Nov. Week 2, 2015
★ Preventing Child Sexual Abuse...
子供を親戚の性的いたずら から守るには…


秋山曜子さま、いつもこのコーナーをとても楽しみにしています。
人様の悩みを読むのが楽しみという意味ではなく、いろいろなことに本当に素晴らしいアドバイスをされている秋山さんと その文章の爽快さがとても好きで、世の中にこんな風に物を考える方がいらっしゃると思っただけで救われる思いがすることもあります。
私にも恥ずかしながら、身内のことでご相談をせざるを得ないことがあります。 アドバイスをいただけますでしょうか。

それは母の兄である伯父のことです。 先日姉が電話をしてきて、姉の5歳になる長女が伯父と散歩に出かけてから様子がおかしいと言い出しました。 姉の長女は、伯父に何かされたのかと尋ねても何も言わないそうですが、姉は長女が伯父に性的な嫌がらせをされたのでは?と疑いをかけていて、 その理由として 姉が初めて明かしたのが、姉自身が子供の頃に伯父に性的な嫌がらせをされて、誰にも言えずに悩んだという経験談でした。

それを聞いて、私も子供の頃に 夏休みに親戚家族で海辺に旅行に行った時に、 性的嫌がらせとまでは言いませんが、伯父が泳ぎを教えてくれると言って、かなり馴れ馴れしく水着を着た私の身体を触ってきたり、 ふざけて私の水着を引っ張ったりして、気持ちが悪かったことを思い出しました。 それと、「母に内緒にするなら、物置の中の秘密の物を見せてあげる」と伯父が目をギラギラさせながら、言い寄ってきたこともあって、 子供心に恐ろしくなったのも良く覚えていて、実は私も伯父のことはあまり好きではないですし、信用も出来ないように思っています。

伯父は 実家の近所に暮している関係で、両親と親しく、家族で集る時には伯父が姿を見せることも少なくありません。 特に12月からお正月にかけては、両親の誕生日があって、お正月は家族で集るので、どうしても伯父に会うことになりますが、 通常、姉と私はお料理などで忙しくて、これまでは子供同士を遊ばせておくだけでしたが そんな伯父の話をしているうちに、もし伯父が家族の集りに来る場合は、子供達だけで放っておく訳には行かないという気持ちになってきました。
一番良いのは伯父が参加しないことなのですが、そうするには両親に私たちが子供の頃に伯父にされたことを話さなければなりません。 でも、そんなことを言ったら母は落胆すると思いますし、姉の長女が伯父に何をされたかが分かっていないだけに、 疑いの域を出ないことで伯父を告発するのはどうかと思えてしまいます。

未だ夫にも話す気になれずにいますが、私と姉は一体どうするべきでしょうか。 出来るだけ家族の波風を立てずに、母を傷つけたり、ガッカリさせることを防ぎながら、子供達が 万一のトラブルに遭わないようにする方法はないでしょうか?
またもし母にはっきりと伯父のことを言う場合、どういう風に説明するのが良いのでしょうか?姉の長女からもっと詳しい事情を 聞いてから話すべきでしょうか?
アドバイスを頂けたら本当に助かります。よろしくお願いします。

最後に御社では、姉ともども お買い物も楽しませて頂いています。ジュエリーやバッグ、あとドクター・アルカイタスなど、 長く飽きずに使える、素晴らしいお品をいつもご提供くださってありがとうございます。
アドバイスが頂けても、頂けなくても、これからもずっとお買い物をさせて頂きます。

−N−





私の友達にも、幼い頃に親戚の男性に性的嫌がらせを受けた人が居ますが、 彼女曰く 親族の場合、性的嫌がらせをしている側は バレても警察沙汰にならないことを見越している一方で、 嫌がらせをされる側は、ただでさえ人に言い難い事件の犯人が親戚の1人だということで、 益々誰にも言えなくなるだけに、「最も悪質な性的嫌がらせ」というのがその意見で、 20年以上が経過した今でも、「思い出すだけでムカムカする」とその親戚の男性に対する怒りを露わにしていました。

でも彼女のように腹を立てながらでも、オープンに人に話せるのは良い方で、 アメリカ社会では、そんな幼少期の性的虐待経験のせいで、人知れず歪んだセックス感や恋愛感を持ち、それに悩まされている人や、 何らかの精神的コンプレックスを抱き続けている人、虐待で負った心の傷を引きずっている人が非常に多いのが実情です。 その証拠に、青少年の自殺者の多くが性的虐待の経験者であることもデータで立証されていたりします。
また性的虐待者の多くは、自分自身が幼い頃に虐待の犠牲者であった場合が非常に多いので、 虐待行為や、そうなりうる状況を放置しておくことは、未来の犯罪者と犠牲者を増やすことにもなりかねません。

