Oct. Week 3, 2016
★ "Unealth = Selfish"
「人間死ぬ時は死ぬ」と開き直って 不健康な生活を続ける夫に嫌気がさしています


秋山さま、
いつもこのコーナーを含む、キューブさんのウェブサイトを愛読している者です。 何度かお買い物もさせて頂いていて、こちらのサイトで買わせて頂いたものは、とても満足して長く愛用できるものばかりで、 秋山さんのしっかりしたアドバイスと共通するように思えて信頼しています。
今日はこのところ悩んでいたことをご相談したくてメールをしました。アドバイスをいただけたら嬉しいです。

私はアラフォーなのですが、主人は年上で50歳を過ぎています。もう結婚して20年近くなります。
主人は以前はタフで健康で、本人もそれを自慢にしていて、職場の若い部下が主人よりもずっとスタミナが無いという話を何度聞いたかわかりません。 以前は仕事の後の飲み歩きや接待が多く、家で食事をする機会がほとんど無く、 睡眠時間もびっくりするほど短くて平気で、夫が40代の頃までは、ごくまれに風邪をひく程度で健康の心配などはしたことがありませんでした。
でも50歳を過ぎて少ししてから、さすがの夫もだんだん老化が進んできました。 身体が以前ほどは丈夫ではなくなってきたのが傍にいて分かったので、一度しっかり健康診断をすることを薦めたのですが、忙しいことを口実に全くやってくれませんでした。
ですが、あることをきっかけにやっと知り合いのお医者様に検診をしていただいたところ、元気そうに見えても身体を壊す一歩手前の状態であるという警告をされて、タバコを止めるようにと、 お酒を減らすように、もっと健康的な食生活をして、十分な睡眠をとって、運動を心掛けるようにと、生活のすべてが不健康だという指摘を受けて、血圧とコレステロールについては 一度専門医に診てもらうべきだともいわれました。

主人はヘビースモーカーで1日1箱以上を吸いますし、お酒も特にウィスキーをよく飲みます。食事も脂っぽいものや塩辛いものが好きで、 飲んだ後のしめくくりに夜中でもラーメンを食べるのが好きだったりします。 本来はスポーツ好きで、学生時代はあるスポーツの全国大会に出たこともあって、以前はジョギングをしていたのですが、最近は少しゴルフをする程度です。
お医者様の診断を受けて、夫もショックだったのかその直後は禁煙すると約束してくれて、私が作るヘルシーなおかずやサラダを夕食に食べて、 昼食もおそばのような軽いものにして、禁煙ガムを噛んで、お酒の席も遠慮していましたが、 ほどなくそんな生活にうんざりしたようで、イライラするようになってきました。 会社でも同じだったようで、部下の男性には「ついに健康を気遣う年齢になりましたか!」などと言われて、それも悔しかったみたいです。

私は夫のためにと思って努めて健康的な食事を作っていて、健康的な食事の方が食費も嵩むに、それに文句を言われて謝ったり、 お願いしてまで食べてもらわなければならない状態に疲れてきています。お医者様に塩分を控えるように言われたこともあって、味付けも薄くしていますが、 「こんな味が無いもの、食えないよ」などと言われると、内心頭に来ます。
それに夫のための禁煙なのに、夫がイライラすると被害を被るのは私で、そんな状態にも嫌気が差してきてしまいました。

こんな状態でも続けていれば そのうち夫が禁煙や健康的な食事に慣れるかと我慢しましたが、 2週間もしたら止めるといったタバコを吸い始めて、昼食でかなり脂っぽいものを食べるようになってきたみたいで、 一度は家で夕食をすると言っておきながら、外で食べてきたこともありました。 それで夫と口論になってしまいましたが、夫は「人間や何をやったって、死ぬときは死ぬんだ」、「食べたい物も食べられずに、好きな酒も飲めずに長生きなんてしたってしょうがない」 「だったら好きなように生きて早死にした方がマシだし、そっちの方が自分に合った生き方だ」などと言って開き直る身勝手さで、 結局は今は不健康な生活に戻ってしまいました。

