Dec. 31 〜 Jan. 6, 2013

” New Year Cleansing ”

今年もタイムズ・スクエアのカウントダウンで新年を迎えたニューヨークであるけれど、 そのカウント・ダウン直前に とりあえず免れたのが、 年末から散々言われてきた”フィスカル・クリフ”。
オバマ大統領が掲げた通り、高額所得者に対する増税は実現したものの、ナスカー、ディズニー、ゴールドマン・サックスといった 大手企業が多額のタックス・クレジットを受取る法案が優先的に可決されたために、実際には 高額所得者の増税分が 高額所得者に返って行く図式。 ミドル・クラスについては、給与の2%のタックス・ブレークが終了してしまったので、今年初の給与明細を受取れば、 誰もが増税を実感する結末。しかも 税制問題の与野党攻防はこれで終わった訳ではなく、 まだまだ続くのが実情なのだった。

というのも、現在のアメリカ財政がおかれている状況は、税収が2兆4000億ドルなのに対して、出費が3兆8000億ドル。 その差額の1兆4000億ドルを埋め合わせるために、借金を重ねているうちに、それが16兆4312億ドルになってしまった という とんでもないシナリオ。 その利息は1時間に1億7000万ドルというスピードで増え続けているのだった。
このため2011年に、アメリカの国債発行額の引き上げで 政府と議会が散々もめた際に、385億ドル分の予算をカットすることで 何とか合意にこぎつけたけれど、 これは債務に比べれば本当に微々たる金額。10日分の利息にも満たないのだった。

もっと一般人に分かり易いレベルに この数字を落とすと、年収2400万円の家庭が 毎年3800万円の出費を重ね、 足りない1400万円をクレジット・カードで支払っていたら、その利息と毎年の借金が膨れ上がって、負債総額が1億6400万円になってしまったというのが 現在のアメリカ。 2011年に議会が可決した予算カット、すなわち出資減らしに当たる金額は、38万5000円。 1億6400万円の借金を減らすために、出資を38万5000円抑えるだけでは、、言うまでもなく ”焼け石に水”の状態。
このため、今後は高齢者の健康保険であるメディケアや、年金制度であるソーシャル・セキュリティのカットが 予測されているけれど、何がどうなったとしても アメリカ国民にとって良いことでは無いのは明らかなのだった。



さて毎年、このコラムで触れているとおり、新年を迎えるとアメリカのメディアが一斉に特集を組むのが "New Year Resolution / ニューイヤー・レゾルーション(新年の決心)”。 毎年、同じようなレゾルーションが並ぶのが常であるけれど、以下が2013年にアメリカ人が挙げたニューイヤー・レゾルーションのトップ10。

1. 健康的な食生活&エクササイズの習慣化
2. アルコールの量を減らす
3. 何か新しいことを学ぶ
4. 禁煙 5. 仕事とプライベートのバランスを保つ
6. ボランティアをする
7. お金を貯める / 借金を減らす
8. 部屋やクローゼットをオーガナイズする
9. もっと読書をする
10. 家の中の、”やらなければならない事のリスト”をきちんと終える

例によって、トップになっているのは健康的な食事とエクササイズ。トップ4のうちの3つが 健康と摂生に関するものになっているけれど、私の記憶では「アルコールの量を減らす」が 「禁煙」より 上にランクされたのは初めてのように思うのだった。
加えて、意外に多いのが「部屋やクローゼットのオーガナイズ」を目標とする人。 アメリカには、クロゼット・オーガーナイズの専門業者も数多く存在するけれど、そうしたサービスはどうしても割高。 なので今週のメディアでは、その ”Do It Yourself ヴァージョン” をアドバイスする専門家が登場して、レクチャーをしていたのだった。

