Sep. Week 3, 2014
★ The Parental Disapproval Issue
結婚に際して…、両親との関係の問題


大学生の頃からCubeNewYorkを熟読しています。
いつも秋山さんの的確なアドバイスを興味深く読ませていただいております。 先日もサイト内でお買い物もいたしました。迅速にご配送いただいて非常にうれしかったです。

さて私も今回秋山さんにご相談したいことがありメールを送りました。 私の相談内容は親との関係についてです。

現在私は34歳。数年間付き合っている恋人がおり、彼にプロポーズもされました。 周囲(彼のご両親はもちろん彼の友達・先輩、私の友達)も「良かったね! 幸せになってね」と祝福してくれます。 ところが私の両親だけは彼との結婚に大反対です。
実は今の彼とお付き合いする前に一度、結婚話を破棄したことがあります。 30歳になる直前のことです。 その際の原因も私の両親でした。私の両親以外は結婚をとても喜んでくれました。 彼は普通のサラリーマンでしたが、「大学に入学するのに一浪した」、「派遣社員から正社員になったから収入が不安」…等、何が言いたいのかわからない反対理由でした。 私も私なりに親を説得ましたが、「子供のくせに何を言うんだ!生意気だ!」と恫喝に近い態度をされ、怖くなって結婚話を辞退してしまいました。

今はリタイアしていますが、私の父は商社勤務、母は専業主婦でした。 子供の頃から父は力(暴力)で、母は精神的圧力で私を押さえつけてきました(両親にはそんな意識は毛頭ないようですが…)。 特に母は、私が幼いころから 父の悪口を私に言う反面、外では商社マンの妻として世間体を優先に生きてきたように思います。
現に、母に「一人暮らしをしたい」と告げた時に 「男を連れ込んだら私がみんなに批判される! 私の立場はどうなるの!」 とヒステリーを起こしました。 ですから 外からは幸せな家庭に見えるでしょうが、実際に私自身は未だに親に自分の意見を言うことが非常に怖く(高圧的に否定し、人格まで否定するので)、 今になって、「かつて うつ病と買い物依存になってしまったのは、親が原因ではないか?」とまで思うほどです。

前回の彼との結婚話を機に「自分の家庭がおかしいのではないか?」と気付きましたが、長年同じ家に住み、「今までどれだけ大事に育ててやったか!」、 「どれだけワガママを聞いてやったか!」、「どれだけお金をかけてやったか!」、「どれだけ親を不幸にさせるんだ!」 などと言われ続けてきたのでどうしていいのかわかりません。

その反面、今、お付き合いしている人との人生を全うしたいとの思いも強いのです。 親の意見は聞かず自分の意見を押し通すべきでしょうか。 結婚を反対されていても、日本国憲法上、両性の合意があれば結婚できますし、犯罪ではありません。

30代も半ばに差し掛かり自分の人生すらコントロールできないことが非常に恥ずかしいのですが、秋山さんにアドバイスいただければと思いメールをしました。 文章が下手で申し訳ありません。どうぞ宜しくお願いいたします。

−Y−





親子関係というのは とても難しい問題で、Yさんが生きてきた人生そのものが、親子関係の歴史でもありますので、 頂いたメールのみで状況を判断するのは 少々難しい部分がありますが、 私が受けた印象からアドバイスをさせて頂くことにします。

親が子供、特に娘の結婚に反対するパターンには2種類があります。
1つ目は、単に相手の男性が気に入らない場合で、気に入らない要素は、見た目の雰囲気から、 学歴、収入、そしてお抱えの占い師に「運が悪い、相性が悪い」と言われたなど様々なものがあります。 こうした両親の場合、気に入らない要素が無い男性、もしくは気に入らない要素が妥協や改善の範囲内の男性が現れた場合、 その男性との結婚には 賛成してもらえます。

2つ目のパターンは、親が娘を失いたくない場合です。 こちらのケースですと、相手がよほどの大金持ちで、実家に貢いでくれるようなケースでもない限りは、 どんな男性が現れようと 反対されます。
娘を失いたくない理由は様々です。 「娘は実家に尽くすべき」とご両親がお考えの場合は、 老後の面倒をYさんに見てもらうことを考えているかも知れません。 また 家族のダイナミックスが崩れるのを恐れているケースもあって、 もしYさんが一人っ子でいらした場合、ご両親が2人だけの生活をするのを無意識のうちに拒んでいるために、 Yさんに結婚して、家から出て欲しくないと考えている場合もあります。
いずれにしても 娘を失いたくない両親の下で、 結婚に漕ぎ付けるのは、 Yさんが結婚後も 所謂「スープが冷めない距離」に住んで、ご両親の面倒を見たり、 ご主人がご両親のことを最優先に考えてくださる方でない限りは 難しい場合が殆どです。
娘を失いたくないと考えている親というのは、往々にして娘が自分達の所有物だと思っていることが少なくありません。 娘に1人の人間としての人格を与えていない場合も多いので、何を言っても取り合ってもらえなかったり、 親が本人の意思を無視して、娘の人生を勝手に決めてしまうことも珍しくありません。

