Oct. Week 3, 2013
★ FOMO ?


数年前にニューヨークに旅行した際に、キューブ・ニューヨークのウェブサイトを知って以来、ずっとチェックをし続けています。
ニューヨークの情報や、秋山曜子さんのコラムと共に、このコーナーも1度も欠かさずに読んでいます。
いつも、的確で 読んでいるだけで気持が晴れるようなアドバイスをされている秋山さんを尊敬していて、 是非私もご相談させていただきたいと思ってメールをしています。

付かず離れずの、大学時代からの友達が居るのですが、少し前に盛大に誕生日パーティーをするといってメールをしてきました。 それだけでなく、パーティーを何処でやったら良いか?とか、どんな企画のパーティーにするかの話し合いにも、他3人の友達と一緒に 参加して、いろいろアイデアを出してあげたりもしました。 それが、友達の誕生日パーティーをしようとしている1ヶ月前くらいのことでした。

話合いの時は、「パーティーの準備のことで、また連絡をする」といってお開きになったのですが、 その後、待てど 暮らせど 連絡がありません。 私は、友達の誕生日の日に 別の友達からコンサートに誘われていたのですが、誕生日パーティーの手伝いをすることになると思って断ったりして、 その日に予定を入れないようにしていました。
友達に直接聞いてみれば良かったのかもしれませんが、誕生日の本人が「また連絡する」といっていたのと、 何か予定が変わったり、気が変わったのかも・・・とか、何かパーティーが開けない理由が出来てしまったのかも・・・と思ったら、 本人に連絡するのも気が引けて、そのまま友達からの連絡を待っているうちに、誕生日パーティーをするはずだった日の当日になってしまいました。

いつも、突然連絡してくる友達なこともあって、土壇場で連絡が来るかもしれないと思って、その日はいきなり連絡があってもパーティーに出掛けられるような 服装で仕事に出かけたのですが、結局連絡は来なくて、もし友達のパーティーのために予定を開けておかなかったら、コンサートに行っていたのに・・・と思うと、 悔しいような、情けないような気持で、1人で家に帰ってきました。 いっそ、友達にパーティーはどうなったのか連絡しようかと思ったのですが、それだと まるで 友達のパーティーをずっと楽しみにしていたような 感じになってしまうので、それは止めました。

そうしたら、数日後になって友達のフェイスブックのページに、友達がレストランと、クラブみたいなところでパーティーをしている写真がアップされていて、 彼女の誕生日パーティーだとはっきり書かれていたのを見て愕然としてしまいました。 私は毎年友達の誕生日パーティーに呼ばれていた訳ではありません。でも「企画の話し合いに呼んでおいて それは酷い!」と思ったので、 ちょっと皮肉っぽく、誕生日の写真を見たことをメールして、「楽しいバースデーが過ごせて良かったね」と 伝えたのですが、2〜3日後に返信が来て、職場の仲間が誕生日パーティーを企画してくれて、自分で企画する必要が無くなったので、 「せっかく話し合いまでしてくれたけれど、パーティーは職場の仲間任せにしてしまった」と言ってきました。

それならそれで、私に連絡してくれるべきだと思って何となく腹立たしく思えてしまったのですが、 それよりも 私が頭に来てしまったのは、その友達のパーティーが私の知らない人だけのパーティーだったら、私にお声が掛らなくても不思議ではないのですが、 私の知っている人や、パーティーの企画の話し合いに来ていた人が写真に写っていて、正直言って 仲間はずれにされた気分でショックでした。
以来、何となく自分が知らないところで、仲間外れにされているのでは?とい疑いを持つようになってしまって、 友達と話していて、私の知らない食事会とかの話を聞くと、気になって寝付きが悪くなってしまうことがあります。
前は こんなじゃなかったと自分では思っていますが、血液型がO型なせいもあって、仲間はずれにされているかもしれないと思うと 何となく落ち着きませんし、メールも含めてフェイスブックやツイッターなどを しょっちゅうチェックするようになってしまいました。 どうしたら、こんな気持を取り去ることが出来るでしょうか。
突然、こんな不安な気持になってしまって、自分でも困っています。 アドバイスをいただけると助かります。

−M−







Mさんが抱いてらっしゃるような不安は、英語では”FOMO”、すなわち ”Fear Of Missing Out” と呼ばれるものです。
FOMOについては、2011年4月のCatch of the Weekのコラムでも書いたことがありますが、 これは 自分が知らないところで、友達がパーティーをしたり、集まって楽しんでいるのでは?という不安にかられたり、 実際にその様子をフェイスブックやツイッターで見せ付けられて、落ち込んだり、疎外感を味わうことを指す言葉です。
ソーシャル・メディアの普及によって、一般の人々が 自分が何をして、何を食べて、誰と会って、どんな風に生活を楽しんでいるかを 発信するようになってから、FOMOという言葉が使われ始めましたが、 確かに 自分が知らない間に 友達が集まって楽しんでいる様子を フェイスブックで見せつけられて、 ショックを受けたり、仲間はずれにされた気持を味わう人は多いようです。

