Sep. Week 3 2017
★ "Betrayed by My Proteges"
"私の前では穏やかな元生徒さん、でも陰では私を批判してあらぬ噂話まで…"



秋山様、
誰に相談して良いか分からなくて、このコーナーに思い切ってメールをしてみることにしました。お忙しいところ恐縮ですがよろしくお願いします。

私はもう何年も ある習い事を教えています。生徒さんの中には独立して自分のお教室を持っている人も何人も居て、 私はそんな風に門下生が出来ることは、私にとってもプラスだと歓迎してきました。 そして既に先生になった元生徒さんとも、頻繁ではありませんが親しくしているつもりでした。
ところが少し前に、以前お教室に来てくれていた生徒さんと偶然 あるイベントで鉢合わせをした時に、 「先生のお耳に入れておいた方が良いかもしれません」と言って、今は自分でお教室をやっている元生徒さんが、 私を陰で批判していて、私のやり方と違う方法を教えながら、私のやり方が間違っていると生徒さんに教えているという話を聞いて驚きました。 と言いますのも、その元生徒さんとは少し前に会って、別の元生徒さん達も交えてお食事をしたばかりだったためです。

その話がショックだったので、長く通ってくれている今の生徒さんで、私を批判していた元生徒さんを知る人にその話をしてしまい、それがきっかけで お教室の後、話し込んでしまいました。 するとその方からも、今は別のお教室をやっている元生徒さんや、その人と仲が良かった元生徒さんたちが 私の主人や子供についてあらぬ噂話をしていると聞かされて 益々ショックを受けてしまいました。
どちらの女性もそんな風に 私を批判したり、悪口を言うなんて信じられないくらい、私の前では穏やかで感じが良い人達で、 だからこそ時々ですがお食事に行ったり、家族の事なども話したりしていたのですが、まさかそれが悪口の材料を提供しているとは夢にも思いませんでした。 ふと考えると 最近少し新しい生徒さんが減ってきたような気がして、それがそんな悪口や噂話のせいではないかと思って疑い始めまてしまいました。 最近はお教室で教えていても「ここに居る人達も、内心は私のことを批判しているのかもしれない」というようなことが時々頭をよぎってしまい困っています。

これ以上、長い生徒さんに何かを言えば 私が噂話を気にして悩むような、気が小さい人間だと思われるので、お教室に関わる人には誰にも 今の気持ちを話したり、相談したりするつもりはありません。それに また新しい噂話を聞かされたら、 長く続けてきたお教室をやめてしまいたくなってしまいそうで怖い気持ちさえあります。
秋山様にご相談したいのは、これまで一生懸命、生徒さんに良かれと思ってお教室をしてきたつもりで 表向きには感謝されますが、 どうして陰ではそんな批判を受けてしまうのかということと、 表向きには私にチヤホヤしていても、裏では何を考えているか分からない人達と どうやって向き合っていったら良いのかということです。

お教室で教える立場とは言え、生徒さんはお客様ですので 強い態度を取る訳には行きませんし、 生徒さんとはお教室以外でも ある程度お付き合いしないと通い続けてもらえません。
何かアドバイスをお願いします。よろしくお願いします。

- T -





Tさんと同様の状況は、師弟関係が生じるビジネス、及び人間関係では非常にありがちなものですので、Tさんの置かれた状況が 特にユニークである訳ではないと思います。 ですので、Tさんが個人的になさったことが現在の状況を招いたと考える必要は全くないのが実際のところです。

それまで自分から学んでいた生徒さんが、徐々に知識や実力をつけて 自分も他人に教えようという立場になれば、 自分のやり方や手法に十分な自信をつけているはずですので、「教わった人よりも自分の方が優れている」、もしくは「自分は別のやり方でもっと成功できる」という気持ちを抱いていても 不思議ではないのです。 加えて元生徒さんであったとしても、一度自分のお教室をスタートすれば Tさんとは同業の競合関係になる訳ですから、ライバル意識が生まれるのも当然です。 Tさんと付かず離れずの距離を保ちながらも、Tさんの生徒さんにアプローチしたり、 Tさんより自分が優れていることをアピールしたり、Tさんのご家族について 好感が持てないような噂話を流したりというのも、同様の関係ではありがちな事と言わなければなりません。

