Aug Week 4, 2015
★ My Girlfriend Hit Me!
彼女に 殴られました…


このサイトは職場の女性スタッフに教わって、それ以来ずっと読んでいます。もう2年くらいになります。 いつも秋山さんが書いているセクションを読むのが好きで、更新を心待ちにしています。
このコーナーで以前、何人か男性の質問があったのを思い出して、友達に話せずにいることを 相談したくてメールしました。よろしくお願いします。

今年の初め頃から、年上の女性と付き合い始めました。 その人は、自分よりかなり年上なんですが、きれいで、大人の色気みたいなのがあって、紹介した友達には「お前にはもったいない」と良く言われてます。
最初はすごく上手く行っていて、「大人の女性はいろいろ気を遣ってくれて、話も面白くて良いなぁ」と思っていたのですが、 ある時、彼女に 「両親には1人でも良いから、跡取りを作って欲しいとせがまれているから、結婚は無理だと思う」と 正直に言ったところ、物凄く腹を立てて、日頃は女性らしく、色っぽい人なのに、 眼を血走らせて 「自分を何様だと思っているの?」、「そんな屈辱的なことを言われる筋合いなんてない」と怒鳴られました。
その場は個室みたいに区切られたレストランだったんですが、凄く大声だったので、お店の人とかに聞かれていたと思います。 その怒り方にすごくビックリしたので、その時は直ぐに会計を済ませて、店を出て 彼女をタクシーに乗せて、自分は地下鉄で帰りましたが、 何だか悪夢を見たようでした。

その後、2日ほど音沙汰無しで、3日目くらいに彼女から「仕事でイライラしていたし、お酒が入っていたから」と言い訳しながら謝って来ました。 その頃には、自分も落着いていて、「きっと よほどのことがあったんだろうな」と思ったのと、「きれいでも、 年齢のことはかなり気にしているんだろうな」と、自分の言い方も悪かったと反省したので、仲直りをしました。
そして、また何回か平和にデートをしてましたが、ある時、スマホに入っていた大学時代の友達との飲み会の写真を見ているうちに また怒り出しました。

その飲み会は、カップルが何組か居たんですが、皆学生時代から付き合っていて結婚した夫婦とか、 学生時代に一度別れて、社会人になって復活したカップルとか、女友達と先輩のカップルとか、 皆大学時代から繋がっている間柄なので、その場に集っていたんですが、それに自分が呼ばれなかったのは何故かと 問いただされました。 その写真の中には、以前彼女と一緒に食事をした友達が混じっていたので、「XXXXさんと私は知り合いなのに」 と文句を言っていて、こちらの事情を説明したんですが それがかえって気に入らなかったみたいでした。
その時は、彼女の家で会っていたんですが、「私を良い時だけ利用している」と怒り出して、 「私が年上だから、友達が集るときには呼ばない」とも言い出しました。
それについては確かに事実で、学生時代から一緒に馬鹿騒ぎしていた仲間と 彼女は違うと思ったので、 その通り伝えたら 凄く険悪になってしまって、帰ろうとして靴を履いていたら、後ろから飛び掛るようにして殴りつけてきました。

最初は何が起こったのかわかりませんでしたが、頭を後ろの右側から 握りこぶしで殴られて、 こっちは目の前が真っ白になったような気がしたんですが、彼女は自分の手の方が痛かったみたいで、 相手が痛がっている間に、逃げ出しました。
エレベーターを待っている間に、彼女が追いかけてきたら困るので、非常階段で降りてきたんですが、 本当に非常事態の避難っていう感じでした。

それで もう会うのは止めようと思ったんですが、彼女の家に置かせてもらっているものがあって、 それを取りに行かなければならないので、そのことで連絡したら 泣きながら謝ってきました。 「私はもう、妊娠する確率が殆ど無いような年齢だし、ご両親も許さないのは分かっているから、 貴方が結婚したいと思う女性が出来るまでの付き合いだっていうことは分かっている」とか、 「今まで、こんなに年下の男性と付き合ったことが無かったから、自分の年齢がハンディキャップになるような関係に戸惑っている」 と言ってきました。考えてみれば、今 こんなに きれいな人だったら、若い頃にはもっとチヤホヤされたはずだから、 そんな人が年齢を重ねて、以前と違う扱いをされるのは 「プライドが傷ついているんだろうな」と思いましたし、 彼女に年齢差別をしているような言い方をした自分も悪かったと思って、彼女が怒る理由も分かるような気がしてきて、 再びよりを戻すことになりました。

