Nov. Week 1, 2015
★ Marrying to a Man Who Didn't Pay My Wedding Ring
結婚指輪代を払わなかった彼との結婚に際して


秋山様、はじめまして。
10年以上毎日のようにこの最旬のNY情報に触れられるサイトを拝見し、楽しませていただいております。いつもHAPPYをありがとうございます♪
特にこのQ&Aのコーナーはみなさんいろんな人生に様々な悩みをお持ちなのだな。。。と、とても興味深く拝見し、 それぞれのケースへの秋山様のすばらしいメッセージにはいつも感心するばかりです。
自分の悩みは読んでいただく価値もないケースかもしれません。 もっと深刻な悩みを抱えている方のあとでかまいません。 お時間を頂いて大変恐縮ですが、よろしければ何かヒントを頂けましたらと思います。

現在イタリア系のニューヨーカーの方とお付き合いしています。 ここ2〜3年の交際を経て、来月結婚を考えているつもりです。
彼には十分と思える収入があり、お酒やたばこを必要としない人格的にも尊敬できる人です。ただ気になっていたのはモーゲージ(住宅ローン)のことでした。 以前のビジネスの関係で、一緒に立ち上げたはずの仲間から裏切られて 不当な訴えを受けて、 抵当に入っていた自宅を手放さなくてはいけなくなり、その家を取り戻すためのモーゲージの支払いが 毎月かなりの金額があるのは知っていましたが、モーゲージについては自分のことで、私には関係ないから心配ないと聞かされていました。

今まで彼は保険にお金をかけていなかったらしく、私と一緒になって何かあったら私に迷惑をかけないように 少し高額の保険に入るため、モーゲージの毎月の支払額を落として保険料に充てたため、その分モーゲージの返済期間は2倍の30年になりました。 彼曰く、「いざとなったら家を手放せば問題ないから」というものの、今の年齢から30年も同じ収入を得ながら返済できるとも考えにくい状況です。 (会社勤めではなく、セルフエンプロイメント=自営業です)
まぁそれでも最悪、日本に帰れば自分たちの住む家くらい何とかなると思うので、この件は大丈夫と思える点です。

問題はここからです。ここ数か月、彼の仕事上の顧客の都合でキャンセルが相次ぎ、少し収入が不足したため、 彼はなんの気兼ねもなしに私に何度か「数百ドルのキャッシュがある?」っと聞いては 私からそれを受け取り、保険やモーゲージに充てていて、 さらには結婚指輪の支払いも出来なく、期日までに刻印を済ませなくてはならなかったので、 私は自分で二人分の指輪の支払いもしなくてはなりませんでした。
さすがに指輪の支払いは自分でもショックでした。 結婚を口にするなら指輪代くらい貯金しているものだと思っていました。 ただお金がタイトそうだったので、形だけ結婚指輪の高くない指輪を選んでいました。 いくらタイミングが悪くても、数百ドル単位のわずかなお金がないなんて、思っていた以上にシビアな状況でした。

アメリカ人の貯蓄への関心の低さは心得ていたつもりですが、いざ自分の彼が貯金0となると、話は別です。彼の自宅にはいかにも独身男性の家といった感じのおしゃれでお金のかかった作りです。 DIY(Do It Yourself)が大好きで すべての改装をほぼすべて自分で行い、インテリアもデザイナーものやレアなヴィンテージです。つまりお金はすべて物に使いたいし、そのようにしてきた結果がいまの彼の財産=家なのです。
おそらく彼は何も変わることなくいまの生活を続けたいのだと思います。 子供も作る予定はないので、なんの心配もないのかもしれません。 ただ貯金がないだけ。いまのところ仕事も健康な心と体もあるのだから、持っているものに感謝しながら生きていけばよいのだと思える日もあります。

彼を愛しているのなら年に何度か訪れるかもしれない収入が不足する月に1000ドルくらいの出費くらい当然!っと思われる方もいらっしゃるでしょう。それでも私もそんなに心広く構えていられない気持ちの日もあります。
ほんの少しでもアメリカ人である彼に将来への蓄えについて考えることや、ほしいものを我慢することを伝える良い方法があったら教えていただきたいと思い、 本日お便りしました。 もしくは私の考えを変えたほうがよいところがあればお伺いしたいと思います。
こんな悩みですが、最後までお読みいただき感謝申し上げます。

