Sep. Week 4, 2016
★ " Marriage Complicated "
連れ子、前妻、言葉の障壁、Etc.
複雑な結婚に耐えられるでしょうか?


Yokoさま、
今、アメリカに暮らしています。 アメリカに来る前から、キューブさんのサイトを読んでいて、もう8年くらい愛読しています。 秋山さんのコラムと、このコーナーが大好きで、いつも更新を楽しみにしています。 私も是非ご相談に乗っていただきたいことがあります。よろしくお願いします。

今年の春、以前の職場のアメリカ人の上司と婚約しました。私は初婚で、彼にとっては2度めの結婚になります。 私は彼の秘書でしたが、私が秘書になった時は 既に前妻とは別れた後で、離婚訴訟の最中でした。 ですから不倫をしていた訳ではありませんし、交際を始めたのは出会ってから1年くらいが経過してからでしたので、その時は離婚も成立していました。
彼と前妻の間には子供が2人居て、1人はティーンエイジャー、もう1人は少し年下で、親権は前妻とシェアしていて、子供達は彼の家で暮らしています。 前妻は資産家の娘で、彼女が若い時に結婚していたので、私より2歳年上なだけです。 彼女は大学時代に子供が生まれて、卒業後もキャリア・ウーマンだったので、子供達は 長年同じナニー(子供の世話役)が面倒を見ていて家族同様になっています。 それ以外にメイドやテューター(家庭教師)も居るので 結婚しても 彼の子供の子育ての苦労はさほど無いものと思っていました。

でも、婚約してから子供達や彼の親類と会う機会が増えてきて、だんだんと不安がつのってきました。 最大の理由は、彼の家族も前妻も、ナニーやメイドも、皆スペイン語を話すことで、私1人が会話に入れないことがしょっちゅうあります。 フィアンセと前妻はヒスパニックのルーツで、メイドやナニーもヒスパニックでどちらもアメリカには長いのにあまり英語が話せません。 ですのでスペイン語で話しているのは当然と言えば当然なのですが、私が居て 会話に加わっている時も、私がスペイン語を話せないのを承知で スペイン語で話し続けているので、私の存在を認めていないように感じる時さえあります。
彼は家族が多く、前妻は彼の家族や親類が遊びに来ると 彼らに会いに来るので、それも気になっていることですが、 その時も 私をそっちのけにしてスペイン語で話します。 彼の親類は私に気を使っている時は英語で話しますが、時間が経過するとスペイン語だけなります。 言葉の障壁が深刻なのを悟ってからはスペイン語の勉強を始めましたが、とても追いつけるような状態ではありません。

ナニーやメイドは前妻と仲が良く、いつもスペイン語で話しているので、何を言っているかはわかりませんが、 私のことをお金目当てに上司に言い寄った秘書みたいに思っているのではないかと思える時があります。 でもナニーやメイドの方が子供達のことや家の中のことを良く知っているので、 私は彼女らからいろいろなことを学ぶような状態です。
そのため2人の雇い主の妻になる立場でありながら、ナニーとメイドには「英語で話すように」と キツク言うようなこともできません。

子供達もスペイン語の方が得意なので、英語しか話せない私にはあまり なついてくれません。 上の女の子は、母親である前妻のことが大好きなので、私のことははっきり言って嫌いなのだと思います。 父親である私の婚約者が居ないところでは、特にそういう態度を取ります。
下の子の方が 1人で居る時は私にフレンドリーですが、私を嫌っている姉と一緒の時は、 ちょっと態度が違いますし、ティーンエイジャーになったらやはり扱いが難しいのかと思えています。 最初に子供達と一緒に食事をした時は、上手くやっていけるような気がしていたのですが、 だんだん自信が無くなって来ていて、私と彼の間は今も上手く行っていますが、 子供を含めた家族ということで考えると 上手く行っているとは言えないように思い始めました。

