Dec. Week 4, 2015
★ Mess on My Dress, Who's Fault?
パーティーでのトラブル、ホストに責任が問えるでしょうか?


Yoko Akiyamaさま、
Cube ニューヨークを過去4年くらい愛読しています。今、西海岸に住んでいますが、 本当はニューヨークの方が好きで、いつかニューヨークで暮らす日を夢見ながら、Cube ニューヨークを読んだり、お買い物をさせていただいたりしています。
今日、Yokoさんにご相談したいと思ってメールをしたのは、先日出かけたホーム・パーティーで ちょっと不愉快な思いをして、その対処に困ってしまったからです。 是非アドバイスをお願いします。

問題のパーティーは、私のお友達が新しく引っ越した家のハウス・ウォーミング・パーティーでした。 あまりゲストに新築の家の中を勝手に歩き回って欲しくなかったようで、 ゲスト・ルームやベッドルームの扉には鍵がしてあって、リヴィング・ルームとテラスだけに人が集まるようになっていました。 広いお宅なのですが ゲストの数がとても多かったのと、お料理とドリンクをサーブするテーブルに 人が集りすぎていて、とにかく混み合っているパーティーでした。
私はこの日、ハウス・ウォーミングのパーティーに顔を出してから、別のパーティーにも出かける予定になっていて、 どちらかというと、後から出かけようと思っていた方が私にとってはメイン・イベントで、そのために 有名デザイナー物の真っ白いシルクのドレスを着て出かけました。

ところが ハウス・ウォーミング・パーティーのゲストの1人が オードブルで出されていた ミニ春巻きを持ったまま 人と話しながら私にぶつかってきて、その春巻きをディップしたソースが飛び散って、私のドレスにオレンジ色のシミがついてしまいました。 それもちょっと飛び散ったような小さなシミではなくて、胸の位置から流れ星みたいに尾を引くような目立つシミです。 相手はアメリカ人で、凄く恐縮して、周りの人もビックリしてナプキンでシミを拭き取ってくれようとしました。 でも時は既に遅しで、クリーニングに持っていかないと取れるシミではないのが明らかだったのと、 着替えない限りは次のパーティーに出かけられないので、家に戻ることにしたのですが、 帰り際に シミをつけたアメリカ人女性には パーティー・ホストの友達を通じてクリーニング・フィー請求して欲しいといわれました。
私はその時は、一刻も早くドレスをクリーニングに持って行きたかったのと、家に帰って着替えることで頭が一杯で、 相手の名前は聞いたものの、うろ憶えの記憶で出てきてしまいました。

結局クリーニング店のシミ取りのお陰で、ソースのオレンジ色は落ちたのですが、誰かがクラブ・ソーダで拭き取ってくれようとした 水ジミが薄っすらドレスに残って、それが結構大きく、とても目につくところにあるので、ドレスは着られなくなってしまいました。
そのドレスは2000ドルくらいした 決してお安くないもので、1回しか着ていなかったので新品同様です。 それが台無しにされてしまったので、数十ドルのクリーニング代以上のものを支払って欲しいと思った私は 早速ホストの友達に連絡して、相手の連絡先を教えてもらうか、そうでなかったらドレスにシミを付けた女性に彼女から ダメージの請求をしてもらおうと思ったのですが、 友達は沢山ゲストが来ていて、そのシミの事件さえ知らなかったので、それが誰だか分からないし、誰からもそんな話を聞いていないと言われました。
相手がどんな服装で、どんなルックスだったかを聞かれたのですが、 ブロンドの40代くらいの女性で、ブルーのトップを着ていたことは覚えているのですが、 シミを付けられるまで その女性に会ったことなど無く、シミを付けられてからは 頭が空っぽで、 自分のドレスのシミしか見ていなかったので、 相手がはっきり思い出せません。 友達は、「ゲストの誰がどんな服装をしていたか覚えていないし、確証が無いまま 友達にランダムに尋ねるのも失礼だ」と言って、 「誰かがソーシャル・メディアにアップした写真の中に、それと思しき人が写っていたら連絡する」と言われて、 そのまま時間が経ってしまい、私がドレスを台無しにされただけで終わってしまいました。

