Jan. 25 〜 Jan. 31 2016

”The Rich Gets Thinner”
スリムなボディは財力のステータス!
ワークアウト&フィットネスに大金を投じるニューヨーカー


今週のアメリカは大統領予備選挙の皮切りとなるアイオワ・コーカス(党員集会)を控えて、 選挙絡みの報道が盛んに行われていたけれど、そんな中で話題になっていたのが、 バービー・ドールのメークオーバー。
57年前に登場したバービーは、歴史上最高の売上げを誇る人形であるものの、 過去数年は、本来人間の体型としては有り得ないスリムなプロポーションが 少女達を拒食症に追い込むと批判されたり、 ”ブロンド&ホワイトが美しい”という人種的偏見を子供達に植え付けていると指摘されて 売上げを落としていた状況。これを受けて発売元のマテル社は、 2015年からバービーの肌の色に黒人、ヒスパニック、アジア系のトーンに加えて、 カーリー・ヘアを そのヴァラエティとして加えたばかり。
これらに加えて 今週、新たに登場したバービーは、アジア人をモデルにしたような 背が低いタイプ、ヒスパニックや黒人層にありがちなカーヴィーなボディ、 北欧系に多い長身タイプなどが加わっており。 本来の人間のプロポーションに近いバービーになっているのだった。
この人間らしい体型のバービーの開発は、マテル社内でも極秘に進められたもので、 ”Project Dawn / プロジェクト・ドーン”というコードネームで呼ばれていたとのこと。 ドーンとは夜明けという意味で、”21世紀を象徴するバービーの新時代の夜明け”の意味をこめて ネーミングされたことが報じられているのだった。




ビジネスの世界では、火曜日に 2016年第1四半期の業績を発表したアップル社が、 iPhoneのセールスが飽和状態になりつつあることを理由に、第2四半期の業績見込みとして 2003年以来、初の売上低下となる 500億ドル〜530億ドルという数字を打ち出したことから、 同社株価が 5.3%下落。
それとは正反対に、同じ火曜日のわずか1時間の間に 株価が16%アップしたのが ダイエット・ビジネスの大手、 ウェイト・ウォッチャーズ。 ウェイト・ウォッチャーズは、昨年秋に その株式の10%をオプラ・ウィンフリーがキャッシュで買い取ったニュースが報じられた途端に、 株価が20%もアップしたことが大きく報じられたけれど、 今週火曜日の株価のアップも オプラ・ウィンフリーがツイッターで発信したビデオ(写真上左)が要因。
このビデオで オプラが興奮気味に語っていたのが「私はパンが大好きだけれど、そのパンを毎日食べながら 26パウンド(約12キロ)も痩せた!」 というダイエットの成果。 オプラ・ウィンフリーと言えば、自らの長年のトークショーで 様々なダイエットにトライしては 一時的に成功して痩せた後、 再び体重を増やすという ヨーヨー・ダイエットを 繰り返してきた存在。その彼女が 苦も無く 着実に体重を落としているというツイートが、 宣伝効果抜群であることは アメリカ人ならば誰もが熟知していることなのだった。




火曜日のツイートを受けた株価の上昇のお陰で、ウェイト・ウォッチャーズの大口株主、オプラが増やした資産は 1200万ドル(約14.4億円)。 これだけお金を払われたら、誰もが喜んで10キロでも20キロでも減量すると思うけれど、 現在ニューヨークのトレンドはその逆で、「お金をいくらでもかけて理想のボディを手に入れる」、 「理想のボディを実現してくれるジム、もしくはパーソナル・トレーナーにお金をかける」という状況になって久しいのだった。

昨年末に アメリカ人の友人のバースデー・パーティーに出掛けたところ、 そこに来ていたゲストのうちの3人が その友人のフィットネス・インストラクター。 1人目はランニング・コーチで、何と ただ走るだけのことに、ペースやフォームを含めたその日のランニング・プログラムをデザインして、 一緒に走ってくれるインストラクターが居て、 もう1人はボクシングのトレーナー。 もう1人がウェイト・トレーニング&クロス・トレーニングを担当するパーソナル・トレーナーで、 そのうちの1人は、ケーブル局のリアリティTVから出演依頼が来たという人物。 服装や持ち物にもお金が掛かっていて、見るからに高額という感じのビジネス・カードをその場のゲスト達に手渡していたけれど、 彼らは尋ねてもフィーを提示せず、「ニーズに合わせて相談」というのがその答え。 でもその場に居たゲストによれば、1時間で150ドル〜200ドルはチャージしているとのことなのだった。