頂いたEメールから私が受けた印象では、失礼ながら Yさんのご両親は 「娘を失いたくない親」のパターンに属するように思えます。
でも、親が 30歳を過ぎて 立派な大人になっている娘を 自分達の所有物のように扱うのには、それなりの理由があります。 そもそも親の殆どは、生まれてきた子供を自分の所有物として育てて来ています。 でも親達がその意識を改めざるを得ないきっかけとなるのが、程度に個人差はあるものの 子供が迎える反抗期です。 私は、ティーンエイジャーの頃に迎える反抗期というのは、親子が将来の自分達のあり方を軌道修正するために 必要な時期だと考えています。
人間は大人になって、特に自分に子供が出来てしまうと、 反抗期というものを ティーンエイジャーが迎える思春期のイライラだと 軽視してしまいがちですが、この時期に親が すっかり扱い難くなった子供に対するコントロールを諦めたり、 自分の夢を押し付けるのを断念することによって ”子離れ”することは、 後の子供の人生に、そして親子関係にとって 大きなプラスになる場合が少なくないのです。
ですので、たとえご両親が恐ろしかったとしても、Yさんが もっと早い時点で ご両親に疑問を抱いて、何らかの反抗、反発をしていた方が、 現状が遥かに幸せだったと考えられます。

でも親子関係の軌道修正には 時効はありません。これからでも遅くはないのです。
一生我慢をして、人生を棒に振ったような気持ちで生涯を過ごすよりも、一時的に多少の精神的な苦痛や孤独を味わうことがあっても、 Yさんの人生にとって大切なものを守るために、そしてYさんの人生の目標をまっとうして、幸せになるためにも、 ご結婚の課題を機に、親子関係を変える必要があると思います。
Yさんは、”今になって、「かつて うつ病と買い物依存になってしまったのは、親が原因ではないか?」とまで思うほどです。”と書いていらっしゃいましたが、 もしご自分が何もアクションを起こさずに、ご両親だけを責めるようなことがあれば、私の目から見ればYさんも同罪です。 ご両親を恐れる気持ちもさることながら、これまでYさんがご両親に対して 自分の意見を通せずに来たのは、その方が簡単で、 穏便に済ますことが出来たからです。
そして、それを続けてきたことが今日の状況を招いているということをよく考えてみてください。

私がこのケースでお薦めするのは、ご両親に付け込む要素を与えずに自分の意思を貫くことです。
正直申し上げて、今のYさんの印象では、話し合ったり、歩み寄ろうと努力すれば、ご両親の言うままになる状況を脱することは出来ません。 散々抵抗した挙句、結局親の意思が通るという状況を繰り返すことになるだけのように思います。
したがって、本当にプロポーズしてくださった男性と結婚したいと切望するのであれば、それをもう自分で決めたこととして、ご両親に報告して、 認めて頂けない場合は、家を出る覚悟もしていただきたいと思います。 というか、家を出て、結婚してからご報告するくらいでないと、ダメかも知れません。
ご両親とYさんの30年以上続いた状況が、Yさんの結婚のために直ぐに変われるとは思えません。 ですので ご両親の反対を振り切って、男性と結婚されようとする場合、暫しの絶縁は覚悟と言えます。
アメリカでは、親を招待せずに結婚式を挙げるカップルというのは決して珍しくありません。私の知人の従姉妹は、 結婚して、子供が出来て、今更反対できないという状況になってから、親に結婚を報告したそうですが、 そうしない限り、結婚は無理と判断して、実際にそれに踏み切ったからこそ、今では孫に会いたくてたまらない両親と上手く行くようになったそうです。

世の中は既に21世紀を迎えているのですから、親を必死に説得して漕ぎ付ける婚約や、親の体裁を考えた挙式など、何の価値もありません。 もちろん、ご両親は そうお考えには ならないと思いますが、 親と子は 家族であっても個々の人間であること、ご両親が苦労をしてYさんを育ててくださったことを理解して、感謝していたとしても、 自分の人生に必要なこと、大切なことは、親の意思に反してでも貫かなければならないことを、これを機会にご自分に言い聞かせてください。
そして強い意志を持って、ご両親に逆らうのではなく、ご両親と距離を置いて下さい。 「この人と結婚します」、「もう自分で決めたことですから」と、何を言われても、たとえお父様にぶたれたとしても、言い訳や説明など一切せず、 それだけを言い続けるくらいの心づもりにして下さい。

これまでは、抵抗しようとして やり込められるから、恐怖心がつのってきたかもしれませんが、 それはYさんが 自らの説明や言い訳によって ご両親に付け込むきっかけや、Yさんをやり込める武器を与えてきた結果です。 ご両親が何を言おうと、壁のように振舞っていたら、ご両親にはそれ以上、何も出来ることはありません。

一度、ご両親と距離を置いてみたら、多少時間は掛かるかも知れませんが、やがてはお互いに歩み寄りたい気持ちが出てくると思います。 そうなってからでも、親子である限りは絆は修復が可能です。 両親の言いなりにはならない大人としてのYさんの方が、結果的に ご両親が年老いて行くプロセスにおいて、遥かに頼り甲斐がある存在になることは間違いありません。
Yさんは、メールの文面からお優しい方だとお察ししていますが、どんなに優しいお人柄でも、 自分が人生において後悔しないために、自分が幸せになるために、自分を強く主張しなければならない時があります。 自分を曲げてばかり居るのは、弱さであって、思いやりや優しさではありません。

この問題は、Yさんがご両親のことをどうすればよいかではなく、Yさんがどれだけ幸せになりたいと思っているか? Yさんがどれだけ自分の人生に真剣に取り組んでいるか?の問題です。 その意味では、Yさんが対決すべきはなのはご両親ではなく、これまでの状況を受け入れてきたご自身かも知れません。
そう考えて、これまでとは違うご両親に対する接し方をなさってみてください。

プロポーズしてくださった男性とご結婚される場合も、そうでない場合も、「お幸せになって下さい」 というのが私からのメッセージです。

Yoko Akiyama



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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。




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