子供が居る友達には、「自分の子供でさえ子育ては大変なので、子供への愛情や思い入れが無かったら たとえナニーやメイドが居ても大変」と脅されますが、 「一度結婚して、家族として暮らすようになったら、だんだん子供達も打ち解けてくるはず」という人も居て、 どちらを信じたら良いのか分かりません。
でも考えてみればアメリカは18歳で大学に行く段階で子供が家を出ていくので、 私と折り合いが悪いティーンエイジャーの娘と関わるのはあと数年です。 下の子供もやがては家を出ますし、彼女がティーンエイジャーになったらナニーも必要ありません。 そうなればメイドも新しい人を雇うこともできるので、今の状況をガラッと変えることが出来ると思います。

問題はそれまでの間、前妻やナニーから受けるプレッシャーや、子供達との関係に我慢できるかです。 彼にとっては2人の子供や親族はとても大切な存在なので、私が子供や親族と上手く行かないステップマザーになったら、 彼の私に対する愛情も変わってくるかもしれないと思って心配しています。
ですが今の私は 婚約者で、ガールフレンドよりは格付けが上だとしても、まだ妻としての正式なポジションを確定してない状態です。 妻の座を獲得したら、もっと自由に出来る裁量が増えると言う人も居ますし、自分でもそうかと思う部分はあります。
Yokoさんはこの状況をどう思われますか?
このまま行けば来年には挙式という予定になっていますが、こんな不安を抱えたまま結婚しても良いものかと心配しています。 何かアドバイスをしていただけると助かります。 よろしくお願いします。

- E -




私にもヒスパニック系の友達がいますが、ヒスパニック系は往々にして親族が多く、その親族や友人たちが集って ワイワイと時間を過ごすのを好みます。 なので そうした行事に家族愛の意義を見出す価値観がないと、 たとえメイドがいて ケータリングをオーダーした場合でも、ホスト役は大変だと思っていつも見ています。
その友達の家の行事に招待された時は、来ている人は殆どスペイン語を話していて、 時々私に気を使って英語で話してくれますが、 それ以外は知っている単語が出てきた場合や、その場の雰囲気で何を話しているかを察するのみで、会話の内容は全く理解していません。 でもニューヨークに来たばかりの 英語がろくに話せなかった時代に、会話の内容が分からなくても 申し訳無さそうにするのではなく堂々と、 そしてたとえ内心つまらないと思っていても 楽しそうに振舞うことが一番の社交術だと学んだので、 それ以来は 周囲が何語で話していても 平気になりました。そもそも言葉が話せても余計なことを言う人は嫌われる訳で、 逆に言葉は話せなくても 楽しそうにしていれば、それだけで好かれることもあったりします。
さらに言えばアジア人はスペイン語を話せる人の絶対数が少ないこともあってか、ヒスパニック・コミュニティ内の スペイン語が話せない白人よりは 「カルチャーが違うので言葉が話せなくても仕方ない」という目で見てもらえるのも事実です。 ですから言葉の障壁については焦らずに勉強しながら、言葉によるコミュニケーション不足を 表情の明るさやフレンドリーさで補うことで、 乗り切ることは出来るかと思います。
たとえナニーとメイドが悪口を言っているように思えたとしても、ファミリーの会話に入っていけなくても、 明るく振舞って、相手に好感を持ってもらうこと、少しずつでも確実な人間関係を構築することが何より大切です。

