June Week 4, 2013
★ How to Negotiate in Your Relationship


いつも ためになるコラムやアドバイスをありがとうございます。
初めてキューブ・ニューヨークにアクセスしたのは未だ大学時代でした。 今は もう結婚して、働く身ですが、いつも興味深い話題を提供してくださるので、長年アクセスし続けている唯一のサイトです。
私も是非 秋山さんのアドバイスを頂きたくて、メールをしています。

夏になると、主人の両親の別荘に滞在する習慣があるのですが、主人の両親がだんだん年老いて、 あまり別荘を使わなくなったので、昨年から 私たち夫婦、主人の姉夫婦が滞在しない時は、 身近な知り合い等に使ってもらっていました。
滞在した人たちは 通常、帰る時に きちんと掃除をして、ゴミを捨てて、冷蔵庫の中もキレイにして出て行ってくれるので、 全く問題は無かったのですが、たった1グループだけ極めてマナーが悪い人たちが居ました。 それが事もあろうに主人の部下達のグループだったのです。
部下達が何人でやって来てどんな風に泊まっていたのかは分かりませんが、 部下達が使った1週間後に私たち夫婦と友達夫婦の4人で滞在したところ、 別荘の中がとにかくタバコ臭くて、トイレのゴミ箱には使用後の生理用ナプキンが捨ててあって、 私達が到着した時には悪臭を放っていました。 それだけでなく、冷蔵庫の中には牛乳とオレンジ・ジュースが入っていて、それが腐っていましたし、 床も汚れて ベタベタしていて、その時の滞在の最初の2日間は掃除でつぶれてしまいました。
部下達は、もちろん無料で滞在しているだけでなく、洗剤やトイレットペーパーなどは使いたい放題で、 他の人たちのように買い足して行ってくれることが無かったので、その後に滞在した私たちは 買出しも一苦労でした。 滞在した人は、後からいろいろお礼をしてくれましたが、部下達は主人に口頭でお礼を言った程度です。
もちろんお礼が欲しくて別荘を使ってもらっている訳ではないので、そんなことは構わないのですが、 ホテルや貸し別荘のように お金を払うことなく、タダで滞在したからこそ 気を遣って掃除をしたり、使った生活物資を買い足して いってくれるのは常識だと思うのです。ましてやそれが上司の別荘だったら尚のことではないでしょうか。

私は本当に頭に来て、 自宅に戻ってから 夫婦喧嘩になってしまったので、 この時に 主人に 「もう部下には 2度と別荘を使わせない」と約束してもらいました。 ところが、1年経ったら そんな事をすっかり忘れてしまったのか、忘れたふりをしているのか、 先週になって 「部下に今年も別荘を使わせて欲しいと言われた」と言いながら帰って来ました。
私は、別荘の汚れた状態と、その掃除の大変さがまだまだ鮮明な記憶として残っていますので、 もちろん大反対でしたが、主人は「でも部下達は金が無いから、うちの別荘にでも泊まらない限りは 旅行なんて出来ないんだよ」と同情的でした。 そこで 「来た時と同じ状態にして帰ってくれなければダメ」、「室内は禁煙」と条件を付けたのですが、 主人は滞在する人に、アレコレ指示するのは嫌だと言います。

主人は別荘の件に限らず、部下に甘すぎるところがあって、 時々利用されているのでは?と思うほど、親切にしてしまう場合があります。
飲み会の会費を取らずに、全員分を払ってあげたり、 仕事が長引いた時の全員分の夜食を払ったりとか、 気前が良すぎて、私が時々文句を言うほどです。
私の常識から考えると、上司の個人の別荘を使わせて欲しいと頼むなんて信じられませんし、 上司に別荘を使わせてもらって、あんなに汚して帰っていくというのも信じられません。
主人の部下がこの夏も滞在したら、過去の前例があるだけに その後の様子を見に行かないと、 どうなっているか 心配ですが、そんなことをいちいちやっていたら こちらの予定が狂ってしまいますし、 また夫婦喧嘩をするのが目に見えています。
それに昨年、私が散々掃除をした後でさえ、主人の姉夫婦が滞在して、義姉から 「タバコ臭かった」と文句を言われました。 義姉は、弟である主人には滅多に文句を言わないのですが、私には細かい文句を言ってくるので、 結局夫の部下が汚して行った別荘の文句が来るのは私なのです。
どうして、主人がそこまで部下に良くして、私の迷惑を考えてくれないのか、とても不満に思っています。
今は「別荘の予定を調整しているから」 といって部下に返事を待ってもらっているのですが、主人を説得する良いアイデアがあったら 助言をいただけると嬉しいです。
よろしくお願いします。

−H−






ご相談頂いた内容には、幾つもの問題が存在しているように思います。
まず 部下に対して過度に良くしてしまうご主人、それに甘える部下の方たちと、その常識の欠落ぶり、 そこから生じた問題をご主人ではなく Hさんが対処しなければならない状況、 夫婦喧嘩の末に結んだ約束を、守ろうとしない姿勢を見せるご主人。 これに加えて ご主人には文句を言わなくても、Hさんには文句を言ってくる義理のお姉さまの事など、 様々な問題が入り組んでいます。
でも、ここで私が一番大切だと思うと同時に、決してHさんが譲ってはいけないと思うポイントは、 「ご主人が夫婦間で結んだ約束を守るべき」ということです。

