Oct. Week 2, 2014
★ Whitch Way To Go?
進路の迷い… どちらを選ぶか?


秋山曜子さま
こんにちは、はじめまして。
トピックのチョイスと、秋山さまの文章にいつも楽しませていただいております。 わたしが今回こちらでご相談させていただきたいことは、進路についてです。

私は、地方出身のただいま東京の大学で最終学年の者です。就職活動をして、ひとつ内定をもらいました。
もともと行きたかった会社には落ちたので、当時「内定をとらなくては」という焦りで、自分が受かりそうな会社を受けて、 たまたま受かってしまった会社だったのですが、その会社と内定後、 お付き合いをするうちに、事業内容も、理念も、人も、待遇も、 企業体質すべてが自分と合わないことに気がつきました。 入社前なのに、学校の授業もある平日にお給料も出ない研修や長期の研修合宿をさせられることことなどの理不尽に自分が耐えきれないと思いました。


やはりやりたかったことを諦めきれないこと、地方出身ということもあり故郷への思いも強く、 家庭を持つなら帰りたいし、ひとつの夢である海外の大学院で勉強することにしても薄給なため貯金が難しく、 そもそも目的もないのに わざわざ生活費の高い東京にいる意味は…などと悩んでしまい、 親に相談したところ、ファースト・キャリアはとても大事だから、ということで、 来年はなんとかなるという保証もありませんが「もう1年なら就職活動をしてもよい」と言ってくれました。

しかし今は、その会社に入り、今まで受けてこなかった理不尽さに1年間だけは徹底的に耐えてみる、という経験もしてもいいかな、と思うようにもなりました。 どうせそこの会社で定年まで働く気はないし、その会社はすごく自分の個性を買ってくれているし、 その会社で 「もしかしたら好きなことができるかもしれない」、「流れに任せてみる人生も面白いかな」とも思ってしまっているのです。
しかし、そうなると人生計画が立たず、また昨今さらに厳しくなっている新卒でない就職をすることになります。 以前、占いをしてもらったときに、人生の課題は計画性と言われ、それがとても引っ掛かっています。

友人にも、もうすでに転職を考えてるのであれば行かない方がいいという人と、とにかく社会に出てみた方がいいという人がいて、迷いに迷っております。 自分でも漠然とした悩みなので、伝わりづらかったら申し訳ありません。 お答えいただけると嬉しく思います。

−S−





私は、日本を離れて久しいので 現在の日本の就職事情について適切なアドバイスをして差し上げることは出来ませんが、 確実に申し上げられるのは 大学時代に人生の計画を立てても、決してその通りにはならないということです。
この私でさえ、大学卒業の段階では、「24歳までは OLでもして、25歳になるまでには結婚、そして子供を産んで・・・」と考えていましたが、 結局は全く違うどころか、当時の私からは想像もつかない人生を送っています。 今から思うと 24歳で結婚しようと考えていたなんて滑稽でさえありますが、そのくらい未熟で、自分を理解していませんでしたし、 人生を簡単に考えていたのだと思います。
また女性は男性とは異なり、価値観がどんどん変わる生き物ですから、大学の時に考えた進路で、一生貫くことなど 不可能と断言しても差し支えないほどです。

もちろん、世の中には人生設計どおりに生きているように見受けられる人も少なくありませんが、 そんな人生にも運命のいたずらとも言えるような、意図しない要素は沢山含まれているものです。
また、本人ではなく親が意図したように生きている人、周囲や社会にに受け入れられるシナリオで生きている人もいますが、、 人生というのは人間が意図したり、予期したりする以上の 様々な可能性や危険、誘惑、葛藤、予定外、想定外の出来事やトラブル、めぐり会い、再会、 幸運、不運に満ち溢れているものです。 したがって、人生というのは人間が予め計画したり、予定を立てたりしてもコントロールできるものではありません。

人生は人によって程度の違いはあっても、誰もが脱線したり、レールを修復したり、逆戻りしたり、方向転換をしたり、途中で列車から車や飛行機に乗り換えたりしながら 進んで行くものです。 ですから、どんな局面を迎えても臨機応変にこなしていける機転や、物事に動じない精神力、実力、能力、 人をひきつけて、サポート得るための人間的魅力などを身につけている人が、自分の思い描いた通りに近い人生を送って、 後悔することなく、幸せになっているのです。