アメリカは青少年の虐待には非常に厳しい世界で、例えば兄妹の間で性的虐待が起こった場合、 それを親が知りながら放置して、虐待の被害者である子供をプロテクトする行為を怠った場合、 刑事責任は生じなくても、被害を受けた子供が親の責任を追及するようなことがあれば、親はその子供の親権を失っても不思議ではない状況です。
また、子供相手に性的ないたずらや虐待を行う人物というのは、興味本位で行っている訳ではなく、 それが抑えられない欲情であるケースが非常に多く、性的虐待犯は 同じ犯罪を何度でも繰り返すというのが典型的なシナリオです。
このため、アメリカでは性的虐待で刑事責任が問われた場合、「レジスタード・セックス・オフェンダー」、すなわち 性犯罪者として生涯登録されることになり、その登録はインターネット上で公開されているので、誰にでも簡単に調べられる一方で、 レジスタード・セックス・オフェンダーになると学校の近くでの居住が許されない、セックス関連ビジネスを営むことが出来ない、 住居を移る場合に自らに性犯罪の前科があることを明らかにしなければならない などの規定が生じます。

ここまでアメリカ社会が厳しく性犯罪者を登録・管理するシステムになっているのは、前述のように性的虐待者が たとえ何年が経過しても、その罪で服役することがあっても、セラピーなどで治療が試みられても、 中毒症状のように同じ犯罪を繰り返すためです。 したがって、Nさんの伯父様が過去に Nさんやお姉さまに対して行った行為を考えると、 お姉さまの長女に対しても何らかの行為をはたらいた可能性は十分にありますが、 もしそうだとしても それを親にも、誰にも言えないことは、 お姉さまが身をもって経験されていることです。
したがって、お姉さまの長女から話を聞きだそうとすれば、そのお子さんを さらに傷つけることになるかと思いますし、 中には虐待によって負った心の傷が、周囲のリアクションによってさらに深まるケースもあれば、 周囲に犠牲者扱いされることによって 精神的に深く落ち込むケースもあります。
ですからお姉さまの長女には、伯父様に何かされたか?などは質問せず、「自分はこういう目に遭いそうになった」など、 自らの体験談を話して聞かせたり、そういう時には どうするべきかを教えてあげる方が今後のためになります。 たとえ身内でも 相手に気を許せない場合があること、相手の態度や行動が変だと思った場合には 相手の言うことに従わず、 直ぐに逃げること、他人にでも助けを求めるべきことは、誰かに一度教われば 小さい子供でも実践できるケースは少なくないのです。 でも、いきなり予期せぬ状況に置かれた子供は、必ずと言って良いほど大人の言いなりになってしまいますし、 一度子供が その大人に 恐怖心を抱くなどして 主従関係が築かれると、それを崩すのが難しい場合も出てきます。
ですので、お子さんに何が起こったかを訊ねるよりも遥かに大切なのが、性的虐待者に遭遇した場合に どう対処するべきかを話して聞かせることです。

伯父様への今後の対処については、子供を巻き込む事無く、大人だけで解決するべきことです。 このケースはアメリカの常識で判断した場合は お母様に直ぐに事情を話して 今後子供が参加する家族の集りには、伯父様に遠慮して頂くのが解決策です。
でもそれだと波風が立つ可能性があるとお考えでしたら、事情を説明せずに お姉さまと一緒に 「子供が参加する集まりに伯父様を呼ばないようにして欲しい」とお母様にお話しされて、 理由を訊かれても、「確証が無いから、説明できない」とだけ答えて下さい。
その上で、 もしお母様が「どうしても理由が知りたい」とおっしゃった場合に、 事情を説明されるのが良いと思います。 ここでワンクッションを置くのと、いきなり伯父様の性的嫌がらせ説を持ち出すのとでは、 お母様の心の準備が出来る分、そのリアクションも異なるはずです。

お母様は伯父様と一緒に育っているので、ひょっとしたら思い当たるエピソードがあるかも知れませんが、 いずれにしても、このケースではNさんとお姉さまのお子さんをプロテクトするのが最優先課題であって、 過去に既に前科がある伯父様の心情や、お母様のお気持ちを気遣って、子供達をリスクにさらすべきではありません。

たとえお姉さまの長女の様子がおかしくなった原因が伯父様以外のことであったとしても、 伯父様にはお姉さまに対する前科があるのですから、その人物を子供に接近させることは、 アメリカのスタンダードでは 放火魔にライターを渡すのと同様に危険に感じられることです。
お姉さまが過去に嫌な思いをした際には、周囲は何も知らず、何もしてあげられなかった訳ですので、 それをあえて繰り返すようなことがあってはいけないと思います。
そして、そのプロテクションが お姉さまの長女の様子が原因で行っていることを、伯父様にもお子さん達にも 悟られないようにして 行う必要がありますので、12月になる前に 是非ご家族でオープンにお話されてみてください。

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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