Feb. 4 〜 Feb. 10, 2013

” Midlife Crisis? Or... ”

今週金曜日から土曜日にかけて、ニューヨーク、マサチューセッツ州を含む、アメリカ北東部を襲ったのが猛吹雪。
セントラル・パークでも28cmの積雪があったけれど、これがコネチカットの一部のエリアになるとその積雪は約90cm。 ボストンでは、気象観測史上5番目のスノーストームであったものの、1日の降雪量の記録を塗り替えて、24時間に約36cmもの積雪となっていたのだった。
写真上は、左側がブルックリンのプロスペクト・パークの様子、右側は除雪車が猛然と稼動していたタイムズ・スクエアの様子であるけれど、 マンハッタン内は、幸い 大きな被害は無く、除雪作業が着々と進んだお蔭で、土曜日には平常通りの生活が 出来ていたけれど、ニューヨーク郊外や、コネチカット、ニューイングランド地方では、例によって停電の世帯も多く、 車による外出が禁じらているエリアもあったほど。
でも これで安心するのは未だ早くて、既に月曜に到来が見込まれているのが、新たな別のストーム。 ニューヨーク市には雨をもたらすと予測されるこのストームは、積雪の多いエリアでは重たい湿った雪となるため、 雪の重量で屋根が押し潰されないよう、週末の間に建物の除雪を急ぐことが奨励されていたのだった。

今週は、特に大きなニュースが無かっただけに、週明けは先週日曜に行なわれたスーパーボウルの話題一色。
史上初のゲーム中の停電のため、34分間に渡って試合が中断された今回のスーパーボウルであるけれど、 その遅れのせいで、試合結果をチェックしようとチャンネルを合わせた人々が、 そのままゲームを見入った結果、試合後半の視聴率が高かったことが指摘されているのだった。
その視聴者数はアメリカ国内だけで、1億840万人。この数字は昨年のスーパーボウルに次ぐ、アメリカ史上第2番目の高視聴率 となっているのだった。



そんな中、ニューヨークで先週から大きく報じられていたのが、スタッテン・アイランドに住む33歳の女性、 サライ・シエラ(写真上左)が、トルコに1人旅をして行方不明になったというニュース。
夫、スティーブ・シエラ(40歳)との間に 9歳と11歳の息子を持つサライは、写真を趣味にしており、 トルコに撮影旅行に行くのが夢だったとのこと。 そんな彼女が生まれて初めての海外旅行で、トルコのイスタンブールに旅立ったのは1月7日。
とは言っても、当初は1人旅ではなく、女友達と一緒の旅行を計画していたというけれど、その友人が2週間ほど前に 旅行をキャンセルしたため、1人で出掛けることにしたというのが その撮影旅行。 サライは 旅行中、 撮影した写真をインスタグラムでアップし、家族ともEメールやスカイプで コンタクトし続けていたという。
彼女は、1月15日には 一度イスタンブールを出て、 オランダのアムステルダム、ドイツのミューヘンで4日間を過ごし、再びイスタンブールに戻ったのは1月19日。 そして、21日のフライトでアメリカに戻るはずであったけれど、彼女の搭乗記録は無く、 その行方が心配され始めていたのだった。
1月28日には、夫と兄が彼女の捜索のためにイスタンブールに向かい、その後 サライの携帯電話が 何度かアクティベートされたことが伝えられたけれど、2月2日になって、彼女の遺体が古代遺跡の傍で発見されているのだった。

ちなみに、サライの遺体が発見されたエリアでは、2007年にスウェーデンの旅行者が、2010年には日本人女性が、 その場でナイフを突きつけられて、レイプされる事件が起こっていたけれど、 サライの死因は頭部を殴られてのもの。彼女が着用していたボトムが引きちぎられて死体の傍に捨てられていたものの、 性的暴行を受けた形跡は無く、盗まれたのは、彼女が所持していたアイフォンとアンドロイド・フォンのみ。
結婚指輪やイヤリングを含むジュエリーが盗まれていなかったことから、 「物取りの犯行 とは考え難い」というのが、トルコの警察側の見解なのだった。

