Aug Week 4 2017
★ "Love & Real Estate in SF"
"姉がやっと見つけた米国人婚約者、でも結婚と不動産投資を一緒にするのは…"



秋山曜子さま、
CUBE New Yorkのウェブサイトを約15年愛読しています。 こんなに長いお付き合いのサイトはCUBEさんだけです。
本日メールを差し上げたのは、姉のことで是非アドバイスを頂きたいと思ったためです。よろしくお願いします。

姉は理想が高いせいで婚期を逃してきたようなタイプで、男性を紹介されても自分から断る事が多いまま年齢を重ねてしまいました。 でも2年ほど前に姉と同じ年の従妹が、アメリカのシリコン・バレーのIT企業に勤める年下のアメリカ人男性と結婚してからというもの、 「外国人ならある程度ルックスが良くて 高収入の男性と結婚出来る」と思ったようで、 以来 英会話を勉強していましたが、私や家族はまさか姉が真剣とは思ってもみませんでした。
ところがある時、姉が観光で日本に来ていたアメリカ人男性と出会ってしまい、その男性とスカイプで連絡を取り合って、 昨年にはその男性を訪ねてサンフランシスコに出かけたり、中間地点のハワイで会ったりしていましたが、 少し前に再びサンフランシスコに出かけて戻ってきた時に、男性から婚約指輪をもらった訳ではないものの、口約束で婚約を交わしたと報告されました。

その男性は教育絡みの仕事をしていて、それほど収入があるようには思えないのですが、きちんと投資をしていて経済的には 安定しているそうで、姉より10歳ほど年上のバツイチでした。 背が高く、カリフォルニア・ワインに詳しいグルメで、ウィンドサーフィンが趣味で、ジャズのベーシストでもあり、ボランティアもしていて、 姉が夢中になるのも分かるようなライフスタイルで、見た目も素敵な感じの人です。 家族としては祝福したいところなのですが、結婚に際して、姉がその男性と一緒にサンフランシスコに家を買うと言い出しました。 既に姉はサンフランシスコでいろいろ物件を見てきたそうで、今のサンフランシスコの不動産は需要に供給が追い付かないので、 2人で暮らせる物件を見つけたら 直ぐに手を打たなければならないのだそうで、 家を見つける前にローンを組む準備が必要だと言って、姉の財産をドルにしてアメリカの銀行に移し始めることまで計画していました。
家族は結婚詐欺なのでは?と心配していましたが、確かに男性は姉に言う通りの仕事をしているのはインターネットで簡単に調べられました。 男性は家族に結婚の許可をもらうために、もうすぐ日本にやってくるそうで、家を買う場合も共同の名義で、姉がお金を貸す訳でもなければ、 一方的に彼のために投資をする訳でもなく、きちんと法的な手続きをするとのことでした。 またサンフランシスコは、不動産価格がどんどん上がっているので、待てば待つほど価格が上がってしまうこと、万一結婚が上手く行かなかったとしても 共同名義で家を買っておけば、不動産投資にもなるというのがおそらく男性から吹き込まれたと思われる姉の言い分です。

確かにそれも一理あるように思えるのですが、結婚という一生の決断に 海外の不動産への投資が重なることで、私も両親も姉に慎重になって欲しいという気持ちが強くなっています。 でも本人は、その男性との1年以上の遠距離恋愛ですっかり相手を信用しています。 姉にとって初めて訪れた自分が望む結婚のチャンスに 私たち家族が乗り気ではないことが気に入らないようで、「もう大人だから、いちいち口出しはしないで欲しい」とまで言われています。
そこで秋山さんにアドバイスをお願いしたいのは、NYとサンフランシスコで不動産事情なども異なるかと思いますが、 姉の結婚と不動産投資の同時進行が果たして賢明かということです。 何故姉が男性が現在住んでいるところに一緒に住まないのかについては、リース契約が切れた後、ビルの立て直しが決まっていてリースが更新できないからだそうで、 男性は姉と結婚を決める前から、リース契約が切れるのに合わせて不動産を購入しようと考えていたそうです。 でもどうせ購入するのなら2人で買った方が良い物件が手に入るし、2人で住むので姉の意見も購入に際して尊重したいということで一緒に買うことになったようです。

