Jan. 4 〜 Jan. 10 2010




” コーディネート・スポーツの薦め ”


アメリカで 今週金曜に発表されたのが12月の雇用統計であるけれど、それによれば12月にアメリカ国内で新たに失われた仕事の数は 8万5000。失業率は、いまだに10%で ホワイト・ハウスのチーフ・エコノミスト、ローレンス・サマーズが「誰もがリセッションは既に終わったと認識している」と 自信満々にコメントするのとは裏腹に、失業問題が2010年もアメリカ経済に影を落としそうな気配を感じさせていたのだった。
もちろんリセッションの終焉を強く感じさせるセクターも存在しており、小売業は昨年のクリスマス商戦を予想を上回る売り上げでクリア。 また製造業も、その立ち直りが指摘されつつあるのだった。

でも、「リセッション・イズ・オーバー」を最も実感しているのは何と言っても金融業会。 ウォール・ストリートはそのボーナス・シーズンを迎えて、トップ・レベルには10億円単位のボーナスが 支給されるニュースが今日、1月10日付けの ニューヨーク・タイムズ紙に報じられていたのだった。
中でも最高額のボーナスが見込まれるのが、社員1人当たりのアヴェレージで59万5000ドル(約5500万円)を受け取ると報じられているゴールドマン・サックス。 同社は141年の歴史上、最も高い利益を得たのが2009年度であったというけれど、もちろんこの大儲けぶりが 国民の反感を買っているのは言うまでも無いこと。
ゴールドマン・サックスを始めとする、深刻なリセッションを招いた金融機関が国民の税金からのベイルアウトで あっさり立ち直っている一方で、 残りのアメリカ国民は、失業もさることながら、2009年度には個人破産の申請が前年を60%近く上回り、200万人が ローンの支払いの滞りで家を失ったことが伝えられているのだった。
12月の失業者が予想以上に多かったことから、エコノミストは 2010年10月にはアメリカの失業率が10.8%となり、職を探すのを諦めた人、フルタイム勤務が探せなくて パートタイムに甘んじている人々を含めた失業率は17.3%になるであろうと予測。さらに2010年は昨年よりさらに多い、240万人が家を失うであろうという 厳しい先行きを発表しているのだった。

でも昨今のアメリカでは、仕事がある人でも決して幸せではないことが ザ・コンファレンス・ボードの調査によって明らかになっていたりする。 それによれば、昨年2009年に「現在の仕事に満足している」と答えたアメリカ人は45.3%で、調査を開始した1987年の61.1%から大きくダウン。 さらに、仕事の安定性、すなわちレイオフされないで 務められるという安定度については、調査を開始した87年度がピークで59.4%、 それが2009年には47.4%に落ち込んでおり、半分以上のアメリカの就業人口が レイオフを危惧しながら働いていることが数字に現れているのだった。

そんな中、いよいよ州の経済が悪化を極めたのがカリフォルニア。カリフォルニアは国からの80億ドル(約7400億円)の援助を必要としているというけれど、 アメリカ国民のうち、このベイルアウトを支持しているのは僅か27%。55%のアメリカ人は カリフォルニア州が国の援助を受けずに破産を申請すべきだという 意見を持っていることが指摘されているのだった。


