Feb. 25 〜 Mar. 3, 2013

” Eat Like a Greek & Don't Act Like Anne Hathaway ”

今週アメリカで最大の話題になっていたのは、週末のアメリカの予算強制削減の期限までに、 オバマ大統領と議会が合意に達し、その一律削減が回避できるか? であったけれど、例によって大統領と共和党が多数を占める議会は、一向に歩み寄りを見せず、 アメリカ国民をウンザリさせていたのだった。
この予算カットが実施された場合、国民生活に何が起こるかといえば、 空港のエアトラフィック・コントローラーがカットされる結果、乗客の待ち時間が長くなり、公立学校では教員が解雇され、 ヨセミテ国立公園ではスタッフの数や、そのトレーニングが削られ、 高齢者の健康保険のサポート、医療機関の運営費、国境警備の予算等が削られることから、 様々な機関でレイオフが見込まれているのだった。
特にアメリカ国民のフラストレーションの要因になっていたのは、間際まで問題を放置しただけでなく、 間際になっても一向に解決策を見出そうとしない大統領と議会、双方の姿勢で、 今後も同様の平行線が、様々な局面で見込まれているのだった。



その一方で、今週木曜2月28日で、ローマ法王、ベネディクト16世が退位したけれど、 ローマ法王の退位は過去6世紀以上、例が無かったこともあり、その様子はアメリカでもライブ放映されていたのだった。
法王の退位の理由は、健康上の都合と言われていたものの、ローマ・カソリック教会内部の腐敗、特にゲイ・セックスとマネー・ローンダリングに 関する 極秘の内部調査レポートが イタリアのメディアに漏れたことから、それが法王退位の理由なのでは?という憶測がメディアに広まったのが今週。
同じく今週には、英国スコットランドのカトリック最高位、キース・オブライエン枢機卿が、80年代に4人の青少年を性的に 虐待した容疑で辞任し、週末になってからは 本人がそれを認める発言をして、物議を醸しているのだった。

ビジネスの世界で大きな波紋を広げていたのは、ヤフーの美人CEO、メリッサ・マイヤー(写真上右)が、 社員の自宅勤務を禁じ、「オフィスに出勤して仕事をするように」 という社内通達を行なったというニュース。
これは、社員が実際に顔を合わせて仕事をした方が、生産性がアップすると同時に、イノベーティブな仕事が出来るという理由からだと説明されているのだった。
アメリカでは、企業就労者の25%が 週に最低1日は自宅勤務をしているといわれ、 自宅勤務を認める企業は今は全体の3分の2。この割合は2005年の2倍に当たるという。
したがって、この通達は時代の流れとは逆行するものであるけれど、ハイテク企業の中にはグーグルのように、 ”キャンバス”と呼ばれる企業敷地内に、カフェテリア、ジムはもちろん、保育所、ドライ・クリーニングのサービスなど、 生活のニーズを満たす施設を設けて、社員が毎日出勤する替わりに、敷地内で 全ての生活ニーズが事足りるようにしている企業も多いのだった。
でも、特に子供を持つ母親にとっては、自宅勤務は 家庭とキャリアを両立させるために 非常に大切な労働条件。 また、ガソリン代が値上がりしている昨今では、自宅勤務によって 通勤時間だけでなく、ガソリン代が節約出来るというメリットがあるのだった。
メリッサ・マイヤーのこの通達は、「こともあろうに女性CEOが、育児と仕事を両立させなければならない女性社員の立場を考えない 企業方針を打ち出した」という点で、顰蹙を買っていたけれど、この社内メモを出した直前に彼女は自らのオフィスの隣に 昨年生まれたばかりの自らの子供用の育児室を設置したばかり。 したがって、そんなタイミングもヤフー内部だけでなく、一般の女性達から広く批判を受ける要因になっていたのだった。
でも、この通達は株主には歓迎されて、ヤフーの株価はその翌日に上昇を見せていたことも伝えられているのだった。