でもFOMOについて語る以前に、Mさんとお友達の関係について メールの文面から分析してみると、


とのことでしたので、今回たまたま 誕生日パーティーの話し合いに呼ばれたとは言え、 Mさんとお友達は 日ごろからさほど親しい間柄ではなかったと判断されるのに加えて、 お友達はMさんのように 予定をきちんと立てたり、友達に義理立てするタイプではなく、自分の都合が良いように 友達や職場仲間 と付き合っているという印象を受けます。
そう考えると、 お友達がバースデー・パーティーの企画を 職場の仲間に任せることにして、せっかく話し合いに参加して アイデアを出して協力してくれたMさんに それを連絡して来ないというのは、そのキャラクターにマッチした行動のように思います。

恐らくMさんは、それまで付かず 離れずだったお友達が、バースデー・パーティーの企画に協力して欲しいと言ってきたことで、 何かをしてあげたいと張り切っていたことと思いますし、そんな気持が強かったからこそ、予定を開けて 連絡を待っていたものと思います。 でも お友達の方は、「パーティーをしよう」と軽い気持で考えて、話し合いだけ召集して 考えているうちに面倒になってしまったのかもしれませんし、 職場仲間がパーティーをしてくれることになっても、話し合いに参加してくれたメンバーにそれを報告する義務があるとは 考えていなかったのかもしれません。
Mさんとお友達が 大学時代から友人同士でありながら、付かず 離れず程度の仲でやってきたのは、そんなお友達の人間性が Mさんのきちんとした性格と合わなかったためかもしれません。

いずれにしても、Mさんは 親友のバースデー・パーティーに呼ばれなかった訳ではないのですし、たとえ共通の知り合いやお友達がそのパーティーに来ていたとしても、 自分が招待されなかったことを さほど深く考える必要は無いように思うのです。 お友達の性格を文面からお察しした限りでは、自分のバースデーだからといって、ゲストリストをきっちり選び出して、 幹事を務めてくれる職場仲間に連絡を頼んだとは考え難いのが実際のところです。
お友達は Mさんからの 「パーティーの写真を見た」というメールをもらって、「Mさんを誘いそびれていたかもしれない」と思い出したかもしれませんし、 「職場仲間がMさんのことを知らないので、招待出来なかったのは仕方が無い」と考えたかもしれません。
お友達はMさんのように 物事を深く考えて行ったり、 軽い気持で頼まれたことにでも 責任を感じたりするタイプではありませんから、 もしMさんが今回のことで感じた不満を 本人に話した場合、逆にビックリされてしまったことと思います。
ですから、Mさんが皮肉交じりであっても、楽しいバースデーが過ごせたことを喜んであげるメールだけに止めたのは 正解だと思います。


次にFOMOについてですが、今年8月にミシガン大学がフェイスブック利用者を対象にリサーチを行って 発表したのが 「フェイスブックをチェックすれば、チェックするほど、精神的に落ち込んでいく」という 調査結果でした。 その落ち込みの原因が他ならぬFOMOです。
FOMOと フェイスブックを始めとするソーシャル・メディアへの頻繁なアクセスは、卵とニワトリのような関係で、 「FOMOを抱くから ソーシャル・メディアを頻繁にチェックしてしまう」、「ソーシャル・メディアを頻繁にチェックするから ますますFOMOを抱くようになる」 という状況です
。 したがって FOMOを治したいと思ったら、まずソーシャル・メディアへのアクセスを減らして、 その時間を有意義に使うことを心掛けるのが得策です。

ソーシャル・メディアをチェックしていて、あっという間に2時間が経過してしまったという人は少なくありませんが、 2時間あれば 心がハッピーになるような映画を1本見る事が出来たり、友達と実際に会ってディナーが出来たり、 ヨガのクラスを取ったりなど、様々な事が出来ます。 こうしたアクティビティの方が、ソーシャル・メディアをチェックして人が何をして居るかを知るよりも 遥かに建設的な上に、肉体的にも精神的にも健康をもたらします。
「前は こんなじゃなかった」とMさんご自身がメールに書いていらっしゃいましたが、 その「前」というのは、「ソーシャル・メディアを頻繁にチェックするようになる前」のことではないでしょうか?

他人の事は詮索しても仕方がありませんし、人が何処で何をしていたかを知ったところで、 それは全く自分のプラスにはなりません。
ですから、Mさんには まずはソーシャル・メディアのアクセス時間を極力制限して、 何か別の楽しいアクティビティで、予定を埋めることをお薦めします。
そうすれば、「誰と誰が何処で何をしていた」という話を聞いても、「誘ってもらったとしても、忙しくて出掛けられなかった」と 考える程度で、「仲間外れにされているのでは?」などと疑う気持は湧いてこないと思う次第です。


Yoko Akiyama



このセクションへのご質問は、ここをクリックしてお寄せください






執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


PAGE TOP