でも、今週のアメリカで最も大きく報じられていたのは、クリスマスの日にデトロイト行きのノースウェスト航空253便に爆発物を持ち込んだ ナイジェリアの青年によるテロ未遂事件を受けて、今後アメリカの空港に設置が見込まれるフルボディ・スキャナーに関する報道。
既にこれまでのテロ未遂事件を受けて、飛行機で旅行をする人々は手荷物検査の際に靴を脱ぎ、ウォーター・ボトルや液体の持ち込みを制限されてきたけれど、 今回のテロリストが その下着に爆発物を縫い付けていたことを受けて、導入が急ピッチで進むと言われているのが、 衣類を素通りして、性器を含む身体全身がクッキリと映るボディ・スキャナー。
このボディ・スキャナーを使えば、これまでは金属探知機に引っかからなかったプラスティック・ナイフや、ボックス・カッターなども 画像に映し出されるけれど、宗教上の理由やプラバシーの見地から 裸体のスキャニング・イメージを チェックされることに反対する世論が強いことも指摘されていたのだった。このため、スキャナーのメリットや人体への安全性、 そして、スキャニング・イメージには顔は映らず、”イメージをチェックをする人間は別室に居るため、 本人と裸体のイメージが 照らし合わされることは無い” といったプライバシー保護について、 説明的な報道が行われており、その理解が求められていたのだった。
私は個人的には、人間の手でボディ・チェックをされるよりは ボディ・スキャナーを支持する派で、それというのも数年前、成田空港でいきなり寄って来た 女性職員に「ボディ・チェック」とだけ言われて、胸を含む上半身を触られて、 その後数時間 どうしようもなく不愉快な思いをした経験があるため。 この女性職員は手袋をしてはいたものの、人間には直接肌が触れなくても触られたくない人というのが居る訳で、以来 私は ボディ・チェックを避けるために 飛行機に乗る際は、極力胸の開いた、タイトなシルエットの服を着用するようにしてきたのだった。
なので、私としてはボディのイメージを それ以降一生 会うことが無いセキュリティ職員に見られる方が、 手袋をした職員に触られるより ずっと無害なことに感じられるのだった。


話は変わって、昨今のニューヨークは秋までの暖かさがウソのように寒いけれど、そんな中で混みあっているのがジム。 もっともこれは毎年のことで、例年、1月はホリデイ・シーズンに食べたり、飲んだりして増えた体重を落とそうと、 アメリカ人が最も熱心にジムに通う時期なのである。
1月に次いでジムが混み合うのがビーチに出掛ける季節を控えた5月〜6月と言われているけれど、 こうした時期にジムにやってくるアメリカ人というのは、エクササイズの健康的なメリットよりも むしろ外観の体型を気にして ワークアウトをしている人々。
そんな中、1月5日付けのウォールストリート・ジャーナルで特集されたのが、 エクササイズをすることによる健康面でのベネフィット(利点)について。 この記事によれば、コンスタントにエクササイズをしている人は、心筋梗塞になるリスクが27%、糖尿病になるリスクが50%、乳ガンになるリスクが50%、 直腸ガンになる可能性が60%、アルツハイマーになる確率が40%それぞれダウンすると言われている上に、エクササイズにはエイジングを遅らせる効果があり、 しかも免疫力が高まるので、風邪を引きにくく、病気になり難い体質になるという。
この記事によればエクササイズの健康面での恩恵を最も受けるのは40歳以上。 40歳以上でエクササイズしている人と していない人では、健康のレベルが 20代、30代で比較する以上に 大きく異なるという。
通常の成人が健康とウェイトを保つために必要なワークアウトの量は 1週間に2時間半のミッドレベルのエクササイズと、1時間半のやや激しいワークアウト、 合計4時間。これを数日に分けて行うことだそうで、エクササイズのレベルを上げていくことで、健康面のメリットはさらに高まっていくという。

ところで、私がつい最近考えを改めたのがランニングについて。
これまでは走るのが大嫌いなこともあって、ランニングというエクササイズに全くメリットを見出していなかったのだけれど、 テニスを復活させてからというもの、やはり走るという行為が大切になってきたので、最初は1日1マイル(1600メートル)、今では1日2マイルを 週に3回ほど走るようになったのだった。
まだ走り始めてからは5週間ほどしか経っていないけれど、自分で明らかに実感できるのはテニスのフットワークが向上したことに加えて、 カーディオ(心肺機能)効果。 今までは、走ることの上下運動から来るランナーズ・フェイス(頬など顔の皮膚が下がってくること)や身体の歪みを心配していたけれど、 上下動が少ないランニング・フォームで、頬に力を入れたスマイル・フェイスを保って走ると、この2つの問題が起こらないと フィジカル・セラピストにアドバイスされたため、この2点を忠実に実践しながら走っているのだった。
でも、ランニングはやはり中毒性が高く、しかも使う筋肉や関節が限られているので、走り過ぎて怪我の原因になるケースが最も多いエクササイズ。 しかも、走りこめば走りこむほど、ランニング・エフィシェンシーといって 身体が走るという単純な動きに どんどん慣れてくるため、 走り出した当初よりもカロリーを燃やせなくなる体質になるという。逆の見方をすれば、少なめのエネルギー消費で長距離を走れる マラソン・ランナー体質に 近づいていくことになるけれど、ウェイト・コントロールを目的に走っている人にとってはこれは有難くないこと。
なので、サイクリング、水泳など、他のスポーツとミックスしてランニングをした方が、身体に安全な上に、カロリーを燃やす効果も高いことが専門家からも指摘されているのだった。