でも私は シミがついたドレスを見る度に、悔しい気持ちや悲しい気持ちがこみ上げてきて このまま泣き寝入りはしたくない気持ちで一杯です。 その話をした友達には 「それはパーティーをホストした友だちの責任だから、友だちに満足の行く金額を払わせるべき」といわれました。 その友達は日本人なので、どの程度アメリカのパーティー事情に通じているか分からないと思ったのですが、 「セックス・アンド・ザ・シティ 」のTVのエピソードの中に、キャリーがホームパーティーに行って、靴を脱がなければならなくて、 帰ろうとしたら、キャリーのマノロが見つからなくて、結局パーティーのホストがキャリーにマノロを買って返したストーリーがあったと言われて、 私もそのエピソードを何となく覚えていたので、「なるほど!」と思いました。
別のアメリカ人の友達には、「ドレスの全額を請求するのは無理だとしても、パーティーホストの友達が 少なくとも彼女の40代のブロンド女性の友達全員に 私のドレスにシミを付けたかを尋ねるくらいのことはするべき」と言われて、そのとおりだと思いました。 それに、そんな混み合うパーティーなのにソースをディップして味わうようなメニューを出すのも ホストの責任という友達もいました。
そうかと思うと、「そんな事をパーティーのホストに言うのは非常識」という友達も居て、 いろいろな人にいろいろなことを言われるうちに どうしたら良いのか分からなくなってしまいました。
Yokoさんだったら、どうお考えでしょうか? 「セックス・アンド・ザ・シティ 」のキャリーみたいに、ダメージをホストから取り戻せるのでしょうか? それとも諦めるべきなんでしょうか?
アドバイスをいただけたら、嬉しいです。 素敵なクリスマスと新年をお迎えください。

−A−





高額ドレスにシミを付けられてしまったAさんのお気持ち、お察しいたします。
でも このケースで もしAさんがドレスのシミの責任を問えるとすれば、それはシミをつけたアメリカ人女性だけであって、 パーティーのホストではありません。 パーティーのホストが、ゲストのドリンクがこぼれたり、人がぶつかったりする度にできた 服のシミの責任を取らなければならなかったら、 誰もパーティーなどホストしなくなってしまいます。
「セックス・アンド・ザ・シティ」のエピソードは 私もよく覚えていますが、サラー・ジェシカ・パーカー扮するキャリーが ホーム・パーティーのゲストの誰かに マノーロを履いて行かれてしまったエピソードとAさんのケースは かなり状況が異なります。

あのエピソードが放映された90年代後半のニューヨークでは、ホーム・パーティーで靴を脱ぐというのは かなり嫌がられたことで、 パーティーホストが日本人の場合は、カルチャーの違いに敬意を表して それを厭わないニューヨーカーは多かったのですが、 アメリカ人ホストの場合、理由が子供の埃アレルギーであれ、何であれ、靴を脱ぐことを嫌うアメリカ人は今でも決して少なくありません。
そしてゲストにシューズを脱ぐことを義務付けたパーティーで シューズが紛失した場合、ホスト側はレストランのコートチェックが コートを紛失したのと同等の責任が生じるのは事実です。 でも「セックス・アンド・ザ・シティ」のエピソードでは、ホストの友人役を演じていたテイタム・オニールが、マノーロのお値段を聞いて 「貴方の贅沢な独身生活をサポートすることなんてできないわ」というような文句を言って、 シューズの半額程度の金額しかオファーしませんでした。 そのため キャリーが困り果てて 彼女に電話をかけたところ、受話器を取った子供が「ハロー、サンタ!」と挨拶をしたのがきっかけで、 自分は 彼女が結婚、出産する度にお祝いをあげてきたサンタのような存在なのに、独身の自分には 彼女が何のギフトをくれないだけでなく、支払い義務があるシューズの代金まで”独身の贅沢”扱いされていることに気づいたキャリーが、 ”自分が自分と結婚するお祝い”と称して、パーティーで紛失したのと全く同じ シルバーのマノーロをその友達にプレゼントさせた というのが そのエピソードでした。 したがって、キャリーは 今まで子供が居る既婚の友達に貢いできたお祝いのお返しという、 相手が断れない理由を提示して シューズをギフトとして受け取った訳で、 ”弁償”という名目ではありませんでした。

