Jan. 30 〜 Feb. 5, 2012

” When Your Old Friend Reaches Our To You On Facebook... ”

今日、2月5日はスーパーボウルが行なわれたスーパー・サンデー。
アメリカでは、サンクス・ギヴィング・デイに次いで食べ物の消費量が多いと言われる日。 今や、フットボールはベースボールやバスケット・ボールに遥かに水を開けて、アメリカで最も人気の観戦スポーツになっているけれど、 フットボール観戦に付き物のフードといえば、チキン・ウィング、ピザ、トルティア・チップス&ディップなど。
中でもチキン・ウィングについては、スーパー・サンデーのたった1日だけで、その消費量は12億本と言われ、 これは1列に並べると、地球上を赤道直下で2周するといわれる壮絶な量。
それだけでなく、この日だけで消費されるポテトチップスは5,080トン、ポップコーンは1,724トン、ナッツは1,134トン。 その食べ物を流し込むビールの消費量は、ボトルにして13億本。 なので、全米のスーパーマーケットがスーパーボウルに向けてビールやスナックを大量に仕入れるのは例年のこと。 それもそのはずで、全米で3600万人が何らかの規模のスーパーボウル・パーティーを行なうと言われているのだった。

さらにスーパーボウルは外食産業にも大きなインパクトを与えていて、この日、フードのテイクアウト、もしくはデリバリーで オーダーする人々は4800万人。またスポーツ・バーや ウォッチ・パーティーが行なわれるレストランに出掛ける人々の数は 1200万人。特に今年のニューヨークのように、地元チームがスーパーボウルに出場している場合、 そのビジネスがさらに活況を呈するのは 容易に想像がつくことなのだった。
平均的なアメリカ人男性は、スーパーボウルを観戦しながら1200カロリーを消費すると言われ、 スーパーボウルの翌日は胃薬の売り上げが増えるといわれるほど、胃を酷使してまで 食べまくって、飲みまくるのがスーパー・サンデー。
その胃の痛みのせいか、飲み過ぎの二日酔いのせいかは定かではないものの、スーパーボウルの翌日は、 全米で700万人が病気を理由に仕事を休むことがレポートされているのだった。

第46回目を迎える今年のスーパーボウルは、ニューヨーク・ジャイアンツVS.ニューイングランド・ペイトリオッツという最も視聴率が取れる 顔合わせ。結果は21-17でジャイアンツの勝利に終わっているけれど、今回 見込まれている視聴者数は史上最高の1億7300万人。
放映局のNBCでは、通常の試合では 23台のカメラでゲームを追っているけれど、スーパーボールでは48台のカメラを設置。 その全ての映像を 効果的に使うため、NBCでは今週、会場となったインディアナポリスのルーカス・オイル・スタジアムで 地元のハイスクールのフットボール・チームを ジャイアンツとペイトリオッツに見立てて、シミュレーション・ゲームを行なわせて、全てのカメラ・アングルをチェックするという、 万全を期したリハーサルを行なっていたのだった。

それもそのはずで、NBCがスポンサーにチャージしている広告放映料は、30秒で320万ドル。現在は円高のせいで、日本円に換算すると2億4500万円に なってしまうけれど、アメリカに住む人間の感覚では1ドルの価値は今も約100円なので、3億2000万円を30秒のCM放映に支払っているという 解釈が適切なところ。
ちなみに第1回目のスーパーボウルが行なわれた1967年には、30秒のCM放映料は4万2500ドル(約325万円)。当時はチケットの価格も9ドルで、 しかも完売しなかったことが伝えられているのだった。その45年後の今年のチケット価格は3800ドル(約29万円)。 ダフ屋を通すと、軽く100万円を越す高価格になっているのだった。