これからも毎日素敵なこのサイトを訪れるのを楽しみにしています。
寒くなってまいりましたがスタッフ皆様の健康と幸福を願っております。

−M−





メールを拝見した印象では Mさんが初婚でいらっしゃること、そして現在のイタリア系アメリカ人の婚約者が ニューヨークで日本人以外の男性とシリアスにお付き合いした 初めてのケースなのでは?と お見受けいたしました。
「ご婚約、おめでとうございます」というメッセージからアドバイスをスタートするのがマナーだと思ったのですが、 正直申しましてMさんのケースはお祝いをする前に、やっておかなければならないことが沢山あるように思いましたので、お祝いのメッセージを保留することにいたしました。 これから少々厳しいことを書かせて頂くことになりますが、このコーナーにご相談くださった方には 私がベストだと考えるアドバイスをさせて頂くことをポリシーにしていますので、ご気分を害されることがあっても ご理解をお願いします。

まず今回のご相談の本題の部分にあたる 「ほんの少しでもアメリカ人である彼に将来への蓄えについて考えることや、 ほしいものを我慢することを伝える良い方法があったら教えていただきたいと思い」という部分ですが、 このコーナーで過去に何度か書いたことがある通り、残念ながら女性には男性を変える力はありません。 それは女性の力不足というよりは、男性という生き物に 女性ほどの柔軟性が無いためなので、婚約者を変えられないことについてMさんが悲観する必要はありません。
それよりもMさんがしっかりと自覚する必要があるのは、結婚後に長年一緒に生活していく伴侶が 現在のままの彼であれば かなりラッキーな方で、 時に結婚後に遠慮や気遣いが無くなることもあれば、人生の様々な局面を迎える度に 彼が自分よりもはるかに弱い人間であることや、 自分と全く異なる考えの持ち主であることを 思い知らされるケースが出てくるということです。 ”夫婦の絆”と呼べるものが築けるようになるまでには、様々なハードルを一緒に乗り越えて行かなければならないことは 頭では誰にでも簡単に分かることですが、 それは2〜3年程度の恋愛関係を続けるのとは全く異なるレベルです。
したがって、不安や疑問を抱えたまま 結婚すれば、それらが遥かに大きなマグニチュードになって 将来的にMさんを苦しめると考えて間違いありません。 ですので 結婚前に全ての不安や問題材料を払拭して、疑いや疑問の気持ちを持つ事無く、どんな時でも夫婦として支え合って、 愛情や幸福をシェアしながら生きて行けるという確固たる信念を Mさんが抱くまでは、私からのお祝いのメッセージを保留させて頂くべきと考えた次第です。

大変失礼ながら、Mさんの婚約者がお金に対して計画性が無いのと同様に、メールを拝見していて私が感じたのは Mさんも お金や、結婚、将来について かなり楽観的でいらっしゃるということでした。
メールでは 彼についての書き出しに 「彼には十分と思える収入があり」という部分がありましたが、それでいて後半では「結婚を口にするなら 指輪代くらい貯金しているものだと思っていました。ただお金がタイトそうだったので、形だけ結婚指輪の高くない指輪を選んでいました」と書いていらっしゃいました。 このコントラストから、私はMさんが彼の月収、年収、貯金や借金、財産の総額を、彼の説明や言い分から憶測しているだけで、 はっきりした内情を把握していらっしゃらないものとお察しいたしました。
普通に交際をしているだけであれば、相手の銀行残高やモーゲージの金額などは 全くMさんには関係がありませんが、 いざ結婚となると話は全く別です。 「モーゲージは彼の名義で彼が払い続けるものなので、Mさんには関係ない、迷惑が掛かる事はない」というのは、夫婦間では成り立たないセオリーです。
自営業の彼の収入が減った月だからといって、Mさんが彼のモーゲージのためのお金を貯金から支払うというのは、 Mさんが自分の物にはならない、彼の財産のための支払いをしているということです。 今後夫婦として、Mさんが彼の生活費をサポートしたとしても、ビジネスに必要なお金をサポートしたとしても、 それは結果的に彼がモーゲージを払い続けるために必要なお金な訳ですから、Mさんが彼名義の不動産のローンを払っていることに相違ありません。 もしMさんが 「婚約中で、これから結婚するのだから それくらい当たり前」とお考えでいらっしゃるのであれば、それは大きな間違いです。

