Dec. 30, 2013 〜 Jan. 5, 2014

” Happiness Within ”




年明けのアメリカは 中西部、北東部を襲った大吹雪と大寒波のニュースで持ち切りになっていたけれど、 いかにアメリカが寒かったといえば、今週末に気温が零度以下となったのは全米50州中25州。 この零度というのは 華氏なので、摂氏ではマイナス17.8度以下を意味するのだった。
それに加えて強風の影響で 実際の体感温度は、それよりも15度前後低いと言われたのが今週のアメリカ。 多くの州が大雪に見舞われていたけれど、その雪よりもメディアがフォーカスしていたのが歴史的な低気温で、 これほどの寒さは20年ぶりとも 30年ぶりとも言われているのだった。
こんな天候なので 空のダイヤは乱れまくっていて 金曜日だけで 2500便のフライトがキャンセル、5100便が遅れるという事態。
ニューヨークでも、今週は写真上のようにクロスカントリー・スキーで通勤する人が見られた他、 ブライアント・パークの噴水が凍りついていたけれど、ニューヨークよりもずっと寒いマサチューセッツ州では、 火事になった家の消化の水が凍り付いて、写真上、下段左のような氷柱だらけの状態になっていたのだった。
ノース・ダコタ州では夜間の気温が摂氏マイナス34.4度まで下がっていたというけれど、 その体感温度は 摂氏マイナス42.8度。 この気温は、地球よりも 太陽から遥かに遠い火星と同じと言われているのだった。


さてアメリカでは、新年から新しい法律が施行されるのが毎年のこと。 2014年の年明け早々、大きな話題を集めていたのは コロラド州で マリファナのレクリエーション使用が合法化されたこと。
アメリカでは、がん患者等による医療目的のマリファナ使用は合法化されている州が少なくないものの、 レクリエーション使用を合法化したのはコロラド州が全米初。
その初日である1月1日には、合法販売のライセンスを取得したストアに大行列が出来ている様子が報じられていたのだった。 そして5時間近く並んだ人々が購入できるマリファナの量は8オンス。 これは、通常の闇市場ならば 25ドル程度で取引されている量。でもコロラド州の場合、 これに25%の税金が加わる上に、 販売店が利益率を高めていることから、8オンスの平均価格が65ドルになっているのだった。
マリファナが購入できるのは21歳以上で、合法とは言え 公の場でのマリファナ喫煙、及び州外への持ち出しは違法。 もちろんマリファナでハイになった状態での車の運転も違法。しかしながらアルコールとは異なり、 マリファナは血液検査をしない限りは その喫煙が立証できないのは問題視されていること。 また、コロラド州と言えばスキー・リゾートのメッカであるけれど、マリファナ喫煙者がスキー場でどう取り締まられるべきかは、 法律のガイドラインが無いために 現地の人々の間では 既に対応に苦慮していることが伝えられているのだった。
コロラド州では 現時点で約30店舗がマリファナを合法的に販売しており、この数は今後増える見込みで、 年間で見込まれるマリファナの売上げは6億ドル(約610億円)。その税収は 7000万ドル(70億円)に達すると言われているのだった。

ニューヨークにおいても、合法化に動き出したのが医療用のメディカル・マリファナの使用。 その一方で ニューヨークの議会では パブリック・スペースでの Eシガレットの喫煙禁止が 12月に可決されたばかり。 法律が施行されるのは2014年春からで、それ以降はタバコの喫煙が禁止されている場所では、Eシガレットの喫煙も禁止されることになっているのだった。



さて新年を迎えたアメリカで必ず取り沙汰されるのが、ニューイヤー・レゾルーション(新年の決心)。
2014年も、人々が掲げていたのは 「健康的な生活をする」、「体重を落とす」といった目標が多く、 1年前の今頃に、ニューヨーカーがこぞって始めていたのがジュースによるデトックス・プログラム。
でも今年はジュース・トレンドが一段落して、サラダが再び”イン” になるという予測が飛び交っていて、 ディナーのメイン・コースとしてのサラダがレストラン・メニューのトレンドになるとも言われているのだった。
かく言う私も 昨年は 高額ブレンダーを購入してグリーン・スムージーを飲み続けていたけれど、 私にとっての2013年は 自分が何をどう食べたら最も健康になれるのかの試行錯誤に終わった年。

