Jan. 10 〜 Jan. 16 2011

” シングル女性を不幸に導く、不倫のプロセス ”

今週のアメリカでは、引き続き先週末 アリゾナ州トゥーソンで起こった 銃乱射事件が最大の報道になっていたけれど、 日に日に明らかになってきたのが、犯人、ジャレッド・リー・ロフナーの異常性。
でもアメリカ軍はドラッグ常習を理由に彼の入隊を拒否し、彼が通っていた大学も その暴力的発言から ロフナーを退学処分にしておきながら、彼の異常性についてFBIにレポートするといったことは行なっておらず、 ロフナーは銃規制が最も甘いアリゾナ州で、簡単に、しかも合法的に銃を購入して、それを持ち歩いていたのだった。
アリゾナ州は、バックグラウンド・チェック無しに銃が購入出来て、一般市民が弾をこめた銃を 隠し持つことが合法とされている州。事件翌日には銃規制を危惧した人々が、こぞって銃を購入したために、 その売り上げが大幅にアップしたことが伝えられているのだった。
当然のことながら、同事件をきっかけに 銃規制を求める声が一部から浮上したけれど、 それは銃規制に反対する人々によって、 「ロフナーのような精神異常者を 社会的にどう扱うべきか」という問題に摩り替えられてしまった印象。 なので今回の事件は、たとえ誰が何人射殺されたところで、アメリカの銃規制が前に進まないことを 改めて感じさせる結果となっていたのだった。


さて、昨今私の女友達が ブランチやディナーをする度に持ち出してきていたのが、職場に居る既婚男性の話。
彼女はその既婚男性に かなり言い寄られていたそうだけれど、相手が若くてハンサムであるだけに、まんざら嫌ではない 様子を見せていたのだった。
既婚男性は2児の父親ではあるものの、未だ31歳。一方の私の友達は33歳で彼より年上。 男性側は、某有名企業の経営ファミリーの出身で、離婚が許されないカソリック。 私の友達は典型的なミドル・クラスのユダヤ教で、彼が未婚だったとしても、結婚するには宗教が障壁になっていたと思われる関係なのだった。


でも、彼女に会う度に だんだんと彼の話しかしないようになってきた様子は私も、別の友達も気付いていたこと。 その内容も、ニュートラルに状況を説明していた段階から、徐々に 「彼がもし結婚していなかったら、理想の男性なのに・・・」という 恋愛感情を明らかにするものに変わっていって、先週ブランチをした際には 「私達が結婚したら、今の奥さんとの仲より確実に上手く行っていたと思う。 私達には共通点が沢山あるから・・・」 とまで語るようになっていたのだった。

そこでその共通点を尋ねてみると、「We Both Love Movie, We Both Love Sports」 すなわち、私達はお互いに映画とスポーツが好きという 他愛のないもの。 これを聞いた別の友達は 「アメリカ人の95%は映画を観るのが好きだって答えるのよ」 と言っていたけれど、 スポーツについても 彼女と彼が好きなのは全く別のスポーツ。彼女はテニスをするのが好きで、彼はフットボールを観るのが趣味。 彼はテニスなどした事も無いし、彼女はフットボールには全く興味が無いので、普通の人だったら 「私達はスポーツの趣味が合わないのよ」と言うべき状況なのだった。
バリバリのキャリア・ウーマンの彼女がこんな下らない共通点で、相手との相性の良さを 運命付けようとしていた理論には、 一緒に居た友達同様、私もすっかり呆れてしまったのだった。

加えて、彼女は 既婚男性のわき腹にあるタトゥーの話を始めたので、私と友達は 恐らく彼女が 既に彼と関係したんだろうなぁ と思ったし、 彼について語る彼女の態度が、「相手は自分のことが好き」という自信を窺わせるものに変わっていたのだった。
でも彼女が既婚男性との関係を自信を持って語れば語るほど、こちらの嫌な予感は高まるばかりで、 彼女がすっかり相手のペースで不倫をさせられているのが手に取るように感じられるのだった。

私の個人的な分析では、シングル女性をダメにする不倫はガンと同じで、その進行に応じてそれぞれのステージがあるけれど、 それは以下の5段階。


ステージ1では、往々にして熱心に女性に言い寄っていたり、女性の関心を引こうとしているのは男性側。
女性側は「既婚男性がどうして自分に興味を示すのか?」、「どうして自分は既婚男性との間に 明るい恋愛展望が無いと知りつつ惹かれるのか?」、 「既婚男性が自分、もしくは自分との関係に何を求めているのか?」、「彼とデートしてみたらどうなるか?」 といったことを 自問自答、あるいは友人に相談していたりする。
この段階では、女性は既婚男性にそれほど惹かれていない場合が多いので、「相手が結婚していることが足かせになる分、 自分は既婚男性には夢中にならない」 という自信さえ抱いていて、自分が2人の関係のイニシアティブを握っていると考えている。

ステージ2になると、女性側は既婚男性に惹かれ始めていて、デートを楽しむと同時に、不倫という秘密をシェアするプロセスで、相手と 急速に接近しているのを実感するようになる。相手の良いところや自分との相性の良さばかりに考えが及んで、恋愛ムードが盛り上がるのがこの段階。


