Feb. 14 〜 Feb. 20 2011

” The 4-Hour Body?? ”


今週、アメリカで大きく報じられていたのが、3大ネットワークの1つ、CBSの美女レポーター、ラーラ・ローガン(写真左)が、取材に出向いたエジプトのカイロで、 群衆に襲われ、性的暴行を含む暴力を受けていたというニュース。
事件が起こったのは先週金曜で、広場に集まった群衆によってCBSのカメラー・クルーと引き離されたラーラ・ローガンは、 20人のエジプト兵士と、数人のエジプト人女性に救出されるまで30分にも渡る暴行を受け、 重症を追ったことが伝えられているのだった。彼女に襲い掛かったエジプト人達は、口々に「Jew!(ジュー:ユダヤ人を蔑視する言葉)」と彼女をなじっていたというけれど、 当のラーラ・ローガンはユダヤ教徒ではなく、この暴力がアメリカのジャーナリズムに対してのものなのか、彼女をユダヤ教徒と思い込んでのものなのかは不明であるという。
ラーラ・ローガンは、地元の病院のセキュリティが信用できないという理由で、事件の翌日一番の飛行機でアメリカに帰国。 現在は、夫と子供と共に暮らしているワシントンの自宅で療養中とのことで、オバマ大統領もお見舞いの電話を掛けたことが報じられているのだった。
同事件については、ヒラリー・クリントン国務長官も遺憾の意を露わにしていたけれど、インターネット上では 同報道がフェイクだという指摘や、ラーラ・ローガンがイラクの特派員時代に現地で不倫、妊娠をしていた情報などが飛び交っているのもまた事実なのだった。


ところで、私は以前からこのコラムで何度も書いているように、本を読むのがあまり好きではなくて、 滅多に本を読むことはないけれど、それでも話題の書や興味をそそる本が出ると、 内容をチェックする程度の斜め読みをするのは珍しくないのだった。
そんな私が、今年に入って最初に手に取ったのが、ティモシー・フェリス著の「The 4-Hour Body / ザ・フォー・アワー・ボディ」。(写真右)
この本は、サブタイトルが長くて、「An Uncommon Guide to Rapid Fat-Loss, Incredible Sex, and Becoming Superhuman」 すなわち、「早急に脂肪を落とし、最高のセックスをして、スーパーヒューマンになるための常識外れのガイド本」といった意味合い。
「ザ・フォー・アワー・ボディ」は、著者、ティモシー・フェリスが 10年以上の年月を費やし、 自らを実験台に行ったボディに関するトライアルから得られた情報や、スーパー・ヒューマンになるためのサクセス・フォーミュラを纏め上げたユニークな1冊。 彼は医学やダイエットのエキスパートではないものの、第一線で活躍する様々なドクターや専門家から情報をリサーチしており、 ”関連プロダクトを売るため歪んだ専門家アドバイス” などは一切含まれて居ないと言い切る内容。
同書ではダイエット、ボディ・ビルディングに始まり、5キロしか走れなかった人が50キロ走れるようになるトレーニング法、 水中で呼吸を止めて長時間過ごす方法、女性を確実にオーガズムに導くテクニック、短時間で快眠を得る秘訣、怪我からの回復法など、 ボディに関する50以上のトピックがカバーされており、570ページ以上にも及ぶ、電話帳のような厚さに仕上がっているのだった。
そんな幅広いトピックのうち、自分に必要なものだけをトライするように奨励しているのがこの本。 なので、私も自分に不必要なところをバンバン飛ばしながら、斜め読みをしていたのだった。

ティモシー・フェリス(写真左)は、2007年に「The 4-Hour Workweek / ザ・フォー・アワー・ワークウィーク」というベストセラーを出版して、 一躍ミリオネアになった作家兼アントレプレナー。1977年生まれの、今年34歳。
20以上の出版社に断られた「ザ・フォー・アワー・ワークウィーク」は、その名の通り、労働時間を1週間たった4時間にするためのガイド本。 そのサブタイトルは 「Escape 9-5, Live Anywhere (9時〜5時の仕事から逃れて、 何処でも好きな場所に暮らせる)」というもので、現実性が無きにしも非ずの奇抜なアイデアが受けて、多大なパブリシティを獲得。
同書は35カ国語に翻訳されるワールド・ベスト・セラーとなり、以来、 ティモシー・フェリスは 「ライフスタイル・デザイン」をコンセプトに、講演やレクチャーを行っているのだった。

