Oct. Week 2, 2013
★ Election Mess


こんにちは、何時も楽しくウェブサイトを拝見しています。 特にこのコーナーが大好きで、もちろんCatch of the Weekも何年も愛読しています。
以前から、私も悩み事があったらこのコーナーにメールをしようと思っていたのですが、 本当にその状況になってしまいました。 お忙しいかと思いますが、アドバイス頂けたら嬉しいです。

私は、職場のスポーツチームに所属していて、副キャプテンを務めていました。
少し前に 過去数年 キャプテンを務めていた女性がチームを辞めることになって、3年ぶりにキャプテンの選挙が行なわれることになりました。 この選挙は、誰も立候補などはせずに、チームの全員が2人の名前を書いて投票して、最多得票を獲得した人がキャプテン、 次点が副キャプテンということになっていて、これまでは 副キャプテンだった人がキャプテンに繰り上がるのが通例でした。
このため チームのメンバーの中には、私を次期キャプテンのように扱う人も居ましたし、私自身も自分がキャプテンになるものだと思っていました。 ところが、一度選挙が行なわれてみたら、チームの中で最も技量のあるプレーヤーと思われている人が最多得票を獲得して、 次点は、人当たりは良いけれどプレーヤーとしては全く優れていない女性が選ばれて、私は僅かな得票の3位に終わりました。

キャプテンになったら チームの様々なことで忙しくなって、時間が取られることは分かっているので、キャプテンになっていたら 嬉しかったかと言えば、そうでない感じです。特に数ヶ月前から、付かず離れずで仲良くしている男性が出来てからは、彼と過ごす時間が増えているので、 内心では「キャプテンになってしまったら、彼との時間が減ってしまうかも・・・」と心配していたほどでした。

でも、いざ選挙で落選してみたら、凄くショックを受けてしまって、自分でも「本当はキャプテンになりたかったんだ」と悟らされて驚いてしまいました。 それだけでなく 副キャプテンからキャプテンになれなかったのは、チームの歴史の中で私だけなんです。 「それって、人望が無いっていうこと?」と 母に言われましたが、今まで副キャプテンとして一生懸命やってきたのに、 チームのメンバーにはそれがどう思われていたんだろう?と考えるようになってしまいました。
開票は、チーム全員の立会いで行なわれたのですが、キャプテンと副キャプテンになった2人の名前が、何度も読み上げられるのを聞いているのは、 正直言って 私には 驚きと屈辱の状態で、皆の前でさらし者になっているような感じでした。 そんな私の愕然とする様子を 2人に投票した人達がどんな気持で眺めていたかと思うと、 陥れられたような気持にさえなって、これからどうやってチームの一員としてやっていったら良いか、分からなくなってしまいました。
スポーツ自体は大好きで、チームを辞めたくはありません。 でも今までと同じ気持でプレーが出来るかと言えば、ウソになります。

キャプテンの選挙は 立候補者は募りませんが、忙しくて無理な人などは、それを通常の会話の中でほのめかすので、 選ばれることはなくて、チームのメンバー間の通常の会話が根回しのようになっています。 私が副キャプテンで、本来なら繰り上がりでキャプテンになるはずなのに、キャプテンにも副キャプテンにも選らばれなかったのは、 絶対に私が居ないところで、私に投票したくないという人たちが話し合っていたに違いないと思っています。
そんな風に 私が居ないところで、 悪口みたいなことを言われていたかと 思うと落ち込んでしまいますが、 私には別に思い当たるような、身勝手な振る舞いをしたという記憶はありません。
強いて言うならば、練習の後に 彼と会うことが何度かあったので、以前ほど 練習の帰りに皆でご飯を食べに行かなくなったことくらいですが、 多分その席で、私がキャプテンにも 副キャプテンにも不適切だということで纏まったのではないかと思っています。

キャプテン、副キャプテンになった2人は、悪い人ではありませんし、キャプテンになった人は凄く良いプレーヤーです。 でも今まで副キャプテンだった私としては、どうしても格下げ人事になったような気分を味わいますし、 彼女らが思っているよりもずっと キャプテン、副キャプテンの仕事は大変なのです。
それは本人達がやってみて初めて分かることだと思っていますが、 秋山さんにアドバイスをお願いしたいのは、どうやったらこんな惨めな気持を振り切って、 今まで通りにチームに参加することが出来るかということです。 選挙以来、皆に嫌われているような気がして、何となくギクシャクしている自分を感じるのと、 以前ほど練習も楽しくなくなりました。 チームの一員としてスポーツを続けたいと思っていても、何かが引っかかっています。
どうしたら良いか、教えて頂けたら嬉しいです。

−H−





Hさんの複雑なお気持、お察しします。
繰上げ人事が当然と思われたところで、番狂わせが起こったのですから、何らかの根回しがあったと考えたくなるのは当然のことと思います。 そして、その根回しは当然Hさんが居ないところで行なわれるはずのものですから、何を言われていたのか、 ネガティブな詮索をしたくなる お気持も理解出来ます。
でも、キャプテンの選挙でHさんに投票しなかった としても、Hさんがチームメイトに好かれて居ない と判断する必要は無いようにも思います。

チームメイトの方達は、Hさんが練習の後のご飯に一緒に出かける回数が減ったことから、 Hさんが 「チームメイトとの時間より 仲良くしている男性との時間を大切にしたい」 と考えていることを察したとも考えられます。
もちろん、それを 「男性と仲良くし始めたら、チームメイトとの付き合いに手を抜き始めた」と、ジェラシー混じりに捉えた人も居るかもしれませんし、 「彼氏が出来たら、時間的にキャプテンとしての重責をこなすのは無理なのでは?」と考えた人も居たかもしれません。

