Jan. 22 〜 Jan. 28
” Are You Superstitious ? ”
当初、暖冬だと思われていた今年のニューヨークであるけれど、今週は 顔などの露出している肌が痛みを感じるほどの寒さで、
最も寒かった金曜は昼間でもマイナス10度以下。アイポッドやブラック・ベリー(携帯端末機)も寒さで動かなくなるほどだったのである。
そんな寒さの中、久々に会った友人が ショックを受けていたのが 彼女の ”ラッキー・マフラー”を
失くしてしまったということ。何でもそのマフラーは、以前のボーイフレンドがロンドンから買って来てくれたカシミアのもので、
初めてそれを首に巻いて出掛けた日に 彼女は以前から望んでいた職場への転職が決まり、
知人宅に置き忘れたマフラーを取りに行って 現在のボーイフレンドに出会い、彼との最初のデートの時にもつけていたのだそうで、
ガッカリする彼女に今週の猛烈な寒さが さらに追い討ちを掛けているような状態っだったのである。
そこで私が思い出したのが、先週のニューヨーク・タイムズのサイエンス・セクションに掲載されていた「Do You Bilieve in Magic?」
という記事。
この記事では、人々がそれぞれにラッキー・ナンバーやラッキー・カラー、スポーツ観戦の際に着ると必ず応援するチームが勝利するラッキー・ユニフォーム等、
何らかのラッキー・チャームを持っていたり、特定のことを特定の順番や特定の日や時間に行う ”ラッキー・ルーティーン” を
持っていることについての専門家の分析が書かれていたのである。
日本語で「縁起をかつぐ」と表現されるこうした傾向は、英語では「Superstitious / スーパースティシャス」 と言われ、
スーパースティシャスな人は、ラッキー、アンラッキーなシンボルによって
パワーを得たり、パワーをそがれたり、自分とは無関係で起こっていることにも自分のパワーが及んでいると
思い込む傾向がある反面、自分に起こっていることについても 全く無関係な 他からのパワーによる影響と
考える場合があるという。
パワーを得る例を挙げれば、男性にありがちなのは「ラッキー・タイ」。初めてつけた日に良い事が起こったネクタイは、
”ラッキー・タイ” と見なされて、大切なプレゼンテーションや会議の日に身につけていくようになるし、
それによって良い結果が得られると、自分がどんなに会議やプレゼンテーションのために周到な準備をしていようとも、
上手く行ったのは「ラッキー・タイのお陰」だと考えるようになって、その回を重ねる毎に
「ラッキー・タイ」のパワーはどんどん増していくのである。
これも専門家が分析すれば、「男性がラッキー・タイを身につけることによって、自信と心の安定を得て
本来の能力を発揮するパフォーマンスが出来る」 ということになるけれど、逆に 男性がそのネクタイを旅先に忘れてきてしまったことを
大切な会議の当日に気付いたりすると、そこで男性の精神状態が不安定になって自信が揺らぐだけでなく、
「何か悪いことが起こる前触れでは?」 と余計な気を回すことにより、パワーがそがれてしまうことになるのである。
また、スーパースティシャスな人々は スーパーボウルでも、ワールド・シリーズでも、自分がその日にしたことが
試合結果に影響すると思い込む傾向があって、その結果ワールド・シリーズの間は同じシャツを着て試合を観戦したり、
「スーパーボウル・パーティーではハイネケンのビールしか飲まない」などという行為に出るものである。
スーパースティシャスなのはファンばかりでなく、スポーツ選手にしても車でスタジアムに行く際に、「試合に負けた日の
道は通らない」などと決めているプレーヤーは多かったりする。
また1996年のワールド・シリーズの際、ヤンキーズはスタジアムで この年大流行した「マカレーナ」の禁止令を出したけれど、
これも シーズン中、ヤンキー・スタジアムで「マカレーナ」の曲に合わせてフィールド・クルーや観客が踊るイベントが3試合で行われており、
いずれもヤンキーズが負けていたために 出された禁止令だった。
そうかと思えば、ブードゥー教の人形についてのレクチャーを受けた人は、
その後 頭痛がすると 「誰かが自分のブードゥー人形を作って、頭に針を刺しているのかもしれない」などと考えるようになるのだそうで、
こうしたイマジネーションの方が、理論的な説明や事実に基づいた分析よりも はるかに素早く人々の頭に
浮かぶものだという。
こうした特定の出来事と、全く関係の無い出来事を結びつけて意味合いを持たせる場合、人間は左脳を使っていると言うけれど、
かく言う私もラッキー・ドレス、ラッキー・ネックレスなどがあって、かなりスーパースティシャスな人間である。
では、私がラッキー・ドレスと考えているものが、何故ラッキードレスになったかという経緯を考えてみると、
自分では取り立てて好きな服ではなくても、来ていると周囲が褒めてくれるせいで気分が良いという場合もあるし、
自分が似合うと思うので、着ていて気分が良いという場合もあるけれど、
要するに、英語で言う 「Happy Go Lucky」 というもので、着ていて気分が良いからラッキーな事が起こるというのが
ラッキー・ドレスなのである。
具体的に何がラッキーだったか? というと、ドリンクがタダになったとか、タクシーが直ぐ捕まったとか、
ラッキーの内容は実に他愛の無いことだったりするけれど、小さなラッキーでも それが積み重なって1日がスムースに
過ぎてくれると、それだけで人間というのは幸せに感じられるものなのである。
その私が 持ち物の中で 最もスーパースティシャスに こだわっているものと言えば財布である。
