Mar. 8 〜 Mar. 14 2010




” Best Time To Lose Weight ”


今週末のアメリカは時計の針を1時間進ませて、サマー・タイムに突入するデイライト・セイヴィング。
夜中の1時が、突然2時になるので、多くの人々が睡眠時間を1時間失うことになるけれど、 規則正しい生活をしている人ほど、この1時間が時差ぼけのように身体にキツく感じられるという。
でもデイライト・セイヴィングが絡まなくても、例年2月、3月というのは 私にとっては精神的、肉体的に非常にタフな時期。
というのも、この時期に個人と会社の税金の申告準備をしなければならないためで、 日ごろと同じ仕事量をこなしながら、税金の申告準備の時間が増えるということは、1日のうちの 何らかの時間を削ることになるけれど、私の場合、通常真っ先に削られるのが睡眠時間。 そして、睡眠が削られてくると 体力が無くなって来るので、それを仕事のために温存しようと、 エクササイズの時間が減っていく・・・というのが ありがちなシナリオ。

特に昨年の今頃は、税金以外にも 他の仕事のペーパーワークの締め切りを抱えていたこともあって、 毎日のように、追い立てられているかのようなプレッシャーを感じて、当然のことながらストレス・レベルも極めて高くなってしまっていたのだった。 そうなると、せめて食生活くらいは幸せを味わいたいと思うので、日頃より制限を緩めた食事をして、ワインを飲む量も増えていったのだった。
その結果、昨年4月に日本に一時帰国をした際には、両親に「太った」と指摘され、帰国中にはさらに体重が増えることになってしまったけれど、 この状況は、自分のライフスタイルを完全にミスマネージした結果のウェイト・ゲイン(体重増加)。

大体、体重が増える時というのは、忙しくて、睡眠不足と運動不足が重なって、ストレスが溜まっていて、それを食べ物で紛らせようとして 悪循環に陥って行くもの。 そもそもエクササイズをしなければ、その分体力が仕事のために温存できるかと思いきや、 決してそうではなくて、逆にストレス発散ホルモンである エンドーフィンが 脳にリリースされなくなる分、 ストレスが高まり、集中力が欠落すると同時に、精神は疲労していても 身体は疲労していないので、寝付きが悪くなるという問題をもたらすのだった。
逆に適度に運動をしていると、たとえ6時間程度の睡眠でも 効率良い眠りが得られるので、その結果 精神面でのエネルギーや集中力が得られて、仕事もスムースにこなせるという利点をもたらしてくれるもの。
食べ物に関しては、ストレスが溜まるとどうしても食べたくなるのが、砂糖と炭水化物であるけれど、 これは確かに一時的にはストレスに効いて、エネルギーをもたらすカンフル剤のようなフード。 でも、脳の動きをスローダウンさせるフードでもあるから、タダでさえ運動不足と睡眠不足でスローダウンしている脳の 効率を鈍くするのは紛れも無い事実。 さらに運動をしなければ炭水化物や砂糖は脂肪になって身体、特に腹部に蓄積されるだけ。
すなわち、ストレス、運動不足、睡眠不足、食事の不摂生というのは、負の連鎖をもたらしながら 体重の増加という形で表れていくのだった。

なので今年は 税金の申告準備や仕事が どんなに忙しくても ”決して怠らない” と決めたのがエクササイズと食事の摂生。
幸い、今はテニスに夢中になっていて、テニスを上達させたいと思うあまり エクササイズがそれほど苦にならないこともあって、 今年こそは、体重を増やす事無く、この時期を乗り切れると思ったのだった。
そこで、体重とウエスト等のサイズを測って 日記に記録しようとしたところ、自分の体重が昨年の今頃よりも5キロ軽いことに気付いたのだった。
昨年は 4月に、 日本への一時帰国からニューヨークに戻って、 水泳を復活させ、エクササイズも週に4〜5日のペースに戻し、 食生活も野菜、魚、果物中心のダイエットに戻すことによって、一時帰国中に増えた体重は直ぐに落とせたけれど、 そこから先が小康状態になったため、デヴィッド・カーシュの ”48アワー・デトックス・プログラム” で48時間のレモネード・ダイエットをして、 体重を2キロ落としたことは昨年のこのコラムにも書いた通り。 そして、現在の体重はその時よりさらに3キロ軽い状態なのである。
9ヶ月前より3キロ軽いというのは、数字の上では大した減量ではないけれど、 現在の私がしているダイエットが、筋肉とスタミナを落とす事無く、脂肪を落とすというダイエットで、 通常なら身体は引き締まっても、体重が増える場合もあるだけに、個人的にはこの数字には非常に満足してしまったのだった。

