Sep. Week 1, 2013
★ Should I Correct English Mistakes?


Yokoさん、こんにちは、
以前ニューヨークに住んでいたことがあって、その時にはネットワーク・パーティーに参加させていただきました。 今はパーティーはなさっていないみたいですが、当時の私は日本人の友達が居ない時期だったこともあって、パーティーを通じて 素敵な日本人女性に沢山出会えたお陰で、 その後のNY生活に本当にプラスになりました。 あの頃のキューブさんのパーティーみたいに、華やかな感じの女性が集まるパーティーは、今も昔も、他に存在していない無いと思います。
パーティーでは、Yokoさんにもお会いして やっぱりニューヨーク生活を満喫するには、あんな風に快活にバリバリ仕事や 社交を楽しまなければならないのだと 実感したのを良く覚えています。

今日 メールを差し上げたのは、 私もご相談というか、Yokoさんのご意見を伺いたいと思うことがあるためです。
夏休みを利用して3週間ほど日本に一時帰国したのですが、その間に 日本で間違っている英語を沢山耳にしました。 「ナイーブ」という単語みたいに、日本語の中に溶け込んでいて、その意味が間違って定着している言葉なら仕方が無いと思うのですが、 英語の先生とか、英語のエキスパートが教えている英語が間違っていたり、 2〜3年アメリカとか英語圏に住んでいたとか、留学していた人が レクチャーする英語が間違っていたりするのです。
教わる側は 間違った英語を身につけてしまうと心配したので、ある時、思わず横から訂正してしまったのですが、 そうしたら、まるで私が長くアメリカに住んでいる 「デシャバリ」 のように受取られてしまいました。

例を挙げると、「Stoned」という言葉なのですが、「石を投げられること」なんて教えていて、全然意味が通りません。 私が「ハイになることだってば!」と口を挟んだら、それを教えていた3年留学経験のある人が、 「そうそう、お酒で酔っ払うっていう意味もあるかも」と携帯電話で調べて答えていました。
でも アメリカに暮らしていて「She Got Stoned」と言えば、例外なくマリファナでハイになっていたという意味で、 石を投げられた訳でも、お酒で酔っ払った訳でもありません。

教えている人は英語に自信があるので、私が英語を訂正するとかなり頭に来るようです。 だからと言って、それをそのままにしておくと まるでアメリカに20年暮らしている私がそれを肯定しているようになってしまいます。
こういう場で、英語を訂正するのはどういう風にするのが良いのでしょうか。
日本人は会話からではなくて、教科書や辞書から英語を学ぶので、日本に暮らしていて英語を独学でマスターしたとか、 「2年の留学でぺらぺらになった」と言っている人の英語は はっきり言って 実践に根ざしていない英語なので、凄く変に聞こえます。 でもこういう人に限って、自分の英語にプライドを持っているので、扱いが難しい上に、 間違った英語を 人に教えたりするので、「世の中のためにならない!」と真剣に考えてしまいます。

最初は自分のブログに書こうと思って、ネット上をリサーチしていたのですが、Yahoo 知恵袋とかで、 ベストアンサーに選ばれている翻訳が全く違う意味だったり、歌詞の翻訳の 意味がメチャクチャだったりで、かなりの酷さです。
でもそれを指摘するようなブログを書いたりすると、かえって顰蹙を買うのが私では?と思って、今はブログに書くのを考え中です。

日本人はただでさえ、英語が世界一下手な民族と言われているそうですが、こういう形で誤った英語が広まるのは、 日本の英語教育が益々後退する原因になるように思えて、情けないやら、ゾッとするやらです。

Yokoさんは、日本の英語教育についてどう思われますか? 何となく、考えるだけで先が思いやられてしまって、複雑な思いで日本から帰国しました。
ご相談というより愚痴のようになってしまいましたが、お時間がある時にお返事をいただけると嬉しいです。

−N−






以前、ネットワーク・パーティーにご参加くださったとのこと、ありがとうございます。
私自身、ネットワーク・パーティーを通じて、沢山の素敵な日本人女性とお友達になりました。 CUBE New Yorkが パーティーをしなくなって数年が経過しますが、今もパーティーで知り合った何人もの女性と お友達関係を続けている次第です。

Nさんがおっしゃる通り、私も日本に一時帰国したり、インターネットで日本のサイトを見ていたりすると、 間違った英語の解釈や、明らかな誤訳を目にすることは珍しくありません。 笑い話になるくらい 面白い間違いについては、こちらの日本人の間でも話題になることがあります。
私の知り合いの中にも、そういった英語の間違いや、間違った英語を教える人に対して フラストレーションを感じる人は多いですが、私自身はあまり気にしないようにしています。
というのも、私も Nさんと同じように20年以上 ニューヨークに暮らしていますが、まだまだ知らない単語や言い回しに遭遇することは少なくないためで、 20年暮らしていても そんな状態ですので、日本でしか英語を学んだことが無かったり、 アメリカに数年留学した人が、そんなにスラスラ英語が話せたり、全ての言い回しを完璧に訳せたら、逆に 落ち込んでしまうかと思うためです。

私は日本人として、日本語がファースト・ランゲージですが、それでも自分の日本語が完璧だと思ったことはありません。 そう考えたら、英語はセカンド・ランゲージですから、20年以上、毎日ネイティブ・スピーカーと喋っていたところで、 完璧になることなんて、有り得ないと考えています。
それは、アメリカ人にとっての英語とて同じことです。私はフランス語をアメリカ人のクラスメートと一緒に習っていましたが、 分からないフランス語の単語の意味を 辞書で調べた クラスメートの1人が、英語で読んでも意味が理解できず、 「フランス語どころか、まず英語から勉強しないとダメだ」などと冗談交じりに言っていたのを覚えています。 その彼は、バーバード大学卒のバンカーで、非常に頭脳明晰。 クラスの中で1番か2番にフランス語が話せた存在でした。