知り合いの方には、主人みたいに不健康な生活を続けてがんになってしまったご主人の看病で、疲れ果ててしまった奥様がいらして、 その方から「私のような地獄を味わわないためには、日ごろからご主人の健康管理をしていないと」と言われているのが 重くのしかかっています。 その方のご主人も、「人生がやり直せるなら、タバコなんて吸うんじゃなかったし、あんなに酒を飲むんじゃなかった」と 後悔しているそうですが、主人にはそんな話をしても全く通用しません。
世の中はどんどんヘルシー志向になって、健康の細かいところまで気を配る人が多いのに、夫は健康に気を使わないことを逆に自慢にしているところがあって、 健康に気を付けている人のことを身体が弱いと決めつけるような事を言って、 自分が未だ以前と同じ健康体だと思い込むことで健康を維持していこうと思っているようなところさえあります。

そんな主人に、健康的な食生活やライフスタイルを実践させる方法は無いでしょうか? 私からは何を言っても口うるさく聞こえるようで、喧嘩みたいになる時もあれば、「もうその話はいいよ」と席を外されてしまうこともあります。 何か夫を説得する方法があったら、是非教えて頂けると嬉しいです。 よろしくお願いします。
これからもこのコーナーをずっと続けてください。アドバイスがいただけても、いただけなくても いつも楽しみにしています。

- M -




アメリカでは、ヘルス・コンシャスな人が再婚相手や交際相手を探そうとする場合、 健康的なライフスタイルを重要な条件に挙げる人はとても多く、それをオンライン・デート・サイトのプロフィールの条件に加えるのは35歳以上に非常に多いと言われます。
こうした人々は、相手の看病で自分の人生の一部を費やしたり、その看病によって精神と肉体の健康を害することを危惧するのはもちろんですが、 アメリカは医療費が尋常でなく高額で、特にがん治療薬となると保険でカバーされたとしても容赦無しの金額ですので、相手の医療費で自分の余生の蓄えを 食いつぶされてしまったり、相手と保険をシェアすることによって 毎月の保険料が値上がる等、 健康問題による経済的な負担やダメージを避けたいという気持ちが強いようですす。
特に自分の親の看病で、その大変さを熟知している人ほど この傾向が高まりますが、実際のところアメリカでは 50代、60代を迎えてもきわめて健康な人は、 一生で節約できる医療費、及び医療絡みの出費の総額が1〜3億円と言われるほどです。
ですので相手の収入よりも、健康状態や健康志向にこだわってパートナー選びをする方が、ヘルス・コンシャスな人々にとっては 賢明な選択と言われるほどであったりもします。

さてMさんのご主人についてですが、ご主人はDNAレベルでは恵まれていらして、それを過信したライフスタイルをしていらっしゃるようですが、 そんなご主人が以前ほど健康に自信が無くなっても、健康的なライフスタイルへの方向転換出来ないのは、 ご主人のパーソナリティに因るところも大きいように思えます。
ご主人はずっと健康で、それを自慢と誇りにしていらした方ですので、健康的なライフスタイルに転換するにあたって「自分がもはや健康体ではない」と認めることで、 自らのアイデンティティの一部を失うような焦りや、不本意な気持ち、プライドが傷つく思いを味わっていらっしゃることと思います。 部下の方から「遂に健康を気遣う年齢になりましたか!」と言われて悔しい思いをされたご様子ですので、Mさんが健康的なライフスタイルと思ってご主人に薦めていることが、 ご主人にとっては「自分の老化や弱さを認める生き方」というネガティブなイメージに受け取れていても不思議ではありません。
しかも そのヘルシーなライフスタイルのせいで、ご主人は家庭でも職場でも精神的にイライラしたり、食欲が満たされないフラストレーションを味わっていらっしゃるわけですから、 「こんなことをしてまで長生きしても仕方ない」というような自暴自棄な発言をご主人がされたのは理解できることです。
さらにはご主人のように 長く医療とは無縁でいらした方は、普通の人が「ドクターに診てもらって悪いところを治して、健康に戻ろう」と 考えるような場合でも、過度に検診とその結果を恐れて 病院に行くこと自体が多大なストレスになっているケースが多いものです。