姉の言う通り、姉も立派な大人なので、家族が何を言っても決心したことはやると思いますが、アメリカ生活の長いYokoさんの目から見たアドバイスであれば、 姉も真剣に考えると思います。 どんなことでも結構なので、何かアドバイスをよろしくお願いします。
今後もYokoさんとCUBE New Yorkのウェブサイトの益々のご繁栄をお祈りしています。

- F -





Fさんからのメールですと、お姉さまが迎えようとしている人生の大転換期は、結婚と外国への不動産投資ということだったのですが、 私の目から見ると ここでお姉さまが迎えようとしているのは結婚と海外移住という転換期であって、不動産投資はそれに付随する状況のように思えます。
Fさんのメールからは、お姉さまが海外生活を既に経験された方かは分かりませんでしたし、お姉さまの年齢についても私の推測の域を出ませんが、 ある程度の年齢になってから、新しい生活を外国で始めるというのは非常に大変なことです。 しかも それが遠距離恋愛の末に結婚する男性との新婚生活でもあるというのは、極めて不確定要素が多い新生活のスタートということになります。

お姉さまが これまで彼と過ごした数日間は楽しかったかもしれませんが、 バックグラウンドが異なる相手との生活を 国も、言葉も、人間関係も異なる 新しい環境でスタートするのは かなりのストレスになることを覚悟する必要があります。
サンフランシスコでしたら現地に日本人コミュニティもありますが、それでも知り合いがほとんど居ない町に行く訳で、 先に結婚された従妹の方がもしサンフランシスコ近辺にお住まいなのであれば、その方を少しは頼りに出来るかもしれませんが、 子供が居る場合は先方も頼られるのは迷惑かと思います。 サンフランシスコは地下鉄があるとは言え、急な坂が多く、基本的には車社会ですので、車の運転が得意でいらっしゃるかどうかも 新生活をスタートする重要な要素になってきます。

もし20代であれば、そんな苦労を深く考えるほどの人生経験の無さが逆に幸いしますが、例えばそれが30代後半の女性である場合は それまでの経験から先の状況が読めてきますし、予想した生活ではなかった失望を打開するための 気力や体力も20代の頃と比べると 格段に衰えていますので、 悲観的になったり、うつ病のように落ち込むケースは少なくありません。
もし2人して新しい土地で新生活を始めるのであれば、お互いに助け合う姿勢が自然に身に付きますが、 Fさんのお姉さまの場合、相手は既にそこを基盤に問題なく生活している訳ですから、最初のうちは助けてくれると思いますが、 やがてお姉さまの存在が重荷に感じられるようになった段階で 愛情が冷めてしまうケースは珍しくありません。

加えて お相手の男性は素敵な趣味をお持ちですが、見方を変えれば男性の時間やエネルギーが それらのアクティビティに注がれていることを意味します。 ある程度年齢を重ねたアメリカ人男性が そんなライフスタイルを結婚で変えるとは私には思えません。 数日間 彼のところに滞在していた時には、男性がFさんのお姉さまに優先的に時間を割いてくれたかと思いますが、 結婚生活がスタートすれば、それと同じ状況は望めないと考える方が間違いがありません。
Fさんのお姉さまは、男性がバツイチということは理解していらっしゃるようですが、その離婚の理由はご存知でしょうか。 男性が何歳の時に何年結婚していたか、前妻との間に子供が居るかといった状況にもよりますが、 仕事をしながら、幅広い趣味や行動半径を保っている男性というのは、伴侶をないがしろにしているケースは少なく無いのです。 ですから男性が最初の結婚についてどう考えていて、Fさんのお姉さまとの結婚では その時と何がどう違うと考えているのか、 今回の結婚で自分の何かを変えようと思っているのか、それとも自分は変わるつもりはなく、 単に自分を受け入れてくれる相手と思って結婚するのかなど、お相手の男性の結婚観について 実際に結婚を考える前に知っておくべきだと思います。

さらに言えば、アメリカの結婚は男性が女性を養うということを意味する訳ではありませんので、Fさんのお姉さまがアメリカに移住した後の 人生設計もしっかり考えなければなりません。 特にサンフランシスコは全米で最も不動産と物価も高額な街で、日本円にして1200万円の年収があっても貧困層と見なされるエリアです。 日本と同じつもりで将来設計を描くと、大きな誤算が生じます。
結婚後に何かを学ぶのか、仕事をするのか、それが外国で出来るのか?等を考えなければなりませんし、 子供を産んで育てる場合は、男性がリタイアした後でも子供の学費が出せるのか等、 Fさんのお姉さまが後悔の無い人生を過ごすために、考えたり、準備をしたり、お相手の男性と話し合うべきことは沢山あるのです。