したがって、私は言語については、どんなに勉強しても「完璧」という状態になることは不可能だとさえ思っていますし、 もし数年 外国に暮らして、その国の言葉を勉強して「完璧に喋れるようになった」と言っている人が居たとしたら、 おそらく その人は言語というものの 奥の深さを理解していないのだと判断します。
言葉は、その国のカルチャーに根付いた生き物ですから、時代を反映して変わって行きます。 特にソーシャル・メディアが登場してからのアメリカ英語は、トレンディングがめまぐるしく移り変わるのと同様、 スラングではない 新しい単語もどんどん出てきていますから、5年前と今では 契約書の文章の英語は変わらなくても、 日常生活の会話はかなり変わって来ています。
ですから、たとえアメリカに暮らしていても メディアに登場する語彙に敏感であり続けなければ、生きた英語が話せないだけでなく、 興味深いコミュニケーションを交わすことが出来ないのが実情です。

すなわち、言語というものについては誰もが万年生徒であると考えるのが適切であって、 自分も学ぶ立場にあると思えば、他人の間違いは あまり気にならなくなってくるものです。
教えてもらいたいと希望する人に対しては、間違いを指摘してあげるのは親切だと思いますが、そうでない場合は 誰もが完璧ではなく、誰もが間違えるのが言語ですので、そのままにして ストレスを感じないようにしているのが 得策です。 Nさんがメールでおっしゃっていた通り、アメリカに暮らしているからこそ、細かく他人の英語を訂正したりすれば、 逆にでしゃばりのように見られてしまう傾向は強いかと思います。
Nさんご自身も、 アメリカで いろいろな英語の間違いをされてきたと思いますので、そんな自分を思い出して、 人の間違いにも寛容になってあげる方が、日本でのコミュニケーションが上手く行くと言えるでしょう。


私も、日本の英語教育に疑問を感じるのはNさん同様で、日本では外国人のインストラクターだけを雇っている英会話の学校に通ったりして、 当時は親のお金でしたが、かなりの投資もしました。その当時の方が言語の奥深さを理解していなかった分、 もっと簡単に英語が喋れるようになると 甘く見ていました。
それだけに、NYにやってきたばかりの頃は、日本で読んだ留学生体験記のように「3ヶ月後に気付いたら、英語が喋れるようになっていた」 などという状態になれない自分が 情けなくて、本当に落ち込みました。 日本に居た頃は 自分の英語が上手いと思っていただけに、 その落ち込みは尚更のことでした。

私はその時に、日本の英語教育もさることながら、こちらの英語学校の教育にも疑問を覚えました。 私はNYに来て3ヶ月ほどで、英語学校のESL(イングリッシュ・アズ・セカンド・ランゲージ)のデュプロマを取得しましたが、 学校で使っていたテキストブックの内容が 日常生活の中で 全くと言って必要ではないのは、日本での英語教育と大差がありませんでした。
むしろ 当時のクラスメートが 「こういう時はどうやってアパートの家主にコンプレインしたら良いですか?」というような、日常生活で直面する問題を 英語で掛け合うために、先生に尋ねている質問の方が、よほど勉強になったのを良く覚えています。

私自身は 英語の語学力を身につける前に、コミュニケーション力を先に身につけたタイプで、 今でも自分は語学よりも コミュニケーションの方に長けていると思っています。
世の中にはきちんと英語を喋ろうと考えて、きっちり基礎的な文法から学ぶことに重きを置き過ぎて、時間を無駄にしている人が非常に多いと思いますし、 そうした人はオールド・ファッションかつ、文法的に正しい退屈な英語を書くことは出来ても、 英語でフレンドリーな日常会話を交わしたり、冗談を言い合って笑ったり ということは出来ないケースが殆どです。
英会話で大切なのは文法よりもボキャブラリーと発音ですが、アメリカ人とのコミュニケーションで大切なのは コンフィデンス、 リズム、表情を含むボディ・ランゲージ、マナー、ユーモアのセンスです。 これを身につければ 英語力に関係なく、2時間のカクテル・パーティーでも、3時間のディナー・パーティーでも サバイブすることが出来るというのが私の考えで、実際に それは私がアメリカ生活の中で 身を持って実践してきたことでした。

実は 少々発表には時期尚早なのですが、 CUBE New York では、来年の春頃からニューヨークにおけるライフスタイル留学プログラムを スタートさせる予定です。テキスト・ブックと辞書から学ぶのではなく、エクササイズ・クラスや アメリカ人とのカジュアルなディナーやドリンクの席、様々なカルチャー体験など、ニューヨーカーのライフスタイルの中で ”イングリッシュ・コミュニケーション ”や ニューヨーカーのメンタリティと言える ”上昇志向” を身につけて頂くのがこのプログラムです。
CUBE New Yorkのサイトでご紹介しているような ホットなレストランやアート・イベントに出掛けるなどして、 毎日を欲張りに楽しんでいただく反面、モチベーションを高めて、年齢に関わらず 人生のターニング・ポイントになるような 経験をして頂きたいというのが コンセプトです。

今、着々とその準備を進めている最中ですが、CUBE New York が同プログラムを通じて、 様々な夢を追いかけている女性や、新たな夢を模索している日本人女性の お手伝いが出来ればと思っています。


Yoko Akiyama



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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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