June Week 3, 2016
★ "I Get Depressed, Often… "
頻繁に心が落ち込みます…、心は自分で鍛えられますか?


秋山 曜子 様
いつもこのコーナーと、秋山さんの他のコーナーをとても楽しみにしている大ファンです。
毎週素晴らしいアドバイスや、ニューヨークとアメリカの事情や情報をありがとうございます。 私は、強い人間ではないので 秋山さんのアドバイスを読むと とても勇気付けられて、他の方へのアドバイスを いつも自分へのアドバイスと思って読んで、時々涙ぐむこともあります。 こんな風に励ましてくれたり、アドバイスをしてくれたりする人が傍に居てくれたらと思うこともありますが、 かえって傍に居る人だと、いろいろな事情をがあって相談できなかったり、相談してもあてが外れたお説教をされたり、 変な預言者を紹介されたりすることばかりだったので、このコーナーは私にとって心の支えです。

私の問題は しょっちゅう 小さなことでも落ち込んでしまって、臆病になってしまうことです。 以前仕事でお得意様と揉めたことがあったのですが(実際にはあちらが一方的にわがままを押し付けてきただけなのですが)、 その時は夜も眠れなくて、会社で朝一番にEメールをチェックして、お得意様からのメールが届いていると、 それだけで落ち込んでしまい、メールを開くのが怖くて、昼間くらいならないとメールを読むことができませんでした。
私は嫌な事があって、憂さ晴らしがしたい時は1人でケーキ・バイキングに出掛けたりするのですが、 ケーキに癒されているのはその時だけで、お腹が一杯になって帰ってくると 体重が増えることを考えて後悔して、また落ち込んでしまいます。
ちょっと前には お見合いというほどではないのですが、紹介された男性と初めてデートをしましたが、 緊張して上手くお喋りができなくて、デートから戻ってきた途端に、恥かしい気持ちや情け無い気持ちで落ち込んでしまいました。

ストレス解消になるからと友達に薦められて、ヨガを始めてみたのですが、周囲が言うほどに精神的な効果が無かったのと、 先生が冷たい感じなので、何となく行きたくないと思っているうちに 行かなくなってしまい、自分は何て根気が無いんだろうと思って 落ち込みます。
友達に相談したら、「心を鍛えなきゃ」と言われて、薦められた本やウェブサイトを読んだのですが、 何となく、心について知っていることとか、以前聞いたことがあるようなことばかりが書いてあるだけで、 全然ピンと来ませんでした。

そこで、秋山さんに初めてのご相談をしてみようと思い立ちました。 こんなにしょっちゅう落ち込む私のような人間でも、自分で心を鍛えることができるでしょうか? そうであれば、どうするのが良いでしょうか?
秋山さんは、落ち込むようなことがあったら、いつもどうやって乗り越えていらっしゃるんでしょうか? 秋山さんと同じようには出来ないかも知れませんが、教えて頂けるととても嬉しいです。 よろしくお願いします。
これからもずっと秋山さんと、キューブ・ニューヨークを応援しています。

-C-




私も以前は細かいことを気にしたり、悩んだりした時期がありましたし、今も余計な事に気を回して 頭がパンクしそうになる事がありますが、私は自分では落ち込まないタイプだと自覚しています。
恐らく心の動き自体は Cさんと大差が無いと思いますが、私が落ち込まない理由は、 心配したり、悩んだり、ストレスが溜まるというのは”落ち込む”という状況とは異なると考えているためだと思います。 心配している時は 心配なだけで、落ち込んでいる訳ではありませんし、悩んでいる時や ストレスが溜まっている時も 悩んだり、ストレスが溜まっているだけで、落ち込んでいる訳ではありません。
英語で 落ち込むことは ”Depressed”と表現されますが、名詞の”Depression”は うつ病を意味する言葉です。 嫌な事や面倒な事、考えただけでウンザリするようなことは、外国に暮して自営業を営んでいたら 日常茶飯事で起こりますので、 その度に 自分をうつ病扱いしていたら 本当に精神障害を患ってしまうと私は考えています。
ですので まずは Cさんにも、もっとご自分の感情や精神状態、体調を的確に把握していただいて、何でもかんでも”落ち込んでいる”、”落ち込んでしまう” で片付ける習慣を改めて頂きたいと思います。 そうすれば、これまでご自身が”落ち込み”だと思い込んでいたのが、単なる睡眠不足や疲れであったり、 時間とともに過ぎ去っていくだけの心配事に過ぎなかったことがよく自覚できると思います。