この時は、自分が「結婚したい人が出来るまでの付き合いであることが前提」だと ちゃんと伝えてからの仲直りでした。 仲直りした直後は、彼女が自分にとても気を遣ってくれて、最高とは言わなくても、理想的な彼女になるんですが、 それが何回か続いた後、また彼女に殴られました。
今度は自分の家だったんですが、スマホで殴られて、彼女が出て行こうと 玄関で靴を履いていたので 少し安心していたら、 ハイヒールを履いたままの土足で戻ってきて、そのハイヒールで足を思いきり踏みつけられました。 その時は「目から火が出る」とはこのことだと思うくらい痛かったんですが、彼女が玄関の扉を凄い勢いで閉めて出て行った途端に、 戻って来られたら恐ろしいので ビッコを引きながら扉まで走っていって、慌てて扉に鍵をしました。
そうしたら 彼女が戻ってきてベルを何度も鳴らすのですが、こちらは怖くて 扉を開ける気になんてなれません。 無視していたら、今度は扉をバンバン叩きだして、次には携帯電話も鳴り出したんですが、 ふと見たら、彼女が持ってきた袋がソファの上に乗っているのに気付いて、 チェーンをかけたまま扉を開けて、袋を外に投げたら、その後は家に帰ったようで静かになりました。

この日は金曜だったんで、月曜の出勤までには殴られた跡の腫れがかなり引いて、人には悟られずに済んだんですが、 また数日したら、彼女が泣きながら謝って来ました。 彼女のところに置いてある荷物もそのままなので、それを取りに行くために、別れるとしても 一度は彼女に会わなければならないのですが、 自分はどう振舞うべきでしょうか。 殴られた後、彼女が扉をバンバン叩いている時は、 まだ殴り足りないのかと思ってビクビクしましたが、単に忘れ物だったようで、自分も過敏に反応しすぎたかとは思いました。 それでも勝手に怒り出して、殴っただけでなく、ハイヒールで踏みつけるなんて酷い扱いです。

普段はとてもきれいで、皆も惚れ惚れするような女性で、前にも書いたように 紹介した友達には、 「よくあんな人に付き合ってもらえるな」と言われるような、自慢にできるような彼女です。 その人が暴力を振るうなんて、友達に言っても信じてもらえないような感じです。
良い時は本当に良いのですが、ほんのちょっとしたことで怒り出すと手がつけられません。
男だったら、殴られたら 殴り返すことも出来ますが、女性には いくら殴られても、殴り返す訳にはいきません。 人に相談できたら どんなに良いかと思うんですが、女性に殴られて悩んでいるなんて言えないので、 秋山さんにメールをしてみました。

自分は身長178cmで、体重72キロで、弱々しい体型ではないですし、母親以外で女性に殴られたのは 彼女が初めてです。
恐れ入りますが、アドバイスお願いします。

−Y−





Yさんのメールの前半では、年上の彼女が自分の怒りを抑えれないタイプ、 ”アンガー・マネージメント”が必要なタイプかと思って読んでいましたが、 全文を読んだ後の私の印象では、これはドメスティック・ヴァイオレンスになりつつあるケースです。
ドメスティック・ヴァイオレンスは、まず言葉の虐待からスタートして、それが暴力にエスカレートして、 暴力を受けては それを許し続けるうちに、暴力がエスカレートしていくというのがパターンです。 それには段階とサイクルがあって、被害者は初期段階では 誰でも人に相談するよりは、それを周囲に悟られないように 隠そうとします。 腫れあがった顔を 歯科治療のせいにしたり、女性だったらメークで、殴られた内出血やアザを隠す一方で、 暴力の原因が自分ある、自分にも責任があると考える傾向にあります。
でも再度 暴力を振るわれて「こんな人とは一緒に居られない」と別れようとする、もしくは実際に別れるものの、 相手が 「もう絶対に暴力は振るわない」、「また新しくやり直したい」と、時に涙ながらに許しを求めてくるのにほだされて、 元の鞘に戻ると、暫しの間は 暴力を振るわれたことが信じられないほどに優しく尽くしてくれる状況が続きます。 でも何かのきっかけで 相手が激怒すると 再び暴力を振るい、被害者は また別れようとする…、 と同じことを繰り返すのが、一般に ”ドメスティック・ヴァイオレンスのサイクル”と呼ばれるものです。
このサイクルは、回を重ねるごとに 加害者の暴力がエスカレートしていく、もしくは巧妙になっていくのがパターンです。

頂いたメールを読んでいると、Yさんと相手の女性のリアクションや行動は、全てこのパターンに当てはまっているように見受けられます。 幾ら女性が年齢を気にしているとは言え、殴るにという暴力行為に出るのは明らかに行き過ぎにも関わらず、 Yさんが「年齢差別をしているような言い方をした自分も悪かった」と、自分の否を認めるところや、 彼女が泣きながら謝ってきて、仲直りの直後は優しく気遣ってくれるところ、でも再び暴力を振るい、その暴力が前回より エスカレートしているというのは、まさにドメスティックの典型です。
ですから確実に言えるのは、Yさんがこのまま その女性とお付き合いを続けた場合、また殴られるということ、 そしてその被害が徐々に深刻になっていくということです。