ご主人が 「部下には別荘を使わせない」という 約束さえ守って下されば、まずはHさんが当座直面している問題は解決します。
ここで問われているのは 「ご主人が部下に良くしすぎる」ということよりも、むしろ「ご主人が夫婦の約束を守れるか?」という 問題なのです。
夫婦喧嘩の末に 結んだ約束を簡単に破るという行為を この問題で容認してしまえば、 今後も ご主人と何を約束したところでHさんには それを守ってもらえるという保障がなくなります。
この機会に 「一度結んだ約束は約束!」、「守るつもりがない約束は、最初から結ぶべきではない」 という認識を夫婦間できっちり確認するべきです。 そうすれば、Hさんは 今後もご主人が 「約束したことだけは守ってくれる」という ” 安心の砦 ” を築くことが出来ますから、それは夫婦関係にとって 非常に良いことです。 Hさんに限らず、ご主人とて 「夫婦間の約束を守る」というルールから恩恵を受けることは多いはずです。
ですから、ここできっちり「夫婦間の約束を守る」というルールを明確にして、まずはそれを武器に 別荘の問題をクリアすることをお薦めします。

Hさんが ご主人の部下に対する接し方にも 日頃から不満を持っていらっしゃることは 頂いたメールから十分に理解出来ますが、男性、特に夫やボーイフレンドを相手に 交渉や不平、不満を訴える場合、「この事に限らず、アレも、コレも」 と 抱えている全ての問題を この時とばかりに訴えてしまうと、問題が全く解決しないまま、 口論をするだけに終わってしまいます。
男性は本来、細かいことを気にしないように生まれていて、それが良い方向に働く事は多いのですが、 それだけに交渉事や問題を話し合う際には、それをシンプルに提示しないと、 相手が本題を理解しないまま、大切なことまで 一纏めにして 「そんな事まで いちいち構っていられない」 と言って処理されてしまいます。
女性が時に 夫やボーイフレンドとの問題において 「何を言っても聞かない」、「話し合ってもダメ」という状況に陥ってしまうのは、 問題の焦点を絞らず、抱えている不満を全て吐き出してしまいがちなためです。 その結果、文句を言った分、若干ストレスは解消されても 状況は以前と何も変わらず、何の改善も見られないのが常です。

夫婦やカップル間で抱える不平、不満について話し合う際に、問題を1つに絞って とにかくそれを解決するというのはとても大切な事なのです。
例えば Hさんが今後、「ご主人が部下に対して良くし過ぎる」という点について 話し合う必要が出てきた場合でも、 「あの時も こんな事までしてあげた」、「この時もこんな風に甘やかしていた」というような 指摘の繰り返しをしながら、 総合的な問題の改善を求めたところで埒が明きません。 人間はそんなに簡単に変われるものではありませんし、ご主人はHさんに批判されていると感じるだけで、やがては Hさんに何も言わずに 今までと同じ事を続けるようになると思います。
それよりも、ご主人の部下に対する過度な親切の中で Hさんが最も問題だと感じることだけにフォーカスして、 その改善策についての話し合う方が、遥かに前向きなのです。 もしHさんが ご主人が部下のためにお金を払い過ぎると感じているのであれば、 ご主人と 幾らまでが上司として払ってあげる範囲内であるかを明確にして、 その範囲内でしか払わないと決めるだけで、 少なくとも ご主人は自分が部下のために 幾ら支払っているかを意識するようになります。
でもそれが可能になるのは、「夫婦の約束を守る」という事をクリアにしてからこそですので、 やはり この問題が一番大切です。

また問題や交渉は、第三者が絡む場合でも2人の問題として処理した方が、遥かに解決し易いのが実情です。
Hさんが義理のお姉様ことを書いていらっしゃいましたが、義理のお姉様が ご主人よりHさんに対してストレートに文句を言ってくるということは、 Hさんご夫婦では解決できない問題です。 でも「義理のお姉様とのコンタクトは、極力ご主人がする」と2人の間で決めることは出来るはずです。
ご主人の部下に対する摂し方にしても、夫婦間の取り決めを設定することによって、Hさんがご主人に対して抱いてきたフラストレーションは かなり改善されるはずです。 逆にご主人に 「部下に対してそこまでするなんて」、「部下対して気を遣いすぎる」というような、 部下への接し方の問題点を指摘して、改善を求めたところで、解決策は得られません。

結婚生活でも、カップルの交際でも、一緒に居る時間が長くなってくると、 男性が 「同じ事を他人に言われると素直に聞くのに、妻やガールフレンドが言うと 聞く耳を持たない」 ようになってくるケースが 多いようです。
そうなってしまう原因の1つは、女性がどんなに男性を思ってアドバイスしていても、男性が処理しきれないほどの 情報量で、難題を押し付けてしまうためで、そんな女性のアドバイスが 男性の耳には 単なる口うるさい批判に聞こえてしまうためです。 そして、これが続くうちに 相手に対して最初から聞く耳を持たないという状況になってしまうようです。
ですから、男性に対しては交渉でも アドバイスでも、要点を絞って、短くシンプルにすることがとても大切なのです。 でも その相手が女性になると、情報量が多ければ多いほど 説得に役立つケースは少なくありません。
脳の構造を性別で括るのは 少々行き過ぎかもしれませんが、 自分本位の主張を貫くよりも、相手にとって分かり易いポイントで責める方が、 攻略がし易いことだけは確実と言えるかと思います。


Yoko Akiyama



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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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