Jan. 15 〜 Jan. 21
” Why Smoke? ”
今週月曜は、アメリカの公民権指導者、マーティン・ルーサー・キング・デーということで、
アメリカがフェデラル・ホリデイになっていたけれど、この日の午後から突如、「サスペンド」状態になってしまったのが、
CUBE New Yorkのウェブサイト。
この日は、ホリデイということで会社もクローズしており、こんな事態になっていることに気が付いたのは夜の11時、
サスペンドされてしまってから8時間が経過してからだった。
既にメールをチェックしてみると友人やお客様から、「サイトが見られない」との指摘やお気遣いのメールを頂戴しており、
ホスト・サーバーに慌てて問い合わせたところ、サスペンドの理由として説明されたのが
「CUBEのサイトからSPAMメール(迷惑メール)が1分間に100通以上のペースで送付されていたから」という全く身に覚えがないもの。
最初はハッキングされたのかと思って、コンピューターのスパイ・ウェアをチェックしたり、
サイトにアップしたファイルにウィルスが含まれて居ないかを必死でチェックしていたけれど、全く異常はなく、
結局 判明したのは、SPAMメールが当社サイトから送付されたというのは全くの濡れ衣で、ホスト・サーバー側のミスという結末に終わったのだった。
このため私は月曜の夜中から一睡も出来なかったのに加え、精神的にストレスフルな思いが続いてしまい、サーバー問題がやっと解決して
外出しようとした火曜午後には、頭も身体もきっちり機能せず、メイクのノリまで悪いような体調になってしまったのだった。
この日の私は と言えば、サーバートラブルのことを人に愚痴る時だけは、スイッチが入って元気良く話し出すけれど、
それ以外の時はかなりボーッとした状態で、改めて睡眠の大切さと ストレスが如何に身体に悪いかを思い知る結果になったのだった。
さて、今週アメリカで発表になった健康に関する報道と言えば、今年もガンによる死亡者が減っているというニュース。
これは、ガンが早期発見されるようになり、それと同時に治療薬なども進化しているため。
この発表と共に、アメリカのガン協会では 2007年度のがん患者の統計見積もりを出しているけれど、
今年 新たにガンと診断されるであろう人々の数は、全米で男性が76万6860人、女性が67万8060人。
このうち最も数が多いのは、男性の場合 前立腺がんで全体の29%、女性の場合は乳がんで全体の26%。第2位は男性も女性で肺ガンで、
全体の15%であるという。
これがガンによる死亡者数になると、2007年に見込まれているのは男性が28万9550人、女性が27万100人で、
ここ数年数が減り続けているとはいえ、1日に約1555人がガンで命を落としている計算になるのである。
もっとも死亡者が多いのは男女共に肺ガンで、男性の場合、ガン死亡者全体の31%、女性全体の26%で、
男性でかかる確率が最も多かった 前立腺がんによる死亡者は第2位の9%、女性でかかる確率が最も多かった乳がんも
死亡率では第2位の15%。すなわち これらのガンはかかる確率は高くても、治療によって克服できる可能性も高いという結果が得られているのである。
ことに乳がんについては、一時更年期を迎えた女性の間で ”ホルモン・リプレースメント・セラピー” と称する 女性ホルモンの摂取が
盛んに行われた結果、これが乳がんの原因になることが認識され、近年ではこれが行われなくなったため、
乳がんに掛かる女性の数が激減傾向にあるという明るいニュースが伝えられているのである。
さて ガンによる死因だけでなく、アメリカ人の死因のNo.1にもなっているのが 肺がんであるけれど、肺ガン患者うち 87%が喫煙者。
これが 「喫煙経験者」 となると、その数字は90%を超えるとも言われている。
このため、米国ガン協会は 肺ガン撲滅のためにも、禁煙運動に本腰を入れて久しい状態である。
幸いアメリカでは、フィリップ・モリス等のタバコ会社がティーンエイジャーをターゲットとしたマーケティングや広告戦略を控えるようになり、
過去10年で全米のティーンの喫煙者は約半分に減ったことが伝えられているけれど、それでもアメリカには 現在4500万人の喫煙者がおり、
このうち特に増えているのが、20代、30代の女性喫煙者。この年齢は、出産年齢と重なる上に、
女性はアルコール、タバコに対する抵抗力が男性よりはるかに劣り、中毒や依存症になり易いのはもちろんのこと、
健康を害する危険も高いだけに、アメリカでは若い女性の喫煙傾向に懸念の声が聞かれているのである。
私は 家族に喫煙者が居なかった上に、私自身タバコの匂いが髪の毛に付くのを毛嫌いするような嫌煙家なので
喫煙者の気持ちというのは全く分からない立場で、ガンや心臓病にかかる危険もさることながら、
肌の透明感が失われて、シミやシワが増えるようなこと、骨粗しょう症を若いうちから早めるようなことを、
どうしてお金を払ってまでしたがるのか?、本当に不思議でたまらなかったりする。
でも 私の周囲にいる若い女性の喫煙者に タバコを吸う理由を訊いてみると、
興味深いのは 「止められない」という理由よりも、「何時でも止められるから」という声が多いことである。
すなわち彼女らの多くはヘビー・スモーカーではなく、1日2〜3本を吸う程度。ヘビー・スモーカーの友達と一緒に飲んでいたりすると、