”筋肉とスタミナを落とす事無く、脂肪を落とすというダイエット” というのは、運動量が多く、食事もヘルシーではありながら、1日に2000〜2200カロリーという 決して低カロリーではないダイエット。どうしてこんなダイエットをするかと言えば、痩せたいだけでなく、若い時代の体力とボディを取り戻したいと思ったためで、 このダイエットに成功した人々によれば、若い頃の体力とボディを取り戻すと、若い頃の肌のツヤや張り、集中力や記憶力も取り戻せるのだそうで、 髪の毛の質まで若返るとのこと。
逆にカロリー制限で脂肪だけを落とす事に集中するダイエットを行うと、 どうしてもエナジー・レベルとスタミナがダウンする分、仕事の効率や集中力が失われるのは当然の成り行き。 同時に脳がスターベーション・モード(飢餓状態のモード)に入ってしまうので、 身体がエネルギーを温存しようとして カロリーを燃やさないようにするため、 エクササイズが必要以上に苦しく感じられるのは、既に様々なダイエットを通じて私が経験してきたこと。

また、脂肪だけを落とすダイエットをして、所謂「スタイルが良い」 というボディになれるのは30代前半までがせいぜい。
それ以降は、身体に張りが無くなって来るので、 皮下脂肪の量が減っても、ボディラインが下がって来るのは防げないので、痩せることで ヒップ・ラインが下がるような状況を招くのが、 脂肪だけを落とすダイエット。
そもそも脂肪というのは身体に付いている限りは 引力に逆らえないもの。なので、膝の上の脂肪が落ちてきてシワが出来たり、腕の肉がたるんだりすることは、 どんなに痩せていても脂肪体質である限りは  避けられない運命なのである。
これに対して筋肉というのは、年齢に関係なく 地面と水平にデベロップされて行くもので、衰えることはあっても、脂肪のようにたるんだり、下がったりしないもの。 したがって、身体に張りが無くなる年齢に達した人間が、引力に逆らって、たるみの無い腕やヒップラインを維持しようとした場合、 筋肉をつける以外に方法は無いのである。

今、ハリウッドでもジェニファー・アニストン、ケイト・ハドソン、ジェニファー・ガーナーなど、多くの女優達が 腕や脚に筋肉を付けるためのエクササイズをしていることが伝えられているけれど、 脂肪を落として筋肉を付けることは、セルライト対策に最も有効な手段。
実際私も、今のダイエットを始めてから太ももの後ろのセルライトが減ったのを実感しているけれど、 身体が脂肪体質である限りは、たとえ体重が45キロでも出来てしまうのがセルライト。 でも、筋肉質であれば たとえ60キロ 体重があっても出来ないのがセルライトなのである。

では ”筋肉とスタミナを落とす事無く、脂肪を落とすというダイエット” がどのようなプログラムであるかと言えば、 まずエクササイズは 週に10時間ほどで、私はこれに加えて、週に1回は1時間のテニスのプライベート・レッスンを受けているのだった。
ワークアウトの内容は、ジャンプ・ロープ(縄跳び)、有酸素運動、ストレングス(筋力)・トレーニング、ヨガを含むストレッチ、水泳であるけれど、 有酸素運動は 1週間に最低10マイル(16キロ)を走るのがノルマ。 1月2週目のこのコラムで、週に3回、2マイルを走るようにしていると書いたけれど、 自分でもビックリするほどに 走り続けていくうちに走れるようになっていくのは人間の身体のスゴイ部分。 ほんの数ヶ月前までは 私ほど 走るのが嫌いな人間は世の中に居ないと思ってきたけれど、今ではランニング・マシンで 1時間を掛ければ10キロは走れるようになって、しかもそのくらい走ると 頭の中はエンドーフィンがリリースされてランナーズ・ハイになっているので、 走っているのを全く感じない時もあれば、走っているのが楽しくて仕方が無いような時もある状態。
そうやって、終わってみると長距離を走っている日に限って、走る前は身体がだるかったり、走り出した途端に苦しくなったりするものだけれど、 「今日は2マイルでやめよう」とか、アイポッドでその時掛かっている曲が終わったらスピードを落とそう と思って走っているうちに、 気が付くと苦しくなくなっていて、「だったら もう1マイル」、「次に苦しくなったらやめよう」と思って走っているうちに、 10キロ走ってしまうのがパターン。
幸い、私が通っているジムのランニング・マシーンは1時間以上走れないようにセットされているので、それ以上走ってしまう心配は無いけれど、 季節が暖かくなったら、セントラル・パークに走りに行こうと思っているほど、今では走ることが苦にならなくなったのだった。

