Sep. Week 4 2017
★ "Immitation is…"
"私のファッションの真似をする女友達、それでいて自分がオリジナルという態度を取ります"



秋山曜子様、
このコーナーを始めとする秋山さんのコラムの大ファンです。私にもアドバイスをお願いします。
私の女友達に、私が着るものとかバッグとか 時々靴まで、私が買ったものを真似する人が居ます。 その人ははっきり言ってしまえば、典型的なお金はあってもセンスがないという人で、 自分では何を買って良いか分からないから私の真似をするのだと思います。 お金があるだけに、バッグとかは私と同じスタイルでも、私が買えないような高い素材のものを買って、私に見せびらかすような態度も取ります。
でもその友達はファッション・センスがある訳ではないので、私と同じような着方しかできません。 自分の手持ちの服に合わせるような芸当は無いので、彼女のファッションの知識やセンスじゃ 着回しなんて不可能という感じです。 それでもお金があって服を沢山買うことは出来るので、着回しなんてしなくても それで間に合っているという感じの人です。

一度、共通の友達が その友達に いつも私と似たようなものを着ていると言ったことがあったそうですが、 その返事は、「そう?私は全然違う趣味だと思うけれど」と真似を否定しただけでなくて、 「彼女の方が私の真似をしているんじゃない?」というものだったそうで、 それを聞いた時は不愉快な思いが込み上げてきました。 ただでさえ私が新しく買った服と似たような服でその友達が現れると不愉快な思いをしているので、 ましてや私がその友達の真似をしているなどと言われる筋合いはない感じです。
それに共通の友達の中には、その友達が私の後から買った服やバッグの方を先に見ている人も居るので、 私がそれを着ていくと、「あ、それと似たのをXXXさんが着てた」などと言われてしまって、まるで私が友達のお下がりでも着ているような気分にさせられます。

私はその友達ほどお金がある訳では無いので、例えば高いジャケットとかを買う時はお金のことや、手持ちの服との着回しなどを考えて、 お値段によっては、バンジー・ジャンプで飛び込む時みたいな決心をして買いますが、 そうやって、私がいろいろ考えて買った思い入れのある服を いともあっさり真似されるのは凄くイヤなんです。 それに、私ほどは服に思い入れが無いのも分かるので、何となくファッションのアイデアを横から盗まれている感じで情けなくなります。
あと、こんな事を言うと性格が悪そうに聞こえますが、その友達には似合っていないものもあって、 友達の着こなしを見て、「あれ?こんな服だっけ?」とイメージダウンしてしまうこともあります。

彼女が私の真似をして服やバッグを買うのを止めらさせるさせることが出来ないのは承知ですが、 何か方法はないでしょうか。 それでなければ、どうやったら彼女の方が真似をしていることを周囲に分かってもらえるでしょうか。
秋山さんもファッションがお好きなので、同じ思いをしたことがあるのではないかと思ってメールをしてみました。 何かアドバイスをしていただけけると、とっても嬉しいです。
では、これからもずっと頑張って下さい。

- C -





イギリスの劇作家のオスカー・ワイルドの語録の中に「Imitation is the sincerest form of flattery.(イミテーションは最も正直な賛辞) 」 というものがあります。 たとえ本人が認めなくても お友達が明らかにCさんのファッションを真似しているというのは、Cさんのファッション・センスに一目置いているという意味ですし、 人間というのは女性でも男性でも、本人にファッション・センスがあろうと、無かろうと、 ファッション・センスを持つ人間を識別する能力は誰もが備えています。 日頃からファッションに無頓着そうな服装をしている人が、意外に鋭い目で周囲の人の服装やセンスをチェックしていたりするものです。
ですのでCさんが 努力してご自身のファッション・センスをアピールするまでも無く、周囲は同じような服装をしていてもCさんにはファッション・センスがあって、 お友達には真似をするお金だけがあることは理解していると思います。