さて、私は2008年の秋に ドリンキング・パーティー(要するに飲み会)と ピンポン・トーナメントを兼ねたイベントに毎週末通っていたことをこのコラムでも書いたことがあるけれど、 その時に実感したのが、コーディネート・スポーツの重要性。
私は、30代に突入してからというものずっとジムに通い続けてきたけれど、ワークアウトはきちんとしていても、やっていなかったのが コーディネート・スポーツ。コーディネート・スポーツとは ピンポン、テニス、バスケット・ボール、サッカー、フェンシングなど、 相手やボールの動きに合わせて反射神経やコーディネート能力を使うスポーツ。 したがってランニング、ゴルフ、水泳、エアロビクス、ヨガなどは、コーディネート・スポーツとは見なされないカテゴリーである。

2008年秋のピンポン・トーナメントでは、皆ワインやビールで酔っ払っているので、簡単なボールも打ち返せなかったりするのが 逆に面白かったけれど、この時に目の当たりにしたのが酔っ払うと本当に反射神経が低下するということで、 酒気帯び運転がいかに危険かを改めて実感してしまったのだった。
それと同時に感じたのが、さほど酔っていない時でも自分の身体が頭で思うように動いていないということ。 ワークアウトをしていて 体力には自信があっただけに、頭で描くように自分が動けないことにジレンマを感じてしまったのだった。 でも毎週末、ピンポン・トーナメントに通ううちに、この問題はどんどん改善されて行って、その結果思ったのが ピンポンのようなコーディネート・スポーツを行うことが身体と脳にとって非常に大切であるということ。

私が昨年からテニスを再び始めた理由の1つも、コーディネート・スポーツをしたいと思ったためだったけれど、 実際コーディネート・スポーツは脳の老化防止に最も効果的と言われるもの。
テニスを例に挙げても、初心者のうちは飛んできたボールを相手のコートに打ち返すだけのスポーツと思ってやっているかもしれないけれど、 ちょっと上達してくれば、フラット、トップ・スピン、スライスの3種類を打ち分けて、ショットに合わせてグリップを握り替えたりする訳で、 それを瞬時に頭で判断して身体で行うことになるのである。 さらに上達してくると、ゲームのストラトジー(戦略)を頭に入れて、プレーするようになるので 私の知る限りテニスが上手い人には馬鹿は存在しないし、頭と身体だけでなく精神力を使うスポーツなので、 テニスには非常に人間性が現れると思うのだった。
ちなみに、私の周囲にはあまりテニスをする人が居ないため テニスに夢中になっているのは私だけかと思いきや、 2009年でアメリカ国内のテニス人口は 何と3000万人に達しており、 アメリカで2番目に人気の高いプレー・スポーツ(観戦スポーツではなく、実際にプレーするスポーツ)になっているのだった。 最も人気が高いプレー・スポーツが何であるかは知らないけれど、アメリカの場合 サッカーでは無いことだけは確かなのである。

いずれにしても、私はもし1週間に3回〜4回エクササイズをしている人が居たとしたら、週に一度はコーディネート・スポーツをミックスすることを 個人的に薦める立場で、テニスでも 何でも一度コーディネート・スポーツにハマってしまうと、 ランニングやウェイト・トレーニングといったその他のエクササイズは、 全てコーディネート・スポーツの上達や向上のためにするようになってしまうのである。





Catch of the Week No. 1 Jan. : 1月 第 1 週


Catch of the Week No. 4 Dec. : 12月 第 4 週


Catch of the Week No. 3 Dec. : 12月 第 3 週


Catch of the Week No. 2 Dec. : 12月 第 2 週


Catch of the Week No. 1 Dec. : 12月 第 1 週





執筆者プロフィール

秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。





© Cube New York Inc. 2009