これだけ運動量があると、やはり食べないとスタミナが持たないわけで、2000カロリーくらいの食事をどうしても摂取してしまうことになるけれど、 これを6回くらいに分けて食べるのがこのダイエット。 外食の時はパンやパスタを食べないようにして、肉や魚、野菜を中心に食べて、 デザートは友人とシェアして、自分は2口程度しか食べないようにしているのだった。
私はそもそも揚げ物とひき肉料理は食べない主義だけれど、このダイエットでも揚げ物、脂肪分が多い肉はご法度。 またチーズを含む乳製品も摂取しないのがルールになっているけれど、これらは外食には殆ど影響を及ぼさないのだった。
なので、このダイエットを始めてから特に外食のパターンが変わったことは無いけれど、 身体は引き締まってきても、実際の体重が減るスピードはかなり遅いので、体重計には頻繁に乗らないようにするのが大切なポイント。
でも、時間を掛ければ確実に体重が減っているのが実感できるし、身体が筋肉質になっている分、食べているほどには太らない体質になっているのが実感できるのもこのダイエットの利点なのだった。

とは言っても、”筋肉とスタミナを落とす事無く、脂肪を落とすというダイエット”は 身体を動かすのが好き、もしくはアンチ・エイジングと減量の効果を同時に得たい という確固たる意志を持っている人でないと、かなり運動量が多いので エクササイズの時間を ライフスタイルの中に取り込むこと自体がとても難しいのは事実。 私の場合、自営業なのに加えて、自宅ビル内にジムがあるので かなり自由が利くけれど、このダイエットを成功させた知人は、 朝2時間エクササイズをするために 午前5時起きの生活に切り替えたというから、私よりずっと強い意志で取り組んでいたことが感じられるのだった。

ところで、ダイエットを始めるのに最も理想的な時期と言えるのは3月。
というのも、2月までは季節が寒すぎて、身体が脂肪を付けて 身を守ろうというサバイバル本能が働くために、どうしても脂肪燃焼のスピードが落ちるのだという。
加えて、外が寒いと 屋外でのエクササイズが出来ないのもネック。 ランニングにしてもサイクリングにしても、ありとあらゆるスポーツは屋外で行うと、同じアクティヴィティでも10〜15%余分にカロリーを燃やすことが出来るという。 この理由は、風や日光などの自然条件に対応しなければならないのに加えて、屋外は地面の細かい傾斜や凹凸がある分、 同じ動きでも余分に細かい筋肉を使うことになるため。
なので、同じ30分走る というエクササイズでも暖かい季節に屋外で行うことによって、余分にカロリーを燃やし、より筋肉を使うことによって 室内のジムで行うよりも有効なエクササイズが出来るようになる訳である。
さらにエクササイズに限らず、ちょっと暖かくて気持ちが良い日は 「短い距離はバスに乗るより歩こう」という気持ちになったり、ちょっとした近所までの 外出も厭わなくなるなど、知らず知らずのうちに余分に身体を動かすチャンスが出てくるもの。
その一方で、日照時間が延びて、 気候が暖かくなってくると、人間は食の好みが軽くなって来る上に、食欲がコントロールしやすくなってくるので、 ダイエットがし易く、薄着の季節が近付いてこともあって 体重を落としたいという気持ちが 高まってくるのも この時期。
なので秋冬にダイエットを始めるよりも、ずっと効果が上がりやすいのが春の初め、すなわち3月なのである。

私の見解では、一部の例外を除いて、男性でも女性でも、健康的に体重を落とすというのは、最も手っ取り早く 幸せが感じられる方法。
身体が軽くなって、エネルギーが沸いてきて、鏡を見たときの自分の姿がほっそりしているというのは、 毎日が楽しく、充実してくるだけでなく、自分に自信が沸いて来るもの。
そして そういう域に達すれば、目の前でクリームがたっぷりのったケーキを食べている女友達を見て、 「そんな食生活を止めれば、もっと健康的になれるのに・・・」と 気の毒に思えるようになるのである。





Catch of the Week No. 1 Mar. : 3月 第 1 週


Catch of the Week No. 4 Feb. : 2月 第 4 週


Catch of the Week No. 3 Feb. : 2月 第 3 週


Catch of the Week No. 2 Feb. : 2月 第 2 週





執筆者プロフィール

秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。
丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、1989年渡米。以来、マンハッタン在住。
FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。
その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。





© Cube New York Inc. 2009