「お金を貯める / 借金を減らす」について 専門家がアドバイスしていたのは、 収入が増えなくても、出費を減らすことで お金が貯められるということ。 気をつけなければならないとされているのは、クーポンで余計なショッピングをしてしまうこと。
それ以外で出費減らしの矛先になっていたのは、コーヒーとランチ。アメリカ人が平均的に費やしているコーヒー代は 年間で1092ドル、ランチ代は1924ドル。でもコーヒーを自分で保温カップやボトルに入れて持って行けば、年間150ドル以下。ランチは自分でパックして持って行くと、平均858ドルしか掛らず、 しかもランチがヘルシー志向になるので、体重が落とせるというメリットもあるという。
でも、庶民がコーヒーとランチで節約した金額は、増税分であっさり消えてしまうのも また事実なのだった。

「読書をする」がトップ10に入ったのは、非常に久しぶりのことだけれど、これはEブック普及の影響。 特に、昨年のメガ・ベストセラーでSMプレーをふんだんにフィーチャーした「フィフティ・シェイズ・オブ・グレー」のお蔭で、 ミドル・エイジ以降の女性がタブレットを購入して、Eブックを読むケースが非常に増えたとのこと。 読書が再び現代人の趣味として浮上しているのだった。


ところで、12月半ばから私がずっと感じていたのが、ジムやヨガ・クラスが非常に空いているということ。 年末にブランチをした女友達に尋ねてみると、彼女の自宅ビル内のジムも とても空いたとのことで、 彼女自身、「もう年内はワークアウトはしないで、残された時間に好きなだけ食べて、飲む!」と語っていたのだった。
私の友達のように、新年を迎えた時点で不健康な自分をリセットして、健康的な生活に切り替えようという というアメリカ人は非常に多くて、そういった人々が例年行なってきたのが、1月からジムに通いだすということ。
実際、アメリカ中のジムが、最もメンバーシップの売り上げを伸ばすのが年末から1月。 でもタイム誌のレポートによれば、60%のジムのメンバーシップが未使用で終わる上に、1月に非常に混み合っているジムも、 2月半ばに入る頃には元に戻るとのこと。

それもそのはずで、年末までニューイヤー・レゾルーションを持続できるのは僅か8%の人々。1週間が経過する頃には25%が脱落して、 1ヶ月持続できる人々は64%、それが半年続けられるのは46%と、既に半分以下に落ち込むのだった。
とは言ってもニューイヤー・レゾルーションを定めて、目標にするのはアメリカ人全体の45%。 残りの55%は、「途中でギブアップして、挫折感を味わいたくない」、「どうせ達成できないから、あえてトライしない」、 「年が変わったくらいで、自分は変えられない」といった理由で、ニューイヤー・レゾルーションを持たないと言われているのだった。



でも今年のニューヨークで、例年と少々異なると思ったのは、1月1週目が終わった時点で ジムがそれほど混んでいないこと。 加えてセントラル・パークにしても、 昨年の元旦や、1月1週目週末は、気温が暖かかったこともあって、 ニューイヤー・レゾルーションで走り始めたと思しきランナーが大勢見られたのだった。
でも今年に関しては、気温が低めなせいもあって ランナーの数は日頃と全く変わらない印象なのだった。

その替わりに 混み合っているといわれるのが、ジュース・バー。 ジュース・クレンズのプログラムの売り上げは、ここ2年ほどで20%もアップしていることが伝えられるほど。
写真上右、ニューヨーク・ポスト紙の記事によれば、年末にパーティー三昧だったニューヨーカーがこぞって 年明けと共に、ジュース・クレンズを始めているとのことで、 特にそれを顕著に行なっているのがファイナンス、ファッション、PR業界などで働く人々。 ビジネスで成功を収めているアグレッシブなタイプほど、競争心を燃やしてクレンジングに取り組むとのことなのだった。
記事によればオフィス全体でクレンジングに取り組んでいるPR会社もあるとのことだったけれど、 ダイエティシャンの中には、散々飲んで食べるホリデイ・シーズンを過ごした後、 いきなりエクストリームなクレンジングに取り組む風潮を 危惧する指摘も聞かれているのだった。

