Dec. Week 2, 2012
★ Thanks, But No Thanks!


いつものコラムとは違った視点から秋山さんのご意見が読める新しいコーナー、楽しく拝読させていただいております。
さっそくですが、私もアドバイスをいただきたくメールさせていただきくことにしました。

お稽古事の先生が、私のことを思って いろいろ言って下さるのですが、ありがたいのを通り越して、今でははっきり言って迷惑しています。
というのも私は今妊娠中なのですが、経過があまり思わしくなく、報告は身内と極親しい友人など最低限の人のみにしています。 お稽古の先生には 「体調不良」 と伝え、しばらくお稽古をお休みさせてもらえるように頼みました。 ところが、その時は普通に了承してくださったのに、毎週 「次回はいつ来られるの?」と電話が掛ってきて、 毎回 「しばらくお休みさせてください。体調が戻ったらこちらから連絡します。」と お伝えする繰り返しを何ヶ月もしています。
期限がなさすぎるのがいけないのかと思い「数ヶ月お休みさせてください」、「年末のご挨拶には伺う予定です」等と 答えてみましたが事態は変わらず…。それどころか「月謝が払えないのなら気にしなくてもいいからいらっしゃい」、 「お稽古が難しいなら遊びにくるたけでもいいからいらっしゃい」、 「家に閉じこもっていては治るものも治らない」、 「神経質すぎるから治らない」、「私が無理矢理にでもあなたを家から引っ張り出す」等々、どんどん勘違いも発言も エスカレートしてきて恐怖すら覚えます。 (80代のおばあちゃんなので実際には危険はありません。念のため。それに年齢的に忘れっぽかったり、混乱されている面もあるかもしれません。)

私が本当の理由を言わないのが一番の原因ですし、多分 私が精神的に病んでいると勘違いされて 「私が治す!」と変な義務感から、 昔ながらの(?)強制的な 療法をとろうとされているのだと思いますが、どちらにしても今の私にとっては ありがた迷惑以外の何物でもありません。 普通、善意でこちらから 軽くアプローチしても相手がはぐらかすようなら、 相当な仲でもない限りは、言いにくい事情があるのかと察して深入りするのはやめませんか? それに私の場合は家族も近くにいて、本当に精神的に病んでいたとしても、 一人ぼっちで悪化させてしまうような環境ではないことは先生もご存じなはずです。

何もかも悪気があってのことではなく、私を思ってのことだと言うことは分かっていますが…、それが逆に悩みの種です。 どんどん深入りしようとしてくる相手、しかも縁を切るわけにも、失礼な態度を取るわけにもいかない相手と、どうにかうまく距離を取る方法はないでしょうか?

今回の件につきましては、時期が来ればどちらにしても解決しますが、彼女の性格上、これに似たようなことは稀にあります。 普段も今回同様、深入りしようとしてくるのを なんとなくはぐらかし続けて、時が去るのを待つのですが、 もっと上手な距離の取り方についてアドバイスをいただければ幸いです。

− C. −





まずはC.さん、妊娠おめでとうございます。
英国王室のキャサリン妃は、入院によってメディアに嗅ぎ付けられるのが目に見えているので、妊娠8週間足らずで ご懐妊のニュースを発表しましたが、通常、妊娠というのはプライベートであるべきことなので、C.さんがお稽古の先生に お話されていないことは当然のことと思います。