年明け早々、健康のために 朝食抜き、3月からは週に2日の断食を始めた私が、 当時悩んでいた皮膚の色素沈着の原因を究明するために受けてみたのが大腸内視鏡検査。 その結果、判明したのが腸の一部が汚れているという問題。 当時のことはこのコラムにも書いたけれど、その再検査に向けて 断食と流動食を12日、ヴィーガンの食生活を21日続けたところ、 生まれて初めて周囲に 「痩せ過ぎ」と言われる体型になり、低体温に悩まされることになったのが4月のこと。
2013年のニューヨークの4月は 春とは思えないほど寒かったので、低体温はとても辛かったけれど、それ以上にエネルギー不足になったのに加えて、 シャンプーやブラッシングをする度に髪の毛が大量に抜けるようになり、 この時点で私は 絶対にヴィーガンやヴェジタリアンにはならないと心に誓ったのだった。

その後も、様々なダイエットやクレンジングに関する本を読んで、それらを実際にトライしてみて 気付いたのは、 新しいダイエット・プログラムを実行する度に、そのダイエットで禁じられている食べ物が無性に食べたくなったり、 食べだすと止まらなくなるという中毒現象が起こるということ。 その結果、複数日分と思って買っておいたカシュー・ナッツ、アーモンド、ゴート・チーズ等を あっと言う間に平らげてしまうという状況を 何度も繰り返したのだった。

2013年の最後にトライしたダイエットは、アメリカの著名な医師によるベスト・セラー本、「Eat To Live」のダイエット。 スタートしたのは10月末頃からで、同ダイエットは1日に最低フルーツ4つ、 レタス等の葉野菜は 無制限に幾らでも食べてOK。それに加えて1日1カップの豆類の摂取が義務付けられているのだった。
そもそも私は野菜と果物が大好きなので、それをお腹一杯食べて良いというダイエットは 簡単なように思えたけれど、逆に固く制限されていたのが 動物性たんぱく質の量。 確かに豆料理を食べると、一時的に食欲が満たされるものの、基本的には野菜や果物だけでは、 食べても食べても さほど満足感が得られないことから、このダイエットを実践している最中は 物凄い量の野菜を食べることになったのだった。

ここまで説明すると、周囲には「体重が増えたでしょ?」と言われるけれど、体重は全く増えなかったのが実情。 でも食後、特に夕食後は妊婦のようにお腹が膨れたのに加えて、同ダイエットを続けるにつれて 顔にアクネが増え始めてしまったのだった。
その肌のコンディションをエステティシャンに相談したところ、指摘されたのが繊維質や消化に悪いものを食べ過ぎているということ。 実際、私が当時食べていたのは 繊維質の多い野菜、果物に加えてナッツ、海藻、ドライ・フルーツ、玄米とどれも消化に悪いものばかり。 妊婦のようにお腹が膨れるのは 消化機能がオーバーロード状態な証拠だと言われ、このダイエットを止めた私が 2週間ほどの間、実践したのが簡単に消化できる果物やパンが中心の食生活。
すると アクネが落ち着いて、お腹が平らになってきただけでなく、そもそもパンが大好きな私は、 久々に毎日の食事が楽しくてたまらない思いを味わったのだった。ところが ホリデー・シーズンに入って この炭水化物中心の食生活に 砂糖とアルコールが加わった途端に増えだしたのが体重。 12月2週目にマイアミから戻って以来、年末までの間に体重が2キロも増えてしまったのだった。
体重というのは、増えたばかりの頃が一番減り易いので、私は 元旦から食べる量を減らすだけのダイエットを始めたけれど、今日1月5日までに 既に1キロ戻したので、あと1キロ戻すのには さほど時間は掛らない予定。
振り返ってみると2013年は、生涯で最も肉と魚を食べる量が少なかった年。 そして、アルコールの摂取量が激減した年と言えるのだった。



