Dec. 27 2010 〜 Jan. 2 2011

” ニューヨーク・ライフはヘルシーか? ”

週明けの ニューヨーク史上5番目となる大雪とは打って変わって、この季節としては 暖かい気温の中で2011年のカウントダウンを迎えたニューヨーク。
当然のことながら、今週のNYのニュースと言えば、街中の景色同様、雪一色になっていたのだった。
積雪50cmを記録したセントラル・パーク(写真上、左側)では、クロスカントリー・スキーを楽しむ人々や、そり遊びをする親子連れで、 まるでスキー場のような賑わい。
でも、そんな平和な光景とは裏腹に、クイーンズ、ブルックリンでは市の除雪車が来ないために、 道路事情が最悪となり、多くの人々が通勤手段を奪われた上に、駐車した車が動かせない状態。 後になって、この状況は 「清掃局が市の予算カットに抗議して、わざと除雪作業を遅らせた結果」 という説も浮上して、 かなりの物議を醸していたのだった。
加えて、クイーンズ、ブルックリンの状況を無視して、「NY市は大雪にきちんと対処している」 と記者会見で語った ブルームバーグ市長はメディアと市民から大バッシングを浴びて、翌日にはそのコメントを訂正。 お隣、ニュージャージー州でも 大雪による州の緊急事態宣言が発動される中で伝えられたのが、 クリスティ州知事が家族とフロリダのディズニー・ワールドで休暇を楽しんでいるというニュース。
数年前ニューオリンズを襲ったハリケーン・カトリーナに対する対応の遅れが、ジョージ・W・ブッシュ前大統領の支持率を大きく低下させた例もある通り、 自然災害への対応は、アメリカでは政治家生命を大きく左右すると言われるもの。その意味で、ブルームバーグNY市長、クリスティNJ州知事は 共に今回の大雪で、そのキャリアに汚点を残した形となったのだった。


話は変わって、私は1年の終わりに、長い日記を書くのを恒例にしていて、1年を振り返って その年の収穫、辛かったこと、楽しかったこと、人に裏切られた経験、新しく巡り会った人、 無駄に終わったこと、結果的に良い経験になったこと、反省すべきことなどを書きとめるようにしているのだった。
こうすることによって、後から日記を読み返して、自分の経験から学んだり、様々な出来事を思い出して、自分を戒めたりしてきたけれど、 2010年の私にとって、最大の収穫の1つだったのが セントラル・パークを走り始めたこと。
セントラル・パークは、そのウェブサイトで「ランナーズ・パラダイス」と自負しているだけあって、 マンハッタンの中央にありながら、最大で1周10キロのコースを車に轢かれる心配などせず、春は新緑、 秋は紅葉、そして今週は雪景色の中を走ることが出来る場所。 セントラル・パークはマンハッタンの面積の6%を占めているけれど、ランニングだけでなく、 春〜秋まで、私が最低週1回は通っていたテニス・コートを始め、野球場、バスケットボール・コート、カヤック、ローラー・ブレード、サイクリング等、 合計26のスポーツをサポートする施設が設けられているのだった。
なので、私のようにセントラル・パークの恩恵を受けているマンハッタンの住人の中には、セントラル・パークに簡単にアクセスできるエリアでなければ 住みたくないと考えている人が非常に多いのが実情。 自然に囲まれたパークの施設をエクササイズに利用できるのも 素晴らしいことだけれど、 私が特にセントラル・パークを走るのが好きなのは、そこでエクササイズをしているニューヨーカーの姿に触発される部分が 非常に大きいため。
なのでパーク内の景色と、そこに居るニューヨーカーを眺めながら、アイポッドで音楽を聴いたり、時に考え事をしながら走っていると、 一周10キロのコースなどあっという間。 これがジムのランニング・マシーンだと、同じ距離を走っても 時間が倍以上に感じられるのだった。

昨日のニューイヤーズ・デイは、1年の最初の日に走っておこうというニューヨーカーが多かったせいか、それとも気温が暖かかったせいか、 私が走りに出掛けた午前中のパーク内は かなりの数のランナー。なので、ニューヨーカーのヘルス・コンシャスぶりを改めて実感してしまったけれど、 今日、1月2日付けのニューヨーク・ポスト紙が年明けのヘルス特集「ビッグ・アップル・スリム・ガイド」の中で 取り上げたのが、ニューヨーカーのヘルシー度。
それによれば、意外にもニューヨーカーは長寿で、2010年1月の時点で その平均寿命は79.4歳。 これはニューヨーク市にとって過去最高記録となっていると同時に、全米平均よりも1.5歳長生きであるという。
その要因と指摘されるのが、全米の多くの街が車社会なのに対して、ニューヨークでは人々が街を歩き、 地下鉄の階段を上り下りする習慣があるため。 しかも時間に追われるニューヨーカーは、その歩行速度についても全米でNo.1の速さ。 早く歩くことは、それだけ運動量が増えるとあって、もちろんこれも健康に好影響を及ぼしているのだった。