夫婦が上手くやっていくためには、お金の問題を事前に全てクリアにして、お互いに納得した経済状態であることは”マスト”です。 相手と自分の財産が ウヤムヤな結婚をしてしまえば、気付いた時は彼の住宅ローンだけが減って、自分の貯金が無くなる一方という状況になりかねません。 万一離婚という事態になったら、Mさんが彼の住宅ローンにどんなにお金を注いだところで、家は100%彼のもので、Mさんのお金は戻りません。
それだけでなくNY州の法律は 子供が居ない離婚の場合、妻側に対して非常に厳しいので、 相手が資産持ちで無い限りは、離婚後の最低限の生活に必要な扶養手当さえ受け取ることが出来ません。
「結婚もしないうちから、離婚の話を持ち出すなんて失礼」と思われるかもしれませんが、ここアメリカ、特にニューヨークでは結婚を考えるということは、 ひょっとしたら起こりうる離婚に備えることでもあります。 私が尊敬して止まないベンジャミン・フランクリンの語録に 「By failing to prepare, you are preparing to fail. / 準備を怠ることは、怠るための準備をするようなもの」 というものがありますが、誰の人生にも予期せぬ事態が必ずと言って良いほど起こるものです。 特に備えを怠っている人には、最悪の事態が最悪のタイミングで起こるのが アメリカ人が良く言う ”Murphy's Law / マーフィーの法則”です。

また私がもう1つ非常に気になったのが 「私と一緒になって何かあったら私に迷惑をかけないように、少し高額の保険に入るため」という部分で、 彼が加入したのは 何の保険でしょうか? 生命保険? それとも障害保険でしょうか? そして保険の内容をMさんは、しっかり把握していらっしゃるでしょうか? 保険金が幾らで、その受け取り人の名義が ちゃんとMさんになっているかを書面でご確認されたでしょうか? 生命保険の場合、Mさんにも保険が掛けられているのでしょうか?
結婚指輪のお金を用意していなかった男性が、結婚する前からMさんのために高い保険に入るというのは、 私には あまり筋が通らないように思えました。
Mさんの彼を疑ってかかる訳ではありませんが、彼がお金について計画性が無いと感じていらっしゃるのであれば、 保険、モーゲージ、収入、クレジット・カードの借金は無いかなど、夫婦になった場合の経済状態は Mさんが結婚前にしっかり把握して、 結婚後はMさんが出来る限りコントロールするべきことです。

男性にとっては 経済状態=プライドですので、インターネット上のデート・サイトで70%前後の男性が年収を上乗せして 登録していることも指摘されています。したがって彼の経済状態については、 相手が言うことを鵜呑みにしているだけでは正確な状況は把握できません。
本来ならば税金の申告書を始めとするファイナンシャル・ステートメントを、アカウンタント(会計士)にチェックしてもらうのが一番ですが(税金の申告書は、 通常素人が見ても詳細が分からないので…)、 そこまでは出来ないという場合で、それでも お金に計画性を欠く彼と結婚するのであれば、 ご自分の財産をしっかり守る手立てを持たなければなりません。
まずは個人の銀行口座の情報と残高をしっかりプロテクトすること、クレジット・カードは個別にアカウントを持つこと、 銀行にジョイント口座を開く場合は そこに入金するお金や 引き出しについての取り決めや、生活費の負担について 結婚前にしっかりと取り決めをして、Mさん個人の財産が その時々の楽観的な気持ちに流されて、どんどん彼のために使われる事が無いようにしなければなりません。
アメリカ人男性のお金の使い方や貯蓄についての考えが 結婚で変わることは望めませんので、 お金についての不安を覚えながらも結婚するのであれば、ご自分の財産をプロテクトする自衛策を持たないことは自虐的な行為とさえ言えます。