また選挙が近付いた時点で、 Hさんが「それほどキャプテンにはなりたくないけれど、なるものと思っていた」という気持を 知らず知らずのうちに言葉や態度に表していた場合、 「それが何となく気に食わない」というだけの理由で、別の人に投票してしまうケースもあります。 チームメイトに次期キャプテン扱いされたHさんの様子を見て、Hさんが たとえどんなに謙虚に振舞ってたとしても、「もうキャプテンになったつもりでいる」 と思う人が居たとしても 不思議ではありません。

しかしながら 誰もが Hさんがキャプテンになって当然 と思っていたのに、接戦にさえなることなく、別の候補に票が纏まってしまったというケースでは、 以下の2つの可能性が 大きいと考えられます。

1つ目は 「Hさんが次期キャプテン」 という アイデアが、チームメイトの間で既にマンネリ化してしまっていたという可能性です。
副キャプテンを努めてきた Hさんがキャプテンに繰り上がるということは、今までとさほど変化が無いことを意味するので、 「ここで 全く違う キャプテン、副キャプテンで、チームの雰囲気が変わった方が良いのでは・・・」と考えるチームメートが 多かったかもしれません。でもそれは Hさんが副キャプテンの仕事をきちんとしていなかったとか、その仕事ぶりが気に食わないという意味ではなく、 単にチームメイトが変化を望んでいだだけかもしれません。
この場合、Hさんにとっては 「陥れられた」というネガティブな気持で受取られる状況でも、チームメイトにとっては、 「新しい方向性で上手く 纏まった」 というポジティブな状況かもしれません。

2つ目の可能性は、グループ内の集団心理です。人間の心理とは非常に不思議なもので、何かしらの理由や意図がある攻撃ターゲットに向けて、 グループ内の足並みが突然、それも短期間で揃ってしまう場合があります。
これは、学校における いじめ を生み出す心理に似ていますが、 自分以外の誰かがターゲットになっている安心感、優越感で、ターゲットにされていない人間同士が、 あっという間に不思議な連帯感で結ばれてしまうケースは少なくありません。 もちろんキャプテンの選挙の根回しは いじめ とは異なりますが、チームのメンバーが何人だったとしても、 誰もがHさんが次期キャプテンになると思っていたのに、 選挙をしてみたら ごく僅かな投票だったというのは、「私が投票しなくても、Hさんがキャプテンになると思ったから、 XXXXさんに投票した」という状況ではないと思います。

Hさんが日頃はチームメイトに好かれている存在であったとしても、 「自分がキャプテンになると思い込んでいる Hさんが落選したらどうなるだろう?」というような、 番狂わせを楽しみたい心理や、 別の候補者を押す反勢力の連帯感の高まりに流されてしまう心理、 今までHさんに投票しようと思ってきたものの、突如新しい候補者を提示されて、 そちらが良いように思えてしまう心理等、 様々な要素が複雑に絡まりながら、グループの中に 1つの大きな流れが生まれることは多いのです。

だからといって それが Hさんがチームメイトから嫌われているというシグナルにはなりません。 集団心理による 一時的な ”トレンディング” ムーブメントで 落選したというケースは、 チームメイト達が 「その時は それがベストだと思った」 程度にしか考えていないので、それがHさんに対する半永久的な感情ではありません。
また、その トレンディングを生み出すために、チームメイトの誰かが ネガティブな「降ろし」キャンペーンを行なっていた場合には、 逆に Hさんには これから巻き返しのチャンスが待っています。

裏でネガティブ・キャンペーンが行なわれていた場合、 チームメイト達の視線は キャプテンになれなかったHさんがどんな振る舞いをするかに 密かに注がれている といって100%間違いありません。
そこで Hさんが 練習に気持が入らなかったり、新任のキャプテン、副キャプテンに対して不親切と思われる行動を取ったりすれば、 チームメイトは「やっぱりHさんに投票しなくて正解!」と思うだけです。
でもそこで、Hさんが本当にそのスポーツが好きだからチームを続けている様子や、新任の2人に従いながらも 困っている時はサポートしてあげる姿勢などを見せて、快活に振る舞えば チームメイトの気持はHさん側に戻ってきます。 そうすれば 「やっぱりHさんに投票しておけば良かった・・・」とチームメイトに言われるようになるかもしれませんし、 そういう段階までこぎつければ、実は陰で 誰が キャプテン選挙の糸を引いていたのかを コッソリ教えてくる人も出てくるかもしれません。
もしそうなった場合、Hさんが思ってもみなかった人が ネガティブ・キャンペーンの舵取りをしていたことが明らかになることが多いので、 今 余計な詮索をするのは時間の無駄と言えるでしょう。

チームメイトの中で 集団心理で流されて Hさんに投票しなかった人は、Hさんがキャプテンになれなかったことに同情したり、 薄っすら罪悪感を抱いているケースが少なくないはずです。 そういう人たちは、一時的な”トレンディング” が去った後は、逆にそんな同情や罪悪感から、Hさんの味方になってくれる可能性は非常に高いのです。
Hさんが毅然と振舞うことで、今後 チームの中におけるHさんのポジションは 100%好転しますので、 その勝算を心に秘めて、今の辛い状況を乗り切っていただければと思います。


Yoko Akiyama



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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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