私は、写真左、右上のルイ・ヴィトンの通称 ”三つ折り モノグラム” を大学2年の時から10年以上愛用していて、
この写真を撮るために久々に取り出してみたら、
あまりに黒ずんで、革もバリバリしていたのでビックリしてしまったけれど、とにかくこの財布は 何度失くしても戻ってくるという不思議なもので、
それだけにお役御免になった今も 捨てられずにいる状態なのである。
でも「失くしても、戻ってくる」のが ラッキー・ウォレットか?と言えば そうでもないようで、この財布があまりにボロボロになったために、
グッチのポニー・スキンの財布を購入したところ、途端にビジネスが儲かりだしたのである。
そのグッチの財布は、とにかく持っていると人に褒められる財布で、黒のポニー・スキンにゴールドの金具が付いた大判のもの。
なので、「大きなお財布の方が、大きな額のお金が入ってくる」と言われるのは本当なのかもしれない!と この当時は真剣に思ったのだった。
ところがこのグッチの財布は、2年と持たずにボロボロになってしまったため、「やっぱりヴィトンの方が丈夫!」と思い、再びモノグラムに
買い換えたところ、「何となく自分に馴染まない財布だなぁ・・・」と思っているうちに
生まれて初めてのスリ体験で 私のもとから離れていってしまったのだった。
この財布は よほど私とは 縁が無かったようで、記憶力には自信のある私が、どんなスタイルだったかを全く思い出せない
状態なのである。
初めてスリにあって 思ったのは、自分で 「コレ!」 と思ったお財布を使わないと、財布もお金も自分から離れていってしまうのでは? ということ。
そこで、気に入った財布を見つけるまでは、財布は買わない!と決めて、実験的に使い始めたのが、
以前から 持っていたけれど使わずにいた 写真2段目右側の真っ赤なエルメス。
通常「赤い財布は赤字を意味する」ということで、財布で赤を避ける人は多いけれど、
私の場合、このお財布でお金が出て行くということは無かったと記憶している。
でも、革が上質すぎて、爪が長い私は財布を取り出す度に、革を引っ掻いては キズを付けていたため、
「お財布を使うのに、気も使うのでは疲れてしまう・・・」と考えて、 同じ赤でも 引っ掻きキズが付かないヴィトンのエピのレッドを次に購入したのだった。
すると、財布が小さくなった分、お金の回り方も小さくなった気がしたのと、キズは付かなくても意外に汚れて、黒ずんだ部分が出てきたので、
「買い換えた方が良いかもしれない・・・」と思っていたら、母からの新品お下がりとして転がり込んで来たのが、がま口付きのヴィトン(写真左、左上)。
このお財布は、金運を運んできてくれるもので、考えてみれば 私はいつも方位が良い時に日本に一時帰国しており、
その一時帰国の際に 母から貰ってきた財布であったので、吉方の地磁気も浴びていたはずなのである。
今から振り返ると 「これを使い続けていれば良かったのでは?」 とも考えるけれど、ちょっとヴィトンに飽きていた私は、
友人から 「財布というものは、1〜2年使ったら 買い換えるべきもの」という話を聞いたこともあり、
未だ使える財布を持っていながら 写真一番下のパール色のヴィトンのヴェル二を購入したのだった。
すると、財布そのものは非常に気に入っていたし、人からも凄く褒められたけれど、この財布を使いだしてからというもの、
お金が出て行くこと、それも「消費」より 「損」というものが多く、昨年の秋頃から 段々と財布が持つ金運のパワーを疑い出すことになってしまったのだった。
ふと思い返すと、この財布を購入した時は ヴィトン直営のサイトから取り寄せたのだけれど、
最初に届いたのが間違った商品で、これを返品交換してもらうのに大変な手間が掛かっており、
この段階で既に 「ミソが付いていた」財布だったのである。
こうした財布と経済状態のラッキー&アンラッキーを結びつけて考える人は私だけではないようで、
中には、「大きな金具が付いている財布の方が お金が入ってくる」と スタイルにこだわる人も居れば、
「ディスカウントで買った財布を使い出したら 儲からなくなった」とか、「分割払いで買った財布を使いだした途端に、
分割払いの買い物が増えて 家計が苦しくなったので、財布は一括払いでしか買わない」
などと、買い方にこだわる人も居たりする。
もちろんスーパースティシャスな私とて どの財布を選ぶかが 私の金運やビジネスを100%左右するとは思っていないけれど、
それでも、理屈では説明できない 何らかのコネクションが財布と金運の間に存在しているのは紛れも無い事実で、
それは運の良い日も 悪い日も、毎日使い続けている間に実感してくるもの。
だからこそ最も慎重に、そしてこだわって購入するべきだと考えているのが 財布というものである。
さて、私が 昨年までの金運のアンラッキーを払拭して、今年から使い始めようと思っているお財布は、
既に1月の”金運に恵まれる日” に購入済みで、2月に入って旧暦の正月を迎えたら使い始めようと 楽しみにしているところである。
昨年、散々酷い目にあっている私としては、縁起をかつがざる得ない状況なこともあり、選んだのはグッチ。
そして もし、今回もグッチの財布で金運に恵まれることがあったら、私は もう終生 グッチの財布しか使わないだろう と思う。

執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に
ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.設立。以来、同社代表を務める。
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