今週、ヘルス関係で大きな報道になっていたのは、メディテラニアン(地中海)・ダイエットとも呼ばれる グリーク(ギリシャ)・ダイエットによって、 心臓病が回避できるというニュース。
これは、既に心臓病のリスクを持つ7,447人を対象にスペインで行なわれた実験から得られた結果で、 グリーク・ダイエットを行なった人々は、心筋梗塞、心臓発作を 30%も回避出来ることが明らかになっているのだった。
この実験では、一部の被験者に 低脂肪ダイエットをトライさせているけれど、これをトライした人々は その殆どが我慢できずに挫折したり、ダイエットを続けていると称して、脂分の多いものを食べる傾向にあったという。 これに対して、グリーク・ダイエットを行なった人々は、最初はコンサルテーションが必要であるものの、 一度慣れてくると、無理なく続けることが出来たことが指摘されているのだった。

そもそも、ギリシャを始めとする地中海沿岸諸国は、心臓病の死亡者が少ないことで知られているけれど、 そのダイエットがどんなものかといえば、オリーブ・オイル、ナッツ、魚介類、豆類、野菜、果物を豊富に摂取する 食生活で、以下がそのルール。

実際のところ、グリーク・ダイエットは続けるのは難しくないダイエットであるものの、 きっちりカロリー・コントロールをしない限りは、痩せることは難しいと言われるダイエット。 しかしながら、他のダイエットに比べて安全なだけでなく、心臓病が確実に回避できるダイエットであるのは確かのようで、 今週、このデータを受けて 今まで以上にメディアが大きく特集を組んだのがグリーク・ダイエットなのだった。



さて先週日曜のオスカーで、今年の授賞式シーズンも終わったけれど、その授賞式シーズンからソーシャル・メディアを始めとする インターネット上で、 激しく人々から嫌われていたのが アン・ハサウェイ。 ネット上には昨年末頃から、写真上のような、「Why Do People Hate Anne Hathaway ? / 何故人々は アン・ハサウェイを毛嫌いするのか?」という特集が、 溢れていたのだった。
今年の授賞式シーズンでは、彼女が 映画「レ・ミゼラブル」で、ありとあらゆるアウォードの助演女優賞を受賞していたため、 そのスピーチを聞く度に、彼女への嫌悪感を新たにする人々が多かったようで、 ネット上では、そんなアン・ハサウェイを嫌う人々を表現する ”Hathahater / ハサヘイター ”という新語まで生まれているのだった。

ネット上で アン・ハサウェイを嫌う人々の意見を纏めると、以下のようなもの。
事実、私が先週日曜のオスカー当日にブランチをした友達の中にも、ハサヘイターが居て 「またアン・ハサウェイの 白々しいスピーチを聞かされると思うとウンザリ」などと言っていたのだった。
そのコメントがきっかけで、その席でも どうしてアン・ハサウェイが皆に嫌われるのかが話題になったけれど、 皆、2006年封切の「The Devil Wears Prada / プラダを着た悪魔」の時の彼女は、「特に好きではないものの、嫌いではなかった」と言っていて、 何時から彼女を嫌い始めたかについては、「最近」という声と、史上最悪と言われた2011年のオスカーを 彼女とジェームス・フランコが ホストした際という声が聞かれていたのだった。

今年のオスカー放映中にも、ハサヘイター達が 忙しくアン・ハサウェイを批判するツイートを 繰り広げていたことが伝えられていたけれど、以下はその例のうちの3つ。






一番上は、「アン・ハサウェイより嫌いなものは、アン・ハサウェイが泣く(のを見る)こと」。 2番目は「アン・ハサウェイがステージに上がる前に、ジョーズの音楽を流すべき(今年のオスカーでは、受賞者の長過ぎるスピーチを 遮るために、「ジョーズ」のテーマ音楽が使われており、彼女がステージに上がってスピーチを始める前に、その音楽で スピーチをカットするべきという意味)」。
3番目は、「誰もがそれぞれにアン・ハサウェイを嫌う理由を持つのは良いことだけれど、最終的に誰もが合意するのは 彼女が最低だということ」。