私も大学を出て最初の仕事は、丸の内のOLで、Sさん同様、第一希望で、唯一やってみたい仕事の企業に落ちたので、 親のコネクションで入社しました。 当時は直ぐに結婚するつもりでいたので、自分のやりたい仕事で無くても仕方ないと思う一方で、 仕事への熱意はさほどありませんでした。
でもOL時代に学んだ基本的な事務作業やその効率良いこなし方、電話のとり方、ビジネス上のマナーは、 その後、どんな職場に行っても役立ちました。特にその後、私が進んだ ファッション、マーケティング、出版の世界は、 そういった基本的なビジネス・マナーや言葉遣い、電話の対応が出来ない人だらけだったので、 上司には必ず好かれましたし、物凄く仕事が出来るという印象を与えるのにも役立ちました。
ですから、やりたくないと思っていた仕事からでも 沢山のことが学べますし、 何がその後の人生に役に立つかなどは、実際に時間が経過してみないと分からないことです。

加えて当時、自分がやりたくないと思う仕事をするうちに、本当にやりたい仕事、自分が打ち込める仕事をやってみたいという願望が 人一倍強くなりました。なので、この時代が無かったら、今、私は自営業などやっていられなかったとさえ思うほどです。 それほど、自営業というのは好きでないと出来ませんし、いつも精一杯の頑張りを維持しなければ、直ぐに売り上げに響くので、 気を抜いたり、手を抜いたりなど出来ません。 大学を出た時点だったら、「こんな仕事はまっぴら御免!」と考えたはずですが、今はその仕事が私の生き甲斐であり、ライフワークであり、 幸福の源であり、私の人生の最も大切な一部です。

それと、Sさんは占い師の方に「人生の課題は計画性」と言われたことにこだわっていらっしゃいましたが、 計画とスケジュールは違います。
計画というのは、何時、何処に就職して、何時結婚して、何時地元に戻って、何時子供を産んでというものではありません。 それは希望的将来スケジュールであり、それほど不安定で当てにならないものはありません。 私の印象ではSさんは計画とスケジュールを勘違いされているように思えました。
計画とは、文字通り、”計って”、”画する” ことなのですから、現状とそこから見込める将来を分析しながら、 物事が順調に進んでいるときには蓄えををしたり、機動力や合理性を高めるシステムを構築し、難しい局面を迎えた際に備えてバックアップ案や、 それに対応できる人材、コネクションを育てて、サポート・システムを持つように プランすることです。 それが計画であり、計画性というものです。 ですからSさんに限らず、誰の人生にとっても計画は重要な課題なのです。

人間が決断を下す際の迷いが 何処から来るかと言えば、それは失敗や後悔を恐れる気持ちからです。 私はショッピングであれば、迷った時は止めますが、人生の決断であれば 迷った時は、失敗しても得る物がある方、何かが学べる方を選びます。 それはある意味では保険のようなものです。
したがって、私がSさんであれば1年就職浪人をするよりは仕事を選びます。 というのも、就職活動から自分の将来に役立つことを学ぶことは無くても、実務経験からは学ぶことが多いと考えるためです。

でも人生における決断は、あくまでご自分で下さなければ意味がありません。 人のいう事を聞いて、決断してしまえば、必ず後悔します。 自分がその決断に対して悔いが無いと判断して踏み切ることをお薦めします。

今後も Sさんの人生の様々な局面で、迷いながら決断を下さなければならない状況がやってきたら、 起こってもいない未来の出来事を危惧したり、目先の利益や、周囲の見解に振り回されたりせずに、 自分に対して正直な決断を下すことをお薦めします。 それによって たとえ辛い思いをしても、「それが自分にとって最善の道だと思って選んだ」という信念を持って、 様々な経験が自分を磨いて、強く、魅力的な人間にしてくれると考えて、それに取り組むべきなのです。

頑張って努力を続けていれば、たとえどんな決断を下しても、必ずチャンスや幸運に恵まれます。これは気休めではなく、本当の事です。
今の日本社会からだと、そういう思いが抱けないSさんの世代の方が多いかと思いますが、 守りに入った決断ばかりを下して、最初から終わりが見えているような人生を送っていたら、道は決して開けません。
それどころか、待っているのは 不幸せを幸せだと自分に思い込ませようという 最も惨めな人生です。 不幸が不幸と分かっている場合は、それを脱して幸せになろうとすることが出来ますが、 不幸せを幸せだと自分に思い込ませる人生には、幸福になれる出口はありません。

Sさんは、未だお若いのですから、失敗や将来を恐れることなく、自信を持っていろいろなことに積極的にチャレンジして、 夢が叶えられる人生を送っていただきたいと思います。
私はそういう志が高い方を、いつも心から応援&サポートをしていますが、そう考える日本人は私だけではありません。 それを忘れずにいて頂きたいと思います。

Yoko Akiyama



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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。




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