アメリカでは、ドメスティック・ヴァイオレンスの殆どは パワーとコントロールがドライヴィング・フォースになっていると言われます。 要するに、相手に対して力の優位を感じて楽しむ、もしくは自分の言動や暴力で 相手やその感情をコントロールするのを 楽しむのがドメスティック・ヴァイオレンスと言われています。
基本的に こうしたことは 子供のいじめと同じで、 相手に対して何の敬意も抱いていない場合や、力関係で相手を見下している場合に起こります。 子供のいじめを考えても、肥満体で虐められる子が居るかと思えば、肥満体で 逆に虐めのボスになっている子供も居る訳ですが、 その違いは、周囲がその存在に脅威を感じるか、それとも周囲が馬鹿にしたくなる弱さを漂わせているかです。

このケースでは、Yさんは彼女よりもかなり年下で、恐らくその年齢を反映して 彼女の方がキャリアや年収でも Yさんより上だと思われますし、 お友達が言っていた「お前にはもったいない」という気持ちは 彼女自身も少なからず抱いているように思えます。 それは「自分を何様だと思っているの?」、「そんな屈辱的なことを言われる筋合いなんてない」と怒鳴るところにも現れていると思います。 すなわち、彼女は意識している、していないは別として、どこかYさんを見下している部分があるように感じられるのが正直なところです。

加えてYさんが 最初に暴力を振るわれた時に、恐らくビックリされたせいかと思うのですが、逃げ出したというのも不味かったように思います。 女性の私でも、それまで口論していた相手が 後ろからいきなり殴りかかってきたら、 暴力では返さなくても 「どうして殴る必要があるの?」とか、「いきなり殴るなんて、頭がおかしいんじゃない?」と口頭でやり返すと思います。
知り合いの男性2人にも意見を聞きましたが、やはり彼らも、暴力を振るうことはなくても、女性の首を掴んで「ふざけるんじゃない!」とか、 「気でも狂ったのか?」と怒鳴りつけると言っていました。
ですから 最初の暴力の段階で、 女性側は Yさんが「怖がって逃げることはあっても 殴り返しては来ない」、「自分が強い態度に出ると 怖がって引くタイプ」というジャッジメントを 無意識のうちに 下した可能性があります。

Yさんは、弱々しい体型でもなく、女性を殴る訳にはいかないという紳士的な方ですが、 その一方で、 「女性が自分に与えられる危害なんて知れている」という気持ちも 何処かにお持ちだとお察しします。 でもYさんよりも ずっと正直な Yさんの防衛本能は、彼女が追いかけてくるのを恐れて非常階段で逃げたり、 彼女がハイヒールで踏みつけて出て行った後、ビッコを引きながら扉の鍵を閉めたり、と ご自分を守るためにフル稼働している訳ですから、 ほとぼりが冷めて 気を取り直したからといって、暴力という事態を軽視するのは感心できません。

さらに言えば、彼女は 最初にYさんを殴って、自分の手が痛くなった教訓を直ぐに生かして、 次はスマホで殴った後、ハイヒールで踏みつけるというように、武器を使い始めている訳です。 怒りに任せた行動で、こんな機転が利く相手に対して、お見受けしたところ優し過ぎる Yさんが 太刀打ちできるとは思えません。
このまま別れなければ、次は何時殴られるかよりも、何で殴られるかを心配しなければなりません。

恐らく 、Yさんが 単に別れれば良いだけの関係を、直ぐにそうすることが出来ない理由には、 彼女が自慢にしたくなるようなキレイな女性であること、 怒った時以外は理想的な彼女で居てくれること、自分と結婚できないことを分かっている限りは、 結婚候補が現れるまで付き合っているのは悪くないと思えるからかと思いますが、 その根底には、別れを持ち出した時の相手のリアクションを恐れている部分もあると思います。
「結婚したい女性が現れるまでの付き合い」と言いながら、よりを戻したのも、 問題を先送りにする自分への言い訳のように私には聞こえました。
しかしながら交際相手というのは、家庭教師やメイドではないので、新しい人が見つかるまでの穴埋めのような付き合い方が出来ると思うこと自体が 間違いです。 またYさんは 結婚候補になり得る女性が現れた時点で、 年上の女性に「彼女と結婚するかもしれないから 別れよう」などと、本当に言えるでしょうか? 言えたとしても、それであっさり別れられると 本当に思っていらっしゃるでしょうか?

いずれにしても、こうした関係は長くなればなるほど、どんどん厄介になっていきますので、 相手の暴力がエスカレートする前に、一刻も早く終わらせることを強くお薦めします。 そして、周囲には一切彼女の暴力について 語らないようにしてください。
別れる際には、暴力のことや年齢のことには一切触れずに、「自分には勿体無い女性だから、もっと相応しい人を見つけて欲しい」 と相手を立てて、身を引く姿勢を見せるのが良いかと思います。 Yさんの場合、ほとぼりが冷めると事態を軽視する傾向があるようなので、早めに行動を起こして、一度別れたら、 二度と取り合わないことも 大切です。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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