それよりも私がEさんのケースで危惧するのは、ステップチルドレン(継子)や、Eさんの婚約者を取り巻く人々との関係です。
両親が離婚をして、子供達が父親、母親とそれぞれ1人ずつ会うようになると、 一緒に暮していない側の親と子供の関係が以前より深くなるケースがあって、 特に母と娘、父と息子という同性の親子関係がその対象になるとアメリカでは言われています。 中でもティーンエイジャーの娘と母親は、親子関係が友人関係のような深まり方をするケースが多いようで、 その場合 娘がステップマザーのことを まるで「親友の彼氏を奪った泥棒ネコ」のように嫌う傾向にあるようです。
もし実母が「ステップマザーにチャンスを与えてあげなさい」という考えの持ち主である場合は、 実母に言われたからという理由で 娘がステップマザーをフェアに扱おうとするケースもありますが、 そうなるには、Eさんと前妻の関係が良好までいかなくても、ニュートラルになる必要があります。
メールを拝読した印象では、Eさんは前妻を子供や親類、ナニー、メイドを味方につけて、自分の存在を脅かす”危険分子”のように 感じていらっしゃるように受け取れた次第です。 そうした考えや Eさんが知らず知らずのうちに見せている態度や表情を改めることなくしては、 未来のご主人の周囲の人々と上手く行くことはありませんし、それらの人々との良好な関係が築けない場合、 Eさんが未来のご主人の”家族”になることはありません。
Eさんのメールには、やがてティーンエイジャーの長女が大学に行き、下の子供がティーンになればナニーをクビにして、 そうしたらメイドも新しい人を雇い、やがて下の子供も大学に行くために家を出るという、 ご主人の周囲の人々をことごとく排除する形で 将来のブルー・プリントが描かれていたのですが、 それでは彼を繋ぎ留めることは出来ないのです。

私の知人は、3人の子供が前妻とイギリスに暮らしている男性とニューヨークで出会って結婚して、 仕事でロンドンとニューヨークを行き来していたご主人だけが ロンドンに行くたびに子供達に会うという、 ステップ・チルドレンと全く関わらない結婚生活をしていました。
私が「この結婚は危ないのでは?」と思ったのは、結婚した直後のクリスマスならまだしも、結婚した翌年のクリスマスも 夫が子供達とクリスマスを一緒に過ごすために、彼女をニューヨークに1人残してロンドンに行ってしまった時で、 資産家の娘である知人は 毎日のように友人とホリデイ・シーズンのパーティーに出掛けていましたが、 恐らく周囲も 夫と一緒にパーティーに来ていない理由を彼女から聞くたびに、私と同じリアクションを頭に描いていたと思います。
それは夫が 彼女よりも子供を選んでいる、もしくは優先させているということですが、 同時に夫は 自分の新しい妻の存在を子供から隔離していた訳で、 これが前妻に気兼ねしてのことなのか、それとも子供達の自分に対する心情を損ねないためのことなのか、その理由は知る由もありませんでした。 要するに知人と夫は夫婦ではあっても、夫にとって家族と呼べる存在は常に前妻と子供達であった訳で、 結局 2人は 4回目のアニヴァーサリーを迎える前に離婚をして、 夫は新しい仕事を見つけてロンドンに戻りました。でも彼は前妻と復縁した訳ではありませんでした。
今振り返ってみて この結婚を救えたとすれば、夫が何と言おうと彼女が一緒にロンドンに行って、 彼の子供達と一緒にクリスマスを過ごすべきだったということ、 それだけでなく 夏休みなども 彼の子供達と旅行をするなどして、 彼女もその”家族の輪”の中に入ることだったと私は思っています。 でも知人はそれが初婚で、子供を産んだことも無かったので、 夫に「子供達が自分達の離婚でデリケートな状態だから」と言われれば 大人しく身を引いていましたし、 子供と前妻が海を隔てた外国に居たせいもあって、結婚というものを ”お互い2人だけの関係=ロマンス” だと考える傾向にありました。

でもEさんもメールに書いていらした通り、一度 家庭を持った男性にとって家族、 特に子供はとても大切な存在です。そしてその子供が大学に進学して、寮生活を始めたとしても その人生から子供が消える訳ではありません。 そもそも大学に行くまでの間も 大学選びの視察旅行、アプリケーションの提出など、 親が一緒にやらなければならない事は沢山あります。それは通常ならば プライマリー・カスタディを持つ側、 すなわち子供と一緒に暮らす親が行うもので、たとえ長女が前妻に頼むことを希望して、 その通りになったとして、Eさんは「私は後妻なので何も知りません、関わりません」などと言うことは出来ません。
またアメリカにはマリファナを吸ったり、飲酒で問題を起した場合、もしくはSAT(アメリカ版の共通一時)で 思い通りの成績が上がらなかった場合に 「両親の離婚と再婚で精神的に不安定になっていた」と言い訳して、責任逃れするティーンが少なくありませんので、 ステップ・チルドレンとの不仲を放置しておくと、子供の問題が全て自分との結婚のせいにされかねません。 要するに「子育ての苦労はさほど無いもの」などとタカをくくっていられる状況ではないのです。