ここまで、嫌われるほど酷いことをアン・ハサウェイがしたかは定かではないけれど、 確かに彼女は 顔のインパクトが強過ぎるので、何をしても大袈裟に見えたり、過度のジェスチャーやリアクションを示しているように見えるのは事実。
私のブランチ仲間の1人は、「彼女はアレだけ顔が濃くて、やる事なす事が芝居じみているのだから、映画女優ではなく、舞台女優になるべきだった」と指摘してたけれど、 私もそれには一理あると思うのだった。
通常、アン・ハサウェイくらいにルックスとスタイルが良くて、有名スタイリスト、レイチェル・ゾーが選んだ一流デザイナーの作品でファッショナブルに 装っていたら、授賞式シーズンにもてはやされるのが通常。 でも何故か逆に彼女が嫌われている状況に ”拍車を掛けている” と言われていたのが、 ジェニファー・ローレンスの存在。
今やハリウッドで最もホットと言われるジェニファー・ローレンスは、今シーズンからミス・ディオールのモデルも勤めるファッショニスタであるけれど、 彼女やジェシカ・チャステインなどが、スピーチでも インタビューでも ごく普通に、自分らしく振舞っているのに比べると、 アン・ハサウェイは スピーチの声からして ”作っている” という印象で、そんな比較対象がある状況が、ますます彼女を「白々しく」見せているのだった。
そのジェニファー・ローレンスは、主演女優賞を受賞し、ステージに上がる階段で転倒し、大きな話題を提供していたけれど、 それをクールにリカバリーしたスピーチで、アン・ハサウェイとは正反対の魅力を感じさせていたのは 誰もが認めるところ。

アン・ハサウェイ本人も、既に彼女がネット上、ソーシャル・メディア上で 広く嫌われていることは熟知しており、 オスカー受賞後の記者会見で、”一般の人々に からかわれていること” について質問された彼女は、 「ポジティブなことに ネガティブなことは付き物」という答えでそれを かわしていたのだった。


でもその冷静な答えとは裏腹に、彼女は オスカーの受賞スピーチで、「どうやったら人々に好感を持ってもらえるか?」で、 かなり頭を悩ませていたことが伝えられているのだった。
そのアン・ハサウェイのイメージ戦略と言われていたのが、オスカー授賞式の際に、歴史上最も好感度が高い女優と言えるオードリー・ヘップバーンのような印象を 人々に与えること。 彼女は オードリー・ヘップバーン主演のミュージカル 「マイ・フェア・レディ」のリメイクで、そのヒロインをコリン・ファースとの共演で演じることになっており、 それもあって、オードリー・ヘップバーンがオスカーを受賞した際のドレスに似た作品を、彼女の友人、ヴァレンティノの作品から選んで、 着用する予定にしていたという(写真上左から2番目)。
ところが、オスカー前日に アマンダ・サイフリッドが着用するアレクサンダー・マックィーンのドレス(写真上一番左)が、あまりに そのドレスに似ていることからパニックとなり、オスカー当日もヘア&メーク、ジュエリーのスタッフを何時間も待たせて、 ヒステリカルにドレス選びをしていたことが明らかになる一方で、ヴァレンティノ側はアン・ハサウェイがヴァレンティノの作品を着用すると思い込んで、 プレスにそれを発表してしまい、ヴァレンティノ側にも恥をかかせてしまう結果になってしまったのだった。
アン・ハサウェイは水曜に、公式の声明でヴァレンティノに謝罪したけれど、こんな舞台裏の実態が メディアに漏れてしまうところからして、「彼女を嫌っているのは一般の人々だけでなく、 周囲のスタッフも同様なのでは?」との憶測まで飛び交っているのだった。

”反面教師”という言葉があるけれど、セレブリティでも一般人でも、人から嫌われている存在の態度や言動を 観察&分析してみると、取るべきでない態度、言うべきでないことが分かってくるのは事実。
アン・ハサウェイを見ていると、サクセスフルで、ルックスも良いけれど、自分のキャラクターを理解しないで 人にアピールしようとする姿が、セレブリティであるだけに 時に痛々しく、時に人々の鼻に付くという感じがするのだった。
私の知る中にも、本来は外交的ではないのに、そのように振舞ったり、 モテる訳ではないのに、いかにもモテているかのように振舞う人、 特に明るい性格に見えないのに、変に はしゃいで見せる人などが居るけれど、 やはり周囲からは、「フェイク」といって嫌われるケースが殆どなのだった。

でも、私が不思議に思うのは、現在30歳のアン・ハサウェイは ティーンエイジャーの頃から女優で、キャリアは 決して短いとは言えない方。にも関わらず、メディア・トレーニングを積んでいない駆け出し女優やミュージシャンのように イメージ戦略で失敗していること。
オスカーを受賞するというキャリアのピークで、 これだけ人々から嫌われるというのは、彼女自身もさることながら、周囲のマネージメントにも大きな問題があると思うのだった。





執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。


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