Jan. 14 〜 Jan. 20 2008




”男を下げる女 !? ”




今週のアメリカはシティ・バンク、メリル・リンチといった金融大手が次々とサブプライム問題に絡んだ 業績悪化を発表し、シティ・バンクについては大型のレイオフも見込まれていることから 株が暴落を続け、 1週間に504ポイントを下げるという記録的な下げ幅を見せていたのだった。
これらに加えて、個人消費の伸び悩みや 失業率のアップといったリセッションの到来を 感じさせる状況を受けて、 ブッシュ政権は慌てて1500億ドルにも及ぶ景気のカンフル剤となる政策を打ち出しているけれど、 この中には 政府がタック・スペイヤー(納税者)に小切手を発行し、そのキャッシュ・バックで消費を煽ろうとする政策が含まれている。 でも多くのアメリカ人は政府が支給したキャッシュで買い物をするよりは、クレジットカードやローンの返済に当てるとしており、 果たしてこの政策がどの程度の景気の刺激になるかは微妙なところである。

さてアメリカが経済問題を深刻に捉えた報道をしている最中も、フランスのメディアが引き続き大きく報じていたのが 二コラ・サルコジ大統領(52歳)と元モデルで現在はシンガーのカーラ・ブルーニ(40歳、写真上左側)のロマンスである。
昨年10月に11年続いたセシリア夫人(写真上右側)との結婚生活に終止符を打ったサルコジ大統領であるけれど、 彼がカーラ・ブルー二に出会ったのはその1ヵ月後の11月に行われたディナー・パーティーでのこと。 そしてクリスマスには、既にパリのディズニー・ランドでミッキーのパレードを仲睦まじく眺め、年末には 一緒にエジプトにヴァケーションに出掛けたことは世界中で大きく報じられる通りである。
しかしながら、離婚ではそれほど影響が見られなかった大統領の支持率は カーラ・ブルーニとの交際が報じられてからは 下がり続けており、政策以前に その私生活ぶりから 「大統領を支持しない」、「尊敬しない」 とアンケート調査で答える人々が 軽く過半数を上回る不支持ぶりとなっている。 多くのフランス人は大統領の経済政策が不十分であると感じると同時に、カーラ・ブルーニとのロマンスに時間とエネルギーを取られ過ぎている としてサルコジ氏に批判的であると言われているけれど、 実際「You Tube」には2人の関係や カーラに夢中なサルコジ大統領をジョークのネタにしたビデオの数々がアップされており、 仕事そっちのけで、元モデルのガールフレンドとロマンスを楽しむ大統領に 「Bravo!Sarko!」と 皮肉混じりのコメントが寄せられていたりする。
当のサルコジ大統領は、かつてミッテラン大統領が私生児を隠し続けていたことで非難されたことをほのめかしながら、 「カーラと自分はウソはつかないと決めたんだ。こう決断したことにとても満足している。フランスも変化しているんだ。」 と自分のロマンスに自己陶酔したようなコメントをしてしているという。

