていただきたいと思います。


Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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