Jan. 27 〜 Feb. 2, 2014

” Super Bowl At Random ”



今週のアメリカでは、火曜日の東部時間午後9時からオバマ大統領の就任以来5回目の施政方針演説が行われていたけれど、 昨今のオバマ大統領の不人気を繁栄して、このスピーチは過去14年で最低の視聴率。
アメリカ人の60%以上が、オバマ政権下で アメリカが誤った方向に向かっているという意見を持っていることが アンケート調査で明らかになっているのだった。
したがって、オバマ氏のスピーチは政治的にインパクトがなかっただけでなく、メディアもお義理程度にしか取り扱っていなかったのが実情で、 その替わりに報道時間が集中していたのが、私がこのコラムを書いている2月2日、日曜に行なわれたスーパーボウル。

事前の予測では、雪が見込まれ 史上最も低気温の中で行われるスーパーボウルになる予定であったけれど、 蓋を開けてみれば、気温はこの季節としては極めて穏やかなもの。 なので、史上最も低気温で行われたスーパーボウルの記録は、引き続き1972年にニューオリンズで開催された第6回目のスーパーボウルで、 その気温は華氏39度、摂氏3.9度となっているのだった。


今週、ニューヨーク・エリアがスーパー・サンデーの天候を逐一危惧していた一方で、 もっと深刻な天候の問題が悪化の一途を辿っていたのがカリフォルニア。 この冬のカリフォルニアは、記録的な干ばつの被害を受けていて、貯水池の水が乾ききって、 地割れをしているような状況(写真上)。
1月に入ってからの降水量はゼロで、山間部の積雪量も例年の12%程度という極めて少ないもの。 その一方で この冬には 406件の山火事が起こっており、 カリフォルニア州の17の居住区では2〜3ヶ月以内に飲料水が不足することが予測されているのだった。
このため多くエリアで 25%の節水に入っていることが伝えられているけれど、 多大な被害を受けているのは農家。 水が十分に供給できなければ、農作物や木々が枯れてしまうのは言うまでもないこと。 このため、地元の農作物の価格が25〜30%の値上がりを見せており、 こんな酷い干ばつは、100年以上起こったことが無いと伝えられているのだった。



さて、スーパーボウルに話を戻せば、スーパー・サンデーはアメリカで最もピザのデリバリーが多い日であり、最もビールの消費量が多い日。 ピザの消費量は、この日だけで12億3000万枚。これが果たして何インチのパイの話をしているのか、はたまたスライスなのかは不明であるけれど、 2014年1月31日の時点でのアメリカの総人口は3億1,757万人。したがって 単純計算をすれば、スーパーサンデーに、アメリカ人1人当たりが 4枚弱のピザを食べている計算になるのだった。

とは言っても、アメリカ人がスーパーボウルを観ながら食べるのはピザだけでなく、 昨今、フットボール観戦のスナックとして最も人気があるのはチキン・ウィング。
このため、今では ピザ・チェーンのデリバリー・メニューに 必ずといって良いほど加わっているのがチキン・ウィングであるけれど、 アメリカにおけるスーパー・サンデー1日の チキン・ウィングの消費量は 12億5000万本。 こちらもアメリカの総人口数で単純計算すると、1人当たり4つを食べる計算になるのだった。
今回のスーパーボウルは、このチキン・ウィングが 誕生して50周年に当たる年。 チキン・ウィング発祥の地は ニューヨークの州のアップステート、バッファローで、別名「バッファロー・ウィング」とも 呼ばれるのは そのため。
90年代からはマクドナルドやKFCといったファースト・フード・チェーンさえもメニューに加えるようになった チキン・ウィングは、ディッピング・ソースにつけて食べるのが通常。 そのソースは ランチ・ドレッシング、 ブルーチーズ・ドレッシング が 最も一般的なもので、アメリカ人の間で人気が高いのは 断然 ランチ・ドレッシングなのだった。


それ以外にスーパーボウルに付き物なのが、ナッチョスやワカモレ&チップス という 高カロリー・スナック。
スーパー・サンデーにアメリカ人が消費するポテト・チップスは560万キロ分、トルティア・チップスは420万キロ分、ポップコーンは190万キロ、 ナッツ類が125万キロで、スナック類だけでも膨大な量となるのだった。

今年、スーパーボウル・パーティーをホストした私の友達は、15人のゲストのために 17インチ(直径約43cm)のピザ4枚、チキン・ウィング80本、 ワカモレ、ハマスを含む4種類のディップと、ヴェジタブル・スティック & チップスを用意。、 それ以外に ゲストがそれぞれ 食べ物とドリンクを持ち寄ったので、とてつもない食べ物の量。