それとは別に ”心を鍛える”ということですが、そのためには同時に”身体を鍛える&管理する”ことが不可欠です。
時に世の中一般では”心”というと”心臓”という臓器と結び付けて考えますが、実際には人間には”心”という身体の箇所は存在しない訳で、 心と思いこんでいるものは実は脳なのです。 医学界では長きに渡って、脳が身体に一方的にシグナルを送ると考えられてきましたが、それが近年になって 身体側からも脳にシグナルを送り出している インターアクティブな関係であることが医学的に立証されるようになりました。
したがって、身体の強さや健康さ無くしては、心の強さや健康さが実現することは難しいと言わなければなりませんし、 実際に身体の痛みに強い人は ハートエイク、すなわち心の痛みにも強いものなのです。

アメリカの医学、及び精神医療の世界で ストレスが溜まったり、気分が沈んでいる時に 最もやってはいけない事の1つに挙げられているのが、 自棄食いや自棄酒、特に砂糖、及び体内で簡単に糖分に変わる小麦系の炭水化物の過剰摂取です。 これによって、一時的に気分が高揚することがあっても、その反動が血糖値の乱高下や消化器官への負担という形で 身体にもたらされて、結果的に疲れ易くなって やる気が起こらない、消極的かつ引きこもりになるメンタリティをもたらします。
したがって、Cさんが憂さ晴らしで出かけるケーキ・バイキングはお薦めできることではありません。 糖分、塩分、脂肪分が多く、栄養バランスの悪い高カロリーな食事は、心と身体のパフォーマンスに大きな悪影響をもたらします。

また心のパフォーマンスに影響を与えるのは、睡眠やエクササイズといった日常生活のアクティビティも然りです。 睡眠、特にREM睡眠が不足すれば、集中力、決断力が鈍って、ボッとする時間が長くなります。 その快眠を得るため、ストレス解消のため、そして体重を維持するために 楽しんで出来るエクササイズを生活に取り入れることは、 体内の抵抗力も高めてくれるので、徐々に病気になりにくい体質に変わっていきます。

もちろん人はそれぞれ異なりますので、運動がどうしても苦手な人は メディテーションや、何らかのクラフトでも良いのです。 世の中の嫌なことを忘れて、暫し集中できるものを持つだけで、 自分を常に追い詰めている 不安やストレスから 解き放たれる時間が持てるのです。 人間の心理というのは不思議なもので、たとえ短時間でもそうした時間を持って、その感触を掴むと どんな状況にあっても それを使って精神的な息抜きが出来るようになってくるものなのです。

また心の健康を保つためには、住む環境や人間関係も大切です。 心地好い環境、心地好い人々に囲まれているべきで、 心が鍛えられていれば 不衛生で乱雑な環境や、ストレスフルな人間関係の中で問題なく堪えられるという訳ではありません。
さらに私が尊敬するココ・シャネルの語録に「気分が晴れなければ、まず髪を整えなさい」というものがありますが、 外観で自分のベストを保つことも非常に大切です。鏡で自分の姿を見て 自分に満足したり、自分が好きだと思えることは 幸福の証しであると同時に、精神が満たされていることを意味するのです。

要するに 心というものは 自分自身に与えるもの、自分が囲まれている様々な環境、自分自身の外観&演出に大きく影響を受けるものです。 守りに入って、消極的になればなるほど どんどん弱く、ネガティブになる反面、様々な経験をしてて、オープンになればなるほど、打たれ強くなるだけでなく、 小さなことにも幸福を見出せるようになります。なので心が強い人ほど幸せだというのが私の考えです。

