Mar. 7 〜 Mar. 15 2016

”Konmari Method Works For New Yorkers?”
日本のオーガナイズ・エキスパートのメソッドは
ニューヨーカーにアピールするか?



今週のニューヨーク・エリアは、気象観測記録を塗り替える温暖な気温で、週の半ばにはお隣ニュージャージー州の気温が ハワイのホノルルを上回ったほど。Tシャツ姿で街中を歩く人々が多かったけれど、 そんな中、引き続きアメリカのメディアを騒がせたのが、共和党大統領候補のドナルド・トランプ。
今週のメディアを騒がせていたのは、「いよいよここまで来たか!」と思わせる 暴力事件に発展している彼の選挙キャンペーンについて。 まず週半ばのノース・キャロライナでのスピーチの最中に起こったのが78歳のトランプ支持者の男性が、会場で抗議活動をしていた 黒人男性を殴った事件。この暴力を煽ったのが、他ならぬドナルド・トランプで、 これまでは、スピーチの会場に抗議活動者が居ても、「出て行け!」と怒鳴って、セキュリティに 摘み出すように指示をするだけであったけれど、この日は「そんな奴は殴ってしまえ」、「訴えられたら訴訟代は自分が払ってやる」、 「昔はそんな奴らは担架で担ぎ出されて当たり前だったんだ。あの時代の方が良かった」と言った様子に 呆れたり、耳を疑う人々は多かったけれど、これをいとも淡々と報道していたのがアメリカのメディア。
でも徐々に各州で盛り上がりつつあるのがトランプに対する抗議活動で、シカゴでは1万人以上が、 彼に対する抗議活動に参加の意志を表明し、支持者と抗議デモが真っ向から対立。 警官2人が怪我をし、5人が逮捕、4人が訴追される事態となり、トランプ側は選挙活動を中止せざるを得ない状況に追い込まれており、 翌日土曜日のオハイオ州の選挙キャンペーンでは 22人が逮捕される暴動となっているのだった。
さらに私がこれを書いている日曜にカンサス州で行われた選挙活動では、警官が抗議デモの人々に向かってペッパー・スプレーを拭きかける 事態となっていたけれど、トランプ側はこれらの抗議活動者が 民主党候補、バーニー・サンダース陣営が 送り込んだ妨害工作として反発。一方、共和党ライバル候補は「ドナルド・トランプは、国を分断させている」、「暴力を煽る選挙活動など、 前代未聞」と攻撃していたのが今週。
その一方で 今週は、保守派メディアの女性ジャーナリストが 取材中にトランプの選挙マネージャーに暴力的に突き飛ばされたことに対して、 正式に抗議したニュースも報じられていたけれど、様々な暴力沙汰が絡み始めた彼の選挙キャンペーンについて、 ドナルド・トランプ本人は、「トランプ・キャンペーンほど楽しいものはない」とスピーチで語り、彼の支持者から 拍手喝采を得ていたのだった。

トランプに対する抗議活動は、今日、日曜日にニューヨークでも行われていたけれど、 彼の人種差別発言や、過激な言動に対しては 、 先進諸国の代表からも懸念の声が続出しており、これは選出前の候補者に対するものとしては極めて異例のこと。
カナダの若き首相、ジャスティン・トルドーも、少し前にそんな懸念を表明した1人であったけれど、 今週の訪米中に 大統領選挙について尋ねられた際には、「アメリカ国民が正しい選択をすると信じている」とのコメントに止まっているのだった。




さてアメリカは、新年と共にダイエットや禁煙をスタートするニューイヤー・レゾルーション(新年の決心)を定めて、 それに取り組み始めるけれど、春を迎えようという今頃までには約64%もの人々が、掲げた目標の達成に 挫折しているとのこと。
そんなアメリカ人が春の到来と共に行うのが、スプリング・クリーニング。 過去に何度かこのコラムで書いたことがあるけれど、 アメリカでは大掃除の季節は春。 外が暖かくなってきた頃に、大掃除をして要らないもを捨てたり、ヤード・セールで売るのが常。 なので、アメリカのバラエティ番組は、春になると掃除グッズやオーガナイズ・メソッドの 特集を組むものであるけれど、昨今アメリカ人の友達が口にするようになったのが 「Konmari Method / コンマリ・メソッド」。
世界で200万部以上を売り上げた「The Life-Changing Magic of Tidying Up (人生がときめく片づけの魔法)」は、 アメリカでは2014年10月に出版されて、 その後ニューヨーク・タイムズ紙やアマゾン・ドット・コムのベストセラーになっているけれど、 アメリカのメディアしかチェックしていない私が、近藤 麻理恵氏について初めて知ったのは 2015年のニューヨーク・タイムズ紙の記事を読んでのこと。
2016年1月には 2冊目の著書、「Spark Joy」がアメリカで出版されて、 それを機にアメリカン・ヴォーグ誌や、ニューヨーク・ポスト紙など、より大衆的なメディアが コンマリ・メソッドについての記事を掲載したこともあり、 昨今では部屋や棚などのオーガナイズについて話題になると、 「コンマリ」というネーミングまでは出てこなくても、「あの日本人のオーガナイズ・エキスパート…」という形で、 近藤 麻理恵氏のテクニックについてふれるアメリカ人が 増えているのだった。