そんな長期的な展望もさることながら、新婚生活を始めた場合に誰が何を支払うか、銀行にジョイント・アカウントを持つのかなども明確にしておく方が賢明です。 Fさんの従妹の結婚は 相手がシリコンバレーのIT企業にお勤めの高収入の男性とのことなので、サンフランシスコの高額レントや不動産購入にお金を払っても、 生活費を誰がどう支払うかなどを夫婦間で取り決める必要など無かったかと思いますが、 Fさんのお姉さまのお相手にそれと同じことを望めるようには思えません。
IT企業に勤めていれば、どんなにお金を稼いでも 仕事が忙しいので それをなかなか使う時間がありませんが、 Fさんのお姉さまのお相手は、いろいろな趣味に使う時間をお持ちの方ですので、自分の収入も そのために確保しようとするはずです。
お相手の男性は投資をして経済的に安定しているとのことでしたが、投資というのは さほどやっていない人ほど「やっている」と人に語るものですし、 「投資をしている」というのと 「自由になるキャッシュが十分にある」というのは全く別の話です。 カリフォルニア州の結婚では、夫婦が結婚前に所有していた財産は離婚の際の財産分けの対象にはなりませんが、 結婚期間中に不動産投資の売却益があった場合は、購入時に誰が幾ら支払ったとしても、離婚の際にはその利益がフィフティ・フィフティの折半となります。 ですから相手の言う投資話に筋道が通っていると思える場合でも、現地の日本人ロイヤーに事前にカリフォルニア州における離婚や不動産投資について しっかりコンサルテーションを受けておくことをお薦めします。
私の尊敬するベンジャミン・フランクリンの語録に「By failing to prepare, you are preparing to fail.(準備をやり損なうことは、やり損う準備をすること)」というものがある通り、 安定した結婚生活を望む気持ちが強ければ強いほど、状況に応じた対応の準備をするべきなのです。

不動産投資については、現在サンフランシスコのレントや不動産価格が非常に高いのは、シリコンバレーの企業で働く人々の需要に供給が追い付いていないためで、 IT関連の人々はモダンなビルディングを好むので、新しいモダンな物件ほど高額ですが、アメリカの他の都市の物件と比べると、明らかなオーバープライスです。
しかしながら ここへきてそんな状況が変わるかもしれないのが、フェイスブックが7月にシリコンバレーに社員のための大規模な住宅施設を建設することを明らかにしたことで、 フェイスブックにとっては社員に住宅をサプライすることで 人件費を落とすことが出来、企業としては所有する不動産が増えるという 一石二鳥と言われるのがこのプランです。 これが成功した場合、アップル、インテルなどの大手企業が同様の施設を建設すると見込まれていますので、そうなった場合は サンフランシスコ・エリアのレントや不動産価格が大幅に下がっても不思議ではありません。 実際にアメリカでは、サンフランシスコの不動産市場は今がピークと言われていますので、これから投資をするのが果たしてベストかについても、 現地の不動産に詳しい人に客観的なアドバイスを仰ぐ必要があると思います。

ご本人もおっしゃる通り、Fさんのお姉さまは立派な大人なのですから、ご自身の責任で自分にとってベストと判断したことについて 周囲が単に心配だからと反対するのは、私もどうかと思います。 ですが人生の大切な決断を 恋愛感情を抱く相手の言い分だけで決めてしまったり、万一のリスクに備えることなく飛び出して行くのであれば、 無謀なティーンエイジャーと変わりはありません。
大人であるということは、自分の行動に責任を持つと同時に、それに伴うリスクを理解して、自分の身や利益を守る知恵や手立てを持って行動する事です。 したがって結婚をするにも、投資をするにも、その良いところばかりに着眼せずに、まずはしっかり状況やリスクを把握して、それに向けての準備や対策をしてから、 手順を踏んで取り組むべきというのが私のアドバイスです。
そのためには、まず「口約束の婚約」などという曖昧な状況で走り出すのではなく、きちんと そして正式に男性にプロポーズしてもらい、婚約というステータスを確立するのが第一歩です。 結婚や海外移住、不動産投資というのはそのステップを経てからの話だと思います。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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