さて今や時の人となった お相手のカーラ・ブルーニであるけれど、彼女はトリノ出身のイタリア人で、タイヤ・メーカーの裕福な実業家ファミリーに生まれ、 音楽に携わっていた両親の影響で、ギターやピアノに親しみながら子供時代を過ごしたという。 9歳の時に テロ組織による誘拐を恐れた家族と共にパリに移住した彼女は、英語、フランス語、イタリア語を話し、 19歳で学校を中退してモデルになっている。 90年代のスーパーモデル全盛期にはファッション誌のグラビアや一流デザイナーのランウェイ・ショーに登場。 もちろんリンダ・エヴァンジェリスタ、シンディ・クロフォード、クリスティ・トゥーリントンといった スーパーモデル中のスーパーモデルには及ばない存在ではあったものの、当時のトップ20には選ばれていたモデルであった。 でも彼女を有名にしていたのは もっぱらロマンスのスキャンダルで、エリック・クラプトン、ドナルド・トランプ、そして未だジェリー・ホールと 結婚していた頃のミック・ジャガーなどと浮名を流して ネーム・ヴァリューをアップさせた彼女は ”恋愛のストラトジスト(戦略家)” と として知られていたのだった。
彼女はモデルを引退した2年後の2003年にデビュー・アルバムを発表し、世界中で100万枚以上を売り上げるヒットとなっているけれど、 昨年発表された2作目は、残念ながら不作。
その一方で、モデル時代の彼女が浮名を流すのと同様に知られていたのが、”脱ぎっぷりが良い”ということだったけれど、 サルコジ大統領とのロマンスが浮上してからは、彼女のモデル時代のヘア・ヌードを含めた全裸&トップレス・フォトが インターネット上に溢れている。 いくらフランスが セックスに関してオープンなお国柄でも ファースト・レディになるかもしれない女性のヘア・ヌードがネット上で簡単に閲覧出来るというのは前代未聞の話。 もちろん彼女はポルノ写真 としてポーズした訳ではなく、ファッションのイメージフォト、もしくはフォトグラファーによる アートとしてのヌード撮影に応じていた訳であるけれど、 写真がポルノではなくアートやファッションとしてカテゴライズされるだけに、逆に報道メディアを含めた 多くのサイトがそのヌード写真をためらうことなく掲載しているという皮肉な結果を生んでいたりする。

既にサルコジ大統領とカーラが先週極秘に結婚したという噂が聞かれ、カーラの妊娠も報じられているけれど、 現時点で「カーラ・ブルーニ、ファースト・レディ説」を 最も歓迎しているのはファッション業界で、特に彼女を個人的に知るファッション関係者は、 シャネルのデザイナーのカール・ラガーフェルドも含め、スタイル抜群のカーラがフランスのファースト・レディとして デザイナー・ファッションを身に纏って公のイベントに登場し、 故ダイアナ妃のような存在になってくれることを望んでいるコメントをしている。
アメリカやイギリスのメディアは、セシリア前夫人もかつてモデルであったことや、夫人がサルコジ氏と不倫の末に 結婚に至るという スキャンダラスな結ばれ方をしていることを理由に、 カーラとセシリアが非常に似た存在であるという印象を抱いているようだけれど、そのセシリア前夫人は サルコジ氏の私生活の姿を暴いたバッシングの著書を発売したばかり。
ロレックスの時計を身につけ、オーダーメイドのスーツを着用し、自分のはみ出たお腹の写真をデジタル修正させる サルコジ大統領は、「Bling-Bling president / ブリン・ブリン・プレジデント」、 すなわち派手好きな大統領というイメージがフランス国内だけでなく、欧米でも定着しているだけに、 一部ではカーラもサルコジ大統領にとってはロレックス同様、彼の自尊心を満たす「ブリン・ブリン(アメリカのスラングで、高価な宝石をジャラジャラ付けている様子意味する言葉)」 であるという声も聞かれているけれど、このロマンスがゴシップ誌の売り上げに貢献しても 大統領の支持率には全く貢献していないのは紛れもない事実。
世の中的には、離婚したサルコジ大統領が「あっという間に元スーパーモデルを落とした!」と見る向きが強いようだけれど、 ファッション&メディアの関係者の間では 「カーラがサルコジを落とした」 と見る向きが圧倒的に優勢で、 私も個人的にはこの説の方が正しいと思っていたりする。 ちょっと音程が外れたソフトな歌声とは裏腹に、彼女が パワー・ハングリーな やり手ウーマンであることは ファッション関係者なら誰もが 覚えていること。ニューヨーク・タイムズ紙でも フランスのファッション・エディターの 「カーラーは行動が早い」というコメントや、 「カーラによって エリゼ宮のサロンは ポップ・ミュージック・ルームに変えられてしまった」 とフランスのプレスが語る様子が報じられているけれど、 今回のスキャンダルで支持率と評判を落としているサルコジ氏とは正反対に、カーラ・ブルーニをグーグルする人々、 You Tubeで彼女のビデオをダウンロードする人々は激増しており、世界的な知名度を獲得し、自分のマーケッタビリティを高めたのがカーラ。 「恋愛の情熱は2〜3週間しか続かない」、「複数の夫を持つ結婚が自分には好ましい」とメディアのインタビューで語る彼女だけに、 サルコジ氏との関係がどのくらい続くかは疑問であるけれど、彼女が何時サルコジ氏と別れても、本の出版や広告出演依頼は 山のように寄せられるであろうし、彼女の次のアルバムへの関心が高まるのも明らかな訳で、カーラはこの関係から得られるものは 既に獲得したという印象なのである。