近藤 麻理恵氏は、2015年にはタイム誌が選ぶ「世界で最も影響力のある100人」にも選ばれて、今やオノ・ヨーコ氏に次いで、 世界的に知られる日本人女性とも言われるけれど、 TV番組や雑誌で”コンマリ・メソッド”が説明される際に必ずと言って良いほど登場するのが Tシャツのたたみ方。
でも私はこれを実践していたり、これをトライしようというアメリカ人には会ったことがなくて、その理由の1つはニューヨークのアパートは ウォークイン・クローゼットがある場合が多いこと。逆にたたんで収納するようなドローワー(引き出し)が無かったり、 あったとしてもサイズが小さかったりするので、通常ならドローワーに収納するようなTシャツやエクササイズ・ウェアなども ハンガーに吊っているケースが多いのだった。 ふと考えると私自身も、ドローワーに収納しているのは下着やソックスだけという状況。

逆に”コンマリ・メソッド”が大きくアピールしている部分は、片付けは物を捨てるところから始まるというセオリー。 「何時か使うかもしれない」、「捨てるよりも、誰か使ってくれる人が見つかるまでとっておこう」という気持ちから 物が捨てられないのは世界共通であるけれど、 「喜びをもたらさないものは、捨ててしまうべき」という近藤 麻理恵氏のメッセージは、 アメリカ人にとっては禅やスピリチュアリティの世界。 実際、「The Life-Changing Magic of Tidying Up」は、アマゾンドットコムの”宗教&スピリチュアリティ”、”セルフ・ヘルプ(自己啓発)” 部門で現在も第2位にランキングされている書籍。
”コンマリ・メソッド”は 物を捨てる基準が持てなかったアメリカ人に、 確実に指針になりうるガイドラインを与えているのだった。

そうやって 物を捨てている最中に友人の何人もが感じていたのが、 今まで不必要なものを買い過ぎていたということ。 何故 不必要なものを買ってしまうか?という理由として 友人達が指摘していたのが”リテール・セラピー”。 すなわちショッピングで気晴らしをしてしまうこと。
そのうちの1人は、”コンマリ・メソッド”で2週間がかりで クローゼットの服やシューズを約半分処分したというけれど、 着る物に困ることはなく、クローゼットの中に数年ぶりに空気が流れているのを感じて、気分が爽快なだけでなく、 「何が何処にあるかが一目で分かるようになった」とのこと。 ”コンマリ・メソッド”を 「revolutionary / レボルーショナリー(革命的)!」と絶賛していたけれど、 彼女の場合、オーガナイズ・テクニックを取り入れたというより、 物を捨てるモチベーションを”コンマリ・メソッド”から学んだという方が正解なのだった。



かく言う私も、今年のニューイヤーズ・レゾルーションは、「不必要なものを取り去って、シンプルに生きる」ということ。 なので友達に刺激されたこともあり、先週から物を捨て続けているけれど、 捨てるには勿体無いものは、やはり売ってしまいたいのが人情。
そこで、デザイナー物のシューズや服は オンライン・コンサイメントで売っているけれど、1回しか履いていない1200ドルのブーツが売れても、 140ドルしか実入りが無かったりするので、売れた途端に 「こんな値段にしかならないのなら、売らなければ良かった」と 後悔することがあるのは事実。 でも時間が経過してからは「あれを売らなければ良かった…」と後悔したことは無いので、 やはり手放すこと自体は間違いではないと思うのだった。

デザイナー物以外の 家具や家電品、食器などを売るために昨今人々が愛用しているのが写真上のようなアプリで、 携帯電話で写真を撮影して、価格と説明を付けるだけという至って簡単なプロセス。
なので 私も昨今利用を始めたけれど、こうしたアプリを通じて物を売るようになって気づいたのが コンディションの良い中古品を集めて部屋をデコレートするビジネスをやっている人が如何に多いかということ。
今週取引をした男性は、モデル・クラブの宿舎として使うアパートのデコレーションを引き受けているとのことで、 激安価格で家具を買い漁っているという。 別の取引相手は、夫婦でそれぞれにバンを運転しながら、マンハッタンのバイヤーから家具を激安で買い取っては、 ニュージャージーのアパートのデコレーションに使って利ざやを取っていると話していたけれど、 見方を変えれば、それほどまでに良いコンディションのものを安価で処分する人が多いということ。

恐らく お金がうなっているようなメガ・リッチは、これからも物を買い続けると思うけれど、 こんなアプリを使って 自分の持ち物を売りながら、その価値を思い知らされた人々は、 その後は必要な物や、本当に気に入ったもの、支払った以上の価値や使い道があるものしか 買わなくなるように思うのだった。
また個人的な経験から言うと、自分の所持品を売る際に付き物なのが時間と労力の出費。 ただでさえ、売値を買い叩かれるだけでなく、ピックアップにやって来るバイヤーのために割く時間と労力、 ストレスはかなりのもの。 それらを考えると、売るより捨てたり、寄付してしまった方が効率が良い場合が多いのが実情。
こうやって物を処分する大変さを味わってしまうと、ギフトは贈る場合でも、受け取る場合でも、 食べて無くなるものや、花のように枯れたら捨てられるもの、さもなければ使ってなくなる消耗品が一番だと思うのだった。

Will New York 宿泊施設滞在



執筆者プロフィール
秋山曜子。 東京生まれ。 成蹊大学法学部卒業。 丸の内のOL、バイヤー、マーケティング会社勤務を経て、渡米。以来、マンハッタン在住。 FIT在学後、マガジン・エディター、フリーランス・ライター&リサーチャーを務めた後、1996年にパートナーと共に ヴァーチャル・ショッピング・ネットワーク / CUBE New Yorkをスタート。 その後、2000年に独立し、CUBE New York Inc.を設立。以来、同社代表を務める。

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