こんなことを申し上げると、Mさんは「私の友達には 税金申告をチェックして結婚した人など居ない」と思われるかも知れませんが、 そういう女性は往々にして、結婚によって自分のお金を殆ど使わず、男性のお金を使うライフスタイルに飛び込んでいるだけなので、そんな事をする必要は無いのです。
そうで無い場合は、お金の問題を事前にクリアにして結婚しているケースが殆どで、 特にアメリカ人の場合、エリート職に就いていても 多額の学費ローンを抱えていることは珍しくありませんし、 離婚暦がある男性の場合、養育費や扶養手当の支払いを抱えて、借金同様の状態になっている場合もあります。
お金の話ばかりで恐縮なのですが、結婚というのは社会的、経済的な条件を含めた契約関係でもあって、単なる愛情の結び付きではありません。 加えて10人並みの幸せというのは、ある程度の経済状態の上で成り立つものです。 お金にさえ困っていなければ、夫婦間のかなりの問題を回避できるのです。

私が知る限り、お金をきちんと管理している女性で「彼を愛しているのなら年に何度か訪れるかもしれない収入が不足する月に1000ドルくらいの出費くらい当然!」と考える人など居ませんので、Mさんが彼の経済状態について感じる不安は当然だと思います。
その一方で、「まぁそれでも最悪、日本に帰れば自分たちの住む家くらい何とかなると思うので、この件は大丈夫と思える点です。」と メールに書いていらしたのですが、Mさんがシングルのままでいらっしゃるのならば 確かにそうかも知れません。 でも夫婦という単位で国境を越える、特に男性側が言葉も文化も違う国に移住するのは そう簡単な話ではありません。

また自営業を営む私の立場からはっきり言わせて頂くと、自営業というのは順調なビジネスが出来る時期もあれば、突然収入がガタ落ちすることもあって、 その予測さえ出来ませんので、保険以前に 投資や家賃収入などの不労所得や副業収入などが無い場合、 多少の蓄えがあったろころで、経済状態としては常にリスクを抱えていると考えるのが妥当です。 アメリカでは、どんな企業でも業績が落ちればレイオフをしますので、雇用される立場でも 自営業と同じようなリスク という考え方も出来ますが、毎月決まった額の収入がある訳ではないという点で、 自営業者と結婚する場合、相手の経済状況を把握することはさらに大切になってきます。
さらにMさんの彼はお酒やタバコはされないようですが、自営業者にとっての健康管理はお金の管理と同じくらい大切です。 彼は自分が欲しいものを手に入れることを 優先して生きていらしたとのことでしたが、物欲がコントロールできない人というのは 食欲のコントロールも難しいので、夫婦として長く幸せに暮らすためには、 妻となったMさんが食生活もしっかり管理する必要があることをも 心に留めておいてください。

最後に、これまで彼の言うままにお金を払ったり、婚約指輪を2人分支払ったということで、Mさんが金銭的に彼の言いなりになるという 印象を彼が抱いてしまったかも知れません。 でも相手の意思を常に通してばかりいたら、たとえ犬でも人間を馬鹿にするようになります。
彼と同等の、お互いに尊敬し合う 夫婦関係になりたいとお考えでしたら、先ずは Mさんが今まで彼に支払った金額が 一体何なのか?、 すなわち自分からの借金なのか、結婚後の生活費の前払いなのか?、”婚約している間柄なので払って当然と考えているお金=寄付 or ギフト” なのか?を はっきりさせる必要があります。そしてMさんも言われるままにお金を払うのは止めるべきです。
次に 彼の結婚指輪はMさんからのギフトとして考えても構いませんが、Mさんのリング代については 結婚前に 彼に支払って貰うことを強くお薦めします。 女性がウェディング・リングを2人分支払うような結婚を平気でする男性が、Mさんを幸せに出来るとは思えません。
もしMさんが この2つのいずれも彼に要求できないのであれば、結婚そのものが間違っていると言っても過言ではないと思います。

Mさんには これまでご相談下さった方の中で 最も厳しいことを書いてしまいましたが、結婚というのは不安や疑いに目を瞑って するべきものではありません。 特にアメリカでは一度結婚してしまうと、紙1枚で簡単に離婚できる日本とは異なります。
ですので、Mさんには 単に ”彼との結婚がしたいのか?”、それとも ”幸せな結婚がしたいのか?” を自問自答して頂いて、 ご自分にとって最善の選択と行動をして頂きたいと思います。
その上で 不安な気持ちを覚える事無く、どんな事があっても2人で幸せを掴む決意で ご結婚に至った場合には、私からも 心からのお祝いを申し上げます。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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