アメリカ国内で サルコジ大統領同様に、新しいガールフレンドと付き合いだした途端に 人気と評価が下落した存在といえば、 NFLのダラス・カウボーイズのクォーターバックで、現在27歳のトニー・ロモ。そしてその新しいガールフレンドとは、シンガー兼 女優の ジェシカ・シンプソンである。
2人は昨年11月のサンクス・ギヴィング・デイにカップルとして家族と共にサンクス・ギヴィング・ディナーを楽しんだことが報じられて以来、 交際が伝えられている。 もともと家族同士が知り合いだったという2人だけれど、トニー・ロモは2006年のサンクス・ギヴィング・デイの ゲームの際、国家斉唱のためにテキサス・スタジアムを訪れた アメリカン・アイドル出身のカントリー・シンガー、キャリー・アンダーウッドと 交際していたことは公の事実。 でも何時の間にか2人の仲が解消され、相手がジェシカ・シンプソンに替わっていたというのが、フットボール・ファンが抱く印象である。
さて2人の交際が報じられて以来、、ジェシカ・シンプソンが初めてテキサス・スタジアムに ピンクのカウボーイズのユニフォーム姿で 観戦に訪れたのは12月16日の対イーグルス戦。(写真上中央)
でもこの日のトニー・ロモは、彼のキャリアで最悪のゲームとも言える惨憺たるプレーぶりで、 チームもカウボーイズの楽勝という大方の予想とは裏腹に10−6 のスコアでイーグルスに敗れてしまったのだった。 このためメディアやファンは「ジェシカ・シンプソンのせいでトニー・ロモは気が散ってプレーが出来なかった」と指摘し、 カウボーイズのスター・プレーヤーであるターレル・オーウェンも 「ジェシカ・シンプソンはテキサス・スタジアムに 来るべきではない」と 公にコメントしていたのだった。

そしてその10日後には、 ジェシカは妹のアシュレー・シンプソンと共に、トニー・ロモが毎週ダラスのラジオ局で担当している トークショーに出演しているけれど、 直後に行われた対ワシントン・レッドスキンズ戦では、イーグルス戦よりも更に悲惨な27-6のスコアで、 カウボーイズが破れてしまい、チームの状態は 彼がジェシカと交際を始める前の快進撃とは かけ離れたものになってしまったのだった。
このため、ジェシカ・シンプソンは一躍、”トニー・ロモ”のバッド・ジンクスとして知れ渡るようになってしまったけれど、 そのジンクス説を更に裏付けることになったのが、先週日曜 1月13日に行われた対ジャイアンツ戦のプレーオフ。 同試合の数日前にゴシップ&スポーツ・メディアを賑わせたのが、大切なプレーオフ戦を控えたトニー・ロモが、 メキシコでジェシカ・シンプソンとヴァケーションを楽しんでいたという報道。 そして案の定、13日の対ジャイアンツ戦では カウボーイズ有利の予想にも関わらず、接戦の末 敗れてしまい、 しかもその負け方も、カウボーイズにとって最後のチャンスのロングパスがインターセプトされるという クォーターバックの彼にとっては非常に後味の悪いものだった。 
この日の試合については、ジェシカは事前に「自宅でTVで観戦して、スタジアムには出掛けない」とコメントし、 カウボーイズ・ファンを安心させていたけれど、そのテキサス・スタジアムに現れたのが ニューヨーク・ジャイアンツに勝利して欲しい ニューヨーク・ポスト紙が送り込んだ ジェシカ・シンプソンのそっくりサン(写真上右側)。 さらにニューヨークのスポーツ・バーで観戦するジャイアンツ・ファンも写真上左側のようなジェシカ・シンプソンのマスクを持って応援していたのだった。
ちなみにジェシカのバッド・ジンクス説が浮上してからは、カウボーイズの対戦チームのファンが ジェシカのお面を持って 応援するのは非常に良く見られる光景。もし2人の交際が来シーズンまで続いていたら、 このお面がテキサス・スタジアムを除く全米のスタジアムの対カウボーイズ戦で販売されるのでは?という冗談交じりの憶測まで飛び交っているほどである。

