June Week 1, 2013
★ No More Wining!


こんにちは、いつもCubeさんのサイト、特に秋山さんのコラムをとても楽しく読んでいます。 キャッチ・オブ・ザ・ウィーク は、私にとってずっと貴重な情報源でしたし、このコーナーは 人間関係や人生の勉強が出来て、とても有り難いです。
私もご相談したいことがあってメールしました。

お友達がワインのビジネスをしていて、4年ほど前から年に2〜3回の頻度で、自宅に私の知り合いや友人を呼んで ワイン・テースティングを 開いてあげるようになりました。
来てくれた人は、参加費はナシでも最低2〜3本はワインを買ってあげていましたし、1〜2ダースを纏めてオーダーしてくれる人も居て、 お友達のビジネスには随分貢献していたと思います。 ワイン・テースティングの際には、私がちょっとしたおつまみを何品か作って、人を集めてあげて、そのお返しにお友達がワインを半ダース 無料で提供してくれるというのが、いつの間にか暗黙の了解になっていました。

そろそろ またワイン・テースティングを頼まれそうな時期が近付いてきたのですが、私が先月 妊娠してしまったので、ワインを飲んだり、 ワイン・テースティングを開くような感じではなくなってしまいました。 私だけでなく、私の交友関係もこのところ妊娠したり、子供が生まれて授乳中だったりで、お酒を飲まなくなっていて、 もっと年上の交友関係は、体調を考えてお酒を控えるようになってきました。 中にはご主人がお医者様にお酒を止めるように言われたから、もうワイン・テースティングには誘わないで欲しいと、あらかじめ言ってきた友人もいます。
ですから、ワイン・テースティングをしようとしても、人を集めるのが難しくなってきました。 それに私も体調を第一に考えたい時期なので、お断りしようと思っていたのですが、今回に限って お友達が先に ワインを6本送りつけてきて、「またワイン・テースティング、よろしく」と言ってきました。
いつもはイベントの日にワインを持って来て、半ダース置いていく形だったのですが、今回は何故か送ってきたので 私は前金を払われたような気分で、ワイン・テースティングを開かなければならないような義務感さえ感じてしまいました。

もうちょっと安定するまで、お友達に妊娠について話したくないので、何とか妊娠にふれずに お断りしたいと思うのですが、あちらはビジネスでやっているので ただ「もうワイン・テースティングのお手伝いは出来ない」では納得してくれないように思っています。
と申しますのも、お友達はホーム・パーティーに無料でワインを提供している代わりにゲストに、ワインを買ってもらうという方針を掲げてビジネスをしていて、 私も彼女のワイン・ビジネスの恩恵を受けているパートナーのような形になっているのです。
この場合、どうやって断るのがベストでしょうか。

ワインのビジネスをしているお友達とは、数年前に共通の友人を通じて知り合いました。 私も当時はワインに興味があったというか、何も知らなかったので、いろいろお友達に教えてもらって、彼女から ワインを買ったことも何度もありました。
私は妊娠、出産、授乳ということになると、この先、お酒は暫く飲まないと思いますし、夫もお酒を殆ど飲まないので、 送られてきたワインの代金を支払ったとしても、ワインの行き場がありません。 でもふと考えてみると、今まで無料提供してもらったワインにしても、主人が飲まないこともあって、私が1人で自宅で飲んだこともありましたが、 ワイン・テースティングでワインが足りなくなった時に出してしまうことが多かったような感じです。 夫は、以前から私がワイン・テースティングを家で開いてあげることについては、あまり心良く思って居なくて、 これを機会に止めることには大賛成です。

どうして、今回に限って先にワインを送ってきたのかは分からないのですが、そのワインの箱を見る度に、気分が重くなって 困っています。
助言をいただけると嬉しいです。

−N−







まずは、妊娠おめでとうございます。
おっしゃる通り、体調を一番に優先させる時期ですので、ワイン・テースティングのホストはもちろんのこと、 それをお断りするストレスをさえ 避けたいこととお察しします。

頂いたメールの文面からは、Nさんとワインのビジネスをされているお友達とは、 個人的に深いお友達関係というより、ワインを通じた交友関係という印象を受けましたが、 もしそうだとしたら、Nさんはこれまで そのお友達に対して 非常に献身的に尽くしてきたと思います。
ワイン・テースティングのようなイベントを自宅でホストするのは、たとえホーム・パーティーが大好きな人にとっても かなりの時間と労力を要します。よく、ホームパーティーのホストは「大したことはしていない」と自分で言う場合は多いですが、 まず人を集めるという作業にしても、招待メールを送って、出欠を確認して、人数が足りなければ 更に何人の知り合いにも 声を掛けるというのは、頭で想像するほど短時間、かつ簡単に出来るものではありません。 特にお友達がワインを売るためのワイン・テースティングということなので、 ワインが好きで、 買ってくれそうな人を集めるとなれば、普通のホーム・パーティーより難しい作業になるかと思います。
加えて、パーティーをするとなれば、家の中で様々な準備をしなければなりませんし、その上にNさんはゲストのために おつまみまで用意されていたとのことですから、パブリシストと会場提供、ケータリングという大役を担当していたような状態です。 そんな大役を 自分で売っているワイン6本を提供するという、タダ同然と言える対価でやってもらえていたのですから、 お友達は Nさんの好意に かなり依存してビジネスを行なっていたと言えます。