加えて、ニューヨークは1日24時間、何時でもヘルシーな食事に簡単にアクセスできる環境。 今では、レストラン・チェーンのメニューに カロリー表示が義務付けられている上に、 一流レストランにしても、必ず数品のヘルシー・ディッシュ、すなわち低カロリー、低脂肪、低塩分の料理のオプションを 設ける傾向にあり、外食をしてもダイエットが続け易い環境になっているのだった。
さらに、ニューヨークはジムの数が多く、 キャリアや社交の見地からも健康的と言える体重を維持しなければならない強迫観念があるので、 全米平均よりも遥かに肥満人口は少なくなっているのだった。
そして、水のクォリティに恵まれていて、水道水が飲めるのもニューヨークの大きな魅力。 従ってペットボトルの水に大金を支払う事無く、水を沢山飲む習慣を続けられるようになっていること。 反面、タバコには重税が課せられており、それが功を奏して喫煙者が16%にまで減少したことも、 ニューヨークをヘルシーにしていると指摘されるのだった。


ここまで書くと、ニューヨーカーはかなりヘルシーという印象が出てくるけれど、 ネガティブな要因も多々あって、例えば、2009年の調査によれば、ニューヨーカーの幸福度は全米で最低のランキング。 それだけでなく、アメリカン・サイコロジカル・アソシエーションによれば、全米で最もストレスが溜まっているのがニューヨーカー。
それを反映してか、ニューヨーカーはアルコールの摂取量が多く、成人人口の4.2%が1オケージョンに4〜5杯のドリンクを飲むという。
その一方で、 たとえ喫煙者が16%に減っても、セカンドハンド・スモークの被害は高まっていて、 ニコチン&タバコ・リサーチの調べによれば、タバコを吸わないニューヨーカーの血液中の コチニン(タバコの煙に含まれるニコチンを吸い込むことによって、体内で作られる化学物質)の量は56.7%。 全米平均の44.9%に対して 非常に高くなっていることが伝えられているのだった。
でもニューヨーカーの不健康なライフスタイルの極めつけは、何と言っても十分な睡眠を取っていないこと。 ニューヨーカーの約半分が睡眠不足と答えており、スリープ・エイド(入眠剤)を摂取している人々が多いのも、 健康の見地からは好ましいとは言えないこと。
ついでに言うならば、ニューヨーカーのカジュアル・セックスも健康には悪影響を及ぼしており、 2008年の調べによれば、成人人口の4分の1がヘルペスに感染していることが明らかになっているのだった。

睡眠については、私も典型的なニューヨーカーで、毎年のように ニュー・イヤー・レゾルーションで 「今年こそ良く眠る」を目標に 掲げながらも、決して実行出来ていないタイプ。
睡眠不足は、ストレスの原因、日常生活の効率低下、そして引いては体重増加やエイジング・プロセスを早めるなど。 喫煙同様に 「百害あって一利無し」のもの。それが分かっていて実行出来ないのは、時間の配分が下手なライフスタイルをしているのだそうで、 それは私も十分に反省しているのだった。

ところで全米平均で最も低かったニューヨーカーの幸福度であるけれど、 ”幸せな人生”を時間配分にすると、1日最低6時間15分の睡眠、7時間15分の労働時間、 20分の通勤時間、約4時間の恋人、伴侶と過ごす時間。週1回の友人との外食やドリンク、 週5回の自宅での手料理、週4杯のアルコール、週4回のエクササイズ、週3本の好きなTV番組を観ること、月4回のショッピング、年2回の海外旅行 という結果になるという。

その一方で、全米で最もストレスフルと言われたニューヨーカーであるけれど、 半分の成人にとって、ストレスは仕事から来るもの。夫婦や恋人関係から来ると答えたのは40%。
そんなストレス・レベルを下げるためには、屋外でエクササイズをしたり、ランチをしたり、犬の散歩をするなど、 アウトドアで過ごす時間を取り入れることが挙げられているのだった。

でも75%の人々が幸福の鍵を握っているのは、「家族や友達と過ごす時間」 と答えているとのことで、 これは幸福だけではなく、精神的、肉体的健康の鍵とも言えるもの。
結局のところ、たとえ何処に暮らしていようと、家族、伴侶、恋人、友人に恵まれることが 健康と幸せに恵まれる秘訣 と言えるのである。





執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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