このパーティーに出かけた頃から、ケーブル局のブラボーでは ニューヨークのフィットネス・インストラクターを描いた リアリティTV、「ワークアウト・ニューヨーク」がスタートしていたので、この番組を観て 誰もが知るようなセレブ・トレーナーでなくても、 結構な金額をチャージしていることを知ったけれど、 そんなトレーナーやワークアウト・クラスに 年間1万ドル(120万円)以上を投じるニューヨーカーが増えていることは、 先日のニューヨーク・ポスト紙でも特集されていたのだった。

ワークアウトの何にそんなにお金が掛かるかと言えば、まずジムのメンバー・シップ、それに加えてパーソナル・トレーナーや、 トレンディなジムのクラス・フィー。 ニューヨークで現在トレンディになっているワークアウト・クラスは、 徐々に人気が低下して来たものの スピニングを一躍大流行させたソウル・サイクル、イケメン・トレーナーによるクロス・トレーニングで 定評があるバリーズ・ブートキャンプ、 心拍数のモニターを付けて行うサーキット・トレーニングででブレーク中のオレンジセオリー・フィットネス、 パーソナル・セッションのみで知られるグラマシー・ピラテスなどで、 多くニューヨーカーが1ヶ月1000ドル以上、1年間に2万〜3万ドル(240〜360万円)を 支払って トレーニングをしているとのことなのだった。



もちろんフィットネスに高額を投じる人というのは、ウェアやシューズにもお金を掛けているのは言うまでもないことで、 そのフィットネス・ワードローブに掛かる費用も年間で5,000〜1万ドル(60〜120万円)。 さらに徹底した人だと、マッサージやフィジカル・セラピーのセッションに加えて、ニュートリシャン(栄養士)が ダイエットのアドバイスや、毎日の食事のケータリングまで担当しているケースも多いのが実情。 したがって、リッチな人々ほど ファースト・フードやジャンク・フードを 口に入れる事も無く、 健康的で引き締まったボディ&ツヤツヤの肌をしているというのが現在のニューヨーク。
一昔前までは、「太っていると自分の身体さえ管理できないと見下される」と言われたニューヨークであるけれど、 貧富の差が開いた今では 「太っていると、自分の身体を管理してくれる人が雇えない程度の経済力」と見なされて しまう傾向にあるのだった。

さて、ここ数年のフィットネス業界では、HIIT(ハイインテンシティ・インターバル・トレーニング)のブームで、 1時間より30分のハードなワークアウトが 忙しいニューヨーカーにもてはやされる傾向にあったけれど、 ある一定期間続けると、段々と効果が感じられなくなってくるのがHIIT。 このため、それに飽きたニューヨーカーが目下取り組み始めているのが90〜100分という 通常の2倍の長さのワークアウト・クラス。燃やせるカロリーが増えるだけでなく、 徐々にぺースを上げながらの長時間のワークアウトの方が、脳にエンドーフィンがリリースされるナチュラル・ハイに 達することが出来るため、達成感が大きく、終わった時にはストレス・フリーになること、 快眠に導いてくれる等のメリットがあることが指摘されているのだった。

2016年のフィットネス・トレンドの目玉は引き続き Barre、Yoga Barreといったバレエ・ベースのフィットネスに加えて、 女性のボクシング・クラスは人気上昇中。男女共にクロス・トレーニング、TRXも根強い人気となっているのだった。 ニューヨークでのこれらのクラスの平均的な相場は、1回30〜35ドル。
実は私自身も、こうしたクラスを時々取っているけれど、その理由は同じワークアウトばかりしていると、 身体がその動きに慣れてしまって省エネ・モードになるので、段々そのワークアウトでカロリーが燃やせなくなってしまうため。 なので、定期的に身体に違う動きをさせたり、日頃使わない筋肉を使うために いろいろなクラスを取るようにしているけれど、 エクササイズ・クラスというのは 新しい人と知り合う良いチャンス。
特に友達にならなくても、その場の会話で 他のジムの面白いクラスやダイエットの情報を得ることが多いけれど、 やはり高額で、有名なジムやスタジオの方が客層が良いのは紛れも無い事実なのだった。

Will New York 宿泊施設滞在



執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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