タイトルの「ザ・フォー・アワー・ボディ」は、もちろん「ザ・フォー・アワー・ワークウィーク」と連携したマーケティング目的でつけられたものであるけれど、 背景にあるのは1ヶ月4時間のワークアウトで、スリムな体型が保てるというコンセプト。同書の中では、ジムに行くことなく、 自宅で比較的簡単に出来る30分、週2回のワークアウト(合計月に4時間)で脂肪を効率良く落とす方法が紹介されているのだった。
このことからも分かるとおり、基本的に、ティモシー・フェリスが掲げるコンセプトは 「いかに最小の労力や時間で、最大の効果、 もしくは正攻法と同じ効果を上げることが出来るか」。 したがって、彼がこの書の中で提案しているのは ”目標を達成するための手っ取り早い方法”。
短時間のワークアウトでも週5回のワークアウトと同じ効果を上げる方法、8時間分の睡眠に匹敵する2時間睡眠の取り方、 短期間に劇的に体重と脂肪を落とすダイエットなど、手間ひまを掛けるよりも、身体の機能や働きを知って、 それに最も効率良く働きかける方法を 多岐に渡って取り上げているのが 「ザ・フォー・アワー・ボディ」という本なのだった。
当然、健康的なライフスタイルを身につけたいという人、エクササイズを好んで頻繁に行っている人など、正攻法を実践している人にとっては、 逆にフィットしない部分が 多々あるのも実際のところ。 言うなれば 試験をパスするのに、真面目に勉強するのを奨励するのではなく、バレずに成績を上げるカンニング方法を伝授するのが同書のコンセプトなのだった。

「ザ・フォー・アワー・ボディ」は、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー・リストで既にNo.1 に輝いているけれど、 一般の人のみならず、医学関係者やダイエット・ドクターの間でも大きな話題を集めている本。
でもそのリアクションは、「特に新しいアイデアやセオリーは含まれていない」というものと、 「試してみる価値がある奇抜なアイデアが満載」というものに分かれており、中にはティモシー・フェリスが実験を試みている時期が短すぎる、 「彼自身が自分をスーパー・ヒューマンだと誇示しているような部分が、鼻に付く」といった厳しい批判も聞かれているのだった。
私が斜め読みして感じたのは、同書は健康関連の書籍というよりも、自分自身に様々な肉体的チャレンジを科す著者とそのトライアルの様子を、 ドキュメンタリータッチのハウ・ツー本として書いているということ。 したがって、普通のヘルス&ダイエット本のように、テーマを絞って、そのテーマに興味がある人だけが読めば良い訳ではなく、 興味が無いトピックでも、ティモシー・フェリスがそれに取り組む様子を楽しんで読むべきもの。 でも それを著者のナルシズムだと感じて、批判する読者の気持ちも 分からなくもないように感じられるのだった。

さて、私は最も個人的に興味があるダイエットの部分を集中して読んでいたけれど、以下に紹介するのは 「ザ・フォー・アワー・ボディ」と そのフォローアップ・ブログでティモシー・フェリスが奨励しているダイエット・テクニック。 その中でも、実際にダイエット・ドクター、メディカル・ドクターも、その科学的根拠や効果を認めているもの。
このうちの一部は、私自身も既にトライをしているのだった。


  1. 食後1時間以内の、消化活動が始まる前にスクワットなどの簡単なエクササイズをすること。これによって、身体は食べた物をエネルギーとして燃やそうとするので、 体内に脂肪として蓄積されないようになる。