当然のことながら、今週はスーパーボウルのニュースに最も報道時間が割かれていたけれど、 それ以外で、大きく報じられていたのは、水曜にフェイスブックが50億ドルの株式公開を正式に発表したというニュース。
1日に4億8300人のユーザーがアクセスしているフェイスブックは、2011年の売り上げが37億ドル(約2832億円)で、その収入の85%が広告によるもの。 同年の利益は10億ドル(約766億円)となっているけれど、フェイスブックの企業価値の要になっているのが、 ユーザーが自ら無料で提供してくれる膨大な量の個人情報。
その個人情報は企業のターゲット・マーケティングの重要な武器になるもので、例えばフェイスブックのステータスが「Engaged/婚約中」のユーザーに対して 旅行会社がハネムーン・パッケージの広告を打てば、無差別に広告を展開するよりもずっと効果が見込まれるもの。 この他、ゲイ男性に対するグルーミング・プロダクトの広告、ヨガをする人へのヨガ・プロダクトやナチュラル・フードの広告など、 フェイスブックが持っている個人情報を使えば、より効果的なマーケティングが可能になるのは明らかな事実なのだった。
では、フェイスブックがメンバーの情報をどの程度持っているかと言えば、オーストリアのザルツブルグの24歳の学生が、 フェイスブックに対して自分自身のファイルの公開をリクエストしたところ、その情報量はなんと1200ページにも上るもの。 中には彼がとっくの昔に消したはず書き込みや写真から、自分では書いていない自分に関する情報、友人からの何年にも渡るメールが含まれていたという。
こうした情報は、広告目的に使われるだけでなく、クレジット・カード会社がカードの限度額や、健康保険の掛け金に影響を与えることが 危惧されており、既にフェイスブックの情報が会社における人事採用に影響を与えているのは周知の事実なのだった。
そんなユーザー1人当たりが、フェイスブックにもたらす企業価値は120ドル(約9186円)。 すなわち、ヘビー・ユーザーでも、月に1回のアクセスでも、フェイスブックに登録をした人々は皆、 世界最年少のビリオネアで、フェイスブックの創設者であるマーク・ザッカーバーグを始めとする フェイスブック・ビリオネア&ミリオネア達に 120ドルをプレゼントしている計算になるのだった。
実際にフェイスブックの株式公開によって、新たに誕生するミリオネアの数は何と1000人。そのうちの150人が2500万ドル(約19億1400万円)以上の 財産を得るという。
マーク・ザッカーバーグが所有する持ち株のバリューは、280億ドル(約2兆1435億円)になるとのことだけれど、 株式公開後も 彼は会社の決定権の57%を握り、役員を任命する権利、後継者を選ぶ権利などを全て手中にしているのだった。
またニューヨーク・ポスト紙が指摘していたのが、グーグルからの移籍組がこの株式公開で、”再び”巨額の財産を築くということ。 現在のフェイスブックのCOO、シェリル・サンドバーグは 2008年にグーグルからフェイスブックに移って来ているけれど、 以来、彼女が有能な人材をグーグルからフェイスブックに数多く引き抜いていることは公然の事実。
そのグーグルからの移籍組は、2004年にグーグルが株式公開をした時点で、既にマルチミリオネアになっている人々。 その彼らが、フェイスブックに移籍した大きな理由の1つが、彼らに与えられる未公開株がやがて 膨大な価値になると見込んでのものと言われているのだった。


ところで、私がこれまで生きてきて学んだことの1つに、世の中には、本人に悪気がある、無いは別として、他人の運を吸い取ったり、他人の運を落とすことによって、 自分にエネルギーと運をもたらして生きている人間が存在するということ。 そういう人間というのは、獲物を嗅ぎ分ける本能に長けている上に、見つけた獲物を魅了する不思議なパワーがあって、 獲物になってしまった人間が、もぬけの殻になるまで運気を吸い取って次のターゲットを探し始める、 もしくは、獲物になった人間が去っていったために、別の標的を狙い始めるのが常。
幸運期を迎えている人というのは、何故かこうした運気を吸い取るヴァンパイアのような人間とはしっくり行かない場合が多いもの。 逆に獲物になってしまう人というのは、自分の運勢が強くない場合が多く、 ヴァンパイアに魅了されてしまったり、知らず知らずのうちに相手の思い通りに 操られてしまうことになるのだった。
もちろん、人間の運が一生悪いというのは、かなり珍しいケースなので、誰でも運が明けて来ると ヴァンパイアの魔力から解き放たれて、相手が自分にとって如何にマイナスな存在であったか、 如何に自分を不幸にしてきたかを悟ると同時に、自分がどうしてそんな人間と親しくし、信頼して、一緒に時間を過ごしてきたかを 振り返って不思議に思ったりするもの。
そのヴァンパイアというのは、友達かもしれないし、ボーイフレンドや夫かも知れないし、ビジネス・パートナーというケースもあるけれど、 往々にして、人というのは運が悪い時にそういったヴァンパイアに出会って、運が明けて来た時点では、ヴァンパイアとの縁を切って、 そのリカバリーに時間やエネルギーを費やすケースが多いのだった。