頂いたメールに「お友達はホーム・パーティーに無料でワインを提供している代わりにゲストに、ワインを買ってもらうという方針を掲げてビジネスをしていて」と ありましたが、この言い分が通るのは Nさんがご自分のためにパーティーを開く際に お友達がゲストのためにワインを提供してくれる というケースです。 お友達のワインを売るために Nさんが開くワイン・テースティングの場合、お友達の行為は 物を売りたい人間が商品のサンプルを提供しているに過ぎません。
販売目的のサンプルというのは、”お試しサイズ”、”トライアル・セット”等と商品化されているケース以外は、 無料が常識ですので、 Nさんは、ご自宅のワイン・テーステイングで出されたワインについては、「好意で提供してもらった」 というような 意識を抱く必要は全くありませんし、ましてや ビジネスのパートナーのような形になっているということも 決してありません。
Nさんがビジネス・パートナーと言えるケースは、ご自宅でのワイン・テースティングの 売り上げのパーセンテージをNさんが受け取っている場合のみです。
恐らく お友達は、Nさんの他にも 自宅を提供してワイン・テースティングをして下さるお友達が居るかとお察ししますが、 交友関係をビジネスで利用していることを熟知しているからこそ、こうした話術で 利用される側に何らかのメリットを持たせているものと思います。 また、そうやって罪悪感や感謝の気持無しに、知人の好意に甘え続ける人というのは、 残念ながら世の中には少なくありません。

さて そのお断り方法ですが、お友達がどういうビジネスの方針を掲げていたとしても、Nさんがご好意でワイン・テースティングをホストしていただけですので、 詳細を説明することなく、「事情があって、これからはワインテースティングが開けなくなった」といってお断りするので十分です。 理由を訊かれたら 「ちょっと今は言えない事情で・・・」という程度で良いのです。
周囲のお友達がどんどんワインを飲まなくなってきている事などにふれる必要はありませんし、 ましてやご自身の妊娠についても、説明する必要もありません。送られてきたワインについては、 「主人が飲まないし、私も1人では飲まないので・・・」と言って、代金を支払うよりも、ごく事務的に返送をオファーなさるのが良いかと思います。
そもそもNさんとお友達はワイン・テースティングをホストする契約書を交わした仲ではありませんので、 Nさんの ご都合が悪くなったという理由で、一方的にお断りしても、あちらには文句を言う権利はありません。 ましてや、これまで Nさんの好意から お友達が受けた恩恵を考えた場合、文句を言える立場でもありません。

Nさんのメールから、「何とかお友達に納得してもらえるお断りの言い訳を考えなければ」というお気持を汲み取りましたが、 それはNさんの優しさであり、お友達のビジネスに利用されがちなポイントだと言えます。
Nさんのように、お友達に対して無償で良くしてあげられる人というのは、時に自分の責任が生じないところに それを見出してしまう場合があります。 Nさんがワイン・テースティングを開けなくなったら、お友達は売り上げが下がって困るかもしれませんが、それはNさんの責任ではありませんし、 ビジネスを続けていれば 「あてにしていたリソースが、使えなくなる」という事態は、全く珍しいことではありません。 Nさん以外にも、以前ワイン・テースティングをホストして、その後お断りする人は他にも何人も居たことと思います。
ですから、 「もう妊娠して、ワイン・テースティングがお手伝いできなくて、申し訳ない」という罪悪感の気持から、 「今まで、十分お手伝いしてきたので、妊娠を機会に 終わりにする」 という達成感の気持に切り替えて、 お友達に 今後はワイン・テースティングを開けないことを ごく簡単に、そして 悪いニュースとしてではなく ”ニュートラルな通知” という形で告げて頂きたいと思います。

その際に大切なのは 心苦しさから 「誰か他に ワイン・テースティングを開いてくれそうな人が居たら、紹介する」、 「ワインに興味がありそうな人がいたら、ご紹介する」というようなことを言わないようにすることです。
相手の気持を考えての配慮のつもりで言った言葉というのは、 人を利用するのに慣れている人や、人の気持に鈍感な人にとっては オファーに受け取れますので、 その後、「誰か他にワイン・テースティングを自宅で開いてくれる人、見つかった?」とか、 「ワインに興味があって、買ってくれそうなお友達が居るって言っていたけれど?」などと、 言ってくる場合があります。 Nさんのように 人のために良かれと尽くす方だと、そう言われて本当にワイン・テースティングをしてくれる人、 ワインをお友達から買ってくれそうな人を探して、お友達に紹介しようと努力しても不思議ではありませんし、 お友達もそれを期待するからこそ、何らかのプレッシャーを掛けてくるかもしれません。
そうなると、せっかく Nさんがワイン・テースティングのホストから解放されても、今度はお友達の セールス・レプのような立場で タダ働きすることになってしまいます。

以前、ヘアスタイリストの方に「親戚から、軽い気持で頼まれるヘアカットをどうやって断るべきか?」 というご質問を頂いた時にも申し上げましたが、 お断りする際には、余計な理由やセンテンスを加えると、そこから相手につけ込まれることになってしまいます。
断る際に 詳しく理由をつけると、「その理由が解決すれば、やってもらえる」と相手に思われますし、 「これを断る替わりに XXXでは協力する」とか「自分の替わりが居たら紹介する」というようなセンテンスを、相手への罪悪感から 言ってしまえば、自分が義務や責任が生じない立場にもかかわらず、それをしなければならない状況になってしまうケースは少なくありません。
それは相手が ワイン・ビジネスをしているお友達のように、周囲の好意に依存し慣れている人と、 Nさんのように 親切を厭わない人の間では特に顕著です。

相手にしてみれば、断られたという事実は、理由が何であれ変わることはありません。
ですから Nさんには、ワイン・テーステイングの件に限らず、簡単に、そして罪悪感を感じることなく、出来ないこと、無理なことをお断りする 習慣を身につけて、これからの妊娠、出産、育児といった大事業に、ストレスが出来るだけ少ない状態で 専念して頂きたいと思います。


Yoko Akiyama



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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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