  2. 起床後30分以内に朝食を取るようにして、毎朝30グラムのたんぱく質(卵5個分、もしくは鶏肉のささみ130g)を摂取するようにする。 こうすることによって、減量がスピードアップすると同時に、午後2時〜3時に襲ってくる眠気や疲れなどを感じなくなる。

  3. 食前にショットグラス一杯程度のグレープフルーツ・ジュースを飲むこと。これによって驚くほど血糖値が安定するので、インシュリンの分泌が抑えられる。

  4. ダイエットの最中は、毎日同じものを 出来るだけ小分けにして食べるのが、効果的かつ、ダイエットに成功し易い方法。

  5. ダイエット期間中は、週に1日の割合で、何を食べても良い日を設けて、ダイエットから精神的なブレークを持つこと。これによって、ダイエットの辛さが緩和され、 食欲のストレスが満たされるので、ダイエットが長続きし、成功する確率が高まる。

  6. ダイエットの際は、フルーツを避け、食事はなるべくゆっくり食べるようにする。

  7. 冷水入浴などで 身体を冷やすと、体温を保つためにカロリーが燃焼されるので、体重が落としやすくなる。


このうち、1と2は既に2週間ほどトライしたけれど、痩せるということは決してなく、2をスタートしてからは 逆に体重が増えてしまったのだった。
私はそもそも、アトキンズ・ダイエットに代表されるたんぱく質中心のダイエットをすると、体重が増える体質。 なので、このトライアルは完全に裏目に出てしまったのだった。 「午後の眠気や疲れを感じない」という点については、 当たっていると思える日が数日続いたけれど、睡眠不足になった途端に、仕事中、コンピューターの前で睡魔に襲われたので、 「十分な睡眠時間を取る」という条件が伴わない限りは、ハズレだと感じたのだった。

ダイエット中は同じものを食べ続けた方が、痩せ易いという点については、以前根菜のスープを飲み続けて痩せたことがある 私としては納得出来るコンセプト。でも「週に1日、ダイエットの休息日を設ける」というのは、 友人が実践した結果、かなり理性が無いと、ダイエットが台無しになるとのことなのだった。
医療関係者に言わせれば、ダイエットを続けていると身体がスターベーション(飢餓)・モードに入ってしまい、 カロリーを燃やしてエネルギーに変えようとするよりは、身体に脂肪として蓄積しようとする結果、体重が減りにくくなるのは、 人間の身体の自然なリアクション。 したがって週に1日、十分な食事を取ることは、身体がスターベーション・モードにならず、新陳代謝のスピードも落ち難いはずと 説明されているのだった。

その一方でダイエット・ドクターが、科学的根拠が無いと批判しているのは、「フルーツを避ける」という部分。 フルーツにはヴィタミンやミネラル、繊維質が豊富に含まれているので、ダイエット中の糖分の補給には適しているというのが一般論。 でもティモシー・ハリスは、フルーツよりも豆類を食べることを奨励していたのだった。

私が自らの実践体験と、同書に書かれたアイデアを実践した人々のレビューを読んで感じたのは、 ティモシー・フェリスが同書で提唱するアイデアは、全くエクササイズやダイエットをしていない人がトライした方が、何らかの効果を得易いということ。 そして、その効果は男性の方が顕著であること。
やはり女性は、生理の前後はどうしても身体が浮腫むなどして、 ダイエットをしているにもかかわらず体重が減らなかったり、逆に体重が増えたりするもの。なので、ティモシー・フェリス自身も同書の中で、「女性は 生理中、生理前の体重を気にしないように」 と警告しているのだった。

ティモシー・フェリス本人は非常にエネルギッシュで、運動神経も良く、同書にフィーチャーされた多岐に渡る肉体的トライアルを 難なくこなす体力と精神力の持ち主。 でもその彼も今年34歳にして、脳天の頭髪はかなり薄めなのだった。
これだけのスーパー・ヒューマンぶりを披露して、ありとあらゆる肉体的な問題やチャレンジに取り組んだ彼でも、 多くの男性が悩む頭髪の問題は避けて通れないというのは、 皮肉のようでもあり、人間味を垣間見せている点とも言えるのだった。





執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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