Eさんがそんな苦労を覚悟の上で、それでも「彼と幸せな結婚をしたい」、「彼の家族に溶け込んで、上手くやっていきたい」 と考えていらっしゃるのであれば、結婚に踏み切るのは問題ないと思います。 ですが、夫になる男性の家族や家族同然の人間を追い出したり、クビにすることを考えるだけで、 歩み寄ろうとしなかったり、その努力をあっさり諦めてしまうようであれば、 男性がEさんのことを冷たく、愛情に薄い女性だと思っても不思議ではありません。
さらに言えば 頂いたメールでお見受けした限りでは、Eさんからは結婚した際の苦労や問題を心配する様子は感じられたのですが、 それでも婚約者と結婚したいという強い意志は感じられませんでした。 逆に「2人だったらやっていけると思うけれど、周りの人間が絡むと分からない」、「余計な問題には関わりたくない」 というお気持ちの方が強く読み取れる内容になっていました。
ご自身でも「問題はそれまでの間、前妻やナニーから受けるプレッシャーや、子供達との関係に我慢できるかです」 と書いていらっしゃいましたが、Eさんに婚約者への深い愛情があれば、その周囲の人々に対しても 「我慢して居なくなるのを待つ」よりも 「何とか歩み寄って、円満にやっていこう」という気持ちで臨むものだと私は考えます。

そもそも結婚というものは、婚姻関係で結ばれた途端に 抱えていた問題が消えて無くなるようなマジック・パワーを持つものではありません。 むしろ結婚してからの方が 抱えていた問題が深刻になるものだと思って 臨むべきものです。 ですので結婚した途端に今より状況が良くなるというような希望的観測は真っ先に忘れるべきなのです。
その上で 「どうしてこの人と結婚したいのか」、結婚後の最悪の状況を思い描いて 「それでもこの人と一緒に居られるか、居たいと思うか」を 改めて自問自答してみてください。
その結果、Eさんが「この結婚は荷が重過ぎる」と判断しても、それは決してEさんが打算的という訳ではありません。 交際は続けられても、結婚は続けられない間柄はいくらでもあるのです。
異なるカルチャー・バックグラウンドの離婚暦&連れ子がある男性との結婚で、しかもその連れ子はティーンエイジの難しい年頃、 前妻と親しいハウス・スタッフに囲まれる生活、それに加えて言語の壁となると、 初婚の女性にとって、特にEさんの身内が全員日本に住んでいらして、 外国の地で孤軍奮闘という状況の場合は、ハードルが高過ぎるように見受けられます。
でもそれを乗り越えるだけの信念と愛情のパワーが自分に備わっていて、 何が起こっても負けずに頑張っていこうと決心した場合は 結婚にGoサインで大丈夫だと思います。 それを見極める時間が必要な場合は、積極的に彼の家族や周囲の人間と関わってみるべきですし、 「結婚してから ゆっくり考えれば良い」などとは思わずに、 ステップ・チャイルドの大学進学などを含めた 自分たちの結婚生活の様々なケース・バイ・ケースを 未来のご主人と話し合ってみるべきです。
その方が1人で考えたり、彼の家族に会ったことも無い友達のの忠告を聞き入れるよりも 遥かに建設的なアプローチですし、悔いのない決断への近道だと私は考えます。
そもそも不安を抱えたまま結婚すれば、やがて離婚をするか、不幸な結婚になるかのどちらかにしかなりません。 ですので、Eさんが求めるものが 単なる”結婚”ではなく、”幸せな結婚”なのでしたら、 「婚約したから結婚する」、「そろそろ結婚する年齢だから結婚する」といった 短絡的な決断はせずに、本質を見極めた選択をしていただきたいと思います。

Yoko Akiyama

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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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