私も10年以上前に「オンライン・ショッピングを始めたい」という知人が、ごく初歩的なビジネスのノウハウを尋ねてきたので 教えてあげたことがありますが、いざその人がビジネスをスタートした途端に何をしたかと言えば、私のサイトと似たような商品を扱う一方で、 「CUBE New Yorkのサイトより自分のサイトの方がずっと優れている」という比較蔑視の発言と、 私の悪口を言い回ることでした。
でもそれが同じようなビジネスをして競争関係にある人間の姿なのだと思いますし、先に同じビジネスをしていれば 後発側にそういった攻撃をされるのは避けられないと割り切ってしまうべきなのだとも思います。

そもそも元生徒さん達は Tさんも「お客様」とメールに書いていらした通り、Tさんから学べることに対して お金を払っていた取引関係の人達なのです。 したがって お教室では 師弟関係であったとしても、Tさんが引き取って育てた訳でもなく、 無料で修行の場を与えた訳ではないのですから、たとえTさんが全てを一から教えた場合でも 忠誠心や感謝の心は最初から期待できない関係なのです。

その上で、もしTさんに改善すべき点があるとすれば、まずお教室以外のオケージョンで 生徒さんや元生徒さんとお食事をご一緒するような場合、 生徒さんのご家族についての聞き役になるべきであっても、ご自身の家族やプライバシーについてお話されるのは極力避けるべきです。 Tさんがお客様である生徒さんの家族構成や暮らしぶり等について情報を集めて、それをお教室のカリキュラムに有益に取り入れることは大切だと思いますが、 Tさんご自身の家族や家庭の内情、それ以外のプライベートなことについてお話されるのは、Tさんが実際に経験された通り、余計な噂を流される原因になったり、 自慢話のように受け取られるなど 知らず知らずのうちに反感を買うことになるだけです。 例えその場では感心したり、楽しそうに聞いていたとしても、後になってそれが悪口のネタになることは多いのです。

次に、物を教える立場の人間が 生徒さんが 自分のことを本心ではどう思っているのか?と気にするのは大きな間違いです。 生徒さんがお金を払ってまでお教室に来ているということは、 何等かのメリットや理由がある訳ですから、 生徒さんが自分をどう思っていようと、Tさんは仕事にベストを尽くすだけで良いのです。
余計な詮索や、相手に取り入るような姿勢は かえって嫌われたり、馬鹿にされたりする原因になります。 そんな事を気にして、改善を試みたところで お教室を続ける人は続けますし、別の先生が良いと思った場合や 学んでいることに対する興味が失せた場合、時間やエネルギーを他のことに注ぎたくなった場合はやめてしまうものです。 それはTさんが何をしようと変えられることではありません。

それとTさんには人に教える立場の人間として、「同じ人間から永遠に学ぶことは出来ない」ということを理解して頂きたいと思います。 Tさんの教えていらっしゃる内容がどんなに奥が深くても、学ぶ側は自分の学んでいるものに興味や情熱を注ぎ続けるために 違う教え方や新しい手法、もしくは全く異なる環境を模索しなければならないものなのです。 人間である限り、「何かを変えたい」という気持ちは定期的に沸いてきますので、 お教室のメンバーが変わるのは宿命です。
ですので自分がどういった生徒さんにアピールするかを自らしっかり把握して、自分がアピールする新しい客層の取り込み、 古い客層の再度獲得に取り組みながら、ご自身のアピールを拡大する方法を考えて行かなければ、 やがては自分より勢いのある若い世代の同業者に生徒さんが流れて行ってしまいます。

生徒さんをお客様と捉えていらっしゃるTさんなのですから、陰で誰が何を言おうと 個人的な感情等は交えずに ご自身のお教室をビジネスとして捉えて、経営戦略を考えるべきなのです。 現在のTさんは、金銭の授受が生じる関係であることを理解しながらも、 生徒さんを交友関係のように考えている曖昧さが見て取れます。 その曖昧さは、長い生徒さんに自分が言われた悪口についてTさんがお話されたことに顕著に現れているかと思います。 ですので、今後はお教室外のオケージョンでも「生徒さんはお客様であって 友達ではない」という意識で 接して頂きたいと思いますし、それがプロの振る舞いというものなのです。
そしてそんな一貫したプロの振る舞いをすることによって、 現在Tさんが抱いていらっしゃる迷いや悩みは全て払拭されることと思います。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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