こうやって、健康的な食生活を実践して逆に様々な問題で四苦八苦しているのは私だけではないようで、今日、1月5日付けのニューヨーク・タイムズ紙には、 ティーンエイジャーの頃からヴェジタリアンで、グルテン・フリー、GMO(遺伝子組み換え)フリーといった 徹底的に健康的な食生活をしてきたライター、ジェニファー・バーマンが 定期健診で Hypothyroidism / ハイポサイロイディズム(甲状腺機能低下)であると 医師に告げられ、それまで主食にしてきたケール、キャべツ、ブロッコリ、カリフラワー、フラックス・シード、大豆、コーン、桃、イチゴといった食物の摂取を 逆に控えなければならない状態であることを悟ったというエッセイを寄せていたのだった。
甲状腺機能低下の症状は、冷え性、脱毛、虚脱感、体重増加などであるけれど、体重増加を除いては 奇しくも私がヴィーガンを21日続けてた後の状況と全く同じ。 ジェニファー・バーマンが主食にしてきたのは、全て抗がんの効果が高いと言われる食材であるけれど、 がんが防げても、甲状腺に問題を抱えたのでは、家が火事の替わりに 浸水の被害に遭うようなものなのだった。

2013年にいろいろなダイエットの試して悟ったのは、人間の身体はそれぞれで異なるので、誰にでも共通して効き目があるダイエット など存在しないということ。 私の場合、生涯で最も健康的に痩せていた時には1日2時間ワークアウトをして、朝食にベーグルを2つも食べていたこと、 さらに”Eat to Live”のダイエットの後に 炭水化物を食生活に加えた方が 肌と消化機能のコンディションが良くなったことを思うと、 ワークアウトをしている限りは、多くのダイエット本が敵視する炭水化物が それほど自分の身体に悪いとは思えないのだった。 逆に身体に良くても、取りすぎるべきでないことを痛感したのが植物繊維。加えて酒量は減らした方が体重が増えないというのも実感したことなのだった。

2014年は 理想体重を保つ努力はしても、食生活には過敏にならずに過ごそうというのが私が掲げている目標であるけれど、 誰にでも 特にダイエットを心掛けなくても 食欲がコントロール出来て、エクササイズに励むことが出来る時期というのがあるもの。 それは恋をしている時、仕事や趣味で充実した生活を送っている時、ストレスや不満が無い時と言われているのだった。


すなわち、ハッピーで充実している時は 健康的な生活が無理なく送れるということになるけれど、先日発表された調査結果が 毎日、 感謝すべきことを5つ列挙することを習慣付けた子供達が うつ病にならず、満足感や幸福感がアップするだけでなく、 学業の成績まで向上したということ。
逆に 後悔していること、悲しいことを5つ列挙することを習慣つけた子供は、内向的で 悲観的になる傾向が高まり、運動量が減ったというから、 精神状態というのは、健康状態や体型、引いては人生に大きな影響を及ぼすもの。

私は ”感謝すべきことの列挙” を習慣にしたことは無いものの、ランニングをしている最中に エンドーフィンが脳に発せられてナチュラル・ハイな状態になると、 自分の心身の健康をとても有り難く思うと同時に、交友関係に恵まれていること、 自分の好きな仕事をして、大好きなニューヨークに暮らして、セントラル・パークというランニングに最高の環境の中を走れることが 心から幸せに感じられて、自分の人生に満足感を覚えるだけでなく、頭の中がスッキリするのだった。
私がランニングを続けている理由の1つも、そんな爽快感や幸福感が味わえるためであるけれど、. 調査結果によれば、特に走らなくても 感謝すべきことを毎日5つ列挙することによって、同等の効果が得られるようなので、 このことはストレスに悩む友人に薦めている習慣なのだった。

そこで忘れてはならないのは、幸福というのは到達するべきゴールや目標ではなく、心理状態であるということ。
今週のニューヨークは本当に寒くて、厳寒の屋外から暖かい部屋の中に戻ってきただけで 味わったのが幸せな気分。 その小さな幸せは外が寒いからこそ味わえるもの。すなわち幸福というのは、安堵感、満足感、達成感、連帯感など 様々な形で味わえるだけでなく、苦境や悪条件の直ぐ傍にあったりするのだった。
また自分が不幸で恵まれないと思っている限りは決して幸せにはなれないけれど、一度頭を切り替えて自分が幸せだと思えば、 それが幸せというもの。したがって、幸せというのは自分の中から引き出すものとも考えられるのだった。







執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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