かくいう私が「人間として強くなったかもしれない」と、生まれて初めて自覚したのは、8年前にランニングを始めて暫くが経過してからのことでした。 当初は週末に10キロ走ると、一度昼寝をして休まないと その後の外出が出来ませんでしたが、 今では 平日の仕事の前に12キロ走っても、昼寝などせずに普通に働いて、その後 食事に出かけたりもします。
私は 小学生の頃から長距離を走るのが大嫌いで、まさか自分がランニングを好むようになるとは思ってもみませんでしたが、 走るようになって初めて 自分の中でくすぶっていたネガティブなエナジーをポジティブに役立てる方法を見つけたという実感を得ました。 定期的に走るようになってからの方が、体重や食欲が安定して、夜も深く眠れて、風邪も殆ど引かなくなりましたし、 精神面においても 走り出す前まで悶々としていたことが、走り終わる頃には どうでも良いことに思えてくるので、身体を動かすことが私の精神にどれだけ ポジティブな影響を与えるかは 毎朝エクササイズをする度に実感しています。

脳の活動を活発にしようという目的の場合は、ランニングやスピニングなど有酸素運動をしない限り、すなわちヨガやウェイト・トレーニングなどでは 効果がないことは 様々なデータで立証されています。でも楽しんで出来る何らかのアクティビティはストレスの発散には役立つはずです。 その意味では、Cさんが通っていらしたヨガのように、何か自分の中で進んでやりたいと思えないものが 逆にストレスになったのは 十分に理解出来ます。でもそれは 単にヨガ、もしくはそのクラスが合っていなかっただけの話で、 Cさんに根気が無いという意味ではありません。
人間には自分を守る防衛本能が備わっているので、自分に合わないものは 人間でも、食べ物でもアクティビティでも、 何かしらの抵抗を覚えて 不思議ではないのです。 ですから、ヨガのクラスが嫌いで続けられなかったとしても、そんなことで落ち込む必要はないのです。

落ち込み易い人というのは、往々にして Cさんのように 直ぐに自分を責めてしまったり、 世の中のスタンダードが自分よりずっと高いと思い込んでいて、 不必要に自信喪失をしているケースが殆どです。
Cさんが紹介された男性と初めてデートをした際にしても、「緊張して上手くお喋りができなくて…」というのであれば、 また同じジレンマを味わうことが無いように、社交的な振る舞いを学ぼうと奮起するべきであって、 恥かしい気持ちや情け無い気持ちで落ち込んでいる場合ではないのです。 そんな後ろ向きな気持ちは、自分を甘やかしていることと変わりありません。
今の自分を改善したいと思うのであれば、自分を励ましながら努力するべきで、 情け無いとか、落ち込むなどのボキャブラリーは むしろ頭の中から消し去るべきものです。

これからCさんには 「自信を持って自分をアピールすれば、必ず受け入れてもらえる」と常日頃から自分に言い聞かせて頂くと同時に、 どんな小さな事でも良いので ”自分を向上させる努力=心を鍛えるアクティビティ”を毎日心掛けて頂きたいと思います。 それは、ヘルシーな食事でも、エクササイズでも、髪の毛が美しくなるトリートメントでも構いません。 自分の気分が良くなること、自分が好きになれること、自分にとってプラスになること、自分の経験や知識となるアクティビティを 毎日のように 積み重ねていくことによって、ご自身をポジティブでオープン、かつ積極的な人間にコンバートするよう努力してください。
それが功を奏し始めれば、Cさんは知らず知らずのうちに、何も良いことなど起こらなくても、日常生活で幸せだと感じられるようになるはずです。 そんな幸福を感じている人は、落ち込むことなどないのです。
前述のように、心が強い人ほど 幸せな人ですので、 心を鍛えようと思ったら、様々な角度から 自分自身が幸せになる努力を毎日心掛けて下さい。

Yoko Akiyama

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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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