かく言う私も、昨日からクレンジングを始めたばかりであるけれど、開始初日にして計画変更を強いられてしまったのだった。
というのも、私は青汁系のジュースが苦手であるため、グリーク(ギリシャ)・ヨーグルトをベースにした プロテイン・シェイクのクレンジングをトライすることにしたのだった。 ところが、このヨーグルト・ベースのシェイクは、私が日頃食べている朝食の2倍のカロリー。 朝食の分を飲み終わると、お腹が重たくて、なかなかランニングに行く気分になれず、走っている最中も満腹感からくる身体の重さと不快感を 味わってしまったのだった。

なので、クレンジングは改めて仕切り直しになってしまったけれど、私がクレンジングを決心したのは、 多くのニューヨーカー同様、ホリデイ・シーズンに飲みすぎたため。
飲み過ぎると、その夜のことを何も覚えていないという人は少なくないけれど、 医学的に立証されているのが、アルコールが記憶力に影響するという事実。 もちろんアルコールの摂取は、適量であれば健康にメリットをもたらすといわれるけれど、 この適量とは、女性ならワイン1杯、男性なら2杯。 それを超えれば、健康に害を及ぼす可能性に加えて、短期的、長期的な記憶力の低下に繋がることが指摘されているのだった。

私がこれを実感したのが元旦の朝。目を覚ました途端、学生時代の友達のことが頭をかすめて、それと同時に母校の校歌の断片が頭をよぎったけれど、 どう頑張っても、校歌の歌いだしが思い出せない上に、それ以外の歌詞も部分的にしか出てこなくて、本当に唖然としてしまったのだった。
私にとって 母校の校歌は、中学から大学までの10年に渡って、事あるごとに歌わされてきたもの。これが思い出せないのは、 記憶力が良いことを自負していた私にとって 物凄くショックだったけれど、それより前の小学校の校歌については、最初から最後まで 完璧に 思い出せたのだった。

古い事の方が良く思い出せるのは典型的なアルツハイマーの症状?と嘆かわしく思った私は、あえてグーグルに頼らず、自力で思い出そうと決意。 でも1時間ほど悶々して、埒が明かないので、諦めてセントラル・パークに走りに行ったところ、 何と走って戻ってきたら、忘れていた歌詞が最初から全て思い出せたのだった。
なので、改めて実感することになったのが 「有酸素運動が脳を活性化する」ということ。
いずれにしても、私にとってワインは 飲まなければ 飲まずに居られるものなので、 クレンジングとは別に、 このまま暫くアルコールをカットして、脳をリフレッシュしようというのが 私の新年のプランなのだった。


アメリカでは2013年から、健康保険料の値上がりが見込まれるだけに、これまで以上に大切になってくるのが健康。
医療スペシャリストが薦める健康のポイントは、十分な睡眠、野菜果物中心の食生活+適量のプロテイン(たんぱく質)の摂取、水を沢山飲む、 1日30分以上のエクササイズをする、という4点。
ちなみに30分という時間は、エクササイズにおいてはマジック・ナンバーのようで、 体内のミトコンドリアのダメージ修復が始まるのが、エクササイズを始めて30分と言われているのだった。 そのミトコンドリアのダメージのスピードが、修復を上回る状態が老化で、それは大体20歳からスタートするもの。
あるフィットネス誌が 1000人のアメリカ人男女を対象に調べた結果によれば、女性がジムで実際にエクササイズをしている時間は平均18分。 これに対して男性は平均30分。
したがって、男性の方が効果的なエクササイズをしていると言うことが出来るのだった。

最後に、オーダーのコメント欄やメールで、お客様や読者の方から 新年のご挨拶を多数頂きました。
この場を借りて、お礼申し上げます。 2013年もCUBE New York をよろしくお願いいたします。





執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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