Mさんに一つ苦言を申し上げるのならば、長年のヘビー・スモーカーにとっては禁煙だけでも難しいのですから、 それに加えて食生活をいきなりヘルシーに切り替えて、お酒を減らしてと、一度に幾つもの難題に取り組むというのは、最初から失敗が目に見えていると言わなければなりません。 ですので、今ご主人が元通りの不健康なライフスタイルに戻ってしまったとしても、それはご主人が取り立てて健康に配慮していないとか、身勝手なのではなく、 殆どの人がそうなってしまうシナリオだったと考えるべきだと思います。

私がMさんにお薦めするのは、まず一度ご主人とご自身の健康と残りの人生の展望についてどう考えていらっしゃるかを話し合うことです。 人間にとって生命力は本能ですので、好んで早死にしたい人はいませんが、何歳までどんな風に生きたいと考えているのか、 その通りの人生を送るためにどうするべきだと思っているのかを、一度はっきりと意思確認する必要があるかと思います。
失礼ながらMさんのご主人のように、不健康なライフスタイルでも健康を保っている人の中には、 体調を崩した時には手遅れに近いほど病状が悪化していたり、突然脳卒中で倒れて 以来寝たきりになるケースは少なくないのです。 またロンドンの医療機関が6000人のドリンカーとスモーカーを対象に10年間調査した結果、ヘビー・スモーカー兼ドリンカーは、 痴呆症になる確率がタバコだけ吸う人、お酒だけ飲む人に比べて36%も高いという結果が出ています。
ご主人とて、50歳を過ぎてあまり芳しいとは言えない診察結果を見せられて、自分が特別ではないことは徐々に認識してきているはずです。 そんなご主人に 「ヘルシーなライフスタイルに自分の意志で取り組んでいる」という自覚を持たせるためにも、 彼自身が本当は「健康で長生きをしたい」と望んでいることをしっかり悟らせる必要があります。 ここで大切なのは、ご主人がヘルシーなライフスタイルに対して潜在的に抱く、ネガティブで弱々しいイメージを払拭して、 自分にそれが必要であることを認識させることです。

その次のステップは、プログラミングです。 ご主人の場合、一度に全てに取り組もうとして既に失敗しているわけですので、 まずはMさんから、ご主人に無理なく出来ることを2つ、確実に実践していただくように提案して頂きたいと思います。
その際、ヘルシーなライフスタイルを、止める、控える、我慢するといった ”トーンダウン” ではなく、目標の達成に向かうという ”ゴール・セッティング”によって実現する形に切り替えることをお勧めします。 例えば、ご主人のケースでは いきなり禁煙するよりも「タバコの本数を1日10本に減らす」というルールを設定するのが現実的かと思いますが、 その場合に「まずは30日連続でそれを実践する」というゴールを設定します。 そして1日達成するごとにカレンダーにマークをして、それを目立つ場所に貼っておくことが成功のカギになります。
ご主人は学生時代に優秀なアスリートでいらして、そのころからのコンペティティブさが今も脈々と感じられるお人柄ですので、 我慢よりも 競争や目標達成が向いているのです。ですので ご主人を禁煙に導くには、 肺がんを患った喫煙者の体験談よりも、ご主人と年齢が近い男性が禁煙に短時間で成功した例を挙げて 競争心を煽った方が効果的だと私は判断します。