私がこんなことをフェイスブックの株式公開の話の後に書いているのは、 私の友達の2人が、フェイスブックを通じて再会した昔の友人に、運を吸い取られて惨憺たる状況に陥っているため。 そのうちの1人は、再会した女友達の影響で離婚することになり、もう1人はもっと厄介な状態。
どちらも、最初は何年も会っていなかった高校時代の女友達が、フェイスブックで自分を探してくれたことをとても喜んでいたのだった。 でも、2人が共に考えていなかったのが、何故以前の友達が自分を探す必要があるのか?ということ。

普通に生活をしていたら、忙しくて昔の友人どころか、現在の友達とさえ、 ご無沙汰になってしまうケースが多いものだけれど、恋愛対象でもなかった人間のサーチをするというのは、 何らかの目的があると思って間違いないというのが私の考え。
実際、どちらの場合もフェイスブックを通じてコンタクトしてきた高校時代の友人というのは、 自分がリッチな男性との出会いを求めて、クラブなどに出掛ける際の女友達が必要だったためで、 どうしてその友人達が、今の友達ではなく、高校時代の友達の中から 遊び仲間を探さなければならないかといえば、彼女らにはその時点で仲良くしている女友達が居ないため。

そのうちの1人は、高校を卒業してから、勤めていた仕事をクビになってストリッパーをしていたとのことで、 そのストリップ・バーの常連だった3流ロッカーと結婚していたというけれど、ロッカーの浮気が原因で離婚したばかり。 未だ若いうちに、金融マンなど、収入がある男性を見つけようというのが彼女の意図。
彼女は、ストリッパーをしていただけあって、胸はフェイクであるものの スタイル抜群の北欧系美女。 でもロッカーだった夫の影響で、かなりドラッグに手を染めていたとのことで、「そのせいで 肌の衰えが激しい」と、再会直後に私の友人が語っていたのだった。
さすがに 元ロッカーのワイフ&ストリッパーだけあって、その遊びっぷりはパーティー・アニマルどころではないようで、 彼女の影響を受けた私の友達の生活はメチャクチャ。 元ストリッパー嬢の方は、自分だけしっかり新しいボーイフレンドを見つけたようだけれど、 私の友達は、そのパーティー三昧に巻き込まれたせいで 職場は 首の皮1枚で繋がっているような状態。 それ以外にも健康上の問題を抱えて、昨年末に久々に会った時には、 すっかり魅力が失せて、気の毒なほどなのだった。

私は昨年の春に、 彼女からその高校時代の友達の話を聞いた途端、嫌な予感が走ったけれど、 彼女は全くそういう思いは抱いていなくて、時間が経つにつれて彼女の影響をどんどん受けて、 話の内容が徐々に非現実的になっていったのに加えて、 感情の起伏が激しくなり、会話にトゲが感じられるようになっていったので、私の別の友人で 彼女を知る人物は、 彼女のドラッグ使用を疑っていたほど。
そんな状態なので、まともな友達は皆、彼女と距離を置いてしまい、 彼女は益々 その運気を吸い取るヴァンパイアのような友達と ぴったりくっつくことになってしまっていたのだった。


何度かこのコラムに書いた通り、友達というのは、時に有益であったり、有害であったりするものだけれど、 この2人の友人のケースで 私にとって興味深かったのは、2人とも高校時代にはフェイスブックを通じて再会した女友達と 決して仲が良かった訳ではないということ。
元ストリッパー嬢に再会した私の友達によれば、彼女とストリッパー嬢は高校時代は、 共にルックスが良いこともあり、ライバル関係で 今も2人は時に競争心を露わにすることがあると語っていたのだった。 そんな2人が、フェイスブックで ”フレンド” になった途端に、仲良くしているというのは不思議にさえ思えるけれど、 そういったイルージョンをもたらすのもフェイスブックのパワー。
でも同じフェイスブックのパワーを感じるのでれば、その株式でミリオネアになる方が遥かにベターと言えるのだった。

ところで、木曜のニューヨーク・タイムズ紙の第一面には、数年前フェイスブックの最初の本社オフィスの壁にペイントをしたグラフィティ・アーティストが、 キャッシュの替わりに フェイスブックの株式で フィーを支払われることを選んだことが書かれていたのだった。 そのお陰で彼は、株式公開後には税引き前ながらも、2億ドル(152億円)の資産を得ることになるという。
そう考えると、諺(ことわざ)に「明日の100より今日の50」というのがあるけれど、スタートアップの有望企業を相手にする場合には、 「今日のキャッシュより、明日の未公開株」という方が実りある教訓と言えそうなのである。





執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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