また、別のお友達の「パーティー・ホストの友達が 少なくとも彼女の40代のブロンド女性の友達全員に 私のドレスにシミを付けたかを尋ねるくらいのことはするべき」という意見についても、 人数が とても多いパーティーでは そこに居るのが全員友人とは限らなくて、 友人のプラス・ワン、すなわち男性ゲストのガールフレンドという可能性がありますので、 もしホストが お友達全員にシミの事件について訊ねる手間を引き受けてくれたとしても、その”犯人”が見つからない可能性は高いように思われます。

ニューヨークでは ウエスト・コーストとは異なり、白を着用する人が殆ど居ませんが、 ニューヨーカーが日頃から黒を着用する理由は、「痩せて見える」、「コーディネートが楽」、「殆どのオケージョンをカバーする」というのに 加えて 「汚れが目立たない」ためで、ギャラリーのオープニングやナイトクラブ等に出かければ、他ゲストにぶつかって ワインがこぼれることなどは よく起こることですし、ニューヨークは人気のレストランほどテーブルの間隔が狭いので、自分の傍を通ったウェイターがドリンクや 食べ物をこぼさないとも限りません。 そんな環境で服の汚れを心配 していたら、精神的に疲れるということもあって、ブラックのアウトフィットはニューヨーカーのユニフォームのようになっているのですが、 白いアウトフィットは、その全く正反対で 汚れやアクシデントには非常にデリケートな存在です。 したがってホワイトのアウトフィットは、ある程度そうしたリスクを考慮した上で 購入&着用しなければならないことは、日本やアメリカを問わず世界共通だと思います。

でもAさんのドレスは 素材がシルクとのことなので、それを別のカラーに染めるサービスを行っている業者は少なくありません。 アメリカではウェディング・ドレスをレンタルする習慣が無いので、ウェディングで着用したドレスを染めてイヴニング・ガウンとして その後も着用するケースが非常に多いのです。 ドレスに限らずシルクのシューズをドレスとマッチする色に染めてくれるビジネスまであるほどです。
ですから水ジミのせいで着用できなくなってしまったドレスも、そのシミよりも 濃いカラーに染めれば、ドレス自体は救うことが可能です。
もし今後、ドレスにシミをつけた女性が見つかった場合、 Aさんにはクリーニング代と ドレスを染めた代金は 請求する正当な権利がありますし、それらは 支払いを拒むほどのお値段にはならないはずです。

いずれにしても、このケースでは ご自身に否が無いのに被害を被ったことはお気の毒だと思うのですが、 ホストに責任を問うことは友情にヒビが入るきっかけにもなりかねませんので、お薦めできません。
こうした思いをすると、頭が嫌なことだけにフォーカスして、悔しい思いがなかなか払拭できないかも知れませんが、 ひょっとしたら そのシミの事件がないまま、次のパーティーに直接出かけていた場合、 Aさんが事故に遭遇していたかも知れませんし、別のアクシデントに巻き込まれていたかも知れません。 ですので この1件が 実はAさんに幸いしていたかもしれないと考えて、 自分に起こったアクシデントが ドレスのシミ程度で済んだことをラッキーだと思うことをお薦めします。

幸運や不運は、自分に起こった出来事をどう解釈するかです。 不運なことが起こったとしても、「この程度で済んで良かった!」と解釈すれば それは幸運なのです。
ですからAさんには、 自分の周囲に起こる様々なことを 常にポジティブに捉えて、 幸運に転化しながら、ハッピーな人生を送っていただきたいと思います。

Have a Happy Healthy 2016!

Yoko Akiyama


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執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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