さて、アメリカでは相手の男性に不運をもたらす女性の象徴とされているのが、故ジョン・レノン夫人であるヨーコ・オノ。 これは未だにビートルズがヨーコ夫人のせいで解散したと信じる人々が多いためで、ジェシカ・シンプソンも トニー・ロモを一躍ダメ男にしてしまったことから「スポーツ界のヨーコ・オノ」などと指摘されているのである。
でもジョン・レノンの場合、ビートルズ解散後に彼が一切音楽活動をしていなかった時期に 投資によって彼の資産を3倍以上に増やしたのがヨーコ夫人であり、ジョン・レノンにとっての 遺作となったダブル・ファンタジーも夫人のサポート無しでは生まれなかったと言われる作品。 なので、メディアが一方的にジャッジするバッド・ジンクスは、実際の関係では必ずしも当たっている訳ではないのである。

占いの世界では、人間は運が悪くなってきている時は、自分にマイナスをもたらす人間に出会うし、 そういう人物が魅力的に思えたり、自分の人生に重要に思えたりするもの。 そうやって運が衰えている時は周囲のアドバイスには耳が傾けられないし、自分を思ってアドバイスしてくれる人に対しても 意固地になって反発し、誤った判断を下しがちである。 こうして負の連鎖が生み出されて人間がどんどん運を落としていく様子は世の中にありがちなシナリオであるけれど、 運勢のバイオリズムが上向きになり始めると、自分を取り巻いていた邪悪な人間関係の魔力から 解き放たれて、そうした人々に抱いていた情熱や信頼も冷め、まともな判断力を取り戻すもの。
なので運が明けてきた時期を離婚や 仕事契約の解消など、悪運時代に下した誤った判断の後始末に 費やす人は少なくないのである。

ところで、カーラ・ブルーニもジェシカ・シンプソンも共に相手の男性の人気や評判を下げる存在になっているけれど、 この2人の違いは、カーラがサルコジ大統領に限らず、恋愛相手の運やコネクションを吸い取って、自分の運を向上させているのに対して、 ジェシカは自分の運もトニー・ロモの運と一緒に転落させているということ。 それが証拠に、トニー・ロモのバッド・ジンクスと言われ始めた直後に封切られた ジェシカの最新の主演映画「ブロンド・アンビション」は、 彼女の地元であるテキサス州の僅か8つの映画館でのみの限定公開となったけれど、 週末3日間の興行売り上げは合計で僅か384ドルという悲惨なもの。 すなわち映画館の中が無人のまま上映された回が何度もあった計算となる訳である。

その一方で、少なくとも表向きには 女性によって運を下げられているように見受けられる男性側というのは、 あまり利口そうなイメージは持たれないもの。 サルコジ大統領にしても、トニー・ロモにしても 人々が批判するのは相手の女性に骨抜きにされて本業がおろそかになっている 印象があるためだけれど、周囲がどう感じていようとも 本人達は 本業そっちのけで打ち込める恋愛相手が現れたことで 幸せを感じているに違いないのである。





Catch of the Week No. 2 Jan. : 1 月 第 2 週


Catch of the Week No. 1 Jan. : 1 月 第 1 週


Catch of the Week No. 5 Dec. : 12 月 第 5 週


Catch of the Week No. 4 Dec. : 12 月 第 4 週






執筆者プロフィール

秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.設立。以来、同社代表を務める。