スーパーボウル・パーティーは、キックオフの2時間ほど前から、プレ・ゲーム・ショーを観ながらスタートするのが通常で、 ひとしきり食べ終わってから、キックオフと同時にゲームに集中して、ハーフタイムで再び食べて、 第4クォーターから またゲームに集中して、試合終了と共に、改めて飲み直し、食べ直し というのが ごく一般的なスケジュール。
試合に集中している時に、マインドレス・イーティング状態で、摘み続けるのがチップスやナッツといったスナック類。 ピザやウィング、ホットドッグ等は、試合前後やハーフタイム中に食べるのが普通なのだった。

いずれにしても、約8時間前後に渡って 飲んで、食べ続けることになるのが、スーパーボウル・パーティー。 平均的なアメリカ人は、スーパーボウル・パーティーで1200カロリー、50グラムの脂肪分を摂取すると言われるけれど、 私の印象では、これはかなり低い見積もりのように思えるのだった。



ところで今回のスーパーボウルは、「ニップルゲイト」、「ワードローブ・マルファンクション」として有名になった ハーフタイム・ショーにおけるジャネット・ジャクソンの片胸露出事件(写真上)から10周年に当たるもの。
スーパーボウルを毎年観ている人にとっては 「もうあれから10年?」という印象であるけれど、 2004年に スーパーボウルの試合自体よりも物議と話題を醸したこの事件は、ジャネット・ジャクソンのハーフ・タイム・ショーの 最後の楽曲で、ジャスティン・ティンバーレイクと共演した際に起こったもの。 ジャスティンのヒット曲「ロック・ユア・ボディ」のエンディングで、 ジャネットが着用していたアレクサンダー・マックィーンの コスチュームの胸の部分を ジャスティンが 剥ぎ取った瞬間に、 露出したのが、ニップル・リングをつけたジャネットの右胸。 これが故意のパフォーマンスか、「ワードローブ・マルファンクション」、すなわち衣装の不具合による アクシデントであったかは、当時スーパーボウルが終わって 暫くしてからも 論議を呼んでいたのだった。

この時のスーパーボウルを放映したCBSに対して寄せられた苦情の数は約54万件。 加えてCBSは不適切なコンテンツを放映したことで、約5500万円のペナルティの支払いを命じられ(この罰金は2008年にCBSの抗議が認められて、 裁判所によって取り消されています)、 この時のハーフタイム・ショーをプロデュースしたMTVは、NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)から永久に スーパーボウルのイベントへの関与を禁止されたのだった。
加えて、ハーフ・タイムショーに 5秒のタイム・ラグを設けるルールが生まれたのもこの年、 同様のタイム・ラグはアカデミー賞授賞式にも設けられているけれど、 オスカーの場合は、興奮した受賞者がスピーチで放送禁止用語を口走った際に、放映側がこのタイム・ラグを使って 消音することを可能にしているのだった。
ジャネット・ジャクソンの”ニップルゲート”以降、NFLはハーフタイム・ショーのセンサーに厳しくなって、 その後 2011年にファーギーがブラック・アイド・ピーズのメンバーとしてパフォーマンスをするまで、 ハーフタイム・ショーは、ポール・マッカートニーやローリング・ストーンズ、ブルース・スプリングスティーンといった 男性のベテラン・パフォーマーによって行われてきたのは周知の事実。
ジャネット・ジャクソンのミュージック・キャリアも、この”ニップルゲート”以来、 振るわないものになってしまったけれど、 この事件は、様々な意味でスーパーボウルの歴史上 シンボリックな出来事として捉えられているのだった。


最後に、スーパーボウル1試合で使われるボールの数はといえば、何と120個前後。
試合の実質プレー・タイムは4クォーター合計で60分なので、1分に2回の割合でボールを取り替えている計算になるけれど、 これほどまで沢山のボールを使うのは、スポンサーへのギフトや、プレーヤーがメモラビリアとしてキープするボールを 確保するため。
今年のスーパーボウルは、ワンサイド・ゲームで史上最もつまらない試合になってしまったけれど、 キャンブルが合法化されているネヴァダ州だけで、スーパーボール1試合に投じられてた掛け金は1億ドル(約100億円)以上。
そのネヴァダ州でスポーツ全体に投じられた合法的な掛け金の総額は、2012年の時点で34億ドル(約3400億円)。 これに、違法ギャンブルや オフィス等におけるプライベートなギャンブルを含めると、年間に8000億ドル(約8兆円)以上が動いていると言われるのが スポーツ・ギャンブルの世界。 フットボールが昨今人気を高めているのも、ギャンブルを兼ねてゲームを楽しむ人が多いからと言われているのだった。
そのフットボールは、ラスヴェガスのハイステーク(高額掛け金)・ギャンブルで、シーズン戦全てを予測する賭けに参加した場合、 勝者が得る賞金は、約1億6,000万円。 なので 今やフットボール・ギャンブルは、宝くじより確率が高い 「最後のアメリカン・ドリーム」とさえ言われているのだった。





執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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