女性が集まれば、服やバッグ等、お互いが身に着けているファッションの会話が必ず出るものですので、 そんな会話の一環として、Cさんがメールに書いてくださったように「それと似たのをXXXさんが着ていた」と言われることがあるかと思います。 でもそれは、「XXXの真似をして買ったの?」と言われた訳ではありません。 それを言ったお友達は「XXXさんが、またCさんの真似をして 似たような服を着ていた」と言いたかっただけとも考えられます。
Cさんの中で、お友達にファッションを真似されているという不満や不愉快さが 大きく膨らんでいるせいで、そんな被害者意識から Cさんが真似しているかのように聞き取れてしまったかもしれませんが、 何の先入観も無しに読んだ私の立場からは、別の印象を受けました。

もし、Cさんがそんな気持ちのせいで お友達のコメントが全てネガティブに聞こえてしまって それに対して不愉快さを露わにしていたら、 Cさんがどんなにファッショナブルに装ったところで、誰も一緒に出掛けたい とは思ってくれませんので、その方を気をつけるべきというのが私の意見です。 私の尊敬するココ・シャネルの言葉に、「美しさは武器であり、装いは知恵、謙虚さはエレガンスである」という言葉がある通り、 服を着こなすというのは、着ている物やセンスをひけらかしたり、自己主張を押し付けるものではありません。
ですから、Cさんには極上のエレガンスを着こなせる女性を目指して頂いて、誰が似たような服を着ようと 全く気にならないメンタリティ持って頂きたいと思います。

そのココ・シャネルは、街中にシャネルのイミテーションが溢れていることを側近に知らされた際に、「勝手にやらせておきなさい」と言ったことで知られています。 彼女はフィロソフィーが伴わない状態で、スタイルだけコピーしたところでそれがオリジナルにはなり得ないことを誰もよりも理解していました。 当時のパリでは、シャネルと同じ時代に活躍したクチュリエ、ポール・ポワレのコピーも出回っていましたが、 そのポール・ポワレはココ・シャネルとは正反対で、徹底的にコピーを取り締まったそうです。
その結果2人のファッション史における影響力には雲泥の差が出ている訳で、もちろん才能や女性のライフスタイルの捉え方など、ココ・シャネルの方が勝っている部分は沢山あったかと思いますが、 そんなイミテーションの捉え方1つにしても、ココ・シャネルは本当に賢いビジネス・ウーマンだったことが窺い知れるエピソードだと思っています。

私も今までに何人か、ファッションセンスという点で 非常に勉強させてくれた友達に巡り合いましたが、そうした女性達は 自分に似合うものを熟知していて、普通の人が持たないセンスを打ち出して、自分を良く見せる目立ち方を心得ていました。 その中には、私が人間的には決して評価出来ない人も含まれていますが、一般の人々が成長過程で自分のプレゼンテーションの一環として自分に似合うものを学んだり、 自分のスタイルを確立していくのに対して、 それらの女性達は持って生まれてきたファッションのIQが 普通の人とは明らかに違うことを会う度に実感させてくれました。
やはり秀でたセンスを感じさせる人というのは、ファッションにある程度の時間やお金を投資をしているケースが多いものですが、 それでも湯水のようにお金を使っている訳ではありませんでした。私の考えでは、 ファッションというのは、ある程度限られたバジェットの中で、知恵やアイデアを絞って着こなしを考えた方が、 有り余るバジェットで一度しか着ていない服がクローゼットにうなっている状況より、遥かにファッションそのものが楽しめて、 周囲にもアピールすると思っています。 逆にお金があり過ぎると、「あれだけお金があっても、あんな似合わない服に使っているなんて…」と陰で馬鹿にされる傾向にありますが、 見方を変えれば、それだけお金があるからこそ 深く考えずに似合わない服でも買ってしまうという事なのかと思います。

Yoko Akiyama


このセクションへのご質問は、ここをクリックしてお寄せください

プライベート・セッションはこちらからお申し込みください


執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

Shopping
home
jewelry beauty health apparel rodan

Q&ADV プライベート・セッション

PAGE TOP