ステージ3になると、恋愛感情が夢や理想に発展。 お互いシングルなのであれば、結婚や一緒に暮らし始めることを考えるようにになるのがこの時期で、 シングルの場合は 恋愛がヘルシーに発展していることを意味する段階。でも片方が既婚男性の場合、夢や理想を描くのは女性側のみ。 相手が離婚したことを想定して、離婚調停の間は会いにくくなることを心配したり、一緒に暮らしたり、彼と結婚することを考え始め、 相手に子供が居る場合、どうやったら子供が自分になついてくれるかなどに思いを巡らせるのがこの時期。
この段階になると、相手は自分のことが妻よりも好きだという自信に溢れている。
ステージ2からステージ3に移行する段階で、セックスをする関係になっているのが ごくごく一般的なカップルである。

ステージ4になると、既婚男性の方は セックスという目標を遂げて、それまで男性を駆り立てていたハンティング・スピリッツが満たされて来る段階。 この時点で、女性側が 自分とのあり得ない将来展望をオープンに語ったり、離婚を迫るような言動をしてきた場合、当然のことながら 離婚の意志の無い男性側は、そろそろ潮時と判断して女性との関係を終焉に向かわせようとするもの。
一方の女性側は、セックスによって逆に愛情が高まっているのに、相手から同じような盛り上がりが徐々に感じられなくなっていって、 焦りやジレンマを感じるようになる段階。 それが男性への執着に変わっていって、会えない時に相手が何をしているかが非常に気になったり、男性が離婚をちらつかせていた場合は、 本当に彼に離婚の意志があるのかを執拗に問いただしたりするもの。
こんな振る舞いをされた男性側は、女性が重荷以外の何者でもなくなるので、かなり厳しい態度で絶縁するケースもしばしば。

ステージ4で、精神的にズタズタになっても、男性と別れる決心が出来た場合はステージ5が防げるので、ダメージは深くても まだ救われる段階。
往々にして女性の友人達は ステージ3、ステージ4の段階で、 相手を諦めるようにと助言しているもの。 でもそんなアドバイスが耳に入らないほど相手に執着している場合は、自分と相手の関係を批判する友達を避けるようになるので、 その場合、交友関係でも孤立していって、益々相手一筋になって行くのは女性にとって非常に危険なこと。
そんな状態でステージ5に入ると、 女性は仕事に行けなくなったり、既婚男性の自宅に押しかけて行ったり、中には 不眠症やアルコール依存症になったり、最悪の場合、自殺願望さえ出てくるケースも出てくるののだった。

不倫関係が継続する場合は、ステージ3とステージ4を女性が行ったり来たりしている場合で、 男性側には離婚する気は無いものの、浮気を止めると人生の楽しみが無くなるという自己中心的な考えがあるので、 女性が悲観的になると、希望を与えて繋ぎとめてしまうのが、女性をステージ3に押し戻す要因。
遊びと割り切って浮気をしている男性は、ステージ4の執着が高まる前に、 女性と別れようとするもの。 その場合、相手の女性が若く、美人であるほど、体よく追っ払えるというのが一般論である。

私は、日本の某商社で社内の不倫処理をしていた男性と話したことがあったけれど、彼によれば相手の女性が美人な場合は、 女性側にもプライドがあるので、既婚男性を深追いするようなことはなく、処理が至って簡単なのだという。
これに対して相手のルックスが良くない場合は、「厄介なタイプに手を出した」と思うのだそうで、そうしたルックスが良くない女性というのは、 プライドや自己顕示欲が無い上に、「自分なんてどうなっても良い」という自暴自棄な考えを抱いているケースが多く、 「不倫を穏便に処理するのが極めて難しい」 とその男性は語っていたのだった。

同様のことは個人レベルでの不倫処理にも言えることで、相手が美人であれば、 男性側は「君だったら自分よりずっと良い男性がいくらでも言い寄ってくる」 などと言って、相手が自分に固執しないように 追っ払うことが出来るもの。 女性側も美人であれば 本当にそう思っている上に、 プライドがあるので、強がった姿勢を見せざるを得なくなるようなのだった。

私の女友達に話を戻せば、彼女はステージ3の段階であるけれど、相手の男性はもう直ぐ 別のオフィスに移ることになっていて、 彼女がそれを知ったのは つい最近のこと。 彼女はそのことについて、「私に相談しないで勝手に決めて、事後報告だけしてきた」と 気に入らない素振りを見せていたけれど、 既婚男性が彼女に自分のキャリアについて相談する必要が無いのは誰の目から見ても明らかなこと。
そうした筋が通らないストーリーを 当たり前のように話すことからも、彼女の思考力が衰えていることが感じられるけれど、 そんな状態で、彼が別のオフィスに移って、毎日会わなくなった場合、彼女の相手に対するオブセッション(強迫観念、固執)が高まっていくのは 目に見えているのだった。
なので、私と友達は 彼女のことを心配していたけれど、本人にはそんなアドバイスは一切 耳に入らないようなのだった。

私がいつも思うのは、女性の人生の鍵を握る大切な要素は、美しさでも、頭脳のレベルでもなくて、 理性的な恋愛が出来るかということ。美人でスタイルも良く、頭脳明晰な女性でも、間違った相手を熱愛して 人生を台無しにしている例は非常に多いのである。
そういう間違った恋愛をしていると、女性はどんどん輝きを失っていくし、まともな判断力まで失っていくので、 せっかくの美貌や頭脳まで損なわれていくもの。
私の意見では 不倫や、喫煙、ドラッグなど人生のためにならないものには、関わらないのが一番。 一度始めてから止めようとするのは、至難の業であるけれど、関わらずにいるのはさほど難しくないだけでなく、 そうしたものに関わることが 如何に人生の無駄かが、 傍から見ていて良く分かるのである。





執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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