加えて 私がご主人にお薦めするのはジョギングを復活させることです。 健康診断の数値があまり芳しくなかったようなので、いきなり長距離を走るのはお薦めできませんし、心臓に問題がある場合には一度ドクターに相談された方がよろしいかもしれませんが、 以前好んでランニングをしていた人というのは、ランニングを復活させることで体調や健康を取り戻すケースが非常に多いのです。 私自身、以前はランニングが大嫌いであったものの 走り始めて9年目になりますが、有酸素運動は血圧のコントロールに効果的ですし、 走るという動きはどんな人間でも自然に行っている全身運動なので、無理さえしなければ安全で最も有効で、お金もかからないエクササイズです。 人によっては活性酸素が増えるといって批判する人もいますが、ランニングで活性酸素が出るのは最初の10〜20分で、その後はそのダメージがリバースされるだけでなく、 ミトコンドリアも増殖しますので、身体の内側も外側も若返ります。
またストレス・ホルモンのリリースを防いだり、学習能力や記憶力を向上させるポジティブなインパクトを脳に与えますので、 ランニングを再開させることによって、ご主人が自分の健康を保つモチベーションやインスピレーションを見出せると思います。 一度ランニングが習慣になると、徐々に走る距離を増やしたり、 タイムに挑戦するうちに向上心も高まりますので、 「いかに健康に気を使わないか」というようなネガティブな指針で 身体の丈夫さや若さを競う傾向が影を潜めるようになって、 いかに自分が健康かを、ランニングやエクササイズのフィジカル・パフォーマンスで自慢しようとするはずです。 ごうしたエクササイズによるライフスタイル改善は、ご主人のように本来身体が丈夫で、生まれつき優秀なアスリートには非常に有効な手段なのです。

そしてMさんには、見るからにヘルシーな食事ではなく、以前と同じようなメニューであるけれど、調理法や 食材が健康的というヘルシー・クッキングに切り替える工夫をお薦めします。 ハンバーグやロール・キャベツの挽肉にや豆腐を混ぜれば、それだけでカロリーも脂肪分も落とすことが出来ますし、 消化も良くなります。でも食べている側には、大きな違いは分かりません。
塩分にしても、いきなり減らされると味がしなくなるだけですが、徐々に減らすことによって、少しずつ慣れていくものです。 その場合、減らした塩の替わりにスパイスを用いると、味に変化が出て 塩味をカモフラージュすることが出来ます。 もしご主人がランニングを再開された場合には、汗で塩分を失うので、その場合は塩加減をそれほど減らす必要は無くなるかもしれません。

健康的なライフスタイルは、出来ること、好きなことから始めなければ長続きすることはありません。 それをある一定期間続けて、身体が健康になってくると、逆に脂分の多い食事を進んで避けるようになったり、 翌朝走ることを考えて お酒の量を減らすなど、誰に何を言われることなく ヘルシーな選択をするようになっていきます。
そしてそれが軌道に乗ってくれば、ご主人のような性格の方であれば 自分がいかにヘルス・コンシャスかを 周囲に誇示するようになって、不健康なライフスタイルの人に、「自分も以前はそうだったけれど…」などと、 お説教をする側になったりするものです。

もちろんそうなるためには、ジョギングを再開したご主人が痩せてきたり、外観が若々しくなってくることがあれば、Mさんがそれに直ぐに気付いて、 褒めたり、評価してあげることも大切です。 ご主人がヘルシーなライフスタイルに転換するためには、Mさんがチアリーダーになって励ましたり、応援してあげることが大切ですし、 Mさんが押し付けるのではなく、ご主人が自分の意思で、そして楽しんで行うことが不可欠です。
ここでMさんが頑張っておけば、本来は丈夫で健康なご主人なのですから、たとえMさんと年齢が離れていても、 一緒に、そしてヘルシーに長生きすることが出来ると思いますし、それが幸せというものだと私は思います。
その幸せのために 是非頑張ってご主人を健康に導いてあげて下さい。

Yoko Akiyama

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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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