つられて1晩に5本くらい吸ってしまうこともあるというけれど、1日くらいタバコを吸わなくても大丈夫というライト・スモーカーである。
なので、彼女らは「肺ガンになる量やエイジングを進ませるほどの量は吸っていない」という 心の安心のもとに喫煙をしているし、
「人間は何らかの形で身体に悪いことをしているので、喫煙もその1つ」というおおらかな考えを持っている場合が殆どなのである。
私は嫌煙家ではあっても、タバコを吸うのは、他人に迷惑を掛けない限りは 個人の自由だと思っているので、彼女らに口うるさくとやかく言うようなことはしないけれど、
残念ながら 彼女らの言い分というのは、喫煙する側の単なる思い込みに過ぎないことは、様々な研究結果が証明するところである。
ノルウェーで20歳から34歳の男女5万1000人を対象に行った調査によればタバコは1本吸おうが、10本吸おうが、
身体に及ぼす悪影響には大差が無いのだそうで、こうした健康への害悪を取り除くには、完璧に禁煙をする以外に方法は無いという。
そもそもアメリカでは毎年セカンド・ハンド・スモークで3000人が命を落としている訳で、キレイな肺ほど
僅かな喫煙でも害悪が及び易いようになっているのである。
完全に禁煙をした場合、心臓病の将来的リスクが人並みに戻るまでは最低1年掛かり、将来的に心筋梗塞を起こす確率が
人並みに下がるまでには10年を要すると言われているけれど、これもタバコを1日1本でも吸い続けていれば、
リスクが下がることはないという。
さらに喫煙者は、例え年齢が若くてもエイズに感染する確率も高いのだそうで、HIV感染確率はノンスモーカーより50%高くなっているという。
これは喫煙によって肺を始めとする様々な内臓機能に加えて、抵抗力が弱っているためと説明されている。
またHIVとまでいかなくても、喫煙者は風邪も引きやすいのだそうで、高齢者になってくるとこれが命取りになる場合も少なくないという。
加えて1日に10本を越えるスモーカーは、精神的に落ち込み易いという統計も得られているのである。
したがって、「タバコを吸っているけれど心身ともに健康」というのは、喫煙者の思い込みである場合が多く、
こうした人々は一度身体を壊した時に 喫煙が如何に自分の身体を蝕んでいたかを 知らされることになる訳である。
さて、私がどうして こんな喫煙者バッシングのようなことを突然今週のコラムに書いているかと言えば、
私の友人、それも極めてライト・スモーカーの女性が 今、タバコが止められなくて苦しんでいるためである。
彼女がタバコを止めようと思ったのは、将来的に子供を作ろうとしているためで、「出産に相応しい程度に タバコの悪影響が身体から消えるのには
通常3年掛かる」ということを知った友人は、「1〜2年のうちに子供が欲しい」と考えていたために、
慌てて今年の元旦から禁煙を始めたのだった。
ちなみに彼女の喫煙歴は、吸ったり、吸わなかったりで約8年。3年ほど前には、当時のボーイ・フレンドの影響で7ヶ月ほど
タバコを全く吸わなかった時期があったそうで、この時の経験が 「止めたかったら、何時でも止められる」 という変な自信に繋がってしまったという。
ところが、今回禁煙を試みた彼女は1週間で「禁断症状」が出てきたそうで、禁煙のオフィス・ビルから出て、外でタバコを吸っている人たちの
前を通るのが辛くてたまらなくなり、遂に欲望に負けて 1本吸ってしまったら 「涙が出るほど美味しかった」のだそうで、
以来、禁煙に失敗しただけでなく、禁煙前より喫煙量が増えてしまったという。
そんな中、今週 ガン協会が「ガン患者の中で 肺ガンだけが死亡者を増やしている」 ことを発表した際、
「タバコ会社が過去7年の間にニコチンの含有量を11%も増やし、よりタバコの中毒性を高めていた」という事実が併せて報道されており、
これを知った友人は、「 3年前には出来た禁煙が、今は出来なくなった理由はそれに違いない!」と確信したのだという。
でも原因は明らかになったとは言え、本人が思っている以上にニコチン中毒が進んでいるというのは決して明るいニュースとは言えないもの。
そこで、彼女は大の嫌煙家である私にタバコを吸う愚かさを説いて欲しくて 電話を掛けて来ており、
再び 禁煙の決意を固めていたのだった。
ところで、タバコとは異なり、1日グラス1杯程度の摂取が健康と長生きに繋がるといわれるのがワイン。
昨今ではこれまでタバコを栽培してきたノースキャロライナの農家が、タバコからブドウの生産に切り替えて ワイン造りを始めた
ことが報道されていたりする。 タバコとブドウは栽培条件が非常に似ていることから、ノースキャロライナが第2のナパやソノマに
なるのも 夢ではないとも言われているのである。
こうしたニュースは嫌煙家というより、ワイン愛好家として非常に嬉しいものだけれど、
農家の側にしても、人の命が失われているものを栽培するよりも、人の命を永らえるものを栽培する方が
遥かに気分が良いのだという。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に
ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.設立。以来、同社代表を務める。
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