私がこのケースで試して頂きたいのは、先生にお手紙(Eメールではなく、紙面のお手紙です)を差し上げることです。 既に電話のやり取りでは、納得して頂けないことは明らかですので、別の手段で お伝えしてみてはいかがでしょう?
昨今、手紙を書く人が減っていますが、先生の80歳という年齢を考えると、手紙というのは1つの有効な手段だと思います。 手紙というのは、封を開ける段階で それを読む側の心の準備が整う分、文面が 電話で語る言葉より深く相手に伝わります。
ここで、妊娠については何もご説明する必要はないので、C.さんが 先生がご心配なさるように 塞ぎこんでいる訳ではないこと、 あくまでプライベートな事情で お稽古に伺えないこと、 事情については、いずれお話させて頂きますが、今はデリケートな状態ですので、 暫くお時間を頂きたい ということをお伝えしてみてください。
また、度々お電話を頂いて恐縮していること、本来お稽古に通っていらっしゃる方々に注がれるべき先生のお気持が、 現在お休みを頂いているC.さんに注がれることを心苦しく思っていることなど、 感謝の気持と、それをご遠慮させて頂く表現を、繰り返し 繰り返し お手紙に書いていてみてください。
この場合、文面は長すぎず、短すぎずが適切で、ワープロではなく、手書きで、 最後に、お電話でこうしたことをお伝えるより、お手紙でご挨拶するのが適切と思って、そのお手紙を書いたことを ご説明するのが良いかと思います。

現代人がお手紙を書くというのは、それなりの事情があると察して頂けるケースが多いですし、 先生の性格からお察しして、手紙の真意を探ろうと 2回以上は読むものと思います。 そうするうちに、「ひょっとしてC.さんが妊娠してデリケートな状態なのでは?」と 思い当たって下されば、 先生もご遠慮して下さるように思います。
ただ、書面で差し上げたメッセージも通じないということになると、これはかなりの厄介者ということになります。

その場合は、C.さんに強くなっていただくしか方策はありません。
そもそも、お稽古の先生が そんなお節介を焼きたがるのは、先生が「私が何とかする」的な使命感を持った、救済者的メンタリティーの持ち主であると同時に、 Cさんの中にも これまでは それがお節介と思っていても、「それを受け入れて差し上げなければ・・・」という 師弟関係の義理のようなお気持があったものと思います。 それは、C.さんのお優しい性格だと思うのですが、これからお子さんが出来れば、ますますそうしたプライベートに関するお節介をシャットアウトしていくことが、 お稽古以外のオケージョンでも大切になってくると思います。ですから、「ありがとうございます。でも大丈夫です。」、「ありがとうございます。でも結構です。」と 不必要な介入に 一線を引く姿勢を、言葉だけでなく、凛とした態度で示して頂く必要があると思います。

人間にはつけこまれ易い人、つけこまれ難い人、お節介を焼かれ易い人、焼かれ難い人というのがあります。 つけこまれ易い人、お節介を焼かれ易い人というのは、人につけこむ人間、お節介を焼きたい人間がしたいようにすることを 受け入れる弱さや、優しさを身体から発している場合が多いのです。 それを発している限りは口で何を言おうと、相手はズケズケ やりたいことを仕掛けてきます。
逆につけこまれない人、お節介を焼かれない人というのは、そうした人を物も言わずにシャットアウトする雰囲気や、 そうした人々が嫌う ”Going My Way” 的な雰囲気 が漂っているものです。
先生に限らず、お節介な人、相手の立場や状況を深く顧みずに 自分の考えで世話を焼きたがる人というのは、そうした行為を親切や恩だと思っていますから、 関わり続けていると、 「日頃良くしてあげている代わり」と 考えて、我がままや面倒を押し付けてくることも少なくありません。ですからこうした人々とは、深く関わらないのが一番なのです。

C.さんは、今、やがて生まれてくる赤ちゃんと身体で繋がっているのですから、赤ちゃんに強い人間になってもらうためにも、 今後 先生が どんなアプローチをされても、それで不愉快な思いをして、赤ちゃんにその思いをトランスファーしてしてしまうよりも、 赤ちゃんに 「こんな事で動じない人間になってね」 と声を掛けながら、母親として強く、毅然と、乗り切って頂きたいです。 母親は強くないと務まらない大役なので、もし 手紙作戦が通じなかった場合は、先生が何をおっしゃっても、 母として強くなるチャンスを神様が与えてくれていると思って、心を広くして対処なさってみてください。

ではくれぐれも体調にご留意されて、元気で、可愛い赤ちゃんを産んでくださいね。


Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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