サライの遺体は、2月6日にアメリカに戻され、経済的に困窮していた家族は、 彼女が撮影した写真をインターネット上で売ることによって、葬儀のための資金を調達したことが 伝えられる一方で、夫のスティーブン(写真下、左下)は 帰国後、自ら2人の息子達に母親の死について 説明したことも報じられているのだった。

同事件が大きな同情を集めていた一方で、多く人々が首を傾げたのが、 旅慣れていた訳でもないサライが、たとえ写真撮影という目的があったとは言え、 トルコという 女性の1人旅には最もリスキーな目的地に旅立ったこと。 しかも、サライにとっての写真はあくまで趣味のレベル。彼女はカメラさえ所有しておらず、 携帯電話をカメラ代わりにして、時折実家に子供を預けて、マンハッタンやブルックリンに撮影に出掛けていたという程度。
そんな彼女の1人旅の謎は、トルコでの捜査が進んで行くにつれて、徐々に解けてくることになったのだった。


捜査が進むと同時に 浮上してきたのが、写真上右のタイラン・K という男性。
イスタンブールに住む彼とサライは、インスタグラムのサイトを通じて知り合い、4ヶ月に渡って、 メールのやり取りを続けており、サライは旅行前に 「トルコに行くので、現地で会いたい」と 彼に連絡をしていたのだった。
タイラン・K は、サライがイスタンブールに到着後に1度会い、その後、 彼女が帰国する前日の夜にバーの バスルームでセックスをしたことを認めているものの、「帰国前に もう一度彼女に 会おうと、コンタクトを試みたけれど、 既に電話が通じなかった」と証言。 警察側は、彼は事件には無関係として、容疑者としては扱っていないのだった。

またサライは、アムステルダム&ミューヘンに滞在中は、アマー・レデュロン(写真上、右下)という別の男性のアパートに滞在。 しかし彼も 「彼女の旅行中の面倒を見ただけ」で、犯行とは無関係と見られているのだった。

サライは、それ以外にも1月11日、21日の2日に渡って、謎の男性と一緒に居るところが目撃されているけれど この男性については 未だ身元が割り出されていない状態。 現地の警察は40人以上から事情聴取を行い、そのうちの22人のDNA鑑定を行なっているものの、 いずも犯行現場のDNAとはマッチしていないという。

現地の警察は、監視カメラが捕えた1月21日のサライの映像で、彼女が持ち歩いていたバッグが犯行現場に残されていなかったことから、 彼女が麻薬取引に関わっていなかったかの可能性を 現在捜査していることも伝えられているのだった。


この事件のメディアの取材に対して、サライを個人的に知る人々が指摘していたのが、 彼女がミッドライフ・クライシスを迎えていたということ。
19歳で結婚し、2年後には妊娠。それ以降ずっと子育てを続けてきた彼女であるけれど、 つい最近、カイロプラクターのオフィスでパートタイムの仕事を見つけるまでは、 数年間、仕事が見つからず、彼女は2005年には個人破産を申請しているのだった。
夫のスティーブはバスの運転手をしているけれど、公共交通機関のバスではなく、 小型サイズのバスで近隣エリアを回る仕事。 したがって夫妻の生活はかなり厳しく、サライの両親も2005年に破産を申請しているのだった。

そんな生活の苦しさや、20代を子育てに費やしたことで、 彼女は33歳にして 早めのミッドライフ・クライシスを迎え、 その結果インターネットを通じた男性との浮気に走ったというのが周囲の見解。
夫も、そんな彼女の動向を察知しており、彼女がトルコに発つ 約10日前には、 インスタグラムを通じて「浮気をするべきじゃない。幸せじゃないなら、別れるべきだ」という メッセージを送付。
サライがトルコに旅立った1月7日には、「カップルが上手くやっていくには、時間が掛るし、忍耐も必要。そして2人が本当に一緒に 居たいと思うことが大切。」というメッセージを、やはりインスタグラムで妻宛てにポストしているのだった。




ミッドライフ・クライシスを迎えると、若い頃にやりたくて出来なかった事を突然始めるケースもあれば、 自分の人生を退屈に感じて、落ち込んだり、エキサイトメントを模索するケースもあるけれど、 若くして結婚した人や、結婚後、長く恋愛による高揚感を忘れて 生きて来た人が走りやすいのが浮気。 とはいってもミッドライフ・クライシスであろうと、なかろうと、 時に軽い気持でしてしまうのも浮気というもの。
そもそも浮気は、自分の生活を スパイスアップさせようというものなので、 浮気をする側は 離婚や再婚など、人生にドラスティックな変化をもたらすことまでは考えていないのが通常。
したがって「一晩」、「その場限り」といった面倒に巻き込まれない関係を望むことから、 アメリカでは最も浮気が起こり易いのは、ビジネス・コンベンションやトレード・ショーなど、 自分の職場以外の 仕事絡みで、2度と会わないような相手と出会うオケージョン と言われているのだった。

その一方で、サライのような若い母親を対象にした浮気の調査によれば、 最も浮気をし易いのは、子供が生まれて5年以内の母親で、女児の母親の方が、男児の母親より 浮気をし易いとのこと。
また、アメリカには”アシュレー・マディソン・ドット・コム” という既婚者のための浮気専門サイトが存在しているけれど、 同サイトにサインアップする女性が最も多いのが、母の日の翌日。 これは母の日がきっかけで 「自分を母親ではなく、女性として扱ってくれる男性に出会いたい」、 「このまま 子育てだけで終わりたくない」 と感じる女性が多いためと分析されているのだった。

浮気をする既婚女性は、全体の20%程度で、これは男性よりは少ない数字。
女性の浮気は 感情が絡むだけに、 セックスだけで済む男性の浮気より 「性質が悪い」 と言われるけれど、実際、伴侶の浮気を知った場合、夫側は浮気した妻に「相手と肉体関係があったか」を問いただすのに対して、 妻側は 「夫が浮気相手を愛していたか」を突き止めようとするという。

そう考えると、サライ・シエラがEメールのやり取りだけで、タイラン・K に会うために 1人でトルコに旅行した状況が理解出来るのに加えて、毎日を退屈に感じたり、 ストレスフルな生活を送っている人が、 現実から逃避させてくれる存在に 思い入れを深くしていくのは、非常にありがちなシナリオなのだった。

インターネット上のリアクションは、タイラン・K がサライとの関係を明らかにして以来、 家族に対する同情の声は引き続き多いものの、サライに対するリアクションは、 かなり厳しいコメントが聞かれるようになっているのが実情。
そもそもアメリカは キリスト教社会なので、不倫とウソには非常に厳しい世界。
タイガー・ウッズ、アーノルド・シュワルツネッガー、昨年末にはCIA長官のデヴィッド・ぺトレイアス等、不倫で身を滅ぼした例は、 数え切れないほどあるだけに、男性でも女性でも、 ミッドライフ・クライシスを迎えた場合、不倫以外の手段でそれを乗り越える方が、その後の人生のダメージが少ないと言えるのだった。

余談ではあるけれど、不倫をした男性は 心臓病で命を縮めるというデータが得られていて、 それは 浮気を隠すための画策のせいでストレスが貯まったり、時間的に無理なスケジュールを強いられるため。 加えて、浮気相手は 往々にして自分より若いため、ヴァイアグラに代表されるED治療薬を摂取したり、 様々な面で相手の若さや体力に合わせようとして、知らず知らずのうちに心臓に負担が掛っているという。

多くの既婚者が、伴侶の浮気に気付くきっかけは、相手が突然楽しそうにしていたり、 身なりに気を遣うようになること。
でも浮気の関係が解消されると、その後は 伴侶に対する有り難味の気持を新たにするためか、夫婦仲が 以前よりも良くなるケースが多いという。





執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


PAGE TOP