Nov. Week 1, 2013
★ Eating Healthy Is Hard to Do

毎週このコーナーや、他の秋山さんのコラムを楽しみにしています。
人様の悩みを楽しみに読むなんて 不謹慎と思いつつも、 とても勉強になるので このコーナーが大好きです。
私もご相談したいことがあります。

3ヶ月ほど前から、何となく付き合ってきたような感じの男性と一緒に暮らし始めました。
別に、恋愛関係が深まったからそうした訳ではなくて、彼の住んでいる家が1人で暮らすには大きくて、 彼が家賃と生活費を折半する人を探していたのと、私の職場が変わって、 それまで住んでいたところからだと通勤に2時間近く掛ってしまっていたのですが、 彼の家からならば 何と20分なのです。 すなわち お互いに一緒に暮らすのが都合が良かったから一緒に暮らし始めたという感じです。

生活費や、通勤時間以外にも2人で暮らす利点があると思ったのは、2人とも健康に気を配るタイプで、お酒も飲まず、タバコも吸いません。 彼は毎朝ジョギングを欠かしたことが無くて、私もエクササイズのクラスとヨガのクラスを週に3回くらい取っています。 2人とも料理好きで、しかもお互い野菜を中心にした ヘルシーな食事を心掛けているので、 一緒に暮らし始めたら料理を当番制にしようと 以前から話し合っていました。
1人分でも2人分でも、料理の手間は一緒ですし、2人だと丁度材料が使い切れることが多いんです。 2人で交互に調理を担当すれば、料理の手間が一日置きで、食費も折半なので、 健康のためにも、経済的な面でも、通勤面でも 理想的な共同生活だと思ってスタートしました。

ところがです、一緒に暮らし始めて3ヶ月ほどの間に 私の体重が3キロ増えてしまいました。 最初は食べすぎかと思っていましたが、彼の作る料理のカロリーが高いことに気付きました。
料理は、私が和食を作るのが得意で、彼が洋物の料理が得意なので、それぞれの得意な料理を作ることで バランスが取れていると思っていたのですが、私が煮物とか、お味噌汁、酢の物、焼き魚などを作るのに対して、 彼はサラダや、炒め野菜とか、パスタ、肉や魚でもオリーブオイルをたっぷり使って調理します。 チーズも良く使うので、お互い野菜を沢山取るメニューにしているのですが、どうしても 彼の料理だとカロリーが高くなってしまうようなのです。
それに彼が料理した後のキッチンは、脂が随分飛んでいますし、食べ終わったお皿に残った脂を見ただけでも、 脂が身体の中に日ごろより多目に入っているかが分かります。 そこで、彼に太ってきたことを話して、脂やチーズを減らして欲しいと言ったのですが、 「チーズやオリーブ・オイルは身体に良いんだ」と言って、私が食べる量を減らせば良いだけだと言います。
でも出されると食べてしまうので、私としては彼の料理からオイルを減らしてもらうのが一番なのです。

それと、私の家は心臓病と糖尿病の家系で、春先に母親が心臓の問題で入院した際に、母の医者に 私も若いうちから気をつけるように言われています。 それもあって私は和食中心のメニューにしているのですが、彼の料理をほぼ一日置きに食べるようになってから、 食欲が増して、脂の量が増えています。 ですから太って当然といえば当然です。
先日もヨガのクラスで、ウエストが太くなったせいで、腕が回らなくなった姿勢があって、 ショックを受けてしまいました。
せっかく料理をしてくれた彼に、文句を言いたくないので我慢していることが多いのですが、 それでも一度、体重とダイエットの話になると、オリーブ・オイルが身体に良いという彼と 口論のようになってしまいます。
どうしたら、彼にもっと脂をカットしたヘルシーな調理をしてもらえるでしょうか。 秋山さんのアドバイスが頂けたら、嬉しいです。
お忙しいところ申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

−S−




ちょうど今 私が読んでいるのが、 何千人もの糖尿病、心臓病の患者 及び、普通体型でも あと5キロ痩せたいと希望する人々を ダイエットの成功に導いてきた アメリカのドクターの ベストセラーになったダイエット本なのですが、 その本によれば、 やはり世の中にはヘルシーなオイルというのは存在しないようで、オリーブ・オイルが 他のオイルに比べればヘルシーとは言え、摂取すれば太るというのは確実なようです。

ご質問は「どうしたら彼に もっと脂をカットしたヘルシーな調理をしてもらえるか?」とのことだったのですが、 一緒に暮らしている男性側になってみれば、彼のアクティブなライフスタイルを考えると、少なくとも現時点では、 すなわち年齢を重ねて メタボリズムが低下してくるまでは、 オリーブ・オイルの摂取が 自分の身体のために必要な場合があります。
彼は毎朝ジョギングを欠かさないとのことですし、 そもそも男性は女性よりも筋肉質なので、じっと座っているだけでも余分にカロリーが燃やすことが出来ます。 しかも男性は、生理によって月に1回ホルモン・バランスが崩れて、消化能力が衰えたり、食欲が増すといったこともありませんので、 例えば同じダイエット・プログラムを実践した場合、男性の方が遥かに簡単に体重を落とすことが出来ますし、 落とした体重をキープし易い体質を作り易いのも事実なのです。
要するに、Sさんと男性は 全く異なる体質であり、メタボリズムにも開きがあるので、 2人にとって 同じようにメリットがある食生活をしようというのが そもそも難しい と考えるべきだと思います。

Sさんは 彼の食事を食べるようになってから、体重が増えただけでなく、 「食欲が増した」と書いていらっしゃいましたが、 人間の食欲というのは不思議なもので、誰にでも食欲を煽ってしまう トリガー(引き金)になる食物、食材というものが存在します。
つい最近、アメリカのニュースで報じられたのが 超ロングセラーのオレオ・クッキーに、 食べた直後から 脳の中にコカインに似た興奮状態を生み出す効力があるという という研究結果でしたが、 アメリカの大手食品会社は 多くの人々にとって 「トリガー」になるフード、脳を刺激するフードのフォーミュラを スナックやシリアル等の生産に取り入れて ベストセラーを生み出しています。
私にとって、オレオ・クッキーは最後に食べたのが何時だか思い出せないほど、全く関心が無いだけでなく、 美味しいと思って食べたことさえ無いお菓子ですが、私にも別のトリガー・フードが存在しているので、 世の中には食べると 更に食欲を刺激する食物、食材があることは 強く認識している事実です。
したがってSさんの食欲が増したのは、彼の作るフードの中にそんな「トリガー」となる食材が含まれていたとも考えられるのですが、 基本的に体重が増える食事というのは、血糖値の上下を激しくする食事、インシュリンの分泌を活発にして 摂取したカロリーを 体内に脂肪として取り込んでしまう食事です。

日本食であれば、揚げ物でない限りは どんなメニューでも 低脂肪で、繊維質が十分に取れるものが多いだけに、 血糖値が安定して、 一定体重を保つことはさほど難しくありません。 それが洋食となると、同じ食材を食べるにしても その調理法によって余分なカロリーが加わるケースが非常に多いので、 食材からジャッジして 「健康的な食事をしている」と思い込んでいても、調理のプロセスで加わった エクストラ・カロリーで体重が増えてしまう場合は少なくありません。
いずれにしても3ヶ月で3キロというペースは、このまま1年が経てば 12キロの体重増加になってしまいます。 女性の場合、35歳を過ぎてからの体重増加は、Sさんがご心配なさっている糖尿病、心臓病の他に、 乳がんのリスクもアップさせると言われているので、やはり一緒に生活している男性と 食生活までシェアするのは Sさんの健康のためにはお薦めできないことです。

もしSさんと男性がカップルで、一緒に同じテーブルで同じ食事をシェアすることに カップルの愛情関係を維持する大きな意味合いがある場合は、 状況がもっと難しいかと思いますが、Sさんと男性の生活が ”共同生活” という状況なのであれば、 お互いの食生活をお互いに押し付けて、双方が不満を感じるよりも、いっそ別々の食生活にしてしまった方が 共通の問題が1つ減ると言えます。
そうなると、これまで折半で安上がりだった食費が アップしてしまうとお考えかもしれませんが、食材はこれまで通り シェアし続けることは 日本食と洋食でも可能なはずです。 しかもSさんと男性は、お互い野菜中心の食生活とのことなので、食費の大半を占める野菜に加えて魚や調味料等、 多くのものを 2人分纏めて購入して 折半出来ることと思います。
その食材を使って、男性がオリーブ・オイルをドレッシングにしたサラダを作ったり、炒め物をしたり、 これまで通りの調理法で自分の分だけを料理して、 Sさんがご自分用の和食を調理すれば良い訳で、Sさんの料理で彼が気に入っているもの、彼の料理で脂分が少ないメニューなど、 シェアできる料理があれば それをシェアすれば良いのです。
キッチンを使う時間を割り振るのが面倒であれば、作り置きが効く料理をメニューに取り入れて、 どちらかが優先的にキッチンを使う日を決めれば、さほど問題は無いかと思います。
このやり方だと、外食しない日は、ほぼ毎日 調理することになってしまうかもしれませんが、食材の買出しが2人で手分けして出来るだけでもかなり手間が省けますし、 前述のように食費はこれまで通り折半出来るので、出費面では殆ど変わりは無いと思います。

そうやって、お互いの食事を お互いが作るようにしているうちに、徐々に起こってくるのが 時間や手間を優先するための妥協です。 すなわち 「こうすれば、2人分作ってシェアできる・・・」というような歩み寄りです。
ダイエットの持論で真っ向から対立している時は、こうした妥協点の模索は難いかもしれませんが、 そもそも 彼がオリーブオイルやチーズをたっぷり使いたければ、自分用に取り分けたサラダやパスタにふりかければ良いだけなのです。 特にエクストラ・ヴァージン・オイルについては 加熱すると栄養分が失われて、せっかく高めの値段を支払って エクストラ・ヴァージンを購入している意味が無くなってしまいますので、 むしろ食べる直前にふり掛ける方が正しい使用法です。
彼が調理法を変えたくないと意地を張っているうちは、そうした歩み寄りをしてもらうのは難しいかと思いますが、 どんなに料理好きであっても、手間や時間が省けるとあったら 徐々に妥協をしてくるはずです。 ですので、先ずは 「食材シェアは続けながらも、調理は別にする」というところからスタートして、 徐々に男性側に妥協点を見出してもらうように仕向けていくのが 私からお薦めするやり方です。

必ずしも上手く行く保障はありませんが、Sさんの体重が今のペースで増えてしまうのは好ましいこととは思えませんので、 ご自身の健康